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Entry 2019/07/19
Update

映画『東京喰種2グールS』ネタバレ感想。トーカ役の山本舞香と月山役の松田翔太も実にハマった怪演を見せる

  • Writer :
  • もりのちこ

人間も喰種も食べなければ生きていけない

全世界発行部数累計4400万を超える、石田スイの人気コミック『東京喰種 トーキョーグール』の実写映画化シリーズ第2作。

ある事故をきっかけに人間からグールになってしまった、半喰種の主人公・金木研が、人間とグールの狭間で葛藤し成長していくストーリー。

生きるために喰う。人間は残酷でありながらも、命を喰って生きています。そこに、食物連鎖の頂点にいるであろう人間を喰う種族グールが誕生します。グールもまた生きるために人の命を喰うのです。

喰うか、喰われるか。そこに正義はあるのか。喰種VS喰種の切なくも美しい戦いが始まります。

映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の作品情報


(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会
【日本公開】
2019年(日本)

【原作】
石田スイ

【監督】
川崎拓也、平牧和彦

【キャスト】
窪田正孝、山本舞香、鈴木伸之、小笠原海、白石隼也、木竜麻生、森七菜、桜田ひより、村井國夫、知英、マギー、ダンカン、柳俊太郎、坂東巳之助、松田翔太

【作品概要】
「週刊ヤングジャンプ」で連載された石田スイの人気コミック『東京喰種 トーキョーグール』を原作に、実写映画化されたシリーズ第2作。

原作でも高い人気を誇る「月山編」の「喰種レストラン」が舞台となります。

主演は前作同様、窪田正孝。ヒロイン・トーカ役は新たに山本舞香が務めます。そして、強敵の月山は、カリスマ性溢れる松田翔太が登場です。

映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』のあらすじとネタバレ


(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

東京、雨の渋谷。人気モデルのマーガレットは、タクシーの中から流れゆく街並みを見ていました。その瞳は綺麗に輝いていました。

自宅に帰ったマーガレットを待っていたのは、煌びやかなマスクをつけた男でした。「美しい2色の瞳の味はどんな味だろう」。

怯えるマーガレット。マスクの男はためらう事なく、女の眼球を取り出し自分の口の中に入れました。「瞳が集まり深い味わいだ」。いらなくなった体は、窓を割り外へと放り出されます。悲鳴が東京の町に響き渡ります。

喫茶「あんていく」では、マーガレットのニュースが流れています。ここは、人間を食らう「喰種(グール)」が身を隠し働く喫茶店。

「人間を食うグールの中で、瞳だけ食すグールはめずらしい」。とテレビの解説者は言っています。人間を喰うことを何とも思わない「グルメ」と呼ばれるグールがいるようです。

不慮の事故で人間からグールになった「半喰種」のカネキは、一緒に働くトーカから特訓を受けていました。

「何で強くなりたいの?」。トーカの問いにカネキは「グールも人間も誰も傷つけたくないから」。と答えます。心優しいカネキは、人間を食べることを拒み、自分の中のグールと戦っていました。

そんな優しいカネキをトーカは心配しています。「グールは人間を食べて生きるもの。人間の友達とは縁を切れ」。と助言します。

人間に自分の存在をばれるのを恐れるトーカは、人間の友達を作ろうとしません。しかし、そんなトーカを心配して、会いに来る女友達の依子がいました。

トーカもまた、人間の依子と友達になりたいと思う反面、グールの自分はどう接っするべきか思い悩んでいました。

快楽を追い求めるグール「ピエロ集団」のBARでは、イトリとウタが賭けを楽しんでいました。名前があがるカネキ。どうやらやっかいな相手に見つかってしまったようです。

「カネキに会いたい。連れて来てよ」。イトリのわがままが始まりました。

その頃、豪邸に住む男が目を覚まします。ベートーベンをBGMに、朝日が差し込む部屋で、トレーニングを始めます。着るものを丁寧に選び、スーツに着替えたらテーブルに付きます。食事の時間です。

運ばれてきたメニューは、双子の合い挽き肉で作ったソーセージ。満足そうに頬張るこの男こそ、グルメと呼ばれるグール・月山です。

喫茶「あんていく」に、月山の姿がありました。「めんどくせえ奴が来た」。トーカは嫌な顔で迎えます。

カネキに近寄る月山。「不思議な香りだ」。月山はカネキを気に入ったようです。その後も、月山は巧みにカネキを誘いだします。紳士的な振る舞いにカネキも心を許していきます。

