Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ホラー映画

『クロムスカル』あらすじ感想と評価解説。グロいおすすめスリラー映画が描くのは“肩にカメラを付けた最凶殺人鬼”

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

殺しの様子を撮影する狂気の殺人鬼「クロムスカル」誕生!

“鉄製の骸骨”という不気味な仮面を付けながら殺人を繰り返し、その様子を撮影する謎の殺人鬼「クロムスカル」。

クロムスカルに狙われてしまった、ある女性の恐怖を描いたソリッド・スプラッター・スリラー『クロムスカル』が、2023年5月12日(金)にヒューマントラスト渋谷、池袋シネマロサ他にて全国公開されます。

2009年に製作され、全世界にてカルト的な人気を得ていたものの、長らく日本では未公開となっていた本作。

次々に獲物を血祭りにあげるクロムスカルの残虐性が容赦ない描写で描かれる一方で、本作は過激なバイオレンス描写だけでなく、実は奥深いテーマを持った作品でもあります。

完成から14年の時を経て、いよいよ日本でも公開される本作の魅力をご紹介します。

映画『クロムスカル』の作品情報


(C)2009 DRY COUNTY FILMS,LLC.

【日本公開】
2023年(アメリカ映画)

【原題】
Laid to Rest

【監督・脚本・製作総指揮】
ロバート・ホール

【キャスト】
ボビー・スー・ルーサー、ケビン・ゲイジ、ジョナサン・シェック、ルーカス・ティル、ショーン・ウェーレン、レナ・ヘディ、トーマス・デッカー、リチャード・リンチ

【作品概要】
不気味な仮面で顔を隠し、無差別殺人の様子を撮影する正体不明の殺人鬼「クロムスカル」の恐怖を描いたソリッド・スプラッター・スリラー。

監督と脚本を担当したロバート・ホールは『X-ファイル ザ・ムービー』(1988)、「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」シリーズなどで特殊メイクを手がけてきており、その技術は『クロムスカル』でも遺憾なく発揮されています。

また「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」シリーズでサラ・コナー役を演じたレナ・へディ、ジョン・コナー役を演じたトーマス・デッカーが本作で再共演を果たしています。

映画『クロムスカル』のあらすじ


(C)2009 DRY COUNTY FILMS,LLC.

無差別に女性を狙う謎の殺人鬼「クロムスカル」。骸骨のような鉄製の仮面をつけ、肩にビデオカメラを装着した大男であるクロムスカルは、カメラで撮影した殺人の映像を警察に送りつけていました。

クロムスカルは新たな獲物を捕獲し、棺桶の中に閉じ込めます。ところが、女性はその中で意識を取り戻し、棺桶から脱出し逃走します。

逃げ出した女性は、車で偶然通りかかった親切な男性タッカーに助けられます。タッカーは女性に自宅に身を隠すことを提案します。

女性はクロムスカルに頭を強く殴られたことで、記憶をなくしていました。女性が唯一鮮明に覚えていたのが、子どもの頃にお姫様の人形で遊んでいたことでした。タッカーは「お姫様の人形」にちなんで、女性を「プリンセス」と呼ぶようになります。

プリンセスはクロムスカルに狙われていることを警察に通報しようとしますが、タッカーの家は山奥にあり、電話線が引かれていません。

またタッカーの車はガス欠寸前のため、保安官のいる事務所まで行くことも難しく、タッカーはプリンセスに夜が明けるまで我慢するよう提案します。

しかし、プリンセスを追って来たクロムスカルが、タッカーの自宅に姿を現します。

映画『クロムスカル』感想と評価


(C)2009 DRY COUNTY FILMS,LLC.

