満は持し迎えた復讐の時。
そして生まれる新たな陰謀。
プリンス・オブ・ハリウッド!ティモシー・シャラメ主演。第94回アカデミー賞で6部門に輝いたSFアクション大作『デューン 砂の惑星』(2021)の続編が公開されました。
砂漠の惑星アラキス、通称「デューン」をめぐり壮絶な戦いを繰り広げた、アトレイデス家とハルコンネン家。
陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、砂漠の民フレメンらと交流を深め、ついにハルコンネン家への復讐の時を迎えます。
待ち受けるのは、ハルコンネン家次期男爵、冷血非道な男フェイド=ラウサ。
果たしてポールは復讐を遂げ、デューンを守ることができるのか。復讐の先に浮かび上がる恐ろしい未来画とは。映画『デューン 砂の惑星 PART2』を紹介します。
映画『デューン 砂の惑星 PART2』の作品情報
【日本公開】
2024年(アメリカ映画)
【監督】
ドゥニ・ビルヌーブ
【キャスト】
ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、ジョシュ・ブローリン、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、デイブ・バウティスタ、クリストファー・ウォーケン、レア・セドゥ、スエイラ・ヤクーブ、ステラン・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ハビエル・バルデム、アニヤ・テイラー=ジョイ
【作品概要】
1965年発行、フランク・ハーバートの同名SF小説を、『ブレードランナー2049』(2017)のドゥニ・ビルヌーブ監督が映画化。前作『DUNEデューン 砂の惑星』(2021)の続編となっています。
主演のティモシー・シャラメは前作以降、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の主演でも世界中を虜にしました。今作でも新たな魅力を見せてくれます。
前作に続き、ポールの運命の相手チャニ役にゼンデイヤ、ポールの母レディ・ジェシカ役にレベッカ・ファーガソンらが出演。
新キャストには、『エルヴィス』(2022)のオースティン・バトラー、『ミッドサマー』(2020)のフローレンス・ピュー、『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2023)のレア・セドゥと、豪華キャストが新たに加わりました。
映画『デューン 砂の惑星 PART2』のあらすじとネタバレ
惑星アラキスは、別名「デューン」と呼ばれる砂の惑星。水源はなく、砂嵐が襲い、巨大な砂虫「サンドワーム」が生息する過酷な土地でありながら、宇宙の重要な産物であるスパイス「メランジ」が採れる唯一の場所でもあります。
スパイスを制する者はすべてを制す。帝国歴10191年。皇帝シャッダム4世率いる宇宙帝国において、惑星アラキスの統治をめぐり、アトレイデス家とハルコンネン家の戦いが行われました。
この戦いで、レト・アトレイデス公爵は命を落とし、アトレイデス家は全滅。生き延びた後継者のポールと母のジェシカは、砂漠の住民フレメン族の元に身を寄せていました。
ハルコンネン家は、抵抗するフレメン族を滅ぼすため何度も攻め入ってきます。ポールは、予言で見た女性チャニからフレメンの知恵を教わり、戦い方を学んでいきます。
フレメン族の中には、ポールたちを受け入れることに抵抗を示す者たちもいました。砂漠の民のリーダー・スティルガーは、ポールこそ伝説の救世主「リサーン・アル=ガイブ」だと訴え、評議会に協力を仰ぎます。
一方、母ジェシカは、フレメン族の教母を継ぐ儀式へと導かれていました。ジェシカは、超能力を持つ女性種族ベネ・ゲセリットの出身です。お腹には新たな生命を宿していました。
砂虫からとれる「命の水」を飲んだジェシカは、瀕死寸前から息を吹き返し教母となります。その能力は高まり、惑星の歴史を瞬時に知ったジェシカは、体内の娘の声を聞き、政治的戦略のために砂の民の心を操るようになっていきます。
チャニと心を通わせたポールは、フレメンの戦士として新しい名前をもらいます。アラキスの言葉で「礎」を意味する「ウスール」、そして「砂漠ネズミ」の名前「ムアディブ」をとり、ポール・ムアディブ・ウスールと名付けられました。
ポールは、フレメンの戦士として認められる最後の試練に挑みます。砂の中に棲む砂虫サンドワームを乗りこなすことです。
「ドン」。大地を拳で叩きサンドワームの導線を計ります。「ドン、ドン、ドン、ドン」。一定の響きを与える機械を設置。ムクムクと砂が盛り上がり、ポールの方へ向かってきます。
見守るチャニやフレメン戦士たちも驚くほどの、巨大なサンドワームが姿を現しました。この挑戦は失敗に終わると思われた時、激しい砂埃が舞う中、見事サンドワームを乗りこなすポールの姿が浮かび上がってきます。
その姿を目の当たりにしたスティルガーは、ポールは間違いなく救世主「リサーン・アル=ガイブ」だと確信。砂の民たちもポールに敬意を払います。
その後、ポールの活躍もあり、フレメン軍は、メランジ採集に乗り出したハルコンネン軍を打ち負かし、撤退させることに成功。
アラキス統治が思い通りにいかないことに腹をたてたウラディミール・ハルコンネン男爵は、ラッバーンを退却させ、彼の弟フェイド=ラウサ・ハルコンネンを新しい統治者に任命します。
