Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

【関西クィア映画祭2022】開催日時/上映作品。大阪と京都でノンバイナリーをテーマにした作品を映し出す

  • Writer :
  • 大塚まき

第15回関西クィア映画祭2022のティザーチラシ完成!

クィア(Queer)」を切り口に、「性」をテーマにした映像作品を上映するお祭り、関西クィア映画祭15回目となる2022年は、9月に大阪と京都の2会場で開催します

出来立てホヤホヤのティザーチラシでは、2022年のミニ特集のテーマである「ノンバイナリー」の若者を描いたドキュメンタリー作品や、3回目の開催となる国内作品コンペティションの入選作品など、全プログラムのうち、計9作品を紹介します。

プログラム全貌は8月初旬に公開予定ですが、20作品を超える予定です。

関西クィア映画祭 2022の開催概要

大阪


【会期】
2022年9月2日(金)〜8日(木)

【会場】
シネマート心斎橋  
大阪市中央区西心斎橋1丁目6−14 ビッグステップビル4階

京都

【会期】
2022年9月23日(金・祝)〜25日(日)

【会場】
ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川 
京都市左京区吉田河原町19-3

※詳細は関西クィア映画祭 2022公式サイトにてご確認ください。(2022年のウェブサイトは8月初旬に公開予定)

関西クィア映画祭の趣旨

性に当たり前なんてないよ”あなたはどんな性別で暮らしていますか?

恋愛やセックスは好きですか? どんな恋愛やセックス、人との関わり方をしていますか?

「男らしさ」や「女らしさ」が期待されることに、しんどくなった経験はありませんか?

もう既に「男女という制度」の枠組みから出て、自分らしい性を生きている人たちが、沢山います。

典型的であってもなくてもいい。変(=クィア/queer)でもいい。性のあり方は多様です。私たちは生きていける!「クィア」を切り口に「性」をテーマにした映像作品を上映する関西クィア映画祭は、そんなメッセージがあふれる「みんなのお祭り」です。

ところで「クィア」ってなんですか?

英語で「奇妙な/変な」という意味で、性的にフツーでないとされる人への蔑称だった「クィア」。LGBT という言葉がフツーになった今だからこそ、敢えてこの言葉を使います。

それは、LGBTにとどまらず、様々な性や生を肯定したいから。「男女という制度」という枠組みの代わりに「LGBT」という枠組みを作って、安心したくないから。規範に頼らずに一人一人が自分の性や生を選び決めていける、という希望があるから。

フェミニズムが当たり前の世の中をつくりたいから。民族差別、障害者差別、セックスワーカー差別、貧困など、私たちの身の周りにある差別と権力の構造に向き合って変えていきたいから。「共に生きる」ことは、難しくもあり、豊かなものでもある、と知っているから。

タイヘン×ヘンタイ”。性別や恋愛のあり方、生き方は多様だ――私たちはそう思って集まります。

しかし時を重ねると、私たち自身も他者のあり方に無知だったり、時には受け入れ難いことがある、と気がつきます。例えば「LGBT」を掲げていてもゲイ男性ばかり目立つことは珍しくありません。

在日朝鮮人のセクマイは、しばしば不可視化されます。「少数派の中の少数派」を作ってしまうことや、時間も人手もお金も限られている中で優先順位をつけること、身近な差別・抑圧への無関心は、多数派社会だけの問題ではありません。

単純化した分かり易さやシングルイシュー主義にはご用心! 私たちの複雑さや自分の特権にも向き合い、本当に多様性を手に入れるのは、とても「タイヘン」なのです。

また最近は「LGBT」が流行りですが、私たちは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった簡単な言葉では表しきれない存在です。

恋愛対象や自身の性別が、個人の人生の中で「変わる/変態する」ことだってあります。さらに、大企業や行政の顔色をうかがい、多数派に「受け入れてもらう」ために行儀よくするのはゴメンです。

「私たちはフツーの人だ」と言うだけではなく、「フツーって退屈」「もっとヘンになろう」とも言いたい。【タイヘン×ヘンタイ】のキャッチコピー、「私たちは一人ひとり違う、という現実に向きあうんだ!」という心意気を表すには、ピッタリの言葉だと思いませんか?

ミニ特集のテーマは「ノンバイナリー」

最近日本でも名乗る人が増えてきた「ノンバイナリー」。宇多田ヒカルさんも2021年6月の自身のインスタライブで名乗っています。

「あなたは男なのか、女なのか」という(無自覚にがさつな)問いに対して、「どちらでもありません」「男女の性別二元主義には当てはまりません」などと答えるあり方です。同様の意味で日本では「Xジェンダー」という言葉も使われてきました。

しかも、ノンバイナリー/Xジェンダーといっても、一括りに出来るものではない。身体への医療的措置を望むかどうか、どのような服を着るか、自称は何か、代名詞は何がいいか、なども、1人1人あり方は実は様々です。

ミニ特集上映作品

映画『アンバー、いつまでも』の作品情報

【日本公開】
2022年(スウェーデン映画)

【原題】
Always Amber

【監督】
Lia Hietala、Hannah Reinikainen

【あらすじ】
スウェーデンで暮らすアンバーは、17歳のノンバイナリー。コロコロ変わる外見、揺れ動く人間関係、胸オペしたいって気持ちも変わるのでしょうか!? 3年間に渡るドキュメンタリーは、若者の変化の連続を映し出します。

その他の上映作品

映画『アグネスを語ること』の作品情報

【日本公開】
2022年(カナダ・米国合作映画)

