Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/09/04
Update

映画『泳ぎすぎた夜』あらすじと感想レビュー!ヴェネチアでの評価は?

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

第74回ヴェネチア国際映画祭に正式出品され、9月5日(現地時間)より、ワールドプレミア上映が予定されている五十嵐耕平とダミアン・マニヴェル共同監督作品『泳ぎすぎた夜』。

本作は2018年4月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!

1.映画『泳ぎすぎた夜』の作品情報


©2017 MLD Films / NOBO LLC / SHELLAC SUD

【公開】
2017年(日本映画)

【原題】
La nuit où j’ai nagé

【監督】
五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル

【キャスト】
古川鳳羅 (こがわ たから)、古川蛍姫 (こがわ けいき)、古川知里 (こがわ ちさと)、古川孝 (こがわ たかし)、工藤雄志 (くどう ゆうし)、はな(犬)

【作品概要】
日仏合作映画『泳ぎすぎた夜』は、五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル共同監督で制作され、第74回 ヴェネチア国際映画祭や第65回サン・セバスチャン国際映画祭に正式出品された作品です。

2.映画『泳ぎすぎた夜』のあらすじ


©2017 MLD Films / NOBO LLC / SHELLAC SUD

雪で覆われた青森の山々。

毎晩、魚屋の父は街の市場に出かけて行きます。父の出掛けに目を覚ました6歳の息子は、そのあと眠ることが出来ませんでした。

皆が寝静まる家の中、少年は絵を描き、ランドセルにしまいます。

翌朝、彼は眠い目をこすりながら学校へと登校しますが、いつしか道をそれて、雪の中をよろめきながら街を目指す。

少年の小さな冒険が始まる…。

3.映画『泳ぎすぎた夜』の感想と評価

ヴェネチア国際映画祭のディレクターのアルベルト・バルベラは今作『泳ぎ過ぎた夜』に次のような感想評価を述べています。

「私はこの小さな映画に恋をしてしまった。
その子供は、信じられないくらいに表現力豊かである。
舞台は冬の日本の北部に位置する小さな町であり、魔法がかった風景、それはもうほとんど幻想的だ。何も起こらない物語 ̶ その子供は、魚市場で働く彼の父親を探すために家を出る。そして見知らぬ街で迷子になる。
それは極めて詩的な、極めて厳密な構成美で描かれた、極めて魅惑的なそぞろ歩きである。この映画は、一見何も物語っていないように見えるが、しかしさてはて、たくさんのことを深く私たちに語りかけてくるのだ。
第74 回ヴェネチア国際映画祭 ディレクター アルベルト・バルベラ」

この物語に登場する主人公を演じた古川鳳羅 (こがわ たから)の表現力の高さを評価しています。

それあってこそ映画の詩情の豊かさも伝わるのでしょうね。

あなたも少年と“そぞろ歩き”したくなりませんか?

さて、実はその主人公の少年のキャスティングはあっさりとは決まらず難航していました。

そんなある日の夏のコンサート会場に、母親と姉に手を引かれた少年がやってきたそうです。

その少年こそ、当時7歳だった古川鳳羅。偶然に彼を見い出した時の喜びを、共同監督のひとりであるダミアン・マニヴェル監督は何よりも印象深いことだったようです。

タカラくんのエネルギーはすごく強い。でもシャイです」と、古川鳳羅を評しています。

また、その際に一緒にいた姉の古川蛍姫 (こがわ けいき)も、その後キャスティングテストをおこない出演が決まったそうです。

映画の公開に向けて、主人公の少年として映画に出演した古川鳳羅は、とても可愛いメッセージを映画ファンに送っています。

えいがのおまつりでしょうをとれていいきもちになりました。青森にもそのえいががきてくれればいいなと思います。つぎに世かいじゅうの人にみてもらってうれしいです。

タカラくん、映画に出れただけでなく、いい気持ちになってよかったね。

世界中の人がタカラくんに注目しますよ。おめでとー!

映画『泳ぎすぎた夜』の共同監督のひとり、五十嵐耕平監督

また、共同監督のひとりで、日本人の五十嵐耕平監督は次のようなメッセージを述べています。

厳しい寒さと降りしきる雪の青森で、まるで初めて雪に触れるように奔放に動き回る主人公の鳳羅(たから)くんの姿がヴェネチアの大きなスクリーンに映し出されることを想像すると楽しみで仕方がありません。そして同時に、あの時青森のみなさんと一緒に過ごした時間の豊かさに感謝の気持ちでいっぱいです。

五十嵐監督のメッセージはからも少年タカラくんだけでなく、気持ちよく撮影に協力してくれた青森のみんなさん、そしてダミアン・マニヴェル監督、ほかスタッフに感謝しきりのようですね。

