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【ネタバレ】人質 韓国トップスター誘拐事件|結末感想とあらすじ評価。韓国映画俳優ファン・ジョンミンが本人役で挑む脱出劇!

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

ファン・ジョンミンが本人役で誘拐されたスーパースターの脱出劇

哭声/コクソン』(2017)、『アシュラ』(2017)などさまざまな役を演じてきた国民的スターファン・ジョンミン。

新作映画の記者会見の後、ひと気のない路地で何者かに連れ去られてしまう……

絶体絶命のなか頼れるのは己の演技力のみ。ファン・ジョンミン必死の脱出劇と狡猾な誘拐犯の攻防戦が手に汗握る前代未聞の“リアル”サスペンス・アクション。

実際に起きた俳優ウー・ルオプー誘拐事件を元にした中国映画『誘拐捜査』(2017)を元に映画化。

監督を務めたのは、短編映画が映画祭で評価され、本作が長編映画初監督作となったピル・カムソン監督。

映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』の作品情報


(C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K & SEM COMPANY. All Rights Reserved.

【日本公開】
2022年(韓国映画)

【原題】
인질(英題:Hostage: Missing Celebrity)

【監督・脚本】
ピル・カムソン

【キャスト】
ファン・ジョンミン、イ・ユミ、リュ・ギョンス、キム・ジェボム、イ・ギュウォン

【作品概要】
主演を務めたファン・ジョンミンは、『将軍の息子』(1990)でデビューし、『ユア・マイ・サンシャイン』(2005)で青龍映画賞の主演男優賞を受賞し、注目を集めます。

その後、『新しき世界』(2013)で2度目の主演男優賞を受賞、『国際市場で逢いましょう』(2015)は韓国の観客動員数1400万人を超える大ヒット作となり一躍国民的俳優となります。

『ベテラン』(2015)、『哭声/コクソン』(2017)、『アシュラ』(2016)、『工作 黒金星と呼ばれた男』(2018)と出るたびにインパクトのある役を演じ、出演した映画が大ヒットしています。

共演者にはドラマ『イカゲーム』(2021)で話題となったイ・ユミ、ドラマ『梨泰院クラス』(2020)、『地獄が呼んでいる』(2021)のリュ・ギョンスなど。また、ヨンテ役のチョン・ジェウォンは、オーディションで演技が評価され本作がスクリーンデビューとなりました。

映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』のあらすじとネタバレ


(C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K & SEM COMPANY. All Rights Reserved.

ソウルで新作映画の完成イベントに参加したファン・ジョンミンは、マネージャーと別れ一人で帰ります。

コンビニに手荷物を預け、帰ろうとする道中ファン・ジョンミンは若者らに絡まれます。握手を求められ応じるとものすごい力で握られ戸惑います。

下品な言葉で挑発するチンピラに思わずファン・ジョンミンは声を荒げふざけるな、この野郎と言います。クソ野郎はそっちだと若者も応じますが、ファン・ジョンミンはその場を立ち去ります。

家に着き入ろうとして、鍵がないことに気づいたファン・ジョンミンは来た道を引き返します。人気のない路地裏に突如トラックがやってきてファン・ジョンミンは襲われスタンガンで気を失ってしまいます。

気がつくと手を縛られ椅子に座らされています。奥にはニュースで、誘拐され切断死体となって発見された男性と共に誘拐されたと報道されたアルバイトの女性がいました。

何かのドッキリか、ユーチュウーバーなのだろうとファン・ジョンミンは言うと容赦無く殴られ、芸能人が、世の中なめているのかと言われます。

明日インタビューがあるから顔は殴らないでくれ、必死に頼むファン・ジョンミンを誘拐犯は笑います。自分の状況が分かっていないファン・ジョンミンに誘拐された社長が凄惨な目に遭う動画を見させます。

更にアルバイトの女性を殺そうとします。状況を理解したファン・ジョンミンはお金はある、5億送ると言い、女性は助けて欲しいと言います。

何本映画に出たんだ、もっとお金を持っているだろうと言う誘拐犯に、1日に引き出せる最高額が5億だ、長引いて失踪がバレるとまずいだろう、カードは家にあると誘拐犯と交渉します。

他のやつは命乞いをしたのに、怖くないのか、と誘拐犯は何か企んでいるのではないかと怪しみます。疑うのか、助かりたいだけだとファン・ジョンミンは答えます。

誘拐犯のボス・チェ・ギワン(キム・ジェボム)が数人を連れてファン・ジョンミンの家に向かい、監視の目が少なくなると女性がファン・ジョンミンにお金を払ったら帰ることができますよね、と聞きます。

