続編への壮大なプロローグ。
SF映画に新たな大作誕生の予感です。
SF小説の古典とも呼ばれるフランク・ハーバートの小説『デューン/砂の惑星』を、『ブロードランナー2049』のドゥニ・ビルヌーブ監督が映画化。
西暦10190年、人類は地球を離れ宇宙帝国を築いていました。皇帝の命を受け大領家の1つ、アトレイデス家は、砂漠の惑星アラキス、通称「デューン」を治めることになります。
その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる過酷な惑星「デューン」。アトレイデス家の後継者・ポールは、その地で権力争いと巨大な陰謀に巻き込まれていくのでした。
未来が視える「選ばれし子」ポールの運命とは。SFスペクタル・アドベンチャー『DUNEデューン 砂の惑星』を紹介します。
映画『DUNEデューン 砂の惑星』の作品情報
【日本公開】
2021年(アメリカ)
【監督】
ドゥニ・ビルヌーブ
【キャスト】
ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン、ステラン・スカルスガルド、デイブ・バウティスタ、ゼンデイヤ、デビッド・ダストマルチャン、スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、シャーロット・ランプリング、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、チャン・チェン、シャロン・ダンカン=ブルースター
【作品概要】
原作は、1965年発行、フランク・ハーバートの大長編SF小説『デューン/砂の惑星』。「デューン」と呼ばれる砂の惑星を舞台に繰り広げられる宇宙戦争を、壮大なスケールで描きだした作品は、シリーズ全6作に及びます。
映像化不可能といわれた中、1985年にデビッド・リンチ監督が映画化に挑戦。そして2021年、『ブレードランナー2049』『メッセージ』とSF作品を手掛けるドゥニ・ビルヌーブ監督が、満を持して映像化に挑みました。
主人公のポールは、『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たしたティモシー・シャラメが務めます。
その他、「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤ、『アクアマン』のジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリンら豪華キャストの共演にも注目です。
今作は、IMAX社独自の最新テクノロジーで最高水準まで高めた次世代プレミアムシアターで、究極の映画体験が可能な「Filmed For IMAX」認定作品となっています。
映画『DUNEデューン 砂の惑星』のあらすじとネタバレ
西暦10190年、人類は地球を離れ惑星に移住。皇帝が率いる厳格な身分制度のもと、各惑星はそれぞれの大領家が統治する、宇宙帝国を築いていました。
この度、大領家のひとつアトレイデス家の当主、レト・アトレイデス公爵は、皇帝の命を受け、惑星アラキスの統治を任されました。
アトレイデス家の跡取りポールも、母ジェシカと共に惑星アラキスへと移住します。ポールは以前から繰り返し見る夢に戸惑っていました。
それは惑星アラキスで出会うであろうひとりの女性の夢でした。超能力を持つ女性種族ベネ・ゲセリットの出身のジェシカを母に持つポールは、未来が視える「クイサッツ・ハデラッハ」でした。
完全に覚醒はしていないものの、これから起こるであろう未来が恐ろしいものになる不安は断ち切れません。
惑星アラキスは、別名「デューン」と呼ばれる砂の惑星です。水分がなく、巨大な砂虫「サンドワーム」が出没し、暴風「コリオリの砂嵐」が巻き起こる過酷な地でありながら、抗老化作用をはじめ宇宙の重要な産物であるスパイス「メランジ」の唯一の生産地でもあります。
この惑星を制する者が全宇宙を制すると言われるほど莫大な利益をもたらすデューン。これまでメランジの採掘権を握っていたハルコンネ家は、以前から宿敵だったアトレイデス家の参入が面白くありません。
惑星アラキスには、砂漠の奥地に古くから住む先住民、フレメン族が生活していました。フレメン族は、独自の信仰を持ち、惑星の生体に適合した生活の知恵を身に付け、メランジの作用で眼球が青く光ります。
