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映画カイトKITE|動画無料視聴はHulu。ネタバレあらすじと感想

  • Writer :
  • 山田苺

日本のアニメーションは、時に海外にまで影響を及ぼす作品が現れることがあります。

今回はその中でもキワモノ感溢れるR-18アニメ作品の実写化作品『KITE/カイト』を紹介します。

1.映画『KITE/カイト』の作品情報


Copyright (C) 2013 Videovision Entertainment, Ltd., Distant Horizon, Ltd. & Detalle Films All rights reserved

【公開】
2015年(アメリカ)

【原題】
Kite

【監督】
ラルフ・ジマン

【キャスト】
インディア・アイズリー、サミュエル・L・ジャクソン、カラン・マッコーリフ、カール・ボークス、テレンス・ブリジット、デオン・ロッツ、ライオネル・ニュートン

【作品概要】
経済が崩壊した近未来で、少女が売買される中、両親を殺された少女サワは、人身売買の組織への復讐を誓います。

そのために娼婦に成りすまし、組織に潜り込むのですが、精神を保つ薬の副作用で両人の顔すらも思い出せなくなりそうになって行きます。

そして組織のボスに近づきにつれ、彼女は衝撃の事実を目の当たりにします・・・。

日本ではアダルトアニメとして発表されたのち、海外でも人気を得た梅津泰臣監督のエロティックバイオレンスムービーです。

▼映画『KITE/カイト』はHuluにてご覧いただけます。
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2.映画『KITE/カイト』のあらすじとネタバレ


Copyright (C) 2013 Videovision Entertainment, Ltd., Distant Horizon, Ltd. & Detalle Films All rights reserved

経済が崩壊し、少女の人身売買が横行する近未来。

廃墟と化した都市で1人の男が、赤髪の少女を担いでエレベーターに乗り込むます。

そこで居合わせた建物の住人である老婆は、男がこれから少女とするであろう事に嫌悪感を示しますが、癪に障った男は老婆に暴力を振るいます。

すると、少女は鞄に隠していた銃で男の頭に銃を打ち込むと、打ち込まれた銃弾は頭部で破裂。

老婆を証拠隠滅のために処理しようとしますが、少女の過去のフラッシュバックと重なり、生かしたまま姿をくらまします。

後に現場にカールとその同僚の刑事が駆けつけ、老婆の証言や、使われた銃が警察関係者特有のものであることが判明します。

少女サワは、幼い頃両親を人身売買を牛耳る「ナンバーズ」という組織に殺されてしまい、以後、園リーダーであるエミールに復讐するために生きていました。

父は元警察官で、カールは彼の同僚でした。

しかしサワは過去の記憶がトラウマとなっているため、カールから渡される「アンプ」という精神安定剤で、何とか精神を保つ状態でした。

暗殺した男からエミールの取引をつかんだサワは、娼婦に変装してアジトに乗り込みます。

アジトにはソーンヒルという男がサワの存在に疑問を抱くも、彼の部下が「商品」である少女の調達をしくじったことで、彼女を雇うことにします。

商品の確認もかねて、ソーンヒルはサワを自分の父親と相手させるように仕向け、自分は取引先へ移動します。

ソーンヒルの父親とベッドをともにしようというそのときに、サワは下着に隠していた凶器で父親を襲います。

そしてソーンヒルに調達をしくじった罰で拘束されている部下に、売買された「商品」の出荷先を拷問にかけながら聞き出すと同時に、手がかりとなる男が住む名前と番号が振られたタグを発見します。

アジトを脱出すると、組織の連中に追われているところを、オブリという青年に救われます。

オブリはサワのことを知っているようですが、サワ自身は覚えていないといいます。

彼はその原因のひとつに、サワが依存している精神安定剤「アンプ」が原因になっているといいます。

その薬は副作用として、自身の記憶を無くしていくものでした。

サワにとって、それはむしろ好都合なことだと言い張りますが、オブリは今の薬を使い続けて入れば、いずれ亡くなった両親の顔すら思い出せなくなると警告します。

サワは部屋に戻ると、隠してある両親と撮った写真を見ますが、両親の顔は破り取られています。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『KATE/カイト』ネタバレ・結末の記載がございます。『KATE/カイト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
カールが再び、サワの部屋に訪れると、アジトでの計画が上手く行っていないことを注意します。

