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Entry 2020/03/06
Update

映画『星屑の町』感想レビューと評価。のんがロケ地の岩手県久慈市に里帰り⁈

  • Writer :
  • もりのちこ

ひとりひとりが輝ける場所が、きっとある。
そこで精一杯、輝けばいい。ここは、星屑の町。

劇作家・演出家の水谷龍二とラサール石井、小宮孝泰が結成したユニット「星屑の会」によって、1994年から25年に亘って愛され続けた舞台「星屑の町」シリーズが、映画化となりました。

ヒロインの愛を演じるのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で一躍人気となった、のん。東日本大震災後、岩手に元気を届けてくれました。

それ以来、ずっと岩手県は、のん推しなのです。「あまちゃん」の聖地、岩手県久慈市でのロケも行われ、地元は盛り上がっています。

東北4県先行上映となった『星屑の町』。全国公開に先駆け、あらすじ、みどころを紹介します。

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映画『星屑の町』の作品情報


(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ
【日本公開】
2020年(日本映画)

【原作】
水谷龍二

【監督】
杉山泰一

【キャスト】
大平サブロー、ラサール石井、小宮孝泰、渡辺哲、でんでん、有薗芳記、のん、菅原大吉、戸田恵子、小日向星一、相築あきこ、柄本明

【作品概要】
25年愛され続けた大人気舞台「星屑の町」シリーズが、ヒロインにのんを迎えて映画化となりました。

監督は、森田芳光監督の助監督として力を付け、『の・ようなもの のようなもの』で初監督を務めた、杉山泰一監督。

地方回りの売れないムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」が、織りなす人情ドラマ。映画の舞台は、東北の田舎町。

舞台でお馴染みのメンバー、大平サブロー、ラサール石井、小宮孝泰らをはじめ、戸田恵子、柄本明など実力派俳優が勢揃いです。

映画『星屑の町』のあらすじとネタバレ


(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ
ここは東北の田舎町。緑の木々の隙間から木漏れ日が差し込み、小川の水面がキラキラと輝いています。町は、祭りの準備で賑わっていました。

自転車で通りかかった久間部愛の足元に、紙飛行機が飛んできます。開いてみると「山田修とハローナイツ歌謡ショー」のチラシでした。

「こらー」。チラシを飛行機にして遊んでいる子どもたちを、山田啓太が叱っています。「頑張ってね」。愛に声をかけられ、嬉しそうです。

愛は、母親の浩美が経営するスナックを手伝っていました。客の話題は、まもなく開催される「山田修とハローナイツ歌謡ショー」についてです。

ここは、山田修の故郷でもありました。修の弟・山田英二は、ママの浩美に惚れています。

酔っ払いの客たちは、英二をからかい始めました。「ハローナイツに愛ちゃんの父親がいるんでねぇが?ママが札幌にいた頃、会ったごとあんだべ。修でねぇのがー」。「んだー。顔っこいい、ボーカルの方だべさ」。噂話をする酔っ払いに掴みかかる英二。

その話を聞いていた愛は、星空を見上げ父親のことを思うのでした。遠洋漁業の船乗りだった父は、海に落ちて死んだと、母親からは聞いていました。

いよいよ、歌謡ショー当日です。舞台となる学校の体育館では、マイクチェックが行われていました。英二は、山田修とハローナイツの前座を務める、キティ岩城を迎えに行きます。

ド田舎に降り立ったベテラン女性歌手のキティ岩城は、「私も落ちたものね」と言いながらも、慣れた感じでステージの準備に入ります。

一方、ハローナイツの控室では、問題が発生していました。「おら、歌手になりたい、ハローナイツに入れでけろ!」。愛の声が響きます。

リーダーの修は、突然のことに驚き困ってしまいます。「誰かに言われたのかい?」。「市村のおじさんが、歌手にしてやるって言ってだ」。「いちむら~!」。

ハローナイツのメンバーのひとり市村敏樹は、お調子者の関西人。前の晩、愛の母・浩美のスナックに顔を出した市村は、歌手になりたいという愛に、良い顔をしようと大口を叩いていました。

その言葉を真に受けた愛は、しつこくメンバー入りを迫ります。愛が、そこまでハローナイツにこだわるのには、ある理由がありました。

愛は歌手を夢見て一度上京した経験がありました。東京で、悪い人に騙され借金を作り、田舎に出戻っていましたが、歌手になりたい夢は諦められませんでした。

そして何より、ハローナイツに本当のお父さんがいるかもしれないと、愛はそう信じていたのです。

愛の必死さに、ハローナイツのリーダー修は、オーディションを提案。愛は、ギターを弾きながら「新宿の女」を歌い上げます。

愛の性格を現すような、真っ直ぐで伸びやかな歌声に、ハローナイツのメンバーは驚きます。

歯痛で苦しんでいたメンバーのひとり青木五郎だけは、イライラした口調で「磨いてもイモはイモや」と吐き捨て、反対します。

しかし、他のメンバーは「やる気が感じられる、愛&ハローナイツも良いな」と、前向きです。

いざ、愛をメンバーに入れようと決心する修の元に、弟の英二が何やら深刻な顔つきでやってきます。「愛ちゃんの苗字知っとるが?久間部だべ。あの六造の孫だ。愛ちゃんをこの村から出すだけでも殺されっぞ」。

慌てだす山田兄弟。英二は、愛の祖父・六造の伝説をメンバーに話して聞かせます。

「今から40年前、この村に3人のよた者が流れ着いたさ。男たちは、村の娘を手籠めにし、好き勝手して帰りよる。

男たちが村を去ろうとした時、六造が日本刀を持って現れ、めった刺しにし、切り刻んで炭焼きで焼いたんだべ」。

炭焼き職人の真っ黒い顔をした六造の様子が浮かび上がり、ハローナイツのメンバーは震えあがります。

以下、『星屑の町』ネタバレ・結末の記載がございます。『星屑の町』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ
修は、愛を呼び出し、オーディションの結果は、不合格だと伝えます。納得のいかない愛に、メンバー達は、歌手になