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Entry 2022/06/24
Update

『シャイロックの子供たち』原作ネタバレあらすじと結末の感想評価。WOWWOWドラマを井ノ原快彦×映画を阿部サダヲが演じる銀行マンの正義が爆発!

  • Writer :
  • 星野しげみ

池井戸潤の小説『シャイロックの子供たち』が井ノ原快彦主演・WOWWOWドラマで10月配信!さらに阿部サダヲ主演・映画が2023年2月17日(金)に劇場公開!

池井戸潤が「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と明言し、作家人生の転機として位置付けてきた小説『シャイロックの子供たち』。

この作品は、銀行という組織を通じ、普通に働くことや普通に暮らすことの幸福と困難さを鮮烈に描いた群像劇です。

『連続ドラマW 下町ロケット』『連続ドラマW 株価暴落』『連続ドラマW アキラとあきら』『連続ドラマW 鉄の骨』など、池井戸潤原作作品を世に送り出してきたWOWWOWが本作をドラマ化します。

池井戸潤作品に初参加の井ノ原快彦を主役に迎えた『連続ドラマW シャイロックの子供たち』は、WOWOWで10月より放送・配信スタート

さらに、2023年2月17日(金)には、映画『空飛ぶタイヤ』(2018)の本木克英監督と製作チームが再集結し、阿部サダヲを主演に招いての映画化も決定

ドラマに映画にと、引っ張りだこの人気を誇る池井戸潤の小説『シャイロックの子供たち』をネタバレ有りでご紹介します。

小説『シャイロックの子供たち』の主な登場人物

【西木雅博(にしきまさひろ)】
三枚目だが部下からの信頼が厚い営業課の課長代理。

【古川一夫(ふるかわかずお)】
自分の出世のため部下にきつくあたる長原支店の副支店長。

【北川愛理(きたがわあいり)】
100万円紛失事件で濡れ衣を着せられる。

【滝野真(たきのまこと)】
長原支店のエース。

小説『シャイロックの子供たち』のあらすじとネタバレ

東京第一銀行長原支店の古川は、銀行の出世レースに意欲のある副支店長。

夢は支店長の椅子に座ること。高卒で東京第一銀行に入行し、大卒採用のエリートたちを見返したいと常日頃から思っています。

とは言っても、長原支店は融資や投信の成績の良くない支店です。支店の成績は古川はもちろん、支店長の九条の評価にも影響しますから、古川の悩みの種でした。

営業成績の目標を達成しているのは業務課の滝川ぐらいで、不景気ということもありなかなか融資はとれません。

そんな中で投信を売るのはお客様第一に反するのではと言い出した入行3年目の融資課の小山を、古川は殴るという出来事が発生します。

小山は診断書を取り、刑事事件にしました。事件は不起訴になり小山は銀行をやめます。

後味の悪い険悪な空気が漂い始めた長原支店。そんな頃、行員のキャッシュボックスから現金100万円が紛失しました。

行員たちの持ち物やロッカーも調べた結果、家が貧しく家計が苦しい北川愛理のカバンから札束をまとめる帯封が見つかり、彼女に疑いがかかります。

愛理の上司の西木はやっていないと言う彼女を信じますが、愛理は周りから白い目で見られます。

その後、忽然と現金が出てきて事件は終了します。公に説明もなく、はっきりしたことはわからないままです。

事件はうやむやになりましたが、愛理の疑いがはれたわけもなく、愛理はスッキリしませんでした。

愛理に対して、愛理の恋人三木の元カノの半田麻紀のあたりはきついものでした。

愛理に絡む麻紀を制し、西木がおもちゃの指紋採取セットで帯封から指紋を取り犯人を見つけられると言うと、麻紀は帯封を愛理のカバンに入れたことを白状しました。

そして、紛失した100万円も実際には見つかっておらず、事件を公けにしたくない支店長たちが役付たちを集めて100万円を補填したものでした。

麻紀も100万の本当の行方は知りません。犯人が麻紀が犯人とすれば、帯封のついた現金をそのまま愛理のカバンに入れればよかったはずです。

誰か他の人間が現金を取ったのだと、西木は指紋を取り続け、ある指紋を見つけて呆然としました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シャイロックの子供たち』ネタバレ・結末の記載がございます。『シャイロックの子供たち』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ある日、西木が突然失踪してしまいます。西木は長原支店では出世を諦めた男の一人でした。

