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映画『あいが、そいで、こい』感想と評価。小川あん&高橋雄祐が演じた大人になる必要と切なさを描いたラブストーリー

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

2018年に話題となった映画『カメラを止めるな!』のENBUゼミナールのシネマプロジェクト第8弾作品となる、映画『あいが、そいで、こい』

2019年6月22日から、新宿K’s cinemaで公開される、ひと夏の物語を描いた、本作をご紹介します。

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映画『あいが、そいで、こい』の作品情報


(C)ENBUゼミナール

【公開】
2019年公開

【監督】
柴田啓佑

【脚本】
村上かのん

【プロデューサー】
市橋浩治

【キャスト】
小川あん、高橋雄祐、長部努、古川ヒロシ、廣瀬祐樹、中垣内彩加、山田雅人、吉岡そんれい
水沢有礼、黒宮けいた、寺林弘達、藤井桂、中澤梓佐、武田祐一、五十嵐美紀、石川誠、坂井宏充、タカヨシ、高石舞、宇田川さや香、荻野祐輔、田山由起、中村瞳太、森本のぶ、氏原恭子、カレン、吉田有希、田上雅人、阪本宗久、木村知貴、藤代太一、二ノ宮隆太郎

【作品概要】
「第8回田辺・弁慶映画祭」の弁慶グランプリを受賞し、新宿K’s cinemaでの3日間限定のイベント上映では連日満席となるなど、注目を集めている青春ラブストーリー。

監督は、ドラマの演出や人気バンドのPVを手がけ、幅広い活躍を見せる柴田啓佑。

主人公の萩尾亮を、2016年の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』で映画デビューを果たし、映画を中心にCMやドラマでも活躍している高橋雄祐。

ヒロインのワン・ジャーリンを、2014年の映画『パズル』で映画初出演以降、幅広い活躍を見せている小川あんが演じています。

映画『あいが、そいで、こい』あらすじ


(C)ENBUゼミナール

ノストラダムスの予言は外れ、何気ない日常が続く21世紀最初の夏。

高校3年生の萩尾亮は、バスケ部のチームメイトで、目の敵にしている掘田健太と試合中に大喧嘩をしたせいで、イルカの調教師をサポートするボランティア活動を命じられます。

バスケに命を燃やしていた亮は、高校最後の夏にバスケができない事を嘆き、ボランティア活動にも消極的です。

亮は、罰として出された読書感想文を、幼馴染の瀬戸由衣花に押し付け、ボランティア活動を行う場所の近くにある海の家に、友人の絹川学と小杉茂雄を誘うなど、真面目に取り組もうとしません。

また、ボランティア活動を、掘田と一緒にやる事に関しても納得していませんでした。

ボランティア活動を適当に行う亮は、イルカの調教師を目指す、台湾人と日本人のハーフの少女、ワン・ジャーリンと出会います。

大人びた雰囲気のジャーリンは、亮を子供扱いし、亮も自分を馬鹿にした態度をとるワン・ジャーリンの事を、よく思っていませんでした。

ですが、見習い調教師の女の子との出会いを求める小杉の希望により、亮はワン・ジャーリンを含む女の子たちとの親睦会を開きます。

親睦会以降、仲良くなった亮達と、見習い調教師の女の子達は、一緒に遊ぶようになります。

また、亮は慣れない日本語で、本気で調教師を目指そうとしているジャーリンの気持ちに触れ、2人は距離を縮めていきます。

しかし、由衣花は亮とジャーリンが仲良くしている様子を、良くは思っていませんでした。

ある日、亮はジャーリンが日本に来た、本当の目的を知ります。

ジャーリンの願いを叶えようとする亮でしたが、亮の行動が、大きなトラブルを呼ぶ事になります。

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2001年という時代


(C)ENBUゼミナール
本作『あいが、そいで、こい』は、2001年の夏の出来事を描いています。

「世界が滅びる」と予言された1999年と、全てのコンピューターが誤作動すると危惧されていた2000年を乗り越え、新たな時代である21世紀を迎えた最初の夏が、本作の時代背景です。

新世紀である2001年は、どういう時代であったかと言うと、アップルが超小型MP3プレーヤー「iPod」が発売され、種子島宇宙ロケットの試作第一号が打ち上げられた年です。

