新旧オールスターが“過去”に挑み“未来”を変える
人気アメコミ映画「X-MEN」シリーズ最大のターニングポイント。
ミュータント壊滅の危機にウルヴァリンが過去に戻り、“最悪の結末”を回避するため若きプロフェッサーX、マグニートーと協力しとある事件を阻止するため奮闘します。
この戦いが後の「X-MEN」シリーズの歴史に大きな影響を与える衝撃的な結末を迎えることとなります。
主演のヒュー・ジャックマンを中心にオリジナル三部作と新シリーズ双方のキャストが集結、超豪華オールスターで地球存亡の危機を前に、2つの時間軸で物語が展開していきます。
新旧X-MENの時空を超えた究極の戦いを描く、映画『X-MEN:フューチャー&パスト』をご紹介します。
映画『X-MEN:フューチャー&パスト』の作品情報
【公開】
2014年(アメリカ映画)
【原題】
X-Men: Days of Future Past
【監督】
ブライアン・シンガー
【キャスト】
ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ハル・ベリー、ニコラス・ホルト、アンナ・パキン、エレン・ペイジ、ピーター・ディンクレイジ、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、ショーン・アシュモア、オマール・シー、エバン・ピーターズ、ジョシュ・ヘルマン、ダニエル・クドモア、ファン・ビンビン、エイダン・カント、ブーブー・スチュワート、ルーカス・ティル、マーク・カマチョ、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン、ケルシー・グラマー
【作品概要】
監督は『X-MEN』(2000)、『X-MEN2』(2003)のブライアン・シンガーがカムバックし、おなじみのウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンをはじめ、オリジナル三部作から、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ハル・ベリーが出演、新シリーズからはジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ニコラス・ホルトが参加。
新旧のX-MENが集結し、話題を集めました。
映画『X-MEN:フューチャー&パスト』のあらすじとネタバレ
2023年、人類が開発した対ミュータント兵器“センチネル”により、ミュータントは全滅の危機に陥っていました。
しかし、プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)とマグニートー/エリック・レーンシャー(イアン・マッケラン)を中心に、ウルヴァリン/ローガン(ヒュー・ジャックマン)、ストーム/オロロ・マンロー(ハル・ベリー)らは抵抗を続けていました。
しかし、覆しようのない状況にチャールズはミュータント排斥の機運が高まり、センチネル開発が決定される出来事となった1973年のとある事件をなかったことにできないかと考えます。
その出来事は、ミスティーク/レイブン・ダークホルム(ジェニファー・ローレンス)による軍事科学者ボリバー・トラスク(ピーター・ディンクレイジ)暗殺事件でした。
トラスクはセンチネルの開発者で、研究のためミュータントを拘束し、非人道的な実験を行っており、レイブンはトラスクを暗殺することとなります。
しかし、その後、レイブンは拘束、採取された遺伝子情報からセンチネルは改良され、現在ではミュータントを殺戮するだけにとどまらず、ミュータントを生む可能性がある人間までも虐殺する最悪の戦闘マシンとなってしまいます。
チャールズは意識を過去に転送することが出来るシャドウキャット/キティ・プライド(エリオット・ペイジ)の能力で、ローガンを過去に送ることを決意します。
チャールズとエリックはローガンに過去に戻り、当時、対立していた若きチャールズとエリックを協力させ、事件を回避するよう指示します。
かくして、1973年で目覚めたローガンは、チャールズが運営する“恵まれし子らの学園”へ向かいます。
しかし、そこにいたのは自堕落な生活を送る若き日のチャールズ(ジェームズ・マカボイ)と、ビースト/ハンク・マッコイ(ニコラス・ホルト)でした。
