Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Netflix映画『クラス’83』ネタバレあらすじと感想考察。80年代のインドの実情を描いた秀逸なポリティカルサスペンス

  • Writer :
  • 糸魚川悟

NETFLIX映画『クラス’83』

世界の汚職を監視する国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が毎年発表する、その国の汚職率を数値化した「腐敗認識指数」。

例年アジアの国の中でも最低の数値となるインドでは、2017年の調査で公共サービス利用者の10人に7人の割合で贈賄の経験があるとされるほどでした。

今回は映像配信サービス「Netflix」で配信された、ボンベイ警察の暗黒時代を描いたインド映画『クラス’83』をネタバレあらすじを含め魅力をご紹介させていただきます。

スポンサーリンク

映画『クラス’83』の作品情報


(C)2020 Netflix, Inc.

【原題】
Class of ’83

【配信】
2020年(Netflix限定配信)

【監督】
アトゥル・シャバルワール

【キャスト】
ボビー・デオル、アヌープ・ソニ、ジョイ・セングプタ、サマー・パラニャペ、

【作品概要】
インドの作家フセイン・ザイディによる小説「The Class of 83:The Punishers of Mumbai Police」をアトゥル・シャバルワール監督が映像化した作品。

インド映画界で長いキャリアを持ち、様々な賞に輝いたボビー・デオルが主演を務めました。

映画『クラス’83』のあらすじとネタバレ


(C)2020 Netflix, Inc.

1982年、ナシクの警察学校。

マフィアを殲滅したとも言われる伝説の刑事シンが学部長に就任してから一学期が終わろうとしていましたが、シンは生徒たちの前に1度も姿を現しませんでした。

ある夜、成績下位の生徒であるシュクラ、アスラム、ヴァルデは教育長のディクシット教官を逆恨みし夜襲をかけます。

しかし、シンはこのことを予期しており、アスラムたちの前に姿を現すと3人を一蹴しました。

翌日、初めて全生徒の前に現れたシンは授業の時間に同期生徒たち全員の前でアスラム、シュクラ、ヴァルデの3人を詰問しますが罪には問いませんでした。

ボンベイの警察官は制服を着た売人と呼ばれるほど腐敗しており、綺麗で熱意があるのは警察学校にいる時だけとさえ言われています。

シンはディクシットに自身たちを襲撃した3人を含めた成績下位5人を停学処分にすることを打診されますが、彼らの警察への志望動機が薄く、まだ何色にも染まっていないことから彼らを肉体的にも精神的にも鍛え上げることで腐敗した警察機構を浄化できるのではないかと考え始めます。

個人授業が禁止されていることから、夜襲の制裁と言う名目でアスラムたちのみを厳しく指導するシン。

5人は最初こそ反発しますが、シンのユニークな授業に魅力され始めます。

1981年、犯罪者カルセカルを追うシンは密会現場にたどり着きましたが、6人の仲間を失った上にカルセカルを取り逃してしまいます。

カルセカルが自身の捜査の現状を察知し事前に逃げていたことを悟るシンは、情報を漏洩させたのがカルセカルの密会現場に踏み込むことを報告したパトカール州知事であることに行き着きます。

しかし、圧倒的な権力を持つパトカールに手を出すことはできずシンは警察学校へと左遷されます。

1982年、大晦日にアスラムたち5人に真意を打ち明けたシン。

カルセカルの犯罪組織の構成員を抹殺するようにと言われたアスラムたちは戸惑います。

1983年、アスラムたちは警察学校を卒業、シンの言葉を胸に秘め、ボンベイへと向かいます。

その頃のボンベイは経営者と労働者による既得権争いが激化し、街には失業者が溢れていました。

更に、ボンベイ港から引き上げされる大量の武器や麻薬がマフィアの資金源となり、カルセカル配下のマフィアは力をつけています。

赴任したばかりの新人警官が要職に就けるわけもなく、5人はシンの言葉を実行できない日々が続きます。

その頃、シンはかつての仲間であるラグハフ警察長官に掛け合い、ボンベイ警察の中にマフィアの抹殺を行う新たな組織を作ろうとしていました。

バラバラの場所に赴任した5人が久々に共に食事をした帰り、シュクラはカルセカルの配下の幹部のであり資金洗浄係でもあるパトラを発見します。

パトラを排除すればカルセカルの資金源を絶てると考えるシュクラ、ヴァルデ、スルヴェはパトラを尾行し射殺。

翌日、ラグハフに詰問される3人でしたが、シンの教えを活かし完璧に正当防衛を偽装した3人は罪に問われることはありませんでした。

パトラの殺害を契機に5人はマフィアの構成員の抹殺を繰り返し始めます。

しかし、パトラと違い他のカルセカルの幹部たちのガードは固く、5人はナイクと言うカルセカルとは別のマフィアの殺害を続けました。

マフィアは多くの仲間を殺されたことでパトカールを批難。

追い詰められたパトカールはラグハフを呼びマフィアの殺害を止めさせるように言いますが、ラグハフはシンの計画に乗り、上層部が決して関与しないマフィアの抹殺組織を作れば批難されることもないとパトカールに進言し、パトカールはこれを受け入れます。

独立した組織としてマフィアの粛清を進めるアスラムたちをやがてマスコミも絶賛し始め、彼らの行動は街のヒーローとも呼ばれ始めます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『クラス’83』のネタバレ・結末の記載がございます。『クラス’83』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

