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Entry 2020/03/30
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映画『アボカドの固さ』感想レビューと評価解説。キャスト前原瑞樹の実体験をもとに恋人への執着を痛々しくもユーモラスに描く

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

映画『アボカドの固さ』は「ユーロスペース」にて近日上映予定。

5年間付き合った恋人に、突然別れを告げられた若者が、復縁を望み悪戦苦闘する30日間の物語、映画『アボカドの固さ』。

恋人に執着し続ける主人公、前原をの姿を通して、世の中に悪戦苦闘する20代という時期をユーモラスに、そしてリアルな痛々しさを交えて描く、本作をご紹介します。

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映画『アボカドの固さ』の作品情報

【公開】
2020年(日本映画)

【監督・脚本】
城真也

【共同脚本】
山口慎太朗、前原瑞樹

【キャスト】
前原瑞樹、多賀麻美、長谷川洋子、小野寺ずる、空美、並木愛枝、兵藤公美、山口慎太朗、西上雅士、日下部一郎

【作品概要】
5年付き合った恋人の清水緑に、ある日突然別れを告げられた主人公、前原瑞樹が経験する、30日間の物語を描いた映画『アボカドの固さ』

劇団青年団に所属し、近年では『友だちのパパが好き』『世界でいちばん長い写真』『ウィーアーリトルゾンビーズ』『あの日々の話』などの映像作品に多数出演している、実力派若手俳優の前原瑞樹が、自身の恋愛経験をもとに、作中の前原瑞樹を自分で演じるという、少し風変りな作品です。

前原の恋人の緑役に、さまざまな舞台に出演し活躍している女優、多賀麻美、前原の姉、美野里役をドラマ『まだ結婚できない男』などに出演し活躍している、小野寺ずるが演じるなど、実力派の俳優が、自然な演技を見せています。

監督は、2017年の作品『さようなら、ごくろうさん』で、「PFFアワード2017」に入選し、本作が長編デビュー作となる、期待の新人監督、城真也、脚本は、作家ユニット「くらいくらい公園」で活躍する山口慎太朗。

映画『アボカドの固さ』あらすじ

駆け出しの俳優として活動し、姉と同居しながら生活している、24歳の前原瑞樹。

前原には、5年間付き合っている恋人、清水緑がいました。

ある時、2人でホームセンターに行き、ソファーを選んでいた時に、突然、緑から一方的に別れを告げられます。

最初は強がって、別れを受け入れた前原でしたが、次第に緑が恋しくなります。

前原は緑を食事に誘い、復縁を望みますが、緑は一切応じようとせず、逆に拒否されてしまい、2人の仲は絶望的となります。

別れの理由もハッキリ聞かされないまま、一方的に別れを告げられた事にショックを受けた前原は、周囲に恋愛相談をして周ります。

ある時、前原は友人たちを飲みに誘い、相談する中で、「お互い別れたばかりで、気持ちが落ち着いていない」という話になり「30日間の猶予を置く」事を提案されます。

30日後に、前原は25歳となる為、その時まで、緑とあえて距離を置き「お互いの気持ちを落ち着けた方が良い」という事でした。

前原はアドバイスを参考に、俳優の仕事に専念し、少しずつ生活を変えようとしますが、思い通りにならない毎日に苛立ちを覚えます。

自暴自棄に陥る前原を、姉の美野里は、厳しい言葉を浴びせながらも、優しく見守ります。

そんな中で、前原は仕事で出会った女性、佐々木に恋をしますが、頭から緑の事が離れません。

緑への強い想いを抱き、目の前の事に悪戦苦闘し、右往左往する前原ですが、いよいよ25歳の誕生日を迎えます。

30日間の猶予を過ごした前原は、緑と再会できるのでしょうか?