顔を見せたのは2つに1つ、逃げ切れる自信があるのか、僕たちを殺すつもりかだとファン・ジョンミンは答え、女性の近くにあるガラスの破片を蹴ってくれと頼みます。

しかし、運悪く破片は手の届かない椅子の下に転がってしまい、手を伸ばしてなんとか取ろうとするファン・ジョンミンは椅子ごと倒れてしまいます。物音に気づいた監視の誘拐犯が2人の方に向かってくる足音がします。

慌てて起きあがろうと奮闘する中、足音は次第に近づいていきます。間一髪のところで起き上がったファン・ジョンミンは監視に怪しまれることなくやり過ごすことができました。

そして、インタビューに行けないとマネージャーに電話しないと家にいないことがバレてしまうと監視に告げ、ファン・ジョンミンはマネージャーに誘拐犯の携帯から電話をかけますが、非通知のためマネージャーは電話に出ません。

困ったファン・ジョンミンは後輩のパク・ソンウンに電話します。急用でインタビューに行けないとマネージャーに連絡してくれと言うファン・ジョンミンにパク・ソンフンは訳がわからず困惑します。

ファン・ジョンミンは、チェ・チョルギとソ・ドチョルの2人の記者にも謝っておいてくれと何度もその2人の名前を繰り返します。誘拐犯は怪しみ、なぜ記者の名前をと問い詰めると、以前も自分のせいでキャンセルにしたことがあるからだと言います。

その2人の名前は記者の名前ではなく、かつてファン・ジョンミンが『生き残るための3つの取引』(2011)、『ベテラン』(2015)で演じた役名だったのです。パク・ソンウンからその名前を聞いたマネージャーはもしかして誘拐されていて通報しろということではないかと考えます。

マネージャーの対応により、ファン・ジョンミンが誘拐されたと警察に通報し、捜査が始まりました。

その頃、ファン・ジョンミンの自宅に向かったギワンは、カードが見当たらず監視役に連絡をします。自宅に行くように仕向けたのは、ファン・ジョンミンの時間稼ぎだったのです。

本当は、コンビニに預けていたのです。コンビニに向かったギワンは、マネージャーを装ってファン・ジョンミンの手荷物を受け取ろうとしますが、店員は怪しがって渡そうとしません。

誘拐犯と人質を追う警察は服役歴のあるギワンを中心とした誘拐犯のメンバーを特定しました。監視情報などを頼りに居場所を探っていた警察はコンビニから出てくるギワンを見つけ、捕まえようとします。

するとギワンは用意していた手製の爆弾を仕掛け逃げてしまいます。ギワンと共にいた誘拐犯の一人が警察に捕まり、アジトを聞き出そうとしますが、舌を噛み切って自死してしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『人質 韓国トップスター誘拐事件』ネタバレ・結末の記載がございます。『人質 韓国トップスター誘拐事件』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K & SEM COMPANY. All Rights Reserved.

一方、囚われたファン・ジョンミンは心臓病の薬がきれるとまずいから買ってきて欲しいと頼みます。相手にしていなかった誘拐犯らでしたが、次第に痙攣し涎を垂らし小便まで漏らしてしまいます。

尋常ではないファン・ジョンミンの様子に慌てた誘拐犯は薬を買いに向かう道中で、ギワンから連絡がきます。教えられたカードの番号が違っており、想定ではない事態の連続にギワンはイラつき、誘拐犯の中で仲間割れが生じてきます。

ファン・ジョンミンの様子に慌てた誘拐犯は人工呼吸をしようと近づくと、ファン・ジョンミンは途端に襲い掛かり縄を解き、女性と共に逃げ出します。そして自分が囮になるから逃げろと言います。

しかし、女性は捕まってしまい、民家に逃げたファン・ジョンミンも勘違いした老人に閉じ込められ、やってきた誘拐犯に見つかってしまいます。

その頃ギワンは、あえて自首をしアジトの場所を教えるから減刑と毎月300万ウォン支給するように要求します。警査はやむなく同意をし、アジトに向かいますが、それはギワンの策略でした。

案内したのはアジトではなく爆弾を仕掛けた倉庫でした。警察らは爆発に巻き込まれてしまいます。

一方、女刑事はおかしなことをいつも言うので相手にされていない老人が、ファン・ジョンミンの靴を履いていることに気づき、老人に案内させファン・ジョンミンが捕らえられてるアジトを突き止めます。