銀行が嫌になった可能性はあるものの、妻子がおり失踪は不可思議です。そんな西木の穴を埋めるために、竹本が彼の仕事をこなすことになりました。

西木は出世を諦めたいますが、部下たちからは評価されており、事件に巻き込まれたのではないかと心配の声があがっています。

竹本が残されていた西木のロッカーの鍵で、その中をチェックすると、そこには紛失した100万の帯封や文庫本、通帳の表紙、ホチキスなどが袋に入れられ保管されていました。

それらの持ち主を当たっていくと彼らはそれを紛失したと思っていたようです。そして指紋キットが机の引き出しの奥から出てきて、西木がみんなの指紋を集めていたということが判明しました。

竹本は愛理から例の100万の説明を受け指紋集めの意味を納得します。その後、西木のロッカーの中から例の帯封がなくなっていることに気がつきます。

竹本は犯人が近くにいて、西木は殺されてしまったのではないかと思います。そして、広島行きの辞令が出た竹本は、黙ったまま支店を去りました。

その後、長原支店にやってきたのは、検査部の黒田。黒田は長原支店の問題の多さから、締め付けが厳しいのではないかと思っていました。

西木のことを調べていると、紛失した100万円のことが目に入ります。

翌日に見つかったと言いますが、報告書を見れば怪しいことがわかり、すぐに100万を支店の人間たちで補填したことが判明しました。

追求する黒田に、彼の若い頃を知る九条は、昔の黒田の罪をバラさないかわりにこのことを不問にしてほしいと頼みます。

首の皮一枚つながった長原支店ですが、空気は悪くなる一方でした。

融資課新人田端は、そんな銀行に呆れていました。期待して入ったものの期待はずれの職場に、転職活動を続けています。

田端は事務を担当している江島工業に書類を届けることになりました。直接の担当は融資課エースの滝野。田端は江島工業に行くのは初めてでした。

しかし住所の場所に行ってみると、そこは古いアパートの一室で人の気配はありません。

書類の受け渡しを頼んできた愛理に聞くと、最近住所変更をしたようです。不審に思いましたが、担当の滝野に話すと、社屋立て直しのための一時的なものだと言われます。

そこの融資の件では滝野は嘘をついているのではないかと不信に思った田畑は、再度江島工業に行ってみました。

やはりそこにも江島工業の実態はありません。それを愛理に相談すると、滝野以外、江島工業の社長に会った人はいませんし、西木が滝野の個人口座を調べていたこともわかりました。

江島工業の約定書類をチェックしていた愛理は、それが偽物であることに気がつきました。

愛理と田端は再びアパートの一室を訪れ、そこに入っていた郵便を盗み見ると、その名前は石本浩一でした。江島工業の社長は江島宗広ですから、名前が違っています。

滝野は架空融資をしているのではないかと、2人は考えました。

石本浩一を調べてみると、彼は倒産寸前の赤坂リアルターという会社の経営者でしたから、赤坂支店にいた滝野と石本が知り合いで癒着しているのだろうと推測できます。田端は江島工業の書類が偽物であることを上司に報告しました。

滝野は九条に呼び出されます。滝野は銀行で出世をしなければならないと考えていました。それは彼の父の影響もありました。

銀行が昔と変わらず一流の象徴であると信じていた父に反発する気持ちもありましたが、銀行に入った滝野は、出世したものだけが人として扱われると気がつきます。

尊敬できる上司たちが、銀行でいじめぬかれて次々と折れていくのを見てきた滝野ですが、自身は銀行には評価されてきました。

そんな滝野が赤坂支店で石本から謝礼をもらったのが、全ての始まりでした。

石本は不動産投資や同業者の案件を積極的に滝野に持ってきてくれました。滝野はそのおかげで出世できたとも言えます。

そんな石本の会社が焦げ付き始めたころ、滝野は長原支店に移っていました。

石本は、社長が逃げ回って未だ存在はしている倒産会社江島工業の実印などを持っていました。実はその会社への融資を持ちかけられていたのです。

予定では石本の本業の不動産取引でその架空融資を清算できるはずでした。しかしあてにしていた不動産取引は流れてしまったのです。

その江島工業へ融資した分の金利支払いを滝野が押し付けられました。滝野はそのため銀行の100万に手をつけたのでした。

それを西木に知られたため、石本に話すと彼を殺すことになったと言いますが、滝野は現場にいなかったため、西木が本当に殺されたのかは知りません。

石本は現在も逃亡中。長原支店は店舗責任を問われており、九条も古川も虫の息。その西木の家族へ私物やお見舞金を渡しに行った派遣社員の河野晴子は、銀行という組織に夫を殺された一人でした。