しかしサワは部下から聞き出した場所と、タグの存在を見せつけ、復習はまだ続いていることを示します。

その後、エミールの部下から聞きだした建物へ向かうと、1人の女が玄関から現れます。

その瞬間、エミールの手下と思われる女が割り込み、部屋の女を襲うと、奥にいる夫と思われる男に襲い掛かります。

サワはその隙に隣の部屋へ隠れようとしますが、そこにはその夫婦の娘がいました。

両親の元へ行こうとする娘を引きとめ、共に部屋から逃げ出しますが、すぐに他の手下が追いかけてきて、少女は誘拐され、サワも攻撃を受けます。

そこへどこから閃光弾が飛んでくると、オブリがサワの元に駆けつけます。

助けられたサワですが、なんとか誘拐された少女を救おうとオブリも協力します。

手下の隙をついて、少女が監禁された場所へ向かうと、そこには別に誘拐された少女もいました。

彼女らを檻から出すと、すぐさま手下に見つかってしまい、サワは再び最初に襲ってきた女と接戦になります。

しかし今度はサワが彼女を追い詰め、エミールの取引相手について聞き出すと、建物から女を突き落としました。

なんとか手下の追っても交わし、バスで移動するサワたちですが、オブリは復讐なんて止めるようサワを説得します。

しかしその声も届かず、彼女はバスを飛び降り、聞き出したエミールの取引相手の場所へ単身向かいます。

そこは大きなクラブで、サワは再び赤髪の娼婦に変装して乗り込みます。

男子トイレに隠れると、そこで取引相手の双子が用を足しながら、取引の話をしているのを聞き出します。

今度は男の格好に変装し、トイレを出るフリをして見張りの男に銃を撃ち込みます。

サワは双子の片割れを撃つものの、すぐに駆けつけた見張りと、激しい銃撃戦を巻き起こします。

何とか脱出すると、双子の車に隠れるサワ。何も知らずに乗り込んだ双子を脅して、更なるエミールへの手がかりを聞き出します。

その後双子ともみ合いになるも、何とか相手を倒して、サワは去っていきます。

少女を誘拐した女の手下は、オブリの居場所を突き止め、少女の居場所を聞きだそうとしますが、オブリは颯爽と手下から逃げ切ります。

現場から逃げたサワは、組織に改めて潜入するために、出荷される「商品」に紛れ込もうとするも、その日の出荷は少女ではなく少年だったことから、すぐに見つかり拘束されてしまいます。

そこは精肉処理場で、拘束されたサワの前に現れたのは、従業員に扮したエミール本人でした。

ついに仇にたどり着いたサワですが、そこへサワを追い続けていたソーンヒルも現れ、彼女に報復しようとします。

しかし、サワに返り討ちにあっただけでなく、エミールも肉切り包丁で断頭されます。

彼女の復讐はこれで終わりかと思われましたが、アンプの効果が切れたことで、両親を襲った相手の顔を思い出しますが、それはエミールではありませんでした。

カールはもう復讐は終わったのだから身を隠すように説得しますが、まだ黒幕がいることを知ったサワは聞く耳を持ちません。

これ以上庇えないとカールは言い、それでも黒幕を追うならオブリの元を訪れるよう、サワに言い残します。

オブリは彼女に1人の男性と会わせます。

その男こそ、蘇った記憶にいた男と同一人物でした。

オブリの父・オーティス・ブリードラブは、サワの父と同じく警官で同僚、そして友人でした。

しかしオーティスとカールは、エミールに買収されており、その証拠をサワの父がつかんだことが事の発端でした。

サワの父から買収が明るみになるのを防ぐために、カールはオーティスをそそのかし、サワの両親を始末させたのでした。

事実を知ったサワは衝撃を受けますが、そこへ本当の黒幕であるカールが姿を現します。

彼は躊躇いなくオーティスを始末してまい、さらにサワに対して自分もこのことで罪の意識に苛まれてきたと懺悔を始めます。

事実サワを引き取って育てたのもカールであり、組織のボスであるエミールの捜査に協力したのも彼でした。

しかし、サワはカールを決して許すことはなく、彼めがけて銃弾を放つのでした。

カールを始末し、復讐を成し遂げたサワは、オブリや人身売買から救った少年少女たちと、ささやかなコミュニティを形成し、皆で穏やかに暮らすようになりました。

3.映画『KITE/カイト』の感想と評価


Copyright (C) 2013 Videovision Entertainment, Ltd., Distant Horizon, Ltd. & Detalle Films All rights reserved

原作がR-18なのに対して、実写版はR-15。つまり性的描写を期待してみると、思いっきり期待が外れてしまいます。

しかし、バイオレンス描写に関しては妥協がなく、妖艶な作風に相まって、よりショッキングなシーンが際立つようになっています。(そもそもオリジナルは、企画を通すためにエロ要素を入れた節があるので、監督が本当にやりたかったようなことを、実写化ではやっているのかもしれません)

私自身、アニメの存在は知らないため未見ですが、未見の人ほど、今作を見ると原作を見てみたくなると感じました。

今作を分析してみますと、冒頭のエレベーターのシーンはかなり原作を意識していると思いますし、サワが自分の名をエミールに聞かれたときは、オリジナルアニメの名前・砂羽にちなんだ説明をしています。

さらにサワが赤髪のウィッグをつけて変装する設定は、オリジナルの続編に登場する主人公が、女子高生でありながら裏の顔である暗殺者になる際、カラコンや髪型を変える設定を踏まえているのかもしれません。

ちなみにオリジナルの続編『KITE LIBERATOR』はノワール要素だけでなく、主人公のお父さんが宇宙で実験体にされるという、ぶっ飛びSF要素まで加わっています。これはめちゃくちゃ見たいですねえ。

まとめ

ラルフ・ジマン監督『KITE/カイト』インタビュー


今作は、原作の実写化でありながら、その原作よりも知名度があるように感じます。

それゆえ、今作を見ると、もれなくオリジナルアニメを見てみたくなること必須です。(調べてみると、英語吹き替えのインターナショナル版が存在するようです。アダルトシーンはカット)

実写版では、当初予定していた監督が亡くなるという事態になりながらも完成した作品ということもあり、どこか惜しい部分も見られます。

それゆえラルフ・ジマン監督の次回作に、期待したくもなる作品でした。


Copyright (C) 2013 Videovision Entertainment, Ltd., Distant Horizon, Ltd. & Detalle Films All rights reserved

さて、『KATE/カイト』が観られるHuluでは現在2週間無料トライアルを実施中

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無料トライアル期間に解約をすれば料金は一切かかりませんし、記事でご紹介した作品以外にも映画・海外ドラマ・国内ドラマ・アニメなど、大量の作品が見放題となっています。

作品によって追加料金がかかるVOD(定額制動画配信サービス)もありますが、Huluは全作品見放題というのも安心して使えるポイントですね!

※紹介している情報は2017年11月時点のものです。配信作品の状況が変わっている可能性もありますので、詳細は公式ホームページにてご確認ください。

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