誘拐犯らは人質を盾に抵抗しますが、撃たれてしまいます。そこにギワンがやってきてファン・ジョンミンと取っ組み合いになります。ファン・ジョンミンはギワンを殴り羽交い締めにします。そこにやってきた警官にもう大丈夫と言われファン・ジョンミンは保護されます。

アルバイトの女性も無事に保護されました。

2年後。パク・ソンウンの映画の撮影現場にファン・ジョンミンが訪れます。そこで撮影していたのはファン・ジョンミンの誘拐事件を元にした映画でした。

ギワンとそっくりな若手俳優を前にファン・ジョンミンの顔が少し強張りますが、写真撮影に応じました。

映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』感想と評価


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ファン・ジョンミンならではの演出

ファン・ジョンミンが本人役で誘拐される大スターを演じた映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』。

頼れるのは己の演技力のみという極限状態で、ファン・ジョンミンは様々な策を弄して時間稼ぎをしようとします。カードを取りに家に向かわせたり、嘘のカード番号を教えたりしました。

なかでも『生き残るための3つの取引』(2011)、『ベテラン』(2015)で演じた役名でSOSをマネージャに伝える作戦はファン・ジョンミンならではの作戦と言えるでしょう。

また、そのように刑事役やヤクザ役など様々な役をこなしてきたファン・ジョンミンだからこそ、誘拐された状況においても冷静に判断し、様々な策を練ることができたのでしょう。

同じく人質にとらわれていた女性が37回目でやっと就職が決まった話をすると、ファン・ジョンミンは下積み時代オーディションを100回以上受けたと話します。

が不細工で慶尚道の方言のある赤ら顔のやつが俳優になんてなれるわけがないと嘲笑ったと言います。そのような下積み時代を経て国民的スターとなったファン・ジョンミン。

劇中に記者の名前で出した映画の他、『国際市場で逢いましょう』(2015)が出てきたり、誘拐犯の一人がファン・ジョンミンのファンであるなどいかにファン・ジョンミンが国民的スターとして愛されているかが伺えます。

同時に手に汗握る展開のサスペンスながら、ファン・ジョンミンもファンにはたまらないファンムービーであり、ファン・ジョンミンの俳優人生の一つの集大成のような映画になっています。

中国映画との違い


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映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』の元になったのは、実際の事件を元にした中国映画『誘拐捜査』(2017)でした。

本人役ではありませんが、『誘拐捜査』においても、誘拐される俳優役には、中国のトップスターアンディ・ラウが演じています。『誘拐捜査』では、人質の脱走劇よりも警察と捕まった誘拐犯の心理戦をメインに描いていました。

ワン・チエンユエン演じる誘拐犯は警察に対しても強気で信用できない癖の強いキャラクターで観客をも翻弄します。

一方、『人質 韓国トップスター誘拐事件』でキム・ジェボム演じる誘拐犯は狡猾で、サイコパシーな側面のあるキャラクターです。顔立ちもあっさりしていてどちらかと印象に残りにくい顔立ちで、韓国映画に出てくる猟奇犯の典型のようなキャラクターと言えるでしょう。

『誘拐捜査』で、スパースターと共に人質として捕まっていたのは男性でしたが、『人質 韓国トップスター誘拐事件』では、女性になっています。

更に妹が捜索願いを出すまで失踪していたことを誰も知らず、お金もないため誘拐犯も身代金を要求せず、生死はどうでもいいかのように扱われていました。

そのような女性の扱いに対する問題意識が感じられる点も韓国映画らしさと言えるかもしれません。

まとめ


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ファン・ジョンミンが誘拐され、脱出劇を繰り広げる映画『人質 韓国トップスター誘拐事件』。

果たして演技なのか、それともリアルなのか、国民的スターファン・ジョンミンならではの演出、面白さがひかるサスペンス・アクションであり、ファン・ジョンミンの集大成とも言える映画になっています。

本作で長編監督デビューしたピル・カムソン監督は、最後まで緊張感が抜けない映画作りを意識したと言います。

また、話題のドラマに出演しているイ・ユミ、リュ・ギョンスのほか、ギワン役を演じたのはミュージカルが中心で映画にあまり出ていないキム・ジェボムを起用し、誘拐犯の一人には演技初挑戦となるチョン・ジェウォンを起用するなどキャスティングにも監督のこだわりを感じさせます。

それだけでなく、思いがけないパク・ソンウンの登場は韓国映画ファンにとっても嬉しいサプライズだったのではないでしょうか。




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