カネキは知り合いに誘われて連れて行かれたイトリのBAR で、あることを聞いていました。自分をグールにした事故の秘密。リゼを殺し、リゼの臓器をカネキに移植した人物がいる。

「それを知りたければ、グールレストランの場所を探してきて」。イトリは、カネキにお願いします。「仲良しの月山に聞けばわかるかもよ」。

イトリの言葉通り、月山はカネキを美食家が集まる「グールレストラン」に招待してきました。

月山のカネキへの愛は度を超していました。カネキの血の付いたハンカチを嗅ぎ、興奮しまくる月山。その姿は狂人です。「カネキ君、カネキ君、カネキ君」想いは募ります。

以下、『東京喰種 トーキョーグール【S】』ネタバレ・結末の記載がございます。『東京喰種 トーキョーグール【S】』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会
カネキは月山に連れられ、うわさのグールレストランへたどり着きました。しかし、入り口で別々に案内されるカネキ。

シャワーを浴び、スーツに着替えるように命じられます。言われた通り着替え向かった先は、華やかなパーティー会場でした。仮面をつけたグール達が、酒と料理を楽しんでいます。

しかし、普通のレストランと違うのは、中央で人間が料理されていました。食材は新鮮な人間です。グールたちはショーを楽しむかのように興奮しています。

呆然とするカネキは、引きずられ料理台に上げられます。現れたのは、マスクを付けた月山。

「これは私の用意した食材です。グールでありながら人間の匂いを濃く残した存在」。

血しぶきを浴び、抵抗するカネキ。会場の盛り上がりはピークに達していました。

銃声と共にその場に乗り込んできたのは、CCGでした。喰種を駆逐する機関「CCG」は、容赦なくグールを殺害していきます。カネキは命拾いしました。

グルメに遭遇したカネキは、グールの本性に落ち込みます。あんていくのマスター芳村は、そんなカネキに「そんなグールばかりではないだろ」。と励まします。

感情を失くしてしまったグールは、人間が動物の肉を食べるのと同じように、人間を食べるようになる。食材は違えど、人間もグールも生きるために食しているのです。

ある日、カネキは先輩のニシキが絡まれている現場に遭遇します。放っておけないカネキは助けに入ります。

ニシキを連れてアパートに戻ると待っていたのは人間の女性・貴未でした。貴未は、ニシキがグールだと知っていながら一緒に暮らしていました。

「怖くないんですか?人間を殺していても」。と問うカネキに、貴未は「グールだったら私も殺していたかも。たまたま人間だっただけ」。人種を超えた愛がありました。

その日、あんていくに戻ったカネキの元に、月山からのディナーの招待状が届きます。

そこには、貴未を人質にしたと書いてありました。トーカが止める中、カネキとニシキは、月山の元に向かいます。

「人間を食べているカネキ君を、僕が食べたい」。月山は、もはや止められない変態です。

カネキとニシキは、ふたりがかりで挑んでも月山には適いません。驚異の強さの月山。

そこに現れたのは、トーカでした。互角にやり合うトーカでしたが、グール化した月山の腕のドリルに刺されます。倒れるトーカ。

月山は、カネキの腕と足を折り、無理やり貴未を食べさせようとします。最後の抵抗に出るニシキ。

その隙に、カネキはトーカの復活のために自分の肩をさらし、食べさせます。それを見た月山は「ボクのだぞ!」と怒り迫ります。

トーカ覚醒。トーカの美しい赤い羽赫(うかく)が舞います。月山に相当なダメージを与えました。

月山は回復のために貴未を食べようと近づきます。それを止めたのはカネキの鱗赫(りんかく)でした。月山に突き刺さるカネキの鱗赫。その上を走り月山に迫るトーカ。

トーカが月山を切り裂きます。とどめを刺された月山は、それでもなお「カネキ君、一口・・・」とカネキへの執念を見せます。とうとう力尽きた月山。勝負はつきました。

しかし、トーカは貴未に自分たちの姿がバレてしまったと、貴未を殺そうとします。全身でかばうニシキ。そこで目覚めた貴未は、トーカの姿を見てつぶやきます。「キレイ・・・」。

