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Entry 2018/08/27
Update

映画『夏、19歳の肖像』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 西川ちょり

新本格推理の巨匠、島田荘司の青春ミステリーを完全映画化!

EXOの元メンバー、ファン・ズータオが体当たりの演技を見せる『夏、19歳の肖像』をご紹介します。

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映画『夏、19歳の肖像』の作品情報


(C)2016 DESEN INTERNATIONAL MEDIA(BEIJING)CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2018年(中国映画)

【原題】
夏天十九歳的肖像 Edge of Innocence

【原作】
島田荘司『夏、19歳の肖像』(文春文庫)

【監督】
チャン・ロンジー

【キャスト】
ファン・ズータオ、ヤン・ツァイユー、リー・モン、カルビン・トゥ、チャン・グオチュウ、スタンリー・フォン、コー・シュウチン、チュウ・チーイン、レオン・ダイ

【作品概要】
島田荘司の同名小説を中国で映画化。台湾のチャン・ロンジーが監督を務め、主役のカン・チャオを人気アイドルグループ「EXO」の元メンバー、ファン・ズータオ(愛称タオ)が演じた青春ミステリー。

映画『夏、19歳の肖像』のあらすじとネタバレ


(C)2016 DESEN INTERNATIONAL MEDIA(BEIJING)CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

大学の夏休み。19歳のカン・チャオはバイク事故を起こし、脚を骨折して病院に運ばれました。

バイクは親に内緒で買ったものだったので、親には連絡せず、入院中は友人のジュー・リーとジャオ・イーが彼の世話をしてくれました。ジュー・リーはこの病院の院長の娘で、自身も医学生でした。

病室は二人部屋で隣のベッドには気さくな老人が入院していました。彼は透析を受けるなど、多くの病を抱えていて、看護師と言葉を交わすことだけを楽しみにしているようでした。

三週目には、座れるほどに回復していました。窓から外を眺めると、病院の前に位置する家に素敵な若い女性が住んでいることがわかりました。

すっかり彼女に魅了されたカンは、ジャオ・イーに双眼鏡を持ってくるよう頼み、一日中、窓際で双眼鏡を握り、女性を覗き見するようになります。

ある夕暮れのひととき、双眼鏡を握りしめていたカンの目に女性とその母親らしき女が口論をしている光景が飛び込んできました。

すると中年の男性が現れ母親らしき女性を平手打ちすると部屋を出ていきました。 二人の女はベッドに座って何やら話しこんでおり、その不穏な様子にカンはますます窓辺から離れられなくなってしまいました。

次に彼が観た光景は恐ろしいものでした。若い女性が男にナイフを振り下ろし、男が倒れたのです。絨毯には血のようなものが広がっているのがわかりました。

しかし、その時、同室の老人が「何が見えるんだ。俺にもみせろよ」と後ろから望遠鏡を奪おうとしてきたので、カンは抵抗。

老人は呆れてその場を離れ、カンは再び望遠鏡を覗きますが、すでに床に男の姿はなく、二人の女が床の汚れを拭いているのが見えるだけでした。

夜もふけ、激しい雨が降る中、女二人は重たそうな黒いビニール袋を抱え、隣の工事現場に出来た穴にそれを埋めていました。

翌日には絨毯がクリーニング屋に出され、男の姿をその後観ることはありませんでした。

本来なら目撃したものを警察に通報すべきですが、カンは通報せず、自ら真実を確かめようと考えます。しかし、病院から別の病棟に移るよう言われ、無理やり退院してしまうのでした。

ギプスもはずれ、下宿に戻ったカンに「何を見たか人にいうな」と書かれた脅迫状が送られてきました。

さらに、入院していた時、彼のもとにラインの友達申請が届き、あまり深く考えずOKしたのですが、その「小白」と名乗る謎の人物から「全部知っているよ」というラインが送られてきました。一体この人物は何者なのか!?

歩けるようになったカンは女性の家の前にやってきました。すると中から女性とその母親らしき人物が出てきて、車に乗り込む姿がみえました。その時、女性が家の鍵を落としたのにカンは気付きます。

その鍵で家の中に入ってみると、立派な高級家具が置かれ、裕福な暮らしをしているのが伺えました。彼女の部屋らしき場所には、世界地図が貼られ、自分で描いたらしき作品が飾られていました。

すぐに彼女が帰ってきたので、彼はあわてて家を出ますが、心はすっかり彼女の虜になっていました。

ある日、彼女のあとをつけたカンは、彼女の勤め先をつきとめます。バイトを募集しており、同じビルで働けるのならと応募し採用されました。

バイトは、街頭でアンケートをとり彼女にチェックを受けるというもので、初めて彼女と言葉を交わしたカンは有頂天になります。彼女はシア・インインという名前で、どうやらこの会社は彼女の父親の会社のようでした。

謎の相手からは「君のことよくみえているよ」というラインが届きました。どうやらこの「小白」という人物はカンのすぐ近くにいるようなのです。カンが知っている人間なのでしょうか!?

