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Netflix映画『パドルトン』ネタバレ感想と考察評価。ラストの意味や“おじさんたちボヤキやボケ”から学ぶ人生の愛おしさ

  • Writer :
  • 山田あゆみ

『パドルトン』に見るおじさんふたりの温かな友情

Netflixオリジナル映画の『パドルトン』は、余命わずかで安楽死を選んだ男性が、親友にその手伝いを頼むという一風変わったストーリー。ロードムービーの味わいもあり、旅先での出会いやハプニングが笑いを誘います。

死を覚悟したとき、最後に一緒にいたい人は誰? そんなことを考えさせられるヒューマンドラマです。

主演・共同脚本を務めたのは、『ハンナだけど、生きていく!』などマンブルコア映画の代表的俳優であるマーク・デュプラス。そして『アイリッシュマン』やアニメ『アイスエイジ』のマンモスの声でお馴染みのレイ・ロマノが製作総指揮、ダブル主演を務めています。

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映画『パドルトン』の作品情報

Netflix パドルトン 

【配信】
2019年(Netflix独占配信)
 
【監督】
アレックス・レーマン

【脚本】
マーク・デュプラス、アレックス・レーマン

【製作総指揮】
マーク・デュプラス、ジェイ・デュプラス、レイ・ロマノ
 
【キャスト】
マーク・デュプラス、レイ・ロマノ、クリスティン・ウッズ、カディーム・ハーディソン、マーガリート・モロー、デンドリー・テイラー
 
【作品概要】
2015年にマーク・デュプラスがNetflixと4本の映画製作の契約を結びました。2016年にサラ・ポールソンとマーク・デュプラスの共演で『ブルージェイ』が撮られ、本作はその企画第2段の作品。

2019年サンダンス映画祭でプレミア上映されたのち、批評家から高評価を得ています。IMDbでは10,020レビューで7.2スコアを獲得。批評家によるMetascoreは70を得て、レイ・ロマノとマーク・デュプラスの演技を褒める声が並んでいます。

レイ・ロマノはニューヨークのクイーンズ出身。スタンダップコメディアンを経てシットコムで注目を集め一躍スターに。映画『素敵な人生の終わり方』では本人役で出演しています。

ほか出演作品は、『ビッグシック ぼくたちの大いなる目ざめ』、マーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』、ヒュー・ジャックマン主演『バッドエデュケーション』など。エミー賞2度受賞ほか、映画俳優協会賞を受賞しています。

映画『パドルトン』のあらすじとネタバレ

Netflix パドルトン 

病院の診察室。癌の可能性を告げられたマイケル。付き添ったアンディは、彼の病状を詳しく看護師から聞き出そうとし、専門医による検査をすすめられました。

ふたりは同じアパートの上下階に住む友人同士。独自のルールの壁打ちテニス(パドルトン)をした後、家でピザを食べながらカンフー映画『デスパンチ』を観るのが休日のお決まりのルーティーン。

ある夜、癌専門医からマイケルに診断結果を知らせる電話がかかってきます。選択肢を聞いたマイケルはひとりで考えた結果、自分で命を絶つことを決めます。

余命6ヶ月以内なら安楽死の為のピルを処方してもらい、自宅で行うことができるのです。ひとりでするのが心細いマイケルはアンディに協力を頼みます。

マイケルの決意を受けて悩んだ末協力することに決めたアンディはその薬を買うことができる病院を調べて出かける事に決めました。

その病院までは遠く、車で6時間かかる道のりです。ふたりで他愛のない話をしながらドライブします。途中でダチョウ園に立ち寄り、なんてことない会話をするふたり。

ついにその薬局に着いたふたりはあらかじめ予約をしていた薬の説明を受けて購入の手続きをはじめます。

支払は自分がすると言い出したアンディ。しかしカードが使えないトラブルが発生し、焦ったアンディは銀行に電話するなど大騒ぎ。それを横目にマイケルが支払いを済ませました。