【原題】
Framing Agnes

【監督】
チェイス・ジョイント

【あらすじ】
トランスジェンダーの存在が可視化され始めた、50年代のアメリカ。制作班が発見したのは、当時の当事者の未発表原稿!トランスをめぐる過去と現在を、再現映像とインタビューで語り尽くす思索的ドキュメンタリー。

映画『サラダは人生』の作品情報


【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
salad is life

【監督】
岡田麻李

【あらすじ】
ルームシェアをする女ふたりの物語。3話オムニバス形式で描かれるふたりの日常には、セクシュアリティにまつわる“あるある”も散りばめられている。そんな世の中に追従しない彼女たちの存在は清々しい。

映画『それいけ!アレクサ』の作品情報


【日本公開】
2022年(フィリピン映画)

【原題】
Sina Alexa, Xander at ang Universe

【監督】
Vahn Leinard C. Pascual

【あらすじ】
学校から帰ったアレクサンダーは、クローゼットからドレスを引っ張り出す。カラフルな布を広げ、ウィッグにメイクもばっちり。テレビから聞こえる「ミス・ユニバース」の歓声に乗せてベッド上のスピーチが始まる…。

国内作品コンペティション入選作品

映画『神谷、ゲイらしいよ?』の作品情報


【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
KAMIYA

【監督】
濱本真優

【あらすじ】
人気タレント・神谷泰斗の”ゲイ疑惑”報道。失踪した神谷本人。心配した交際相手の溝口が探し回るも、世間は、心無い言葉で笑い合う。親しい人のこともネットで確認し合う時代に生きる私たちを、淡々と描く群像劇。

映画『少し未来のある部屋で』の作品情報


【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
Slightly future, in a room.

【監督】
柳澤公平

【あらすじ】
少子化対策の一環で人工子宮の技術が実用化された、近未来の日本。人工子宮の移植を受け、見ず知らずの夫婦の受精卵をお腹で育てている貴志。ある日、貴志のお腹の子の父親と名乗る人が、貴志のもとを訪ねてきて…。

映画『手のひらのパズル』の作品情報

【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
Puzzle in the palm

【監督】
黒川鮎美

【あらすじ】
北陸金沢のローカル雑誌社で働く30代の梨沙。匠と同棲開始後、周囲からの結婚・出産の過度な期待感に心地悪さを感じ、「私にとっての幸せとは何か」と思い悩む。そして、梨沙を想う、真子。金沢の美しい街並みを背景に「私」を見つける物語。

映画『いつかのいま。』の作品情報

【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
ITSUKA ; Someday, now

【監督】
山田瑛瑠

【あらすじ】
生後1週間で、同性夫夫・山田と佐藤のもとにやってきた「いつか」の目に映る世界。子の反応や成長に喜んだり、時には落ち込んだり悩んだり、初めての子育てに奮闘するふたりがつづる、大変だけど幸せな日々の記録。

映画『私たちの、』の作品情報

【日本公開】
2022年(日本映画)

【英題】
Ours

【監督】
伊藤梢

【あらすじ】
りょうは親友と2人暮らし。大切な人達を写真に収め、ひっそりとした幸せの中で生きていた。ある日親友は恋人と暮らすため家を出ると告げた。そこから、りょうの小さくも幸せな世界は、不意に崩壊の時を迎える。

まとめ

ミニ特集のテーマである「ノンバイナリー」の若者を描いたドキュメンタリー作品や、3回目の開催となる国内作品コンペティションの入選作品など選りすぐりのラインナップで上映します。

第15回関西クィア映画祭は、2022年9月に大阪と京都の2会場で開催です。

プログラム全貌は8月初旬に公開予定ですが、20作品を超える予定!どうぞ続報もお見逃しなく。

関連記事

新作映画ニュース

映画『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』あらすじ/キャスト/公開日/上映館/予告動画。実在のミュージシャンの生涯とは

ドイツ映画賞(2019)で作品賞、監督賞を含む6部門で最優秀賞を獲得。 東ドイツの秘密警察(シュタージ)に協力していた実在のシンガー・ソングライター、ゲアハルト・グンダーマンの生涯を描き、ドイツで最も …

新作映画ニュース

映画『五億円のじんせい』あらすじキャスト。望月歩と山田杏奈プロフィール紹介と公開日情報

映画『五億円のじんせい』が7月20日より公開 オリジナル企画、出演者、ミュージシャンをオーディションで選出しながら作品を完成させるという挑戦的な取り組み「NEW CINEMA PROJECT」。 ©2 …

新作映画ニュース

映画『東京リベンジャーズ』キャストのキヨマサ役は鈴木伸之。演技力の評価とプロフィール!

映画『東京リベンジャーズ』は2021年7月9日よりロードショー 北村匠海が主演を務め、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、間宮祥太朗、吉沢亮ら豪華若手俳優が共演する青春サスペンス『東京リベンジャーズ』が公開 …

新作映画ニュース

映画『ドリームランド』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。マーゴット・ロビーが最新作で銀行強盗犯役に!

2度のアカデミー賞ノミネート歴を誇るマーゴット・ロビー最新作。 自身が脚本に惚れ込み、主演&プロデューサーを兼務して映画化を実現! DCコミックス『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クイン役で世界を …

新作映画ニュース

韓国映画『死体が消えた夜』あらすじとキャスト。日本公開日と上映館情報も

韓国NO.1大ヒットを記録したミステリー映画『死体が消えた夜』が2018年12月22日(土)よりシネマート新宿、 シネマート心斎橋にて公開決定! あわせてポスタービジュアル&予告編が解禁となりました。 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学