1988年、シュクラとヴァルデは殺害数を競い合い険悪になり、そこをマフィアに付け入られ、シュクラはカルセカルとヴァルデはナイクと繋がりを持つようになります。

ヴァルデ、シュクラ、スルヴェ、ジャダフの4人が民間人3人を射殺してしまった事件がシンの耳にまで及びます。

ラグハフはシンに、発起人が制御をつけろと言うとシンは4人に賄賂の件を含めこれまでの話を聞こうとします。

しかし、4人は賄賂をもらうことは全員がしており、賄賂を上手に使いシンのように左遷されないように立ち回ることが正義だと言いシンを失望させます。

シンは唯一この件に関わらなかったアスラムと組み、自らカルセカルの幹部の逮捕を繰り返します。

このことでカルセカルの怒りを買ったアスラムはカルセカルの部下に殺害されてしまいます。

アスラムの葬儀を見届けたシンはアスラムの死が自身のせいであると後悔し自殺を考えますが、シュクラやヴァルデたち4人に止められ、カルセカルと決着をつけることを求められます。

パトカールはカルセカルも大きなダメージを受けたと言いこれ以上の行為を止めるようにシンに忠告しますが、シンは止まることを良しとしませんでした。

シュクラたちはカルセカルの娘を誘拐し、カルセカルへ脅迫状を渡します。

カルセカルとシンの会合現場にシュクラとヴァルデが隠れ潜み、遂にカルセカルとシンは相まみえます。

シンはカルセカルとその部下を射殺し、なだれ込んでくるカルセカルの部下をシュクラとヴァルデが次々と射殺。

無事に3人は生き延び、カルセカルの娘はスルヴェとジャダフが解放しました。

大ニュースとなったカルセカルの死を聞きパトカールはシンに疑いを向けますが、念入りなアリバイ工作のおかげでシンの容疑が晴れます。

故殺罪でシュクラたちは逮捕されますが、正義のために法を犯す信念は潰えぬままでした。

スポンサーリンク

映画『クラス’83』の感想と評価


(C)2020 Netflix, Inc.

「汚職の撲滅」を政策にあげたナレンドラ・モディによる第1次ナレンドラ・モディ内閣により、インドの汚職は目に見えるほどに減少しました。

しかし、80年代のインドの警察組織は賄賂を貰っていない警察官の方が少ないとされるほど腐敗が広まっていたとされています。

本作『クラス’83』は腐敗がシステムとなってしまっているインドで、たとえ法を犯してでもシステムを修正しようとした男たちの物語を描いていました。

強い信念だけで突き進む「若さ」ゆえの行動力を持った青年たちが、時代が経過することにマフィアによる強烈な誘惑と仲間に対する激しい嫉妬に揺れ動いていく。

最後にその道を修正するのは信念か、それとも長い時代を共に過ごした仲間たちという友情か。

システムに立ち向かい、その命を燃やした熱い男による反逆の物語として 心揺さぶられる作品でした。

まとめ


(C)2020 Netflix, Inc.

インド映画と言えば歌って踊る陽気な映画と言うステレオタイプ的な発想をお持ちの方が多いかもしれません。

しかし、本作は陽気さをとことん抑えたどこまでもシリアスな内容で、鑑賞者の心に「正義」の意味を訴える作品でした。

警察による悪人の粛清を描いた映画『クラス’83』は8月21日より「Netflix」で独占配信中

80年代のインドのリアルを描いた本作をぜひ鑑賞してみてください。

関連記事

サスペンス映画

デスノートLight up the NEW worldあらすじネタバレと感想!ラスト結末も

11月17日に地上波「金曜ロードSHOW!」にて放送される、前作から10年のときを経て製作された、正統な映画『デスノート』続編。 一見無謀のようにも思える、この続編の制作。果たして原作ファンの期待に答 …

サスペンス映画

映画『モースト・ビューティフルアイランド』ネタバレ感想と考察評価。実話体験をした監督自身の着想から不法移民たちを描く

スペイン出身の女優アナ・アセンシオが自身の経験を基に描いたサスペンス・スリラー『モースト・ビューティフルアイランド』。 2020年はアメリカで大統領選挙があります。アメリカが抱える目下の課題は「移民問 …

サスペンス映画

【三度目の殺人】福山雅治(重盛)演技評価と感想。ラストの考察も

是枝裕和の最新映画『三度目の殺人』が、2017年9月9日(土)に公開。 弁護士が殺人犯の心の奥底に潜む真意を、弁護する立場から見つめる姿によって、新たな真実を想像する法廷サスペンス。 キャストは是枝監 …

サスペンス映画

映画『ナイトクローラー』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

YouTubeやテレビでは、多くの「衝撃映像」を見ることができます。 事件や事故の映像は、個人でアップされるものありますが、映像パパラッチの手によって撮影されたがあるとか。 “刺激的な瞬間が見たい”と …

サスペンス映画

映画『十二人の死にたい子どもたち』12番ユキ役は竹内愛紗。演技力とプロフィール紹介

『天地明察』で知られるベストセラー作家の冲方丁(うぶかた・とう)の小説を原作とした映画『十二人の死にたい子どもたち』が2019年1月25日に公開されます。 メガホンをとるのは、『イニシエーション・ラブ …

U-NEXT
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【Cinemarche】今週のおすすめ映画情報
凱里(かいり)ブルース|2020年6月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次ロードショー予定!
映画『異端の鳥』2020年10月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
映画『朝が来る』2020年10月23日(金)より全国公開
ドラマ『そして、ユリコは一人になった』
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学
国内ドラマ情報サイトDRAMAP