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Entry 2017/12/16
Update

映画『ビジランテ』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 馬渕一平

大森南朋×鈴木浩介×桐谷健太、トリプル主演!!!

注目の監督、入江悠がオリジナル脚本で描く渾身のノワール。

『ビジランテ』をご紹介します。

以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『ビジランテ』の作品情報をどうぞ!

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1.映画『ビジランテ』の作品情報


(C)2017「ビジランテ」製作委員会

【公開】
2017年(日本映画)

【監督・脚本】
入江悠

【キャスト】
大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太、篠田麻里子、嶋田久作、間宮夕貴、吉村界人、般若、坂田聡、岡村いずみ、浅田結梨、八神さおり、宇田あんり、市山京香、たかお鷹、日野陽仁、菅田俊

【作品概要】
『SRサイタマノラッパー』シリーズの入江悠監督がオリジナル脚本で挑むのは地方都市を舞台とした本格ノワール。

大森南朋×鈴木浩介×桐谷健太のトリプル主演!!!
 
さらに、篠田麻里子や間宮夕貴に吉村界人、ラッパーの般若など多彩な面々が脇を固めます。

3兄弟それぞれが迎える結末とは!?

2.映画『ビジランテ』のあらすじとネタバレ


(C)2017「ビジランテ」製作委員会

母が死んだ日に父・武雄の首を刺し、川を渡って逃げる神藤家の三兄弟、長男の一郎・次男の二郎・三男の三郎。

一郎は父を刺したナイフを箱に隠し、それを土の中に埋めます。

一郎は父に捕まるとその場にあった石で顔面を強打され、左側の額に大きな傷ができました。

家に連れ戻された三兄弟は激しい折檻を受け、堪らず一郎はその場から逃げ出しました。

二郎と三郎は兄を引き止めようとしますが、一郎はそのまま夜の闇の中へと消えて行きました。

それから30年が経ちました。

暴君であった父が死亡し、葬儀が行われます。

二郎は町の有力者であった父親の跡を継ぐかのように市議会議員となり、地元市議会の最大会派である大泉一派に加入し、出世コースを這い上がろうとしていました。

三郎は地元暴力団石部組のヤクザ、大迫に雇われる形でデリバリーヘルスの店長をしています。

二郎は父の葬儀に出席しなかった三郎を呼ぶと、父の遺骨を渡しました。

そして、二郎は大泉が進めているアウトレットモールの誘致建設計画のために父が持っていた土地の権利を自分に譲ってほしいと三郎に話します。

父を嫌悪していた三郎は二つ返事で了承し、二郎のプランは上手くいくはずでした。

しかし、そこに公正証書を持ったある男が現れ、土地相続の権利を主張。

その男こそ30年前に二郎と三郎を置いて逃げ出した一郎でした。

左額には確かに父に付けられた傷が残っており一郎に間違いありません。

二郎は顧問弁護士の飯田に相談しますが、その公正証書は法的に有効なものでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ビジランテ』結末の記載がございます。『ビジランテ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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父が暮らしていた実家に若い女、サオリと住む一郎でしたが、暴力的で薬中毒の一郎に嫌気がさしサオリは逃げ出します。

