映画『ホゾを咬む』は2023年12月に封切り後、全国で順次公開中!
PFFアワード2023入選の短編『サッドカラー』など国内外で注目を集め続ける髙橋栄⼀監督の⻑編デビュー作『ホゾを咬む』。本作は2023年12月の封切り後、横浜ジャック&ベティで2024年1月20日(土)〜1月26日(金)、元町映画館で1月27日(土)〜2月2日(金)に公開されます。
また1月22日(月)からは、高円寺シアターバッカスで3ヶ月ロングラン上映とともに、髙橋監督の特集上映の開催も決定されました。
髙橋監督が独自の切り口のもと「愛すること」を描き出した『ホゾを咬む』。全編モノクロームの世界が放つ怪しさと品格、独特な間合いや台詞が観る者を異世界へと誘う、新感覚の日本映画です。
主人公を『とおいらいめい』(2023)のミネオショウが、ヒロインを『サッドカラー』(2022)で主演を務め、本作のプロデューサーも務めた小沢まゆが演じます。
映画『ホゾを咬む』の作品情報
【日本公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本・編集】
髙橋栄⼀
【プロデューサー】
小沢まゆ
【撮影監督】
西村博光
【キャスト】
ミネオショウ、小沢まゆ、木村知貴、河屋秀俊、福永煌、ミサ、リサ、富士たくや、森田舜、三木美加子、荒岡龍星、河野通晃、I.P.U、菅井玲
【作品概要】
短編映画『サッドカラー』(2022)などで知られる新進気鋭の映像作家・髙橋栄⼀が脚本・監督を務めた長編劇場デビュー作。髙橋監督⾃⾝がASD(⾃閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)のグレーゾーンと診断されたことに着想を得て、独⾃の切り⼝で「愛すること」を描き出しました。
主人公・茂木ハジメを演じるのは、主演作『MAD CATS』(2022)をはじめ『クレマチスの窓辺』(2022)『とおいらいめい』(2022)などに出演し、幅広い役柄をこなすカメレオン俳優・ミネオショウ。
映画『少女〜an adolescent』(2001)にて国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞し、本作のプロデューサーも務めた俳優・小沢まゆが主人公の妻・ミツを演じます。
また木村知貴、河屋秀俊ら実力派の面々が脇を固める他、『百円の恋』(2014)など武正晴監督作品に数多く参加し、『劇場版 アンダードッグ』(2020)で第75回毎日映画コンクール撮影賞を受賞した西村博光が撮影監督を担当しました。
映画『ホゾを咬む』のあらすじ
不動産会社に勤める茂木ハジメは、結婚して数年になる妻のミツと二人で暮らしています。子どもはいません。
ある日、ハジメは仕事中に普段とは全く違う格好のミツを街で見かけました。帰宅後、ハジメが妻に今日何していたかと聞いてみると、ミツは「今日は一日外出していない」と答えました。
ミツへの疑念を晴らせず、その行動を掴めないことへの苛立ちから、ハジメは家に隠しカメラを設置しました。
自分の欲望に真っ直ぐな同僚、職場に現れた風変わりな双子の女性客など、周囲の人々に心掻き乱される日々。その中でハジメは自身の監視行動を肯定し、さらにカメラの台数を増やします。
ある時、ミツの真相を確かようと尾行を行おうとするハジメの後を、以前から家の前に姿を現していた見知らぬ少年が付いてきます。
そしてついに、ミツらしき女性が誰かと会う様子を目撃したハジメは……。
映画『ホゾを咬む』の感想と評価
自分が仕事をしている間の妻の動向を知りたいがために、家にカメラを設置し彼女の行動を逐一監視するようになった男の“愛情の変異”を描いた『ホゾを咬む』。
モノクローム映像で描かれる本作は、全編どこかファンタジックで現実感がありません。変わり者のハジメにくわえ、風変わりな双子の姉妹客、「日焼け止めクリームの匂い」に固執する同僚、何度も自宅前に現れる謎の少年など、奇妙な登場人物が次々に現れます。
妻に火災報知器だと嘘をついて監視カメラを何台も設置し、日中ずっとその映像を追い続けるハジメ。ハジメの愛の形は、一般的には理解しがたい類のものかもしれません。
愛は「束縛」という感情に直結しがちです。その感情は“たが”の外れやすいものでもあり、当の本人だけは“変異”に気づかないまま行動をエスカレートさせていきます。
思ったことを素直に口にできず、なんでも胸の内に溜め込んでしまう性格のハジメは、妻への愛の言葉を発する代わりに「監視」という負の行動へ突き進んでいくのです。
嫉妬や猜疑心は、人の心を“迷宮”へと誘い込みます。そしてハジメはどんどん深みにはまっていき、“変異した世界”……“異世界”を彷徨うようになりました。
彼は果たして妻の真実を知り、“異世界”から抜け出せるのでしょうか。独特の世界観がクセになる本作を、どうぞ最後までお楽しみください。
まとめ
「妻を毎日、隠しカメラで監視し続ける」という行動を選んだ主人公・ハジメの、恐ろしいほどシンプルで、ゆえに特異な愛を描く『ホゾを咬む』。
最初は「自分の知らない妻を知りたい」という思いから始めた監視でしたが、次第に中毒とも言えるほどに、ハジメは“映像の中の妻”に見入るようになっていきます。
ハジメの妻への愛と、映像が持つ魔力が混ざり合うことで生まれていく“異世界”の様相に、観る者は戦慄を覚えるかもしれません。