病院から望遠鏡で覗いていた時、近くのカフェの店員がインインの家を覗き込んでいたことがありました。カンはカフェを訪ね、探りを入れてみました。

病院で世話になった看護師はこの男と出来ているらしく、カフェにも客として訪れていました。

カンが入院していたのを知っていたジュー・リーとジャオ・イーも完全に除外することは出来ません。

会社では執行役が最近出社していないという話がカンの耳に入ってきました。

カンは思い切ってインインを食事に誘い、二人の距離は急速に縮まっていきました。

バーでデートしたあと、家に送るよと何気なく言ったカンに対して、インインはどうして家を知っているの?と怪訝な顔をしました。その時、男二人が彼女を迎えに来て、それ以来、彼女は会社に姿を見せなくなりました。

カンはカフェの店員に彼女のことを尋ねます。「毎日家をのぞいていただろ?」と。すると彼は応えました。「彼女の父親は資産を持ち逃げされて倒産し、多大な借金を抱えたんだ。孤独な子なんだ。悩み事があると僕のところに来た。彼女とはかかわらないほうがいい。世界が違うんだ」

しかし、彼女のことを諦められないカンは、工事現場に忍び込み、彼女の窓から見えるところに「バタフライバー」のロゴマークをスプレーで描きました。

彼はバタフライバーで待ち続けました。ある雨の日、ついに彼女がやってきました。

「君に会えないと何をするかわからない」とカンが言うと、インインは「あの家にはいられない」と応え、二人はバスに乗り、海へと向かいました。

ホテルで結ばれた二人。インインは「ここ気に入ったわ。一ヶ月くらい泊まらない?」と言い、キャッシュで代金を払いました。

「なぜバイクが好きなの?」と問われたカンが「バイクはいやな場所から連れ出してくれるから」と答えると、インインは「私も乗せていやな場所から連れ出して」と言い、気前よくバイクを購入してくれるのでした。

夢のような幸せな時を過ごしていたカンにあの小白からラインが届きます。「帰ってこないと殺人で告発するよ」。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『夏、19歳の肖像』ネタバレ・結末の記載がございます。『夏、19歳の肖像』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2016 DESEN INTERNATIONAL MEDIA(BEIJING)CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

カンはインインに学校をやめて働くことにすると告げました。「学校は出ておかないとだめよ」というインインにカンは「君のお金を使わせたくないんだ。なぜ大金を持っているの?」と尋ねます。

彼女は途端に不機嫌になってしまいました。

その時、またラインが届きました。「帰ってくればこっちの正体もわかるよ」

「ちょっと出かけてくる」とカンは言うと、バイクに乗って地元に戻りますが、三人組の男に襲われてしまいます。

「お嬢様はどこだ!?」と男たちは尋ね、彼をぼこぼこに痛めつけると「今日はこのくらいにしておいてやる」と立ち去りました。

カンをさらに追い詰めるようなラインが届きました。「この場所で会おう。待っているよ」。

そして、あの工事現場をスコップで掘っている人間の映像が添えられていました。

ここはインインと母親が死体を隠した場所だ! カンはあわてて現場にかけつけます。

作業着を着た人物はすぐに逃げ去り、カンは夢中で穴を埋めようとしていました。彼女の犯罪を隠さなければと必死でした。

しかし、そこにパトカーがやってきます。

そこに埋まっていたのは・・・。思いもかけないものでした。それは、嬰児の死体でした。

雨の中、パトカーに乗せられていたカンは刑事から「通報はいたずらだった。帰っていいぞ」と告げられます。

赤んぼうのことを尋ねると、あれは20年前に死んだ赤んぼうだと刑事は答えました。

看護師の仕業に違いないと睨んだカンは病院を訪ね、彼女に詰め寄ります。「小白はあなただろ!?」

その時、同室だった老人が運ばれていくのにすれ違いました。彼は亡くなったらしく、カンはショックを受けます。

「どうして私だと? やっていないわ」看護師はそう答えると、「嬰児を盗んだ人がそうだとしたら正体を知っているわ」とささやきました。

小白の正体はジュー・リーでした。彼女はカンに恋していました。

彼が怪我したことで、そばに居られると喜んだのも束の間、彼が病院の前の家の女に興味を奪われたことに嫉妬し、彼のスマホに監視アプリを入れ、ジャオ・イーに頼んで望遠鏡に映る映像が彼女にも観られるよう細工していたのでした。

「彼女を逮捕させる以外にあなたを止めることはできないと思った。でも現場には死体はなく、事件性をもたせるために病院から嬰児の標本を盗んだ」と彼女は告白しました。

インインはカンに「あなたは入院していた時に何を観たの?」と尋ねます。「君が父親を殺したところを」と正直に応えたカンにインインは言うのでした。「殺したわ。車のトランクに隠して山に埋めたわ。人殺しを愛せるの?」

車に乗せられたインインをバイクで追うカン。「連れ出してほしいんだろ? 行くな!」と叫びますが、彼女は窓を締めてしまいます。

カンはバイクを転倒させ、車を止めました。「なんてことを」インインは息を呑みました。

「こいつが相手か?」そこに現れたのは、あの家で目撃した中年の男、彼女の父親でした。彼は死んでいなかったのです!

