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【ネタバレ】Z〜果てなき希望|あらすじ結末感想と評価解説。ゾンビに”JK女子高生の3人”が命がけの死闘を挑む勇姿に迫る⁈

  • Writer :
  • 谷川裕美子

勇敢な女子高生らがゾンビに挑む

Jホラーの先駆者である鶴田法男監督が、相原コージ原作のゾンビパニックホラー『Z~ゼット~』を実写化

閉塞的な病院を舞台に、突然襲い掛かってくるZ(ゾンビ)たちに立ち向かう女子高生たちの姿を描きます。

主演を川本まゆが務めるほか、小原徳子(元・木嶋のりこ)、田中美晴らが共演

ゾンビを避けるために病院の最上階に逃げ込んだ女子高生たち。迫りくるゾンビの恐怖と共に、極限状態に追い詰められた中での人間ドラマが濃密に描かれます。

映画『Z〜果てなき希望〜』の作品情報

【公開】
2014年(日本映画)

【原作】
相原コージ

【監督】
鶴田法男

【脚本】
鶴田法男、酒巻浩史

【出演】
川本まゆ、小原徳子(元・木嶋のりこ)、田中美晴、佐藤永典

【作品概要】
Jホラーの担い手の一人である鶴田法男監督が、『コージ苑』などの独特の世界観が光る相原コージ原作のゾンビパニックホラー『Z~ゼット~』を実写化。相原作品初の映像化であるとともに、鶴田監督にとっても初めて手掛けたゾンビ映画です。

脚本はドラマ『ほんとにあった怖い話』などで鶴田監督とコンビを組む酒巻浩史と鶴田が共同執筆。

突然襲い掛かってくるZ(ゾンビ)たちを前にパニックになりながらも戦う女子高生たちの姿が、リアルな人間ドラマとともに描かれます。

極真空手の黒帯を持つ川本まゆが主人公の凜子を演じ薙刀でアクションを披露。『ちょっとかわいいアイアンメイデン』(2014)で主演を務める小原徳子(元・木嶋のりこ)、『ふがいない僕は空を見た』(2012)の田中美晴らが共演するほか、原作者の相原もZ役で出演します。

映画『Z〜果てなき希望〜』のあらすじとネタバレ

海辺の町に暮らす女子高生のあかりは、幼なじみの親友の恵に失恋を打ち明けていました。

動画を撮りながら他愛の無い会話を楽しんでいた二人でしたが、目の前で突然ゾンビ男が釣り人に襲いかかり、そのまま二人にも迫ってきたことから日常が一変します。

絶体絶命の二人を救ったのは、アイパッチの少女でした。少女はナギナタを振りかざし、生ける屍たち=Zを斬り倒します。しかしZは頭を破壊されても、手足だけになっても襲い掛かってきました。

その場から逃げ出した三人は、あかりの姉で妊婦の香澄と合流しました。しかし、病院の最上階へ避難する途中で、恵だけが地下へと落ちてしまいます。

屈強な男・山下に連れられて最上階に向かいますが、公務員・平ら先に避難していた人間たちは彼女たちを入れることを拒もうとします。身体検査を受けてやっと彼女たちは部屋に入れてもらいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『Z〜果てなき希望〜』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『Z〜果てなき希望〜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

妊娠中毒症の姉を心配するあかり。あかりは恵を見捨てたアイパッチの少女を責めます。

一方の恵は、地下室からあかりにメールを送ろうとしますがうまくいきません。そこにZが現れたため恵は必死で逃げ出し、みつけたチェーンソーで倒しました。

その後、恵は棚の下敷きになっていた高校生の男子に出会います。彼はあかりの元カレ・翔太でした。彼は自分をふったのはあかりの方だと話します。

最上階では絶望的な閉塞感の中、人間性が次第に剥き出しになっていました。

そんな中、なぜか山下がゾンビ化し、香澄が襲われてしまいます。子どもを助けるために香澄は自分の腹を自ら切り、アイパッチの少女が意を決して赤子を取り上げました。そのまま香澄は息絶えます。

感染しているのではないかと疑う周囲から、子どもを必死で守ろうとするあかり。アイパッチの少女は「こんな地獄にも命が生まれるのは希望だ」と話します。その言葉を聞いたあかりは、その子に「希望(のぞみ)」と名付けました。

