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【ネタバレ】室井慎次 生き続ける者|あらすじ感想結末と評価レビュー。織田裕二演じる青島との‟約束”がキーワード⁉︎

  • Writer :
  • 星野しげみ

「踊る大捜査線」シリーズの室井慎次が主役の映画『室井慎次 敗れざる者』に続き、『室井慎次 生き続ける者』が公開となりました!

「踊る大捜査線」シリーズで柳葉敏郎が演じた人気キャラクター・室井慎次を主人公にして、2024年10月に公開された『室井慎次 敗れざる者』の続編にあたる『室井慎次 生き続ける者』がついに公開されました。

前編『室井慎次 敗れざる者』では、警察を退官して故郷の秋田で暮らす室井。しかし、なぜか彼の周辺において、自身の過去と湾岸署を連想させられるきな臭い事件が起こり始めます。

前編では、ほろ苦い思いを抱えつつ事件の真相を追い始める室井慎次の姿を描いていましたが、後編となる『室井慎次 生き続ける者』では、自分と一緒に住んでいる子どもたちとの関係に重点をおいたストーリーとなっていました。

映画『室井慎次 生き続ける者』をネタバレ有りでご紹介します

映画『室井慎次 生き続ける者』の作品情報


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

【公開】
2024年(日本映画)

【監督】
本広克行

【プロデュース】
亀山千広

【脚本】
君塚良一

【キャスト】
柳葉敏郎、福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうが、松下洸平、矢本悠馬、生駒里奈、丹生明里、松本岳、佐々木希、筧利夫、甲本雅裕、遠山俊也、西村直人、赤ペン瀧川、升毅、真矢ミキ、飯島直子、小沢仁志、木場勝己、稲森いずみ、いしだあゆみ、織田裕二

【作品概要】
1997年に放送開始され、劇場版作品も大ヒットを記録したテレビドラマ「踊る大捜査線」シリーズで柳葉敏郎が演じる人気キャラクター・室井慎次を主人公に描く映画2部作の後編(前編は2024年10月公開されました)。

室井慎次を長年演じてきた柳葉敏郎をはじめ、新城賢太郎役の筧利夫、沖田仁美役の真矢ミキらおなじみのキャストが揃い、福本莉子や、齋藤潤、松下洸平ら新たなキャストも加わりました。そしてスタッフ陣も、「踊る大捜査線」シリーズを支えてきたメンバーが再結集しました。

映画『室井慎次 生き続ける者』のあらすじとネタバレ


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

警察を辞めて故郷の秋田に戻り、事件の被害者や加害者家族の支援をしたいという思いから、タカとリクという2人の少年を引き取って家族のように暮らしていた室井慎次。

ですが、彼の家のそばで他殺死体が発見され、さらにかつて湾岸所を占拠した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だという少女・日向杏も室井家で一時保護することになりました。

そして、かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城に頼まれ、警視庁捜査一家の若手刑事・桜とともに捜査に協力することになります。

村人たちからはよそ者と疎まれ、どこか謎めいた杏がやって来てからはなんだか家の中の雰囲気も悪くなり始めます。

そんなある日、室井家の納屋が火事になりました。みな外にいたためにケガもなく無事でしたが、火の元がわからず放火の疑いも出てきました。

犯人捜しはしないと言っていた室井ですが、桜と一緒に道に備え付けられた監視カメラの映像を確かめてみると、杏が納屋に燃え盛る火のついた紙を投げ入れる様子が映っていました。

真実を知った室井ですが、杏に対して、攻めも怒りもしません。ただじっと眉間にしわを寄せて何ごとか考え込んでいました。

一方の杏は月に一度、無期懲役の母・日向真奈美の面会に行っていて、「人を信じるな。憎んでやれ」と幸せそうな室井を憎む心を植え付けられていました。

ある日、室井がいない間に室井が隠している銃を金庫から出そうとして杏は室井に見つかってしまいます。「見たいのか」と室井は言い、金庫から銃を取り出すと、杏に射撃を教えます。銃を構えて山に向かって撃った杏。

その音と衝撃に驚いて「怖いから、もう、いい」と言いますが、室井は杏に「人を殺すものと思うから怖いんだ。これは人を守るものだ」と言いました。

素振りの怪しい杏も、このように次第に室井流の愛を感じ始めていました。同級生への淡い初恋に敗れて傷心のタカも、新しい人生の目標を見出して前向きに勉強をはじめ、室井家はまた落ち着き始めました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『室井慎次 生き続ける者』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『室井慎次 生き続ける者』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

一方、室井家のそばにあった他殺死体の事件も犯人が捕まり、室井は警察官の桜に頼まれて取り調べをします。

犯人は、レインボーブリッジ事件の犯人の1人で、服役囚・日向真奈美の崇拝者でした。殺害されたのはやはりレインボーブリッジ事件の犯人で、2人は仲間割れをしたとみられます。

室井は取り調べ室で犯人に言いました。「レインボーブリッジで撃たれた女性警察官を覚えているか。彼女はあれから怪我の後遺症で苦しんでいる。事件の被害者も加害者もその家族は大変な思いをしているんだ」と。家族と聞いて、犯人は黙ってしまいました。

その後、海岸で佇む室井のもとへ新城がやって来ました。手には「事件捜査における室井モデル草案」と書かれた文書を持っています。

室井が頭に描いていた捜査のプロジェクトをまとめたものだそうです。室井がやりたくてもなかなかできなかったことを、これから秋田県警がやろうとしているんだと話します。室井は胸のつかえがとれたような、晴れやかな気持ちになりました。