ローガンは二人に自身が未来からやってきたこと、これから起こるトラスク暗殺事件について説明しますが、チャールズは聞く耳を持つどころか、あまりに身勝手な物言いで自分の知るチャールズとあまりにかけ離れていることに驚きます。
チャールズは、かつて負った負傷による痛みとテレパシー能力により収まることのない“声”に疲弊。
心を閉ざしハンクが作った薬により、自身の能力を閉ざすことを引き換えに負傷の痛みを抑え、普通の人間として生活していました。
一度はローガンの助力を断ったチャールズでしたが、肉親に等しいレイブンの為、ローガンに手を貸すこととします。
映画『X-MEN:フューチャー&パスト』の感想と評価
想像を超える圧巻の映像で映画の歴史を塗り替え、大ヒットを記録し続けてきた「X-MEN」シリーズ。
本作『X-MEN:フューチャー&パスト』では、これまでの全シリーズ作品を集約し、最大規模の物語が展開すると共に過去と未来を描くことにより、新旧の人気キャラクターが勢ぞろいします。
それに伴い、揃った超豪華なキャスト陣が話題を集めました。
2つの時間軸で同時に進行する物語は行く末を想像させず、スリリングなストーリー展開で驚きと興奮を観客に感じさせ、圧倒したことは言うまでもありませんが、本作では過去のシリーズがそうであったように隠されたテーマが描かれています。
劇中、未来でミュータントはおろか、大半の人類まで絶滅の憂き目に立たせる切っ掛けを作り、本作のキーパーソンとなるのがレイブンです。
過去に送られたローガンはチャールズ、エリックと共にレイブンを止めるために奔走することが物語の中軸となっていきますが、それぞれのキャラクターが重要な場面で“赦し”を試されます。
中でも特に印象的なのは、終盤でレイブンがトラスクを殺害を試み、チャールズの語り掛けで断念する場面です。
レイブンはミュータントに非道な人体実験を行っていたトラスクに対し、同胞を守るため、あるいは犠牲になった同胞の仇や恨みと言った負の感情でその命を狙っていました。
かつての歴史では、トラスク殺害を契機に未来では悲惨な殺戮が行われていますが、この場面でのレイブンは、それらの負の感情は消えていないものの、自らがトラスクを罰することはせず、“赦し”を与えており、結果、最悪の未来を回避することに成功します。
また、この時のチャールズの行動も“赦し”が描かれていました。
チャールズのテレパシー能力を用いれば、トラスクに銃を向けるレイブンを強制的に止めることが出来ましたが、敢えて、それを行わず、レイブンの想いのままに委ねたチャールズは最悪の結果になったとしても、レイブンを“赦す”心を見せていました。
劇中、序盤では荒んだ姿を見せていた若きチャールズでしたが、後に多くの悩めるミュータント達を教え導くことになる“プロフェッサーX”の片鱗が垣間見える瞬間でもあるように感じます。
一方で、頑なに“赦す”ことが出来なかったのがエリックでした。
人間への強い憎悪を抱くエリックは、ローガンが語る未来の出来事を聞き、人類を先に殲滅を決意すると言うレイブンとは対照的な選択をすることになります。
皮肉にも現実社会においても人類が“赦す”ことが出来なかったからこそ悲惨な戦争が起きたと思うと身につまされる内容であり、反面、個人個人の“赦し”により、国や人種、立場を乗り越え、手を携えて世界を平和にしていくことが出来ると語られているようにも感じられました。
まとめ
新旧オールスターが集結し、時空を超えた戦いを描き、新たな歴史を築くと言う驚愕な結末を見せた本作『X-MEN:フューチャー&パスト』。
久しぶりに“X-MEN”をとりまとめたブライアン・シンガーは、本作が“スーパーヒーロー映画”であると同時に、“タイムトラベル”ものであることを意識しながら製作したそうです。
「過去に戻り未来を変える」と言うテーマはSF映画の定番ではありますが、ブライアン・シンガーは「この作品で、一人一人の正しい行いが希望ある未来を創っていく事を伝えたかった」と語っています。
本作ではそんな“未来への願い”も込められた作品となっています。
また、ポストクレジットシーンでは謎の人物がピラミッドをテレキネシスで組み上げるシーンが映し出されました。
最悪の未来を回避したのも束の間、若きX-MEN達はさらに過酷な世界の存亡を揺るがす戦いに身を投じることとなります。