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Entry 2024/07/17
Update

エア・ロック 海底緊急避難所|あらすじ感想と評価解説。映画《海底47m》スタッフ陣による新たなシチュエーション・スリラー

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『エア・ロック 海底緊急避難所』は2024年8月16日(金)より新宿ピカデリー他で全国ロードショー!

航空機の墜落、海底への沈下、そして人食いザメ……絶望的な閉塞空間からの脱出に挑む人たちの姿を描いたシチュエーション・スリラー『エア・ロック 海底緊急避難所』。

楽しき旅行が一転、不慮の事故により海底の絶望的な空間へと追いやられながらも、生き残るべく奮闘する人々の姿を追います。

大ヒットシチュエーション・スリラー作品『海底47m』のスタッフ陣が「山猫は眠らない」シリーズのクラウディオ・ファエとタッグを組み、新たな視点によるスリラーを作り上げました。

キャストには「新スタートレック」シリーズ、『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)『コン・エアー』(1997)のコルム・ミーニー、テレビドラマで活躍してきたニュージーランド出身のソフィー・マッキントッシュらが名を連ねています。

映画『エア・ロック 海底緊急避難所』の作品情報


(C)NWUP Limited 2023

【日本公開】
2024年(イギリス映画)

【原題】
No Way Up

【監督】
クラウディオ・ファエ

【キャスト】
ソフィー・マッキントッシュ、ウィル・アッテンボロー、ジェレミアス・アムーア、マヌエル・パシフィック、グレース・ネトル、ジェームズ・キャロル・ジョーダン、フィリス・ローガン、コルム・ミーニーほか

【作品概要】
墜落して海底に沈んだ航空機の中で、忍び寄る人食いザメの恐怖と対峙する生存者たちのサバイバルを描いたスリラー。

製作・脚本は『トランスフュージョン』(2024)『海底47m』(2017)『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(2019)『ヒトラーの死体を奪え!』(2022)などで製作総指揮を務めたアンディ・メイソンが担当しているほか、『海底47m』(2017)のプロデューサー陣が名を連ねています。

監督は「山猫は眠らない」(1993)シリーズや『インビジブル2』(2006)などを手がけたクラウディオ・ファエ。

映画『エア・ロック 海底緊急避難所』のあらすじ


(C)NWUP Limited 2023

南国メキシコのリゾート地・サボへと向かう航空機で、恋人や友人たちと卒業旅行に向かう女子大生エヴァ。

同機には大好きな祖父母との3人旅行にでかけた10歳の少女ローザ、彼氏との同性婚を夢みるCAのダニーロら、それぞれの理由や事情を抱えた乗客、乗員たちが同乗していました。

ところが突然、飛行中に鳥が飛行機のエンジンに激突。その影響で機体は高度2万フィートから墜落し、海底に沈んでしまいます。

機の生存者はエヴァたちがいたエアロックに残るわずか6人。そして州知事候補であるエヴァの父が雇った用心棒が、大ケガを負いながらも水没したファーストクラス席より命からがら逃げだしてきました。

酸素残量の減少に加え、海底奥深くにさらに沈みゆく機体、そして突然現れた人食いザメと、彼らに次々と襲い掛かる恐怖。

生存者たちは絶望と闘いながら、生き残る術を探し始めますが……。

映画『エア・ロック 海底緊急避難所』の感想と評価


(C)NWUP Limited 2023

サメ、墜落した飛行機、絶体絶命、決死の脱出劇……物語のキーワードを拾っていくと、まさに『海底47m』(2017)を彷彿とさせるシチュエーション・スリラー『エア・ロック 海底緊急避難所』。

しかし本作は、どちらかといえば主に「登場人物による運命の選択」という視点に絞られている印象であります。

物語は主人公エヴァが恋人や友人、そして父が雇ったボディーガードとともに卒業旅行に向かうという設定ですが、彼らの運命はそれぞれが持つバックグラウンド、そして固有の性格が物語のカギを握っているようにも感じられます。

個々の性質がこのドラマの展開で何らかの要因を引き起こすわけではありませんが、物語の最後に誰が生き残るか、そして誰が命を落とすのか、その是非が個々の性質と妙に合点がいく物語として描かれている、そんな印象が見受けられます。


(C)NWUP Limited 2023

エヴァは家族の立場や将来の進退など、現在自身にさまざまな課題を抱えた女性。奇跡的な生還を目指して奔走する姿は、その性質により自身に抱えた責任を全うすべく、事件に対して真摯に向き合っている姿とも見て取れ、多くの人が共感できるでしょう。

物語では利己的である者、人を想いながらも自身を犠牲とするものは死を迎え、反面皆で生きようとするものは生き続け、とある意味方向性を持った展開を見せます。この要素には「生きるべき正しい選択をしたものが生きる」そんなメッセージ性も見えてきます。

物語だけをたどれば、どこかありえないシチュエーションであることを感じられるものですが、芯の部分には「平穏な生活を送っていた人々が、ある日突然思わぬ事態に巻き込まれ、究極的な選択を迫られる。」という普遍的な本質が、物語の不自然さをうまく補っている印象もあります。

その意味では、世界中のどこにでも起きている、あるいは起こる可能性のある出来事と重なり、自身の生き方を問われるような、少し変わったドキドキ感を味わえる作品であるといえるでしょう。

まとめ


(C)NWUP Limited 2023

なお、冒頭の墜落シーンは人気アクション・スリラーの「ファイナル・デスティネーション」シリーズを彷彿するハラハラドキドキの連続でありますが、サメの描写はどちらかというと1975年の映画『ジョーズ』のように明確な登場シーンは意外に少ない中で印象的な恐怖を演出しています。

この演出方針は、サメという動物を「死」や「選択の誤り」の要素を象徴するイメージとして描かれているようにも見えます。

その意味で、本作は2024年より始まった「第1回 東京国際サメ映画祭」にてオープニング上映されるなど、サメ映画としての注目も高い物語でありますが、本題の部分でグロテスクな表現満載のサメ・スリラーを期待すると、肩透かしを食らうかもしれません。

それでもシチュエーション・スリラーというジャンル作品的な分類において、人間の本質的な芯の部分に迫っているという点では新しい視点を提供していると見ることもできるでしょう。

ちなみに本作の原題『No Way Up(浮上する手立てなし)』の意は、『海底47m』の原題『47 Meters Down(47m沈下)』とどこか対比的な印象も感じられ、前作で示しきれなかったポイントを改めて整理しているという印象も感じられます。

映画『エア・ロック 海底緊急避難所』は2024年8月16日(金)より新宿ピカデリー他で全国ロードショー!




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