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映画『アボカドの固さ』感想と評価


突如、恋人の緑から別れを告げられた前原が経験する、30日間の物語を描いた映画『アボカドの固さ』。

本作の主人公、前原瑞樹を演じている、俳優の前原瑞樹が、自身の経験をもとにした本作は、20代の若者を描いた、なんとも痛々しい作品となっています。

まず、前原のキャラクターですが、社交性のある積極的な性格で、友人も多い、明るい性格です。

俳優としても、物語の序盤で、緑と映画を観に行った前原が、映画館で偶然出会った女性に「出演作を見た」と言われ、握手を求められる場面がある事から、それなりに仕事をしている事が分かります。

ただ、物語が進んでいくと、前原の友人は全員年下で、なんとなく前原に気を使っているような人達ばかりであり、前原の社交性も、一方的すぎて空回りしている事が分かります。

俳優としても、それなりに仕事はありますが、大きな仕事は経験していません。

前原は、緑に別れを告げられる、決定的な理由を持っていませんが、全てにおいて未熟とも言えます。

特に、前原が迎える25歳という年齢は、俳優を続けるには「若くないかもしれない」という、少し現実を感じずにいられない年齢となっており、物語の後半は、前原のそんな心情を感じるさまざまな描写があります。

また、悩んで少し荒れた様子を見せる前原を、本作は徹底した第三者目線で淡々と描いています。

前原の心情などを吐露する場面なども無い為、時には共感できずに「何を考えているか分からない」と、感じる場面もあるでしょう。

ですが、20代とは、そういう年齢ではないでしょうか?

ある程度社会で認められ始め、楽しさを感じながらも、自身の立ち振る舞い方が分からず、葛藤する年代。

本作は、そんな20代のリアルな雰囲気を表現しており、だからこそ痛々しく感じる作品です。

主人公の前原を通して、20代の若者の痛々しさを描いた、本作のタイトルが何故『アボカドの固さ』なのでしょうか?

タイトルになっているアボガドは、その固さで食べ頃を判断しますが、固すぎず、弾力のあるものが、食べ頃と言われています。

作中でも言われていますが、アボガドの食べ頃を判別するのは、非常に難しいです。

熟しきれない、世の中から見ると未熟な前原の姿は、誰もが経験のある、または経験している事でしょう。

未熟ながらも、悪戦苦闘する前原の姿をユーモラスに描いていますが、その姿には、必ず何か感じるものがある、そんな作品です。

まとめ


本作は20代の若者の日常を、リアルな雰囲気で描いた作風が特徴的です。

特に居酒屋で、前原が友人とお酒を飲みながら、馬鹿話をする場面は必見で、馬鹿話をしながらも「30日間の猶予を置く」事を提案されるのですが、前原と友人たちの空気感が自然で、まるで演者のアドリブ演技のみで撮影したような、そんな印象を受ける程です。

その後の物語の核ともなる、重要な場面なのですが、その様子を固定カメラで、ワンカットのような感じで撮影しており、居酒屋での日常的な光景を、覗き見しているような感覚に陥ります。

作品全体が、必要以上に過剰な演出は無く、メインのストーリーとして「前原と緑は、どうなるのか?」という部分がありますが、ほとんどのエピソードが1人で悪戦苦闘し、空回りする前原の日常となっています。

特に、佐々木と出会い、少し浮かれ気味になった前原が、友人に語る「もしかしたら、向こうも気があるかも」エピソードは、会話内容が非常に痛々しいのですが、男性であれば、20代の頃に似たような経験があるのではないでしょうか?

このように、20代特有の、何とも言えない会話の応酬も、本作の見どころとなっています。

そんな中で迎える、運命の25歳の誕生日。

決してドラマチックではないのですが、これまで前原の日常を淡々と描いてきた本作だからこその、なんとなく幸せを感じる展開で、本作ならではの感動があります。

本作のテーマは、決して分かりやすい形で前面に押し出したものではありませんが、人によっては温もりを感じ、人によっては痛々しいを記憶を掘り返す事になるかもしれません。

生々しくリアルな作風の映画だからこそ、過剰ではない、日常的な感動が素晴らしい作品となっています。

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