正体不明の殺人鬼に狙われた、ある女性が遭遇する恐怖を描いた『クロムスカル』。本作の最大の魅力は、やはり殺人鬼「クロムスカル」のキャラクターにあります。

「鉄製の骸骨の仮面を装着した、スキンヘッドの大男」という姿は、不気味な殺人鬼とはいえ、カッコ良さすら感じるビジュアルです。

「仮面を装着した大男の殺人鬼」といえば、ホラー映画の金字塔「13日の金曜日」シリーズの、ジェイソンを連想する人も多いかと思います。しかしクロムスカル最大の特徴は、「肩に装着したカメラで、殺害の様子を記録している」という点です。

本作の冒頭では、これまでクロムスカルの犠牲になった女性が殺害されていく場面が次々に流されるのですが、この時点でクロムスカルの異常性が分かるでしょう。

特殊メイク出身のロバート・ホールが監督しているだけあって、本作の殺害の場面は内臓や血が飛び散る、かなり過激なものになっており、前半から容赦なしです。

さらにクロムスカルは、カメラで記録した映像の音声を利用して別の獲物を“罠”にかけるという、狡猾な頭の良さも持ち合わせています。もちろん刃物で刺すなど、中途半端な攻撃で倒せる相手でもありません。

またクロムスカルに狙われる主人公の女性は、襲われた際に頭を殴られた衝撃で、記憶喪失となっています。そのため本作はクロムスカルだけでなく、本来なら観客が一番感情移入する対象であるはずの、主人公の女性の正体も分からないという謎多き状況のまま、物語が次々に展開されます。

「主人公の女性は一体何者なのか?」「そして何故、クロムスカルに狙われたのか?」などサスペンスの要素も含まれた、スリリングな作品となっている本作。

ラストで全ての謎は明かされるのですが、全てを知った時「アメリカ社会の闇」ともいえる、なかなか深いテーマを感じられるはずです。

まとめ


(C)2009 DRY COUNTY FILMS,LLC.

『クロムスカル』は、「肩につけらカメラで、常にビデオ撮影をしながら獲物を襲う」という新たな殺人鬼「クロムスカル」のキャラクターが非常に斬新な作品です。

一方で、「女性が逃げ回る先々で、何故か電話だけがない」などのツッコミ要素からは、1970年代や1980年代の「スラッシャー映画」の雰囲気を味わうことのできる作品でもあります

人の忠告を無視しまくる主人公の女性が、行く先々で次々に犠牲者を増やしていく、王道とも呼べる展開には、往年のジャンル映画ファンにとって堪らないものがありました。

2009年に製作された『クロムスカル』ですが、2011年に続編も製作されています。1作目の『クロムスカル』が日本でも話題になり、続編もぜひ劇場で公開してほしいですね

映画『クロムスカル』は2023年5月12日(金)からヒューマントラスト渋谷、池袋シネマロサ他にて全国公開!



関連記事

ホラー映画

哀愁しんでれら元ネタ考察|映画の真意を青い目・白兎・赤い靴のホラーなお伽噺のモチーフから解読!

映画『哀愁しんでれら』は2021年2月5日(金)より全国ロードショー。 「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画をもとに、『かしこい狗は、吠 …

ホラー映画

ホラー映画『返校』ネタバレあらすじ評価と感想。ゲーム原作に白色テロで“言葉が消えた日常”を描く

地獄と化した学校の悪夢が蘇るホラー映画『返校 言葉が消えた日』。 台湾版アカデミー賞第56回ゴールデン・ホース・アワード最優秀賞受賞のホラー映画『返校 言葉が消えた日』。 この映画は、同名の人気ホラー …

ホラー映画

『カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』感想と考察。誰もが見る夢への恐怖を“ユングの定説した心理学”のペルソナになぞり美しく描く

映画『COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験』は2024年2月に《未体験ゾーンの映画たち2024》封切り後、2024年3月9日(土)のみシネ・リーブル梅田にて上映、また関東地域では3月8日 …

ホラー映画

映画『ハッピー・デス・デイ』ネタバレあらすじと感想。タイムループホラーの結末からどのように抜け出したのか⁈

ホラー映画ファンならお馴染みの殺人鬼と学園を舞台にしたスラッシャー映画。 イケてるけど自己チューで高飛車な、実に性悪女であるツリー。当然ながら彼女は、お約束の様に仮面を着けた殺人鬼に殺されます。 とこ …

ホラー映画

【ネタバレ】“それ”がいる森|結末あらすじ感想と評価解説。実在の怖い元ネタで描く「正体と真相」とは⁈

いわくつきの森で多発する失踪事件、その背後に存在する恐怖! 東京から田舎に引っ越してきた親子が、近くの森に潜む、正体不明の存在に遭遇する恐怖を描いたホラー映画『“それ”がいる森』。 『リング』(199 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学