また「ディズニーシー」や「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」などの新たな大型テーマパークが建設され、小泉純一郎が総理大臣に就任し、新たな内閣が発足されました。

日本国内だけでも、さまざまな変化があり、新たな何かを感じる時代、それが2001年という時代でした。

激動の時代など関係ない、海辺の田舎町が舞台


(C)ENBUゼミナール
『あいが、そいで、こい』の物語は、海辺の田舎町を舞台に展開します。

新たな時代を迎え、慌ただしく時代が変化する2001年を背景にしていますが、本作の登場人物は、そんな激動の時代など関係なく、これまでの生活を貫いています。

主人公の亮は、負けず嫌いで純粋な性格をしており、時に周囲の人間を巻き込む程の、行動力の高さを持っています。

本作を引っ張っているのは、亮のバイタリティの高さで、作品全体が勢いのある、非常に気持の良い作風となっています。

亮というキャラクターが、作品全体の印象に反映されていると言えるでしょう。

また、亮の友人で、モテる事だけを考えているポッチャリ体型の小杉、神社の息子で規律を守って生きている優等生の学。

そして、亮のバスケ部のチームメイトで、常に対立している掘田や、亮の幼馴染で密かに好意を抱いている由衣花など、周囲の人間も賑やかです。

亮と友人たちとの会話は、ボケとツッコミのようになっており軽快です。

そして、友人たちと楽しそうに会話している亮を、少し離れた所から寂しそうに見つめている由衣花と、それに気づかない亮の鈍感さという、高校生ならではともいえる人間関係。

ですが、台湾からの留学生、ジャーリンがこの輪に入った事で、永遠に変わらないと思われた、海辺の田舎町の人間関係に、少しの変化が訪れます。

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大人になる事と必要性


(C)ENBUゼミナール
21世紀を迎えても、何も変わらない日常を過ごしていた亮達。

しかし、ジャーリンと出会った事で、亮とジャーリンの距離が縮まり、亮を独占したい由衣花が嫉妬し、小杉のモテたい欲求が増幅するなど、それぞれ変化が現れます。

変わらない日常を過ごしていた海辺の田舎町は、見方を変えると閉鎖的と言えるかもしれません。

由衣花がジャーリンへ言った「よそ者が」というセリフに、閉鎖的な部分が反映されています。

しかし、その閉鎖的な環境は、少しの変化で崩れていくものです。

そして、その変化は、今後の人生を変えるような大きな意味を持つ事があります。

ジャーリンが日本に来た本当の目的を知った亮は、ジャーリンの目的を果たす為に、強引とも言える行動に出ます。

その行動により、自身の考えが常に正しい訳ではない、時に人を傷つける結果になる事を目の当たりにします。

その後の、少し大人になったと言える亮の変化は、作品後半のさまざまな場面で感じる事ができます。

心情の変化は、亮だけでなく由衣花にも訪れます。

本当は独占したい、亮の事を想うからこその、由衣花の行動は、大人の階段を1つ上がったと言えますが、切なさを経験したからこその成長とも言えます。

高校最後の夏という、永遠とも思えた学生時代の終わりを意識する時期に、ジャーリンとの出会いで、亮達が少し大人になる事は、必然だったのかもしれません。

誰もが必ずしも一度は通り、そして二度とは引き返せない、大人への成長の時間。

その時間の必要さと切なさを描いた作品、それが『あいが、そいで、こい』です。

まとめ


(C)ENBUゼミナール
本作は、平成から元号が変わるタイミングで、社会人として働いている亮が、高校時代を回想するというシーンから始まる作品です。

社会人になった亮は、営業先に頭を下げ機嫌を取るという、高校生の頃とは全く違う雰囲気になっています。

ただ、社会人として仕事をするうえで、我を通し続ける事などできる訳もなく、亮は「大人になってしまった」と感じるしかないでしょう。

そして、大人への最初の階段を登るキッカケが、ジャーリンとの出会いだったのかもしれません。

誰しも、子供から大人へ変化する時を迎えます。

令和という新たな時代を迎え、慌ただしい今だからこそ、作中の亮のように、過去を振り返り、自分のルーツを見つめ直す事も大事なのかもしれません。

『あいが、そいで、こい』は、そんなキッカケを与えてくれる作品です。

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