その言葉でとどまるトーカ。トーカの中で人間を信じたい気持ちが芽生えます。

今回の戦いでカネキの周りも少しづつ変化しました。一緒に喫茶あんていくで働くことになったニシキ。カネキは人間の友達・ヒデの大切さに改めて気付きます。トーカは、学校に戻り依子と向き合うことを決めました。

グールと人間、きっと仲良く共存する道があると信じて。

一方、イトリのBAR では、賭けの勝敗が決まっていました。「まさか、月山が負けるなんて」。イトリはカウンターに座るピエロの仮面をつけた男に、血の入ったグラスをおごります。

男は、それを飲まずにカウンターにこぼして行きます。こんなもののために・・・。嘲笑い、仮面を取りました。

「ゆっくり育てますよ。僕の可愛いりゅう・・・」。カネキのことを「リュウ」と呼ぶこの人物は、宗太でした。

映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』の感想と評価


(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

人間を食す喰種(グール)の存在、戦いを描いたダークファンタジー『東京喰種 トーキョーグール』。

前作に続き圧倒的映像で、喰種の魅力全開となっています。主人公・カネキ役の窪田正孝の哀愁あるグールに魅了されます。

もともとは人間だった主人公のカネキが、グールになっても人間を喰うことを拒み、人間を信じようとする姿が何とも健気です。

反面、喰種同志の戦いで見せる真のグールの姿。隻眼の瞳の色が変わり、背中から3本の鱗赫が生える姿は、まさに喰種という化け物。それでいて、美しい真の姿です。

恐ろしいと思いながらも、その姿を待っている自分がいます。窪田正孝のグールの姿がカッコイイ。アクションもレベルアップしています。

そしてこの物語は「食」がテーマのひとつになっています。グールが人間を殺し喰うように、人間もまた動物を殺しその命を食べて生きています。

時には、その料理に命があったことさえも忘れ、美食と称しどんどん欲張りになります。

グールはそんな人間の鏡のような存在です。動物の血肉を喰って生きる人間と、人間の血肉を喰って生きるグールは同類なのです。グールも人間も動物も、命の重さに変わりはありません。

また、グールだって人を信じたい。友達が欲しい。味がしなくても友達と食べる食事は、なによりも美味しく感じるはずです。

何を食べるか、誰と食べるか。「食」べるという行為の大切さがわかります。

さて、本作『東京喰種 トーキョーグール【S】』の見どころとして、新たにヒロイン・トーカ役に挑戦した山本舞香と、グルメ喰種・月山役の松田翔太のハマり具合が挙げられます。

人間と極力関わらないように生きるグール、トーカ。人間との共存を望むカネキの優しさに、呆れながらも窮地を救います。

タフなクールビューティー、トーカを演じる山本舞香は、プレッシャーを感じる中、みごとに役にハマりました。

空手の黒帯保持者でもある彼女のアクションは見事です。重そうなパンチを繰り出したかと思うと、軽やかにバク宙を披露。主人公カネキ役の窪田正孝との息もぴったりです。

都会の夜の屋上で、赤い羽赫を広げ悩むトーカの姿はとても綺麗でした。

また、月山役の松田翔太は、美食家気取りのナルシスト、グルメ喰種で変態喰種の月山を、カリスマ性溢れる演技で魅了します。

カネキの匂いに酔いしれ、陶酔する姿は変態そのもの。カネキの血を舐め、「トレビアン」とつぶやき昇天。変態です。美しい容姿なだけに恐ろしさが増し増しです。

際どいストーリーと、過激な描写でR15指定の今作は、前作よりもグールの世界観に迫った問題作です。

まとめ


(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

石田スイの人気コミック「東京喰種 トーキョーグール」を原作に実写映画化されたシリーズ第2作『東京喰種 トーキョーグール【S】』を紹介しました。

カネキが喰種になった事故の真相は?カネキの成長を見守る宗太の存在。喰種カネキの戦いはまだまだ続きます。

主題歌、女王蜂の「Introduction」が、映画の世界をさらに広げます。エンドロールを見終わったあと、陶酔する自分の中にグールの存在を感じるかもしれません。あなたは、最後の晩餐に何を食べますか?

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