何の因果か一郎は三郎のお店を利用し、実家にお店の女の子・亜矢を呼びますが、薬で幻覚を見た一郎は亜矢に乱暴しました。

その報告を受けた三郎は飛び起き、怒りに震えながら一郎の住む実家に向かいます。

薬で意識が飛んでいる一郎の姿を見た三郎は何もすることができませんでした。

その後、一郎から暴行を受けた亜矢はお店を辞めることになり、中華屋で別れの食事をお店の皆で黙って囲みました。

二郎は町の治安を維持するために活動している自警団・けやき防犯会のリーダーに就任しています。

その夜もいつも通り皆で町の見廻りを行なっていましたが、中国人労働者が暮らしている一帯に近付いた時に問題が発生。

騒音苦情が出ていることを彼らに伝えている時に、その日入団したばかりの若者・石原が突如暴力を振るい、そこから大騒動に発展。

二郎は騒動を起こした責任を咎められ市議会での立場も危ういものに。

一郎が公正証書によって土地の権利を主張していることに業を煮やした大泉一派の岸は、一郎の権利をどうにか放棄させようと、裏で手回しを行なっていました。

三郎がみかじめ料を納めている時に、大迫は一郎が握っている土地の権利を三郎が譲り受けるよう言い聞かせます。

一郎に土地を譲ってくれるよう頼んだ三郎でしたが、戦争に行った祖父が満州から帰って来て最初に買った土地だからアウトレットモールなんかのために手放すわけにはいかないと一郎はそれを断固拒否。