「この数年はお前がいてくれて幸せだった。行ってもいいぞ」男はインインに向かって言いました。

「父親じゃないわ」とインインは振り返ってカンに言いました。「いい生活ができるからよ」

彼女の父親が作った借金をこの男性に肩代わりしてもらうその代償として彼女は彼に囲われて生活していたのです。それは多分に母親を助けるためでもありました。

「子どもがいたのよ。彼との間に出来た子どもが生後一ヶ月で亡くなってしまい、母は私をなじった」インインはあの日あったことを話し始めました。

男に平手うちされて、母親は捨てられるのではないかと心配していたと言います。

そのあとに、男は化学療法の副作用で倒れ、食事の準備をしていたインインはナイフを握ったまま彼のもとへ駆け寄りました。絨毯に広がっていたのは溢れたお茶だったのです。

彼を寝させたあと、母と娘は死んだ子供のものを袋につめて、工事現場に埋めたのでした。見るのがつらかったのです。

これが、彼が目撃したことの真相でした。彼女は殺人犯ではなかったのです。

彼女は僕のことを少しでも好いていてくれたのだろうか? インインは「私たち二人の夏は一度限りよ」と言って、彼のもとを去っていきました。

その後、インインに支えられ、男は闘病と会社の権利を争う裁判に勝ち、まもなく死亡したと伝え聞きました。

傷心からようやく立ち直った頃、カンはインインの家を訪ねてみました。家は売りに出されていました。

近くのカフェに顔を出すと、カフェの店員と看護師は結婚し、幸せに暮らしていました。

カンの顔を見て、店員は、インインから君が来たら渡してくれと頼まれていたんだと告げて、絵葉書を手渡しました。彼女は今、世界を巡っているとのことでした。

旅行をしたら、必ず絵葉書を出すというのは、あの楽しかった夏の一月の間に二人が交わした約束でした。

時が過ぎ、逞しく成長したカンは、バイクの代わりに自動車を走らせていました。彼女との距離が縮まっているように、彼には感じられるのでした。

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映画『夏、19歳の肖像』の感想と評価


(C)2016 DESEN INTERNATIONAL MEDIA(BEIJING)CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

島田荘司の同名小説を中国で映画化。『共犯』(2014)などの作品で知られる台湾のチャン・ロンジーが監督を務め、人気アイドルグループ「EXO」の元メンバーで、ジャッキー・チェンの『レイルロード・タイガー』(2016)にも出演したフアン・ズータオが主役のカン・チャオを演じるなど、国境を超え、東アジアの才能が集まった作品となっています。

足を骨折した青年が、病院の向かいにある屋敷の女性に一目惚れし、望遠鏡で生活を覗き見るという設定はヒッチコックの『裏窓』(1954)を彷彿させます。

一途な青年の純朴さと犯罪ぎりぎりの行為を呼ぶ背徳さを同時に味わうことの面白さ。そういえば、ウォン・カーウァイの『恋する惑星』(1994)におけるフェイ・ウォンの行為だって相当なものでした。

他人の家を覗き見たり、勝手に家に忍び込んだり、家から物を持ち去ったり、恋は盲目という言葉もありますが、恋することとは理性を奪うことなのだなぁと改めて思い知らされました。

主演のファン・ズータオと、相手役のシア・インインを演じるヤン・ツァイユーの美男美女ぶりは、実に麗しく、その爽やかで美しいさまに目を奪われてしまいます。本作はそうした二人を愛でる作品でもあります。

裏窓的ミステリの面白さと同時に、現代的なトリックを用いたもう一つの謎も魅力的で、青春ミステリーとして存分に楽しめる作品に仕上がっています。

まとめ


(C)2016 DESEN INTERNATIONAL MEDIA(BEIJING)CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

中国映画ですが、舞台は台湾。台湾の夏といえば雨というように、多くの場面で雨が降っています

若い二人が逃避行した先は海。彼と彼女は崖の上から飛び込み、深く海に潜ります。

チャン・ロンジー監督の前作『共犯』も、冒頭のシーンを湖に沈んでいく男性の姿から始めるなど、激しく「水」を意識させる作品でした。

転落した女子高生の死体を囲むように立つ三人の男子高校生を俯瞰で捉え、そこにぽつぽつと雨が降り出し、流れた血が滲んでいくという強烈なシーンもあり、思わず「水の作家」と呼びたくなるほどでした。

本作においても、水に満ちた画面はどこかに悲しみを潜めながら、若い主人公の初々しさや、情熱にリンクし、19歳の青年が経験するひと夏のパッションを輝かせています。

前作に比べ、今回はエンターテイメントに徹したぶん、若干作家性が失われているようにも感じましたが、若い登場人物たちの様々に交錯する心理を丁寧にすくい上げ見どころたっぷりの作品に仕上げています。

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