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プリズンエクスペリメントは実話?ネタバレ感想と考察!ラスト結末も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

2017年7月19日(水)より新宿シネマカリテにて上映中の人格破壊映画と呼ばれる『プリズン・エクスペリメント』。

サンダンス映画祭3部門受賞ほか、各国の映画祭でも絶賛された作品で、『es[エス]』『エクスペリメント』に続き、実話である“スタンフォード監獄実験”の映画化です。

1970年代のアメリカのスタンフォード大学で起きた出来事は、人権の尊厳や平等の配慮もない、閉ざされた“社会的な縮図である教育の場”で行われた人体実験だった…。

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映画『プリズン・エクスペリメント』の作品情報


(C)2015, Stanford Prison, LLC All Rights Reserved.

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【監督】
カイル・パトリック・アルバレス

【キャスト】
ビリー・クラダップ、マイケル・アンガラノ、エズラ・ミラー、タイ・シェリダン、オリビア・サールビー

【作品概要】
『es エス』(2001)『エクスペリメント』(2010)でも描かれたスタンフォード監獄実験を『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『ジャスティス・リーグ』のエズラ・ミラーがが壊れていく囚人役を熱演。

サンダンス映画祭3部門受賞ほか、世界中で絶賛された『スカイ・ハイ』のマイケル・アンガラノや『X-MEN:アポカリプス』のタイ・シェリダンたち注目の若手俳優共演の心理スリラー。

新宿シネマカリテの「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」特集にて上映。

映画『プリズン・エクスペリメント』のあらすじとネタバレ


(C)2015, Stanford Prison, LLC All Rights Reserved.

アメリカ・スタンフォード大学心理学部のフィリップ・ジンバルドー博士は部下に指示をして、“スタンフォード監獄実験”という、人体実験を行う企画を立案。

実験期間は1971年8月14日から2週間の予定で、スタンフォード大学の地下にある部屋と廊下を改造して、「スタンフォード郡刑務所」という名前をつけた実験室を作ります。

ジンバルドー博士は刑務所を舞台にして、一般的な人物が“特殊な肩書き”や地位を与えられると、役割に合わせた行動を起こすことを証明する実験でした。

新聞広告で集めた協力志願者は、1日15ドルという報酬を求めて集まったスタンフォード大学の学生たち、ジンバルドー博士たちは彼の面接を次々に行い、被験者20人を選びました。

そんな面接の際に当初の学生たちは、笑顔で看守は嫌われるから受刑者の役柄をやりたいなどの考えを口にしています。

しかし、選ばれた被験者はジンバルドー博士と実験を行うスタッフのみの協議で、被験者の半数を看守役と受刑者役にグループ分けを行ないました。

また、ジンバルドー博士の実験への思いは強行なものでした。囚人役に選ばれた学生に実験開始の宣告なしに、本物のパトカーと警官を用いて強制逮捕。

囚人役の学生の指紋採取、看守たちはの囚人の衣服を脱衣させ、シラミ駆除剤を彼らに散布。

囚人番号が記された白色の囚人服は、女性用のワンピースのようなものを下着なしで着用させ、キャップ帽に女性用のナイロンストッキングを被せました。

また、歩行することに不快感を与えるため囚人の片足には金属製の鎖が巻かれました。

一方で看守役たちにジンバルドー博士は、権力と威厳が必要だと、統一した衣装とサングラスを着用、警棒を装備させます。

ジンバルドー博士の狙いは、囚人たちから人間や男性としての尊厳を奪うことを目的として、屈辱感を囚人に味合わせたのです。
(スタンフォード大学といえば名門。ご理解いただけますよね、優等生にこの仕打ち。)

実験初日から看守と囚人の役割を実際の刑務所に近い環境下で演じさせると、時間が経つに連れ、次第に学生たちは自ら望んでその役柄に馴染んでいきます。

看守役に選ばれた被験者は看守らしくなり、受刑者役の被験者は囚人らしい行動をとるようになってしまいます。

すると、看守は誰かに指示されるわけでもなく、指示に従わない囚人役に罰則を与え始めます。

体罰は腕立て伏せ、ジャンプのみならず、反抗した囚人の主犯格の囚人番号8216は、独房へ見立てた倉庫である“穴”に監禁。これらを必要に看守は繰り返していきます。

囚人番号8216は精神的に錯乱を生じるようになりますが、看守をはじめ、ジンバルドー博士たち演技だと言い切り試験を続行します。

やがて、看守は囚人たちは当初は囚人の頭に紙袋をかぶせ目隠しをさせたうえで、地下室から上階に階段で移動させトイレに連れていっていましたが、それも辞めてしまいます。

囚人たちはバケツへ排便するように強制させたのです。

以下、『プリズン・エクスペリメント』ネタバレ・結末の記載がございます。『プリズン・エクスペリメント』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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囚人番号8216ともう1人の囚人は2人で“スタンフォード郡刑務所”からの脱走を試みますが、看守に追われ、行く手を阻んだジンバルドー博士たちによって、あえなく失敗。またも独房入りとなります。