ラウサは、アトレイデス家の捕虜を残忍にも皆殺しにする冷血非道な男です。そんなラウサに近付く女性がいました。ベネ・ゲセリット出身のレディ・フェンリングです。
女性のみの秘密結社ベネ・ゲセリットは、宇宙政治での力を保つため、遺伝子交配によって未来を予想できる究極の存在「クウィサッツ・ハデラック」を誕生させようとしていました。
ポールも候補者のひとりでしたが、生存が確認されていない今、ハルコンネン家の血を持つラウサに目を付けたのです。
それぞれの思惑が交差する中、ジェシカは、救世主を待ちわびる砂漠の民が暮らす南部の村へと向かいます。そこで生成される「命の水」をポールに飲ませ、彼の本当の力を覚醒させようとしていました。
ポールは自分が救世主になろうと望んではいませんでした。このままチャニと共に暮らしたい。チャニもまた、救世主と崇められ戦いへと導かれるポールを心配していました。
そして、ポールには恐ろしい未来が視えていました。自分と母が南に行くことで、多くの民が飢え、愛するチャニまで失ってしまうということを。
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映画『デューン 砂の惑星 PART2』の感想と評価
前作では、砂の惑星アラキスで、アトレイデス家とハルコンネン家の勢力争いが勃発。戦いの末、生き残ったアトレイデス公爵の後継者ポールは、砂漠の民フレメンに出会います。
フレメンには、ポールがかつてから夢に見ていた女性チャニの姿がありました。ポールは、未来を視ることができる存在「クウィサッツ・ハデラック」でした。
続編となる今作は、ポールがフレメンの戦士として成長し認められ、さらに伝説の救世主リサーン・アル=ガイブとして君臨する姿が描かれています。
始めは、砂漠の戦い方を知らない無力な青年だったポール。仲間とともに戦いながら、砂漠の知恵を身に付け、最後には巨大なサンドワームを乗りこなすまで成長します。
戦いで父を亡くし、後継者として期待され、未来が視えることで苦しみ、孤独な戦いに身を投じていくポール。
さらに、母ジェシカの思惑により、命の水を飲まされ昏睡状態に陥ります。チャニの助けにより意識を取り戻したポールでしたが、覚醒した力で、未来のみならず過去をも知ることになります。
なんと、ジェシカの父は、卑劣な男ハルコンネン男爵であり、自分はその孫だったというのです。なんという因縁でしょう。
そして、チャニとの交流で心の安らぎを得たポールでしたが、アラキスの未来のため苦肉の決断を迫られます。選ぶのは自分の幸せか、惑星の未来か。自分の運命と葛藤する姿が切なくも魅力的です。
主人公ポールを演じるのは、いまや破竹の勢いで話題作へ次々に出演を果たしているティモシー・シャラメ。
どこかノスタルジックで美青年な容姿は、運命に振り回される伝説の救世主ポールと重なり、まさにはまり役となっています。
砂漠のメランジの摂取により目がブルーに変異する姿は、本当に救世主のようなカリスマ性を感じます。鼻に入れられた人工呼吸器も似合って見えるから不思議です。
その他の共演者も豪華俳優陣となっていますが、注目は今作でポールと敵対するハルコンネン家のラウサを演じたオースティン・バトラーです。
ラウサは、ハルコンネン男爵の甥であり、新たにアラキス統治を任命されます。伯父に負けず劣らず冷酷非道人間。じわじわとポールを追い詰めていきます。
映画『エルヴィス』(2022)では、リーゼントでキメていたオースティン・バトラーが、今作ではスキンヘッドで登場。
モノトーンの世界に色白く浮かび上がる異様さは、どこまでも不気味です。ポールとは別の冷たい美しさがあり、こちらもまたカリスマ性を放っています。
さて、「デューン 砂の惑星」シリーズ、何と言っても見どころは、美しい映像にあります。
砂漠での壮大なロケと高技術VFXでの迫力ある映像は、どのシーンをとっても美しく神秘的です。
砂漠の表情ひとつをとっても、オレンジ色の穏やかな砂丘、白黒に激しく舞い上がる砂嵐、どこまでもダークな夜など様々な表情をみせてくれます。
さらに砂漠での戦闘シーンは、これまで見たことのない圧倒的な迫力でした。飛行船を打ち落とす空中戦の迫力はもちろんですが、砂虫のサンドワームを取り入れた地上戦は必見です。
ボコボコと地上の砂が盛り上がり、近付いてきたかと思うと、とてつもない数のフレメン戦士たちが浮かび上がり、最後に大口を開けたサンドワームが出現し、敵を飲みこんでいきます。その戦いぶりは、壮絶かつ痛快!
また、映像と合わせて特徴的なのが音響です。心音のようにリズムよく「ドゴン!ドゴン!ドゴン!」と、砂虫を呼び寄せる荘厳な音。間近で和太鼓を聞いた時のように、心臓に直接響く感じは緊迫感を高めます。
圧倒的映像美、魅力的なビジュアル、ドラマチックストーリーに没入し、あっという間の2時間46分となることでしょう。
まとめ
『デューン 砂の惑星』(2021)の続編。主人公ポールのさらなる成長と復讐を描いた『デューン 砂の惑星 PART2』を紹介しました。
未来と過去を視る力を覚醒させたポールは、砂漠の惑星アラキスの伝説の救世主リサーン・アル=ガイブとして帝国皇帝へと上り詰めます。
ポールの存在を認めない大領家との戦い。秘密結社ベネ・ゲセリットの思惑。そして、ポールが視た惑星の未来とは?
さらなる続編に期待!それまで「砂歩き」を練習し、続編を待ちたいと思います。