薬を購入してから落ち着きのないアンディ。マイケルが痛み止めを飲んでいたのも例の薬だと勘違いして慌てる始末。

ついには薬を預かりたいと言いはじめるアンディ。洪水や盗難が心配だと説明しますがマイケルはあきれて、自分のベッドサイドに薬を置いて眠ってしました。

諦めがつかないアンディは、マイケルが眠ったのを見計らい、子供用金庫を買いに行き薬をその中に入れてしまいました。

ダイナ―に出かけたふたり。そわそわと落ち着きのないアンディは、マイケルに見せると約束していたハーフタイムスピーチの練習をトイレではじめます。

ひととおり熱のこもったスピーチをひとりで繰り広げたあと気持ちよく席に戻ると、さきほどの薬局の店員がマイケルと並んで飲んでいました。

その彼もカンフーファンで、『デスパンチ』の話をしようとしますが、アンディは彼を拒絶し反発しようとします。まるですねた子供のように。

そのダイナーでは参加者自由で歌やスピーチを自由に行える場所だったため、マイケルは即興で『デスパンチ』の魅力を店の他の客に向かって話しはじめます。

途中話に詰まってしまったマイケルを見かねてアンディも即興参加。ふたりで『デスパンチ』のワンシーンを楽しそうに熱演したのでした。

ダイナ―を出たふたりはホテルの屋外ジャグジープールにこっそり忍び込んで寛いでいました。そこへホテルのオーナーの女性が現れ、一緒にジャグジーに入ると言い出します。

共同経営者だった夫を数年前に亡くしたその女性とのおしゃべりに花を咲かせます。

楽しそうに話すアンディを見て気を利かせたマイケルはひとり部屋に戻り、女性とアンディをふたりきりにさせてあげました。

アンディを気に入りキスをしようと顔を寄せる女性。しかし、アンディは拒絶して帽子を顔に被せて泣き出してしまいます。

部屋に戻ったアンディ、熟睡しているマイケルを死んでいると勘違いして起こしてしまいます。女性とは何もなかったと話し、眠りにつきます。

翌朝アンディが目覚めるとマイケルの姿はなく、金庫もありませんでした。慌てたアンディは町中を走り回り、大慌てでマイケルを探します。

ホテルへ戻るとマイケルは金庫をもってロビーの暖炉を眺めていました。

そこでふたりは金庫をめぐって口論になってしまいます。自分のものだと言い張るアンディから金庫を取り返そうとマイケルは追いかけまわしますが、らちがあきません。そのまま帰路に着くことになります。

以下、『パドルトン』ネタバレ・結末の記載がございます。『パドルトン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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家に戻ってからは以前と同じようにピザを食べながら『デスパンチ』を観たりしましたが、マイケルの具合は悪くなる一方。ついに死を覚悟したマイケルはアンディにそのときを告げます。

薬の用意をしながら互いに初めて出会ったときの話をしたり、マイケルが昔結婚していた話をします。

アンディが作ってマイケルにプレゼントしたシャツのパズルに実は答えがなかったことも打ち明けます。

マイケルは答えが出るとつまらなそうにするから、あえて答えのないパズルにしたんだとアンディのさりげない優しさが垣間見えるやりとりでした。

ひとつめの薬を飲んでから一時間待たなければならず、その間部屋の外でおしゃべりをするふたり。

死んでからアンディにメッセージを送れるとしたらどんな信号がいいかとマイケルは尋ねます。

光が点滅したり風が吹いたりなにか不思議なことが起きるたびにマイケルの仕業だと思ってしまうからなにか一つに決めよう、と話していたところで一時間のタイマーが鳴ってしまいます。

室内に戻り、どこで最後の薬を飲もうか考えるマイケル。ベッドルームに決め、最後の薬をアンディに持ってくるよう頼みます。

ベッドにふたりで腰掛け、どうにか勢いをつけて薬を飲み干します。ふたりで横になり、その時を待ちます。

取り乱し泣きはじめるマイケル。こわいと怯えるマイケルの手を握り、大丈夫だと言い聞かせるアンディ。愛している、と伝えマイケルは永遠の眠りにつきました。

涙を流しながらもその後の手続きを終えたアンディ。ふたりでしていたパドルトンをしにいったり、『デスパンチ』を見たり。

ひとりですごす日常はあまりに孤独で、『デスパンチ』の中の「友よ また会おう」のセルフに思わず寂しさがこみ上げます。

マイケルが住んでいた部屋に母と息子が引っ越してきます。元気がない少年に話しかけるアンディ。パドルトンを一緒にしよう、ハーフタイムスピーチも見たければ見せるよと話し、挨拶をしたのでした。

 

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映画『パドルトン』の感想と評価

Netflix パドルトン 

ふたりのおじさんのコミカルかつあたたかな友情

マイケルとアンディはホテルでカップルに間違われますが、まぎれもなく親友関係です。

本作の魅力は男同士の友情と信頼感が穏やかに描かれているところといえるでしょう。

物語のテーマは「安楽死の選択」という重いものですが、ふたりの冗談まじりのやりとりがあまりに可愛くて思わずクスっと笑ってしまうシーンが多いです。

現実を受け入れきれないアンディがとったある行動によってマイケルを怒らせてしまうシーンがありましたが、そんなシーンですらなんだかコミカル。

ふたりの間を流れる空気は和やかで不思議な安心感があります。ダチョウ園でふたり並んでダチョウを見つめる姿のシュールさといったらありません。

大好きな映画『デスパンチ』の再現をするふたりの姿はまるで小学生と思うくらい無邪気でした。男の人っていつまでたっても素は子供だなと思ってしまいます。

デュプラス兄弟×Netflix製作第1弾の『ブルージェイ』と同様、主演のふたりがアドリブと思ってしまうほどナチュラルで素晴らしい演技を見せています。

同じアパートの上下階という設定の巧みさ

このふたりの関係性をあらわすのに、同じアパートの上下階に住んでいるという設定がとても重要な役目を果たしていたように思います。

アンディの部屋ではマイケルの声や物音が聞こえてきて心配になるシーンが自然に描かれるし、通気口のくだりもこの住居環境があってのこと。

階段の上と下で金庫を挟んだふたりの距離感は、画として綺麗なだけでなく喧嘩をしたふたりの絶妙な心の距離感を見事に表現していました。

そしてラストシーンでは、アンディの心境の移り変わりをこのアパートが表しているように感じられます。

デュプラス兄弟企画作品のクオリティの高さを『ブルージェイ』『パドルトン』で十分に証明できたと思います。残り2作品への期待が高まる一方です。

まとめ

ふたりの会話の中で、感傷的なセリフはあまりありません。大げさなセリフや演出はなく、どちらかというとおじさん同士のぼやきや小ボケの連発です。

死という現実が心にチクリと刺さることはあれど、ゆるやかな愛情に癒される作品です。

感動大作ではありませんが、ささやかながらも地に足の着いた悲しみと愛情が詰まった秀作です。Netflixで配信中なのでぜひご覧ください。

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