半狂乱で耐えかねた囚人番号8216は、孤独の叫びで実験からの離脱を求めるが、ジンバルドー博士は一向に聞こうとはしません。

しかし、面接の際に、囚人番号8216の口から叔父が弁護士だという事実をふと漏らした瞬間。あれだけ実験のために離脱を絶対に許さないと拒んでいたジンバルドー博士は、彼を釈放します。

ここで精神を錯乱させた1人学生は実験から離脱。

ジンバルドー博士は囚人は元より看守である学生にその事実は知らせず、“穴”(独房)に入れてあると言うようにスタッフに指示。

囚人たちを離脱させないようにさらなる不安を与えます。

そんな折、離脱した囚人番号8216が、実験中の囚人の自分を助けに戻ってくると言ったことを口にする囚人もいましたが、それも強いられた現状下では単なる願望になってしまいます。

その後、時間や日にちの経過とともに、囚人たちの鬱状態はひどくなり気力の薄く病んでいくなか、ジンバルドー博士は囚人を個人別に“仮釈放の審査”という機会を牧師とともに同伴で受けさせます。

そんな中、ジンバルドー博士のスタッフにも変化が起きました。“仮釈放の審査”の実験に参加しない助手が出たのです。

その代わりにジンバルドー博士の彼女がスタッフとして急遽参加することになります。

“仮釈放の審査”のなかで牧師は、囚人たちそれぞれに弁護士を雇いなさいとアドバイスをします。

しかし、囚人たち(学生)は神父が何を言っているのか要領を得ず、何もかもに疑心暗鬼な不安症となっていました。

その後の牧師は囚人たちとの面談を終えて帰る際に、ジンバルドー博士の実験を賞賛します。

だが、その様子に不信感を抱いたジンバルドー博士は、傍にいたスタッフに帰って行った牧師は弁護士の元に向かうはずだと連れ戻すことを支持。

しかし、スタッフはジンバルドー博士の考え過ぎだと取り合いません。

また、“仮釈放の審査”に参加したスタッフの黒人ラリーは、17年の監獄経験を持つ元受刑者ですが、その審査面談で嫌な記憶が蘇りました。

ラリーの記憶に深く傷付き残る憎い看守と同じく、つらつらと囚人(学生)を信頼や理解もせず威圧を捲し立てます。

それはかつて、自分に人権を無視して言いがかりをつけてきた看守と、今の自分は同じだとラリーは自身に嫌気をさしてしまうのです。

実験からの離脱を申し出て去っていくラリー。ジンバルドー博士は彼を実験に戻るように必死に食い下がります。

ラリーは錯乱状態のもう一人の学生の実験からの離脱を条件に出し、スタッフに戻ることを承諾します。

その一方で、スタッフに急遽参加したジンバルドー博士の彼女は、この人権を無視した最悪な実験であるとジンバルドーに抗議して訴えます。

しかし、彼女の言葉には耳を貸さずジンバルドー博士に彼女は実験から離脱して去って行きます。

その後も看守たちが囚人に課す横暴さと暴力はエスカレートしていきます。

別のモニターからその様子を眺めるジンバルドー博士は、その行為を止めるどころか実験のリアリティだと以前にも増して実験に飲み込まれていきます。

すると、看守は囚人たち同士をペアに組ませると性的行為を強要します。それを見て笑いながら楽しむ看守の酷い行いに、遂にジンバルドー博士は観察室を飛び出して実験室に向かいます。

ジンバルドー博士は実験は辞めだと中止を宣言。

1971年8月14日から2週間の予定で計画されていた“スタンフォード監獄実験”は、1971年8月20日までの6日間で中止されました。

そのジンバルドー博士の叫び声に受刑者役の学生からは笑みがこぼれます。また一方で一部の看守役の学生は納得しない表情を浮かべています。

エンディング・クレジットでは、看守役学生と受刑者役それぞれの学生のコメントが記録映画のように流れます。

その後、フィリップ・ジンバルドー博士は彼女と結婚。また、被験者である学生たちに後遺症がある者はいない…、と字幕が出ます…。

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映画『プリズン・エクスペリメント』の感想と評価


(C)2015, Stanford Prison, LLC All Rights Reserved.

今作『プリズン・エクスペリメント』は新宿シネマカリテで初日の初回に鑑賞しました。

観客の入りは9割ほどで満員ではありませんが、かなり劇場は盛り上がっていましたね。特に注目したいのは観客に女性が多かった印象があります。

なぜ、女性が多かったのか?

