孤高のミュータント、ウルヴァリン誕生の秘密が明らかになる!
アメリカンコミックの人気タイトルを映画化した「X-MEN」シリーズにおいて、ヒュー・ジャックマンが演じた人気キャラクター、ウルヴァリン。
本作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』では記憶を失い謎が多かったウルヴァリンの誕生の秘密が明らかになります。
ヒュー・ジャックマンが自ら製作に参加し、これまでにな“ウルヴァリン”像を描いた本作は、圧巻のアクションシーンも見ごたえ十分です。
“ウルヴァリン”誕生に隠された壮絶な戦いと兄弟の絆、愛する女性との別れが描かれる映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』をご紹介します。
映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の作品概要
【公開】
2009年(アメリカ映画)
【原題】
X-Men Origins: Wolverine
【監督】
ギャビン・フッド
【キャスト】
ヒュー・ジャックマン、リーブ・シュレイパー、ダニー・ヒューストン、ウィル・アイ・アム、リン・コリンズ、ケビン・デュランド、ドミニク・モナハン、テイラー・キッチュ、ダニエル・ヘニー、ライアン・レイノルズ、ティム・ポコック、ターニャ・トッティ
【作品概要】
2001~2006年に公開された映画「X-MEN」シリーズのスピンオフ作品として製作された本作、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』は映画『ツォツィ』(2005)でアカデミー外国語映画賞を受賞し広く知られることになったギャビン・フッドが監督を務めます。
出演は「X-MEN」シリーズでもウルヴァリン/ローガンを演じたヒュー・ジャックマンが主演を務め、ローガンの兄、ビクター役に映画『ザ・ディレクター[市民ケーン]の真実』でゴールデングローブ主演男優賞を受賞したリーブ・シュレイパー、ローガンと因縁浅からぬ関係となるストライカー役に映画『アビエイター』に出演、映画監督としても知られるダニー・ヒューストンが演じています。
本作ではヒュー・ジャックマン自らが製作に加わり、長くローガンを演じた経験と“ウルヴァリン”への想いを作品に反映されている事で話題になりました。
映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のあらすじとネタバレ
1845年 カナダ。ジェームズ・ハウレットは使用人の息子、ビクター・グリードと兄弟のように仲睦まじく育ちます。
ある日、ビクターの父、トーマスは酔った勢いでジェームズの父、ジョンが殺害、その光景を目撃したジェームズは怒りにより、トーマスに襲い掛かります。
その時、ジェームズの手から爪が現れ、思いがけず、トーマスを殺害してしまいます。
トーマスは今わの際にジェームズの母、エリザベスと不倫関係にあり、自分がジェームズの実父であることを明かし、息を引き取ります。
真実に驚くジェームズですが、一度に夫と愛人を失ったうえ、ジェームズの人間離れした姿に錯乱したエリザベスは、心無い言葉をジェームズに投げかけます。
ジェームズはショックを受け、家を飛び出しますが、追ってきたビクターが、これからは兄弟で助け合い生きていこうと語り掛けます。
成長したジェームズ(ヒュー・ジャックマン)とビクター(リーブ・シュレイパー)は老いることも、死ぬこともなく、戦いを追い求め戦場を渡り歩きます。
しかし、ビクターは年を追うごとに凶暴さが増していきました。
時が経ち、アメリカ兵としてベトナム戦争に参加したジェームズとビクターでしたが、闘争心を抑えきれなくなったビクターが誤って上官を殺害してしまいます。
それを目撃した米兵がビクターを攻撃しようとするのをジェームズが割って入った事で2人は罪に問われ、監禁されるます。
しかし、2人の前にウィリアム・ストライカー(ダニー・ヒューストン)と名乗る男が現れ、自身の部隊に勧誘します。
その部隊はジェームズやビクターのような特異な人間、ミュータントで構成されていました。
瞬間移動ができるジョン・ライス / ケストレル(ウィル・アイ・アム)、電気を操るクリス・ブラッドリー / ボルト(ドミニク・モナハン)、怪力の巨漢フレッド・デュークス / ブロブ(ケビン・デュランド)、驚異的動体視力を持つエージェント・ゼロ / マーヴェリック(ダニエル・ヘニー)、そして、優れた運動神経と手にした日本刀を振動させるウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)それを率いるストライカーは部隊を“チームX”と呼びます。