晴子は滝野が石本とつながっていた資料を、赤坂支店に引き取りに行くことになります。

そのなかで晴子は西木と石本が繋がっていた資料を見つけました。西木は石本と関係があった。その石本が滝野を利用し、その架空融資を西本が見破る……。

そんな奇妙な偶然があるはずもないから、西木はどこかで生きているのではないかと、晴子は思っています。

小説『シャイロックの子供たち』の感想と評価

東京第一銀行長原支店。都会の小さな支店の中でおこる事件や人間模様、顧客とのいざこざなどを中心に十話の連作からなっている、銀行を舞台にした長編小説『シャイロックの子供たち』。

銀行に就職してから生真面目一筋に家族のために働く銀行員をはじめ、叩き上げの副支店長、社内恋愛中の女子銀行員、さえない係長と、一話ごとに主役は変わりますが、その奥に潜む「銀行員は出世しなければならない」意識は登場人物全員が感じています。

銀行内の裏の面を書き綴りながら、ミステリアスな現金紛失事件がおこり意外な結末へと導かれます。

小説の中では中小企業への資金融資の話が頻繁に出てきます。とんでもなく多額の金額が日常茶飯事に帳面の上を飛び交い、会話の中に出てくることに驚きます。

そういえば、タイトルにはシャイロックとついています。シャイロックは、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』に登場する強欲なユダヤ人の金貸しのこと。銀行の融資活動は、企業への金貸し業務だから、ここからつけたのでしょう。

銀行員たちは、成績向上目指し企業へしつこいほど訪問したり、新規契約のため泣きついたりしますが、途方もない大金と毎日接していると着服したい誘惑もおこるのでしょう。

このあたりは作品においても現実においても、「銀行員」としてのモラルが問われるところです。

銀行の仕組み、資金融資の流れ、出世社会の厳しさ、そして世間のからくりなどもよくわかる企業小説でした。

ドラマ『シャイロックの子供たち』の見どころ

池井戸潤原作の『シャイロックの子供たち』が、『連続ドラマW シャイロックの子供たち』として、WOWWOWにて2022年10月に配信されます。

監督を務めるのは鈴木浩介で、脚本は前川洋一が担当。『連続ドラマW アキラとあきら』『連続ドラマW 鉄の骨』に続いて、再び池井戸作品でのタッグが実現しました。

主役・西木雅博には池井戸潤作品およびWOWOWの「連続ドラマW」への出演が初となる井ノ原快彦。

出世コースを外れるが部下からの信頼が厚いという、ちょっとつかみどころのない‟西木雅博”のキャラを、井ノ原快彦がどう演じるのかと、期待は高まります。

【井ノ原快彦のコメント】

この度「連続ドラマW シャイロックの子供たち」に主演させていただくことになりました。西木雅博役の井ノ原快彦です。以前から、池井戸潤さんの作品に興味を抱いておりましたので、非常にテンションが上がっております。また、池井戸さんの作品に主演することの重みを感じております。そして、西木という男が作品の中でどう輝いていくのか、今からワクワクしています。銀行が舞台のお話です。人間の欲、愛憎渦巻く中、西木という男がどう立ち回っていくのか。僕は脚本を読んだ時、とにかく読む手が止まりませんでした。脚本を読んで、すぐにもう一度読んで、次に声に出して最終回まであっという間にやり終えてしまったくらいとにかくのめり込みました。

ドラマ『シャイロックの子供たち』の作品情報

【配信】
2022年10月(WOWWOWドラマ)

【原作】
池井戸潤:「シャイロックの子供たち」(文春文庫刊)

【監督】
鈴木浩介

【脚本】
前川洋一

【キャスト】
井ノ原快彦

まとめ

池井戸潤小説『シャイロックの子供たち』は、2022年10月より、WOWWOWドラマとして配信されます。

また、2023年2月17日(金)には、映画『空飛ぶタイヤ』(2018)の本木克英監督と製作チームが再集結し、阿部サダヲを主演に招いての映画化も決定しています。

銀行という組織を通して描かれる「普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さ」。

ドラマに続いて映画も控えていますので、作品を見比べてみても面白いでしょう。





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