4.映画『泳ぎすぎた夜』とはどのような作品なのか

この映画は雪で覆われた青森の山々を舞台に、7歳の少年の小さな冒険から始まりますが、今作『泳ぎすぎた夜』が2人の監督で作られたという面白さがあります。

2014年にロカルノ国際映画祭で出会った国も言葉も異なる2人の若き新鋭監督、ダミアン・マニヴェルと五十嵐耕平が、ともに魅せられた美しい原風景のような冬の青森を舞台に、共同監督作品として企画しました。

また、特徴的なひとつに青森で生まれ育った人々と限られたスタッフによって作られたユニークな作品です。

2017年1月中旬から1ヶ月半の間、撮影のほとんどが青森県弘前市で行われ、雪で覆われた青森の山々を望む街で暮らす一人の少年は、学校へ向かう途中にふと道をそれてしまいます。

そして、いつしか電車に乗り、父親の働いている魚市場へ向かうのです。その理由は自分の書いた絵を父親に届ける為に…。

劇中で手袋を無くしたり、犬に出会ったり…、大人にとっては取るに足らない出来事の数々も、当人にとっては新しい発見や驚きの連続地得るでしょう。

そんな少年を等身大の表情と姿で活き活きと演じた古川鳳羅は、もちろん、演技初挑戦

実際に青森県平川市に住む小学2年生であり、劇中で彼を取り巻く家族も、姉をはじめ実際の家族たちが出演しています。

まさに奇跡的な映画で少年の心のように宝物で満ちた小箱のようです。

ダミアン・マニヴェル監督は勿論のこと、静岡県生まれの五十嵐耕平監督にとっても、みちのく青森は未知の場所です…。

お互いにとって馴染みの無い場所で、7歳の少年を主演に据えたこの映画は、誰もが経験する“子ども”という刻をテーマに、文化、国籍、年代を超えた瑞々しい野心作の誕生といえるでしょう。

まとめ

映画『泳ぎすぎた夜』の共同監督のひとり、ダミアン・マニヴェル監督

『泳ぎすぎた夜』は2018年春にシアター・イメージフォーラムほかにて公開。以降全国順次予定になっています。

ダミアン・マニヴェル監督は次のようなメッセージをあなたに語りかけてくれました。

「泳ぎすぎた夜」は、2人の監督、1人の日本人と1人のフランス人の友情から始まりました。自分自身に忠実に、青森の雪の中で最高の仕事をするために、我々は最善を尽くしました。ヴェネツィア国際映画祭に選ばれたことは大変大きな名誉です。それは映画が世界の共通言語であるという証拠です。私は、この映画を日本のみなさんに届ける時が来るのを待ち切れません。

公開が待ち遠しい、そんな気持ちになるのはダミアン・マニヴェル監督だけではないはずです。

ヴェネツィア国際映画祭に出品され上映中された『泳ぎすぎた夜』に、2018年4月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

ぜひ、お見逃しなく!


関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『エス』あらすじ感想と評価解説。逮捕された経験を基に太田真博監督が描き出す“会話満載の群像劇”

映画『エス』は2024年1月19日(金)よりアップリンク吉祥寺で劇場公開! 太田真博監督の初の長編劇場デビュー作『エス』が2024年1月19日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開されます。 太田監督が …

ヒューマンドラマ映画

『由宇子の天秤』ネタバレあらすじ感想と結末の考察解説。1番最後にスマホにて瀧内公美が演じた主人公が見せた“正義・真実への行動”

“正義・真実”を問う社会派ドラマ 2021年劇場公開の映画『由宇子の天秤』が、2022年3月23日(水)よりU-NEXTにて独占先行配信となります。 女子高生いじめ自殺事件の真相を追うテレビディレクタ …

ヒューマンドラマ映画

映画『ドッグマン』あらすじと感想。実話を基に結末まで説得力のある人間関係の闇を活写!

映画『ドッグマン』は2019年8月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国ロードショー! イタリアの片田舎で犬のトリミングサロンを営みながら、平穏に暮らしていたマルチェロ。しかし一方で彼 …

ヒューマンドラマ映画

『2つ目の窓』動画無料視聴はHulu!感想レビューと考察も 

2017年度のカンヌ国際映画祭に登場して、メディアに多く取り上げられた女性監督・河瀬直美。 『光』のほかに『あん』では異例のヒットを記録したことで、日本中にその名を知らしめた監督の一人です。 監督の祖 …

ヒューマンドラマ映画

映画『スパゲティコード・ラブ』ネタバレあらすじ感想。結末ラストの評価解説。13人の登場人物の中に“アナタ”の心情に重なるキャラがいるはず!

「イタイね」「ヤバっ」「分かんない」「何のために生きてんの?」 「どこへ行けばいいの?」みな、迷子。 数々のトップアーティストのMVや、ブランド広告を手がけてきた映像クリエイターの丸山建志監督による初 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学