その一郎は多額の借金を抱え込み、ここへ来る前に暮らしていた横浜の暴力団の幹部、湊が借金の取り立てにきていて、苦しい状況のはずでした。

その頃、二郎が率いるけやき防犯会が中国人労働者が住んでいる地区を重点的に見廻りしているところを、怪し気に覗く中国人二人組の姿が。

彼らは暴行を受けた復讐として、パチンコで石をぶつけようと狙っていました。

一つ目の小さな石が外れ、二つ目の大きな石を取るとパチンコを発射。

軽く痛がらせる程度のはずが、石原の左眼に命中し、眼からは止めどなく血が流れ出し石原はその場に崩れ落ちました。

結果は失明。中国人労働者への世間の風向きも冷たくなってきました。

二郎は二郎で問題を抱えている時、三郎は大迫に呼び出され、とある焼肉店を訪れます。

その場で土地の事について聞かれた三郎は、権利を譲ってもらうのも無理でお店もこのまま辞めますと大迫に告げました。

その返事を聞いた大迫は激怒し、三郎の右手にその場にあった金属の棒を突き刺し、簡単に取れないようテーブルに打ち付けました。

痛みに震える三郎に、大迫は明日の17時までに土地の権利を譲り受けないと三郎のお店の女の子を全員殺すと吐き捨てお店を立ち去ります。

大迫は手下に拉致を指示し、三郎のお店の女の子たちはコンテナの中に押し込められてしまいました。

三郎は右手から棒を引き抜くと大量の血を流しながら、急いで車に乗り込みます。

その頃、片目を失明した石原が病院を抜け出し、仲間と一緒にガソリンを運んでいました。

彼らは中国人労働者が暮らす地帯にガソリンを巻いて火を放ち、火はみるみるうちに燃え広がっていきます。

三郎の向かった先は二郎の家でした。

玄関を開けた二郎の前にボロボロの三郎の姿が。

三郎は一緒に一郎兄貴の元に頼みに行って欲しいと懇願します。

そこに電話がかかってきて、中国人労働者の暮らす地域で火災が発生していると妻・美希が二郎に伝えました。

二郎は、30年前に父の首を刺したのは一郎ではなく三郎だと言い放ち、玄関の扉を閉めました。

二郎に断られた三郎は30年前に渡った川を渡り、一郎が埋めた箱を掘り出します。

そのまま一郎のいる実家に向かいますが、一郎の姿はなく、クタクタになった三郎はその場で眠りについてしまいます。

火災現場に車で向かう二郎と美希。

途中で中国人労働者の男性二人が石原たちに暴行を受けて自転車で追いかけられている姿を見かけ、二郎はそっちの方向へ向かおうとしましたが、美希はそれを引き止めました。

火災事件と暴行事件は大々的に取り上げられ、モール建設計画の土地に暮らしていた中国人労働者の件も解決し、残る問題は一郎の持つ公正証書のみ。

二郎がモール建設計画のメンバーから外されそうになっていることを感じ取った美希は、私に任せてと二郎に囁くと大泉が待つ部屋に一人で入っていきました。 

冷たい風に吹かれ目を覚ました三郎の目の前には出て行ったはずのサオリの姿が。

時刻はすでに約束の時間である17時間近でした。

買い物から戻ってきた一郎に、権利を放棄してくれと三郎が頼んでいるところに大迫が部下を引き連れて訪れます。

土足で部屋に上がり、証書の放棄を詰め寄る大迫に対し一郎は靴を脱げと吐き捨て取り合いません。

そこへ、一郎が借金をしている横浜のヤクザ、湊たちが乗り込んできました。

一触即発の空気の中、大迫と湊が話し合いをつけ、土地の権利は大迫側がもらうことになりました。

お互いに家中の書類をかき集め、怒号が飛び交う中、一郎は三郎が掘り起こしたナイフをおもむろに手に取ると、それを大迫の首に突き刺しました。

大迫は血を吹き出してその場に倒れ、息絶えました。

そのままお互いの組で乱闘となり、湊側が銃を発射。

大迫を含む手下は全員生き絶え、流れ弾を受けた一郎も血を流し動きません。

サオリが一郎にすがり泣き叫びますが、一郎は動きませんでした。

湊たちは証拠を隠滅し、遺体を処理する準備を始めます。

三郎はサオリを一郎から引き剥がし、店の女の子が捕えられているコンテナがある場所に向かいます。

車を止め、三郎が店の女の子たち助け出して車に戻るとサオリの姿はありませんでした。

その頃、二郎はモール建設計画のメンバー発表を行うパーティー会場にいました。

二郎も無事にメンバーに選ばれ、就任の挨拶を行います。

二郎が壇上に上がる直前、岸から血に染まった公正証書の写真を見せられ、土地の問題が解決したことを報告されました。

様々な思いが交錯した二郎は涙を流しながら、メンバーに選ばれたことに感謝し、精一杯力を尽くすことを誓いました。

車を走らせる三郎の目にとある車が映りました。

三郎は空き地に車を止めると、すぐ戻るからと告げ、ガソリンスタンドに向かいます。

そのガソリンスタンドには一郎を殺した湊の車が止まっていました。

三郎は窓をノックすると、錆び付いたナイフを手に車内に飛び込んでおそいかかります。

数発の銃声が響き、車は猛スピードで立ち去りました。

腹を撃たれた三郎はその場に倒れています。

車内には三郎の帰りを待つ店の女の子たち。

実は彼女たちは三郎が助けに来てくれるかどうかで賭けをしていました。

三郎は腹を撃たれ血を流しながら、這いつくばってお店の女の子たちが帰りを待つ車に向かって進んでいきます。

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3.映画『ビジランテ』の感想と評価


(C)2017「ビジランテ」製作委員会

『SRサイタマノラッパー』シリーズで注目を集め、その後は商業映画やTVドラマをいくつか手掛け、着実に日本を代表する映画監督として歩みを進めている入江悠。

『SRサイタマノラッパー』シリーズ以来、約10年ぶりとなるオリジナル脚本で挑むのは監督の故郷である埼玉県の深谷という地方都市を舞台とした本格ノワール。

ノワールとはフランス語で黒を意味し、フィルムノワールという一つのジャンルを形成しています。

真冬の深谷でロケを行ったという本作も曇天ばかりで全体的に画面は暗く、色調は統一されています。

初っ端から子どもがボコボコにされるシーンから始まるので正直万人にお薦めできるタイプの作品ではありません。

ただ私は、去年と比べると不作と言われる2017年の日本映画に遂にとんでもない傑作が現れてしまったなと思いました。

まずキャスティングが実に素晴らしい。

背景の説明などほほ皆無で一郎の背負ってしまった業を佇まいだけで表現しきる大森南朋。

一郎の女であるサオリには『風に濡れた女』で圧倒的な魅力を発揮した間宮夕貴。本作では色気は程々に幸の薄さ全開。

本当は優しい人間のはずなのに、地元で生きていくためには狡賢くならざるを得なかった二郎を演じる鈴木浩介。ドラマのイメージが強い俳優さんですが、今回の演技を観てもっと映画にも出て欲しいと思いました。