劇場で聞き取り調査をした訳ではないので確実なことは言えませんが、有名な実話が元になった作品であり、その事実を好奇心や感性豊かな女性の方が、男性陣よりも知っている方が多いのかも知れませんね。

さて、アメリカのスタンフォード大学で行われた、“スタンフォード監獄実験”は心理学の実験

しかし、そんな名門大学で実験されなくても、この手のことはどこの学校(教育現場)では、多少なりと行われている“イジメ”が題材なのです。

イジメ”がない社会などあり得ないのですから、その“社会形態の縮図の学校”では常に“イジメ”は存在し起きていますよ。

ただ、この実験が面白いことは、1971年当時、アメリカには人権などないこと表出している点でしょう。

映画の中にも当然ですが黒人は登場しますが、元受刑者という微妙な立場。さらには女性などは、もっと人権はありません。

“スタンフォード監獄実験”に参加する被験者や研究者スタッフメンバーにも女性はいないのです。

まあ、途中参加するジンバルドー博士の彼女はいますが、あれも博士同様の特権階級的存在にすぎません。

他にも囚人たちの人権的尊重を破壊する行為のなかに、女性のようなワンピース囚人服(スモッグ)やストッキング帽を用いて女性化させるという症例実験が登場します。

あれは異性化させたことで屈辱感があるのでしょうか。それとも70年代当時、女性という低い階級になることが屈辱感なのでしょうか。

あなたはどのように思いましたか。本当に怖い映画ですね。時代背景は違うとはいえ問題だらけの人体実験です。

では、もう一度、感想の冒頭のお話ですが、なぜこの映画を観たい観客には女性が多かったのでしょう?

若手俳優のマイケル・アンガラノやエズラ・ミラー、また、タイ・シェリダンが出演していることは、もちろん、あるかも知れません。

しかし、それだけでなく個人的な印象の想像なのですが、女性たちは肉体的な暴力ではないまでも、閉ざされた社会的空間や部署に同一性の女性だけが集まるとこの手の権力構造は生まれがちなのではないでしょうかね。

男性にはないのかよー、と仰らないでくださいね。もちろん、ありますが男性の場合は女性がいた方がなる場合が多いように思います。

男は所詮、二足歩行したばかりのお猿さんですからウッキキーのね。

さて、今作『プリズン・エクスペリメント』を観ながら、自分は中学校の頃に体験した“イジメ”と変わらない、また、思い出しましたよ。

女性の皆さんなら、この“人格破壊映画”にどんな感情を抱くのか、実は興味深い作品。それが『プリズン・エクスペリメント』なのです。

また、フィリップ・ジンバルドー博士(1933年3月23日〜-)は、アメリカのスタンフォード大学の名誉教授だそうです。

悪名高き“スタンフォード監獄実験”の責任者として知られている男と、なぜ、彼女は婚姻届という紙に契約書を交わし結婚したのでしょうね。

女心はわかりません

このことはジンバルドー博士も自身の心理がわかっていたら、好きな人と婚姻しなくても良いのでないかと個人的には思いますね。

こんな恐ろしい自己抱えている自分から婚姻届(学生と交わした契約書のように)出すなんて、心理学者も自分の心理の暴走はやはり制御できないのかしらね。

さらに、被験者の「学生に今は後遺症はない」と言い切る今作に少し疑問を覚えますね。

あれだけの非人道的な人体実験を行って、囚人役の側には心的ストレス(PTSD)などの多く感じただろうと、心理学者ではない素人だって断言できるのではないでしょうか。

しかも、ジンバルドー博士自らが10年間に渡って被験者として参加した学生のカウンセリングしたって?

それで後遺症ない?笑えますねー。怖いですねー。

他にもこの映画は他の実話を基した映画とは異なった点を指摘できます。

この作品のエンディング・ロールに、高齢とはいえ存命しているフィリップ・ジンバルドー博士の1枚の写真すら映画に登場しない、あるいは、被験者として参加した学生たちの映像も流れません

この「スタンフォード監獄実験」は心理学研究史の観点からは、ミルグラム実験(アイヒマン実験)のバリエーションと考えられるとかどうでもよくて、人体実験だからでしょうね。

ヤバい実験とはいえ、実話なのに人物の映像や写真が最後に登場しないのは本当に稀な映画だなー、怖いなーと感じました。

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まとめ

アメリカ映画だから暴力やイジメ描写は、きっと真実よりも温和に表現されているのかなと思いますね。(それに学生の長髪や髭面がどことなくコントぽいしね。)

それでも、観客として、この映画を観ているだけで、いくらかの精神的なダメージを受けるこの作品

用心しながらも観ていただくことをぜひ、オススメしますよ!

一般的な普通の学生とはいえ、閉じた狭い空間に入れられて、強い権力を与えられた人間と著しく力を奪われて持たなくなった人間では、権力を持つ方が歯止めが利かなくなり暴走行為を犯してしまう

しかも、それは、個人的な性格に関係なく、権力者と非権力者という役割を与えられただけでその事態に陥る。

人間は誰でも何でもする生き物で、力のあるものに服従する存在に過ぎないのかも知れません。怖いですねー。

今作はサンダンス映画祭ほか、世界中で絶賛された人格壊れちゃう映画『プリズン・エクスペリメント』。

7月19日(水)より新宿シネマカリテにて公開中です!お見逃しなく!

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