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Entry 2019/07/19
Update

映画『シンク・オア・スイム 』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。逆転劇の実話を孤独な現代人へ贈るヒューマンコメディ

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』は2019年7月12日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー!

スウェーデンに実在する、男子シンクロチームをモデルに、駄目な中年男達の逆転劇を描いた、ヒューマンコメディ映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』。

フランスで動員400万人突破を記録し、大ヒットした本作をご紹介します。

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映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』の作品情報


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions

【公開】
2019年公開

【監督・脚本】
ジル・ルルーシュ

【脚本】
アメッド・アミディ

【製作】
アラン・アタル
ユゴー・セリニャック

【キャスト】
マチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ブノワ・ポールブールド、ジャン=ユーグ・アングラード、フィリップ・カトリーヌ、ビルジニー・エフィラ、レイラ・ベクティ、マリナ・フォイス、フェリックス・モアティ、アルバン・イワノフ、バラシンガム・タミルチェルバン

【作品概要】
「フランスのアカデミー賞」と呼ばれるセザール賞で、最多10部門にノミネートされた、ヒューマンコメディ作品。

うつ病が理由で、人生の希望を失った男が、男子シンクロチームと出会い奮闘する姿を描いています。

主演に、2005年の映画『ミュンヘン』や、2008年の映画『007 慰めの報酬』などに出演し、監督としても活躍するマチュー・アマルリック。

共演に2000年の映画『ザ・ビーチ』などで知られる、ギョーム・カネ。

ティエリーを演じた、フィリップ・カトリーヌは、本作でセザール賞の助演男優賞に輝いています。

映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』あらすじ


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
ベルトランは、2年前からうつ病を患った事で、会社を退職し、自宅で引きこもりのような生活を送っていました。

妻の献身的な支えで、再就職先を探しますが、なかなか上手くいきません。

ある日、ベルトランは、娘の送り迎えで訪れたプールで、男子シンクロチームの、メンバー募集の広告を目にします。

ベルトランは何も考えず、男子シンクロチームに連絡をし、新たなメンバーとして加わります。

ですが、シンクロチームにいるのは、怒りっぽく自己主張の強いロラン。

プールの販売事業を営んでいますが、経営が上手くいかず自暴自棄に陥っているマルキュス。

内向的な性格で友達もおらず、女性経験もないティエリー。

ミュージシャンで成功する事を、25年以上夢見続けているシモンなど、癖のあるメンバーばかりでした。

元シンクロ選手で、コーチを務めるデルフィーヌも、何となくシンクロチームに参加してきたベルトランを簡単に受け入れるなど、投げやりな印象を受けます。

シンクロチームは、練習をした後、サウナルームで人生の愚痴をこぼし、酒場で飲んだくれる日々を送っていました。

そんなシンクロチームに、初演技の機会が訪れます。

水球の試合でのハーフタイムで、観客の前でシンクロパフォーマンスを披露する事になりました。

チームに加わったばかりのベルトランは、観客席で妻と共に、仲間のシンクロパフォーマンスを見て感動していますが、内容のレベルの低さに、妻は明らかに戸惑っており、観客の反応も微妙でした。

また、シンクロチームのメンバーは、それぞれ新たな問題に直面します。

ベルトランは、新たに見つけた家具販売の仕事先で、先輩従業員に酷い仕打ちを受けるようになります。

ロランは、自己主張の強さから妻に見捨てられ別居する事になり、マルキュスは経営の悪化から、従業員に給料を払う事が出来なくなります。

プールの管理を仕事にしていたティエリーは、新たな管理システムに仕事を奪われ、シモンは、いつまでも夢を追いかけている事で、娘に愛想を尽かされてしまいます。

それぞれ、現実から逃れるようにシンクロに取り組んでいましたが、ティエリーが、男子シンクロの世界大会の情報を見つけ、勢いで出場登録をします。

世界大会という目標に向けて、練習を重ねるようになったシンクロチーム。

ですが、コーチのデルフィーヌが、好意を抱いていた男性に、ストーカーのようにつきまとっていた事が発覚。

男性はプールに乗り込んで来て、デルフィーヌに一方的に別れを告げます。

デルフィーヌは、失恋のショックから立ち直れず、シンクロチームの指導など不可能な状態となります。

そこへ、新たな指導者として現れたのは、デルフィーヌの友人で、水球チームのコーチをしている、車椅子の女性アマンダでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』ネタバレ・結末の記載がございます。『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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甲高い声で罵声を発しながら、スパルタ式で進めていくアマンダの指導に、シンクロチームの心はボロボロに追い込まれていきます。