最期のときを意識した人間たちは、それぞれ自分勝手な行動を始めます。

一方の恵は、やっと最上階にたどり着き、あかりたちと再会しました。あかりは元カレ・翔太の姿を見て驚きます。

そんな中、またもや感染者が出てあかりに襲いかかり、彼女を守ろうとした翔太が噛まれてしまいました。

屋上に来たヘリに乗るためにエレベーターを動かしてしまったことから、大勢のZがフロアになだれ込みます。恵は翔太の持っていた鍵を探し当て、少女たちは揃って屋上に出られる階段へと向かいます。

途中の階で助けを求めていた中学生2人組を助けて、一行は上を目指しました。

途中でアイパッチの少女は、zを倒して公務員の残したビデオをとりに戻ると言い、あかりと恵を先に行かせます。少女は自分の名は「凜子」だと告げ、笑顔で去って行きました。ビデオには隔絶された場所で感染者が出た理由が映っていました。

恵もまた、主人公を自分が撮らなければならないと言って、凜子のもとへと走っていきます。

赤子を抱いて屋上にたどり着いたあかりの前に、ヘリコプターが飛んできました。

それから3年後。政府は「z安全宣言」を出しました。

町でz駆除の仕事をしていた、元中学生の少年とあかりは偶然再会します。成長した希望を見て元少年は喜び、凜子と恵がビデオを政府に提出したことで、蚊がzの感染源だと世の中に伝えられたことを話します。

恵は彼の上司となっており、凜子の消息はわからないままでした。思わず暗い表情になったふたりでしたが、希望の笑い声を聞いて自然に笑顔になりました。

映画『Z〜果てなき希望〜』の感想と評価

少女たちの抱いた絶望と希望

zと呼ばれるゾンビが徘徊する世界で、三人の女子高生たちが命がけの戦いを繰り広げるハードな物語です。迫りくるゾンビの恐怖とスリルに加え、極限状態に追い込まれた人間のドラマが展開するみごたえある一作となっています。

また、zに対する政府の対応について東日本大震災時の事実を風刺していたり、2014年公開にも関わらず2019年から始まったコロナ禍を暗示するかのような描写が見られたりと、シニカルな社会的な面も感じさせます。

メインキャストとして登場するのはとても個性的な少女たちです。クールで強い、薙刀を使いこなす謎のアイパッチの少女どんな苦境にあっても動画を撮り続けるたくましいメガネっ娘の恵緊張すると漏らしてしまう癖があり、下着をつけないまま駆け回るハメになるあどけなさを残すあかり

少女たちは途中であかりの身重の姉・香澄と合流し、病院の最上階に立てこもります。しかし、そこには6人の先客がいました。極限状態で人間がいかに愚かしい行動をとるようになるかが映し出されます。

途中でひとり地下室に取り残された恵は、偶然出会ったあかりの元カレの翔太と共に、持ち前のガッツで最後はあかりたちのいる最上階にたどり着きます。

大事な人を守るためにわが身を犠牲にする人たちも大勢登場し、見ていて胸が締め付けられます。

壮絶な出産を選び、我が子の命を守った香澄。zに襲われそうになったあかりを守って代わりに噛まれてしまう翔太。その姿を間近で見ている中で、あかりがみるみるうちに成長を遂げていく様は大きなみどころです。

何かを守るために何かを捨てることを迷ってはならないという厳しい真理がつきつけられる中、薙刀の少女は友を守り、世界を守るためにzのもとへと戻って行きます。

過去の生い立ちにトラウマがある彼女は、決して自分の名前を明かそうとしませんでしたが、最後の最後にとうとう「凜子」という本名をあかりに教えます。

最後にあかりに向けた凜子の笑顔は、新しい生命に希望を感じられたときと同じ位、強い光を放っていました。あかりとの間に生まれた強い信頼感が起こした奇跡と言えるでしょう。

凜子を撮らなければいけないと言って引き返す恵と、小さな命を必ず守るのだという覚悟を決めたあかりの姿からも、大きな勇気をもらえる作品です。

まとめ

ゾンビが増殖する恐怖の世界を描いたホラーパニック『Z〜果てなき希望〜』。3人の魅力的な女子高生らが、命がけで戦いに挑むさまがスリリングに描かれます

空手黒帯を持ちキレのあるアクションを見せる川本まゆ、光る演技で作品をけん引する実力派・小原徳子(元・木嶋のりこ)、常にカメラを回すオタク女子を魅力的に演じる田中美晴が、絶妙のバランスを見せています。青春ドラマとしての側面も楽しめる作品です。

極限状態だからこそ大人も若者も性に振り回される姿もとてもリアルといえるでしょう。地獄の中で生まれた赤子が希望そのものになったように、人間たちが諦めない限り明日への希望はあり続けることを教えられます。





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