丁度その頃、室井は時折胸の痛みを覚えるようになっていました。医者に行くと、「狭心症」の疑いがあると言われ、薬を出してくれました。

室井が自分の行く末を気にしていたある日、服役を経て出所してきたリクの父親が訪ねてきました。

リクの母親はリクを産んですぐに家を出ていき、それから父親がリクを育てていたのですが、すぐに暴力を振るい、リクに十分な愛情を注いでいませんでした。

本当の父親の元で暮らすのが正論だと、室井はわかっていましたので、リクの父親に2度とリクを殴らないと約束させ、寂しそうなリクを皆で温かく送り出してやりました。

室井のことを憎むのをやめた杏と室井の後を追って警官になろうとしているタカとの3人暮らしが始まってすぐ、雪の日にリクが父親の家から逃げ出してきました。

室井家に着くと倒れ込んだリクを皆で一晩かけて介抱し、やっとリクの意識が戻り落ち着いた頃、リクの父親がやってきました。

室井は玄関で仁王立ちになり、「リクを殴っただろう」と言いますが、父親は「あいつはあんたのことばかり話すんだ。父親は俺なのに。リクを返してもらおう」と騒ぎだします。

リクの父親は近くにあった斧を手に取り室井に襲い掛かりました。もみ合う2人に、杏はこわごわ室井の銃を取り出し発砲。そこへ杏が110番した警官が駆けつけ、リクの父親を取り押さえました。

外は大雪ですが、室井は「風呂わかしておいてくれ」という言葉を残して、リクの父親が逃がしてしまった秋田犬のシンペイを探しに行きました。

そのあと、室井は帰って来ません。村人をはじめ警察など捜索隊が遭難したのではと、救助に向かいます。

やがて「谷間で犬の鳴き声がする」「谷間に人影、秋田犬らしき犬が側にいる模様」「倒れていたのは男性で心肺停止。犬は離れようとしません」と、雪山に無情なアナウンスが響き渡りました。

そして……室井が愛したロッキングチェアに、次々と花が手向けられ、村人たちが手を合わせに来ました。

子供たちだけになってしまい、これからどうするのだと地区長に尋ねられ、杏、リク、タカは「事件にかかわった人の子供たちを大勢引き取って一緒に暮らしたい」という室井の夢を叶えると言いました。

室井がいなくなり、子供たちがそれぞれ頑張って一歩を踏み出した頃、山道を室井家に向かう一人の男がいました。

あと少しで室井家というところで携帯が鳴り、男は元の道へ引き返します。その男は……青島俊作でした。

映画『室井慎次 生き続ける者』の感想と評価


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

室井慎次の新しい魅力

前編『室井慎次 敗れざる者』は刑事ドラマを観ているような仕上がりでしたが、後編となる『室井慎次 生き続ける者』は一転してヒューマンドラマでした。そのテーマは、もちろん‟家族愛”です。

刑事として活躍していた頃に、事件の被害者、加害者には家族がいることに気が付いた室井。

事件が解決した後、関係者のその家族はどうなるのか。室井は青島との約束も守れなかったこともあり、事件で残された子供たちの里親になることにしたのです。

言葉少なくても真意を持って人と接する室井の態度は、そっけなく見えても実はとても温かい優しさが籠ったもの。室井の飾らないまごころは、杏の歪んだ心もまっすぐにし、寂しがり屋のリクの心を開かせました。

仏頂面で額にしわを寄せる気難しそうなオヤジの室井ですが、どこか憎めない人間らしさがあります。一緒に暮らす子供たちにはそれがよくわかっているのでしょう。

本作では室井と家族との繋がりにスポットライトをあて、これまでに見られなかった室井慎次の新たな魅力があふれる作品となりました。

生き続ける者とは?


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

物語は衝撃的な結末を迎えます。「志半ばでいいのか、室井さん」と言いたいところですが、室井はこんな生活が本当に好きだった彼にとっては、これで良かったのでしょう。

子供たちの日常に神経を使い、一緒に泣いたり笑ったり悩んだり……。室井が楽しかったと呟く場面も何度かありました。刑事時代とは比べ物にならないぐらい穏やかな顔つきの室井は、今が幸せだったのに違いありません。

そんな室井が心残りだったのが、事件捜査のやり方だったのですが、本作でやっとそれが「事件捜査における室井モデル草案」という形になりました。

室井の生きた証とその願いは、子供たちとこの草案にしっかりと引き継がれたと言えます。

室井が気にする‟約束”はまだ終わっていません。室井亡き後もこの‟約束”は生き続けることでしょう。

まとめ


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

「踊る大捜査線」シリーズの人気キャラクター・室井慎次を再び主役にした2部作映画の後編『室井慎次 生き続ける者』をご紹介しました。

前編の「敗れざる者」は、刑事としての輝かしい過去と挫折感を持つ室井に焦点をあて、かつての「踊る大捜査線」のようなスリルあふれるストーリーでした。

後編となる本作「生き続ける者」では、実の家族を持たなかった室井が、事件に関わった人々の子どもたちを保護して家族を作ります

ここで描かれたのは、実直そのもののカタブツ室井の隠し持っていた本当の優しさでした。

「室井慎次」という優秀な警察官の顔と、普通の父親「室井慎次」の顔が見事に描かれた前編・後編の2部作だったと言えます

いかにも室井慎次らしい優しさのにじみ出る終焉。そしてラストで登場する、あの青島刑事。

室井との約束の元となった青島の登場と、室井の思うプロジェクトが構成されつつあることも描かれ、このシリーズはまだまだ続くと確信させます

室井家の子供たちのその後も気になるところで、続編への期待が高まります。


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