また、チームのコスチュームを揃える為に、マルキュスの万引き計画に加担したベルトランは、妻にバレてしまい、シンクロチーム自体に悪い印象を持たせてしまいます。

徐々にレベルアップしていくシンクロチームですが、水中に潜って全体を支える土台役がいない事が問題になります。

土台役は、水中で2分以上潜るほどの肺活量が必要で、50秒が限界のシンクロチームの中で、務まる者はいませんでした。

チームが深刻な問題に直面した中、ロランは老人施設に入居している母親の見舞いに行きます。

母親は精神状態が不安定で、ちょっとしたキッカケでロランを口汚く罵るようになっており、母親の前では我慢を重ねていた事が、ロランが怒りっぽくなった理由の1つでした。

老人施設の待合室で悩むロランに、施設で働くジョンが話しかけてきます。

ジョンは「辛い事もある」と、ロランに理解を示し、自分も朝の老人の匂いが耐えられず、常に息を止めて仕事をしている事を話します。

ロランは、その話を聞き、ジョンをシンクロチームの土台役にスカウトします。

シンクロチームにジョンが加わり、練習に熱が入りますが、アマンダの厳しい指導に、メンバーの不満が爆発。

ロランは、アマンダを車椅子から突き飛ばし、プールの中に落とします。

アマンダも復讐とばかりに、シンクロチームを2時間サウナ室に閉じ込め、再びチームがバラバラになります。

そんな時、ティエリーの熱心な説得で、デルフィーヌがコーチとして戻って来ます。

デルフィーヌは「チームに必要なのは対話」と主張し、詩の朗読でチームの心を1つにまとめます。

そして迎えた、世界大会当日。

ベルトランは、家族の理解を得られないまま会場へ向かいます。

世界大会は、ハイレベルな戦いが繰り広げられますが、ベルトラン達はシモンが考えた音楽と、照明の演出でシンクロパフォーマンスを披露し、見事金メダルに輝きます。

ベルトラン達が、シンクロの世界大会で優勝した事実は、すぐにはニュースになりませんでしたが、世界大会の様子を見ていた家族に、ベルトランは暖かく迎えられるのでした。

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映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』感想と評価


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
本作は、大きく分けて3部構造となっており、それぞれが効果的な意味を持ち、テイストも変わっているという面白い構成になっています。

ここでは、それぞれのパートについて、考察していきます。

登場人物の紹介となっているシリアスな前半パート


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
前半では、人生に希望を失っているベルトランが、男子シンクロチームに出会い、メンバーになっていく様子を描いています。

ここでは、主人公のベルトランの他に、シンクロの主要メンバー4名が、それぞれ抱えている問題を、丁寧に描いています。

前半パートは、コメディ色はかなり控えめになっており、家庭や仕事の問題をシリアスに描いているので、コメディ映画を期待していると、少し肩透かしのような印象を抱くかもしれません。

また、作品全体が淡々と、スローテンポで進んでいきます。

ですが、この前半パートで、登場人物のキャラクターや抱えている問題を丁寧に描く事で、最初は誰が誰だか分からなかったキャラクターに親近感を覚え、中盤以降、自然とキャラクターに感情移入するようになります。

チームとして形になっていくコメディ色の強い中盤パート


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
前半でのキャラクター紹介の後、中盤では世界大会に向けて、シンクロチームが形になっていく様子を描いています。

ここからコメディ色が強くなり、特に甲高い声で、車椅子に乗った状態で、シンクロメンバーに暴行を加えながら罵倒し続ける、アマンダのキャラクターが強烈です。

また、前半ではスローだったストーリー展開も、ここから軽快になっていきます。

シンクロメンバーの技術が向上している様子を、オリビア・ニュートン・ジョンの80年代のヒット曲「フィジカル」に合わせて、メンバーが自主練習している様子で見せるなど、シリアスだった前半の空気を一変させる、軽快な演出へと変わっていきます。

同時に、メンバーそれぞれが抱える問題が悪化し、シンクロの世界大会に挑む事だけが、心の支えになる様子など、ここでも人間ドラマは丁寧に描かれています。

芸術的なシンクロを披露!スポーツドラマの終盤パート


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
いよいよシンクロチームが、世界大会に挑む終盤パート。

シンクロチームのメンバーに、これまで関わってきた人達が、テレビやインターネットで見守っている中で、人生を賭けた勝負に出るという、スポーツドラマ色の強い展開となります。

作中を通して、シンクロチームの、本気のシンクロパフォーマンスが披露されるのは、この世界大会の場面のみとなります。

出演俳優達が、実際に猛練習して挑んだシンクロパフォーマンスは、鳥肌が立つほどの完成度で、特にエアーギターを披露しながら、観客の声援を受けて、水上を進んでいくシモンのパフォーマンスは、彼の夢が少し叶ったような気がして、自然と涙が溢れていました。

これまで、シンクロチームの、ダメ人間ぶりのみが描かれる展開の為、この場面での彼らの本気とカッコよさは、非常に感動的で必見です。

本作は、登場人物に感情移入できないと、失敗する可能性が大きかった内容です。

上記のように「人物紹介」「シンクロチームとしてのレベルアップ」「勝負を挑んだ世界大会」と、綺麗に各パートに分けて、分かりやすい構成にまとめた、ジル・ルルーシュ監督の手腕が光る、文句なしのエンターテイメント作品です。

まとめ


(C)2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
本作は、大きく分けて2つのテーマを描いています。

1つは、前半部分に強調される「人生の憂鬱な部分」

ジル・ルルーシュ監督は、当初は男子のシンクロを描く事は考えておらず、現代社会を生きる憂鬱や苦しさなど、感傷的なテーマで制作する予定でした。

本作の前半部分で、シンクロチームが、サウナで愚痴を言い合っている部分は、まさに「現代社会の憂鬱と苦しさ」を描いている場面と言えます。

そして、もう1つのテーマは「孤独になりすぎている、現代人への問いかけ」です。

主人公のベルトランは、自らが抱えている悩みを誰にも話せず苦しんでいましたが、シンクロチームと出会い、心を通わせる事で、チームとして団結していきます。

男子のシンクロへ理解の無い周囲は、冷たい視線を向けますが、チーム一丸となり立ち向かう姿を通して、他者との連携の素晴らしさ、人に心を開く大切さを問いかけています。

しかし、本作は決して重い内容ではなく、特に中盤以降は軽快なテンポで、メタボ体型のおじさん達の、奮闘する姿をコミカルに描いています。

工夫された構成で、泣いて笑えるヒューマンドラマとして完成された本作。

社会に見捨てられた男たちの逆転劇を、是非ご覧ください!

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