レト公爵は、フレメン族との協定のため戦士ダンカンを派遣し、リーダー・スティルガーとの対面にこぎつけます。これから起こるであろう戦闘を見据え、協力体制の強化が目的でした。
しかし、誇り高きフレメン族は、メランジ採掘は承認するも、移住地を探らないという条件をだし立ち去ります。
砂漠でのメランジの採掘は想像以上に大変なものでした。機械の振動は砂漠に潜む巨大な砂虫「サンドワーム」を引き寄せ、油断をすると飲みこまれてしまいます。
アトレイデス家が砂漠での生活に苦戦する中、ハルコンネ家が放った刺客がレト公爵の暗殺へと乗り出します。
蜂のように飛び回る小型のハンターシーカーが、レト公爵を刺します。お抱え医師であったドクター・ユエの裏切りによるものでした。
惑星に張られたシールドが破壊され、次々と戦闘機が押し寄せてきます。ハルコンネ家だけの戦力ではありませんでした。皇帝の近衛兵サルダウカーの姿があります。アトレイデス家は、皇帝とハルコンネ家の陰謀によりハメられたのです。
映画『DUNEデューン 砂の惑星』の感想と評価
フランク・ハーバートのSF小説『デューン/砂の惑星』の映画化。『スターウォーズ』シリーズにも影響を与えたと言われるSF小説の古典的作品です。
壮大なスケールの宇宙帝国、飛び交う飛行艇、砂漠の惑星に住む巨大な砂虫「サンドワーム」、魅惑のスパイス「メランジ」、シードルを発生させ戦う剣術、2人の師匠、未来が視える力を持つ「選ばれし子」。
SF好きならずとも、ワクワクする要素がぎっしり詰まった物語です。未来を視ることができる主人公が、夢で会った少女と再会する展開はラブストーリーとしても楽しめます。
SFの世界は、馴染みのない用語や、新兵器にロボット、見たこともない生物の登場など、未来の設定を紐解く作業が必要ですが、映画『DUNEデューン 砂の惑星』は物語が進むにつれ理解も自然と深まり、ストレスなく見続けることができます。
そして、何と言っても驚くのは映像美。IMAXの性能を最大限に活用したスペクタル映像は、IMAXスクリーンが搭載されていない映画館でも十分に楽しめるものになっています。
砂漠の惑星は気温が下がる夜が活動時間になります。薄暗いにもかかわらず、鮮明に浮かび上がる巨大サンドワームの迫力ある映像に驚きます。巻き上がる砂の粒子に息がつまりそうな感覚を味わいます。
また、映像と一緒に楽しめるのが音声です。どこまでも広がる砂漠の神聖的とも言える静けさの中、ドコドコと盛り上がる砂、砂虫サンドワームがやってきます。
サンドワームは、ドンドンという定期的な振動に反応し姿を現わすのですが、心臓に直に響くような低音のリズムは、不安をあおり恐怖心を高めます。
さて、続編への壮大なプロローグとなった今作は、主人公ポールの真の力、未来予視ができる超能力者「クイサッツ・ハデラッハ」の覚醒までが描かれています。
主人公のポールを演じるのは、新世代の「プリンス・オブ・ハリウッド」の異名をもつ、ティモシー・シャラメ。美しい容姿によく似合う未来の衣装にうっとりします。
始めは後継者としてまだ自信がなく不安定だったポールが、デューンでの辛い経験を乗り越え、さらなる試練に向かって救世主として成長を遂げる様子を見事に演じています。
ポールの夢に現れる謎の美女チャニ役は、新「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤ。アメリカのティーンの間ではファッションアイコンとしても人気を集める彼女。砂の民フレメン族の特徴である、青く光る瞳がとても魅力的です。
その他にも、アトレイデス家のリーダーでありポールの父親レト公爵、超能力をもつベネ・ゲセリット族出身の母ジェシカ、アトレイデス家の忠実な戦士ダンカン、悪名高き非道の男ハルコンネン男爵など、続々と登場する強烈なキャラクターにも注目です。
まとめ
究極の映画体験が可能な「Filmed For IMAX」世界初認定作品として話題を呼んでいる映画『DUNEデューン 砂の惑星』を紹介しました。
今作は、原作のフランク・ハーバートの小説『デューン/砂の惑星』シリーズの1作目の序章に過ぎません。主人公のポールの力が覚醒し、壮大な宇宙戦争の幕開けとなりました。
早くも続編への期待が高まるSF映画『DUNEデューン 砂の惑星』。ぜひ、映画館の大スクリーンで最高の映像美をお楽しみください。