物語の重要な鍵を握る二郎の妻の美希には篠田麻里子。病院のお見舞いで石原に果たして何を吹き込んだのか。確かな気品を感じさせ、実に説得力たっぷりに演じています。

自警団の若者・石原には今注目の若手俳優、吉村界人。TVドラマ『ワニトカゲギス』でも似たような役回りを見事に演じ切っていました。閉塞感の漂う地方都市で石原が見た光とは一体何だったのか。

『フリースタイルダンジョン』によって人気も知名度も大きく高まった般若が演じるのはヤクザの大迫。ラッパーの方が演技をすると素晴らしいというのは田我流やYOUNG DAISがすでに証明済ですが、多才な人は本当に何をやっても上手いなと改めて思いました。

そして、本作の演技で間違いなく役者として大化けしたなと思わされたのが、三郎を演じた桐谷健太。

癖のあるキャラクターを演じ、助演において素晴らしい働きをする印象で、彼が出ていれば大体良い作品というくらい安心感を持って見ていられる俳優でした。

しかし、今回は主演で圧倒的な存在感を放ち、まさに役が憑依したといっていい程の熱演を見せています。しかも従来の日本映画に多い大声で泣き叫んだり感情を大きく爆発させるシーンはほぼ皆無です。

全体的に抑えた演技で三郎の苦しみを表現。僅かな瞳の揺れや表情の変化、色気すら漂わせていました。

出てくるだけで人の良さや温かみを表現できる俳優はなかなかいません。パッと思いつく限りだと他にはマハーシャラ・アリくらいでしょうか。

今年の映画賞関連で受賞することは間違いありません。

そして、この映画は演技面だけでなくテーマ性も素晴らしい。

地方都市を舞台にした作品で思い出されるのは富田克也監督の『サウダーヂ』、この作品も傑作なので本作が刺さった方にはぜひ観ていただきたい作品です。(残念ながらパッケージ化はされませんが)

入江監督は『SRサイタマノラッパー』ではそこから出て行く3人の若者たちの物語をコミカルに描いていましたが、本作はその閉塞感やしがらみ、そこに血縁や土地や移民問題まで混ぜて、三兄弟を絡めとります。

三兄弟にはそれぞれ大きな決断を迫られる場面が訪れます。

一郎は30年前に一度、二郎はどちらも美希がいる時に二度、三郎は幾度も選択の機会があったはずなのにあまり躊躇せずに選んでいきます。唯一悩んだ場面が一箇所ありますが、その決断が辿る運命の切なさはまさにノワールそのもの。

そして、その決断は入江監督自身の立場を反映させたものではないかと思いました。

商業映画には制約が多く恐らく完璧にコントロールすることは不可能とは分かっていますが、ある2本の作品の出来には正直ガッカリさせられた思い出があります。

しかし、二郎のように悔しい想いをしたとしても結果的にその仕事を引き受けたことが後の作品に繋がることはあるでしょう。

三郎のように這いつくばってでも待っている観客に届けたい想いがあるでしょう。

小規模でもオリジナルにこだわってこの作品を取った意味はとんでもなく大きいと思います。

大ヒットは無理かもしれませんが、一人でも多くの方にこの想いが届いて欲しいなとそう思いました。

まとめ


(C)2017「ビジランテ」製作委員会

いくとこまでいってしまって後戻りできない暴力的な世界を観て連想したのは、韓国映画です。話の設定や展開的には特に『チェイサー』や『アシュラ』。

国が援助したおかげで今の韓国映画の質の高さは本当に目を見張るものがあり、次から次へと面白い作品が生まれています。

私は映画ファンとして純粋に楽しみつつも、心のどこかでは憧れとともに悔しさを抱いていました。日本映画だって同じようにバイオレントかつ心を抉るような作品が生み出せるのではないかと。

その期待通りの作品がついに日本映画から生まれました!

作品を観る前にたまたま入江監督をお見かけし、握手までしていただいてしまったただのいちファンとして、監督のこれからの活躍に大きな期待を抱いています。

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