チームXへ加入したジェームズとビクターは、とある鉱物を求めアフリカへ向かいます。
鉱物が見つかった村に向かったチームXですが、ストライカーの強引なやり口に反発するジェームズはチームXを脱退を決意、ビクターと共にチームを去ろうとしますが、凶暴さがさらに増すビクターにとってはチームXは居心地の良い場所であり、意見が食い違うジェームズとビクターは袂を分かつ事となります。
6年後、カナダで穏やかに暮らすジェームズはローガンと名を変え、地元の小学校教師、ケイラ(リン・コリンズ)と暮らしていました。
ある日、ローガンの前にストライカーが現れます。
ストライカーはかつてチームXだったメンバー、クリスが何者かに殺されたことを伝え警戒を促しますが、ローガンは聞く耳を持ちません。
映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』感想と評価
映画「X-MEN」シリーズにおいて押しも押されぬ人気キャラクターとなったウルヴァリンこと、ローガンは本作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』以前では詳細な素性は明らかにされておらず、孤高のミュータントとして描かれていました。
ウルヴァリンと言えば、強靭な肉体と特徴的な爪でどんな強敵にも怯むことがなく、それを体現する野性的な外見とは裏腹に、繊細な心の持ち主で、時に心優しい一面を見せることもあり、明かされることのない過去がミステリアスなキャラクターです。
そんな“ウルヴァリン”がいかにして生まれたのか、本作では、その誕生秘話での壮絶な戦いと切ない別れが描かれています。
特に本作ではローガンの心境にスポットを当て、そのキャラクターを深く掘り下げています。
例えば、ローガンこと、ジェームズの幼少時代の衝撃的な出来事に始まり、生きてきた長い年月の中で戦いに疲弊し、エイラとの出会いで心の安息を得られる場所を手に入れたかと思えば、偽装されたケイラの死により再び闘争に引き戻され、ストライカーの陰謀に翻弄され、最期には本当にケイラを失ってしまうもそれを思い出すことが出来ないという一連の流れがいずれ、『X-MEN』で登場するウルヴァリンの原点になっているかと思うとあまりに悲しい始まりだと感じられました。
特に、記憶を失った後、エイラの亡骸を目撃した際のローガンの哀惜と困惑が入り交じった表情は、その場面に至るまでの一連のローガンの心境の変化を見せられた観客の視点としては、胸を締め付けられる思いが搔き立てられる場面になっていました。
また、この場面では、表情一つでローガンの複雑な心境を見事に表現し、前述のような感情を観客に与えるヒュー・ジャックマンの演技力も必見の場面です。
このようにローガンの心境もさることながら、やはり壮絶な戦いを表現したアクションシーンも見事の一言でした。
「X-MEN」シリーズにおいても、類まれなる身体能力で圧巻のバトルを繰り広げたウルヴァリンを主役にした本作は、その魅力を存分に発揮した迫力あるバトルシーンが目を引きます。
中でも、ローガンとビクターの戦いは互いに似通った能力と戦い方を持つ者同士の拮抗したバトルは荒々しく、泥臭い獣同士の戦いのように描かれています。
その演出がかえって、ローガンの怒りやビクターの凶暴さと言った2人のキャラクター性が強く表現されている上、互いに“不死身”であるが故、捨て身の攻撃の応酬は迫力のあるバトルシーンになっていました。
このように本作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』では、様々な方面からウルヴァリン/ローガンのキャラクターにスポットを当てた作品となっています。
まとめ
「X-MEN」シリーズきっての人気キャラクターである“ウルヴァリン”は、演じたヒュー・ジャックマンにとっても代名詞と言ってもいい存在であり、同役を演じるにあたり、ヒュー・ジャックマンは妥協しない徹底したキャラクター作りを行ったことで知られています。
そんな、ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンの初単体作品となる本作『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に出演するにあたり、自身も製作に加えてくれるよう要望したのは、ウルヴァリンに対し並々ならぬ想いを抱くヒュー・ジャックマンにとって必然であり、結果、本作が大成功を収めることにつながったと言っても過言ではありません。
後に、2作品のウルヴァリン単体作品が公開されることを考えると、ウルヴァリンと真摯に向き合ったヒュー・ジャックマンの姿勢がファンに高く評価され、ウルヴァリンを人気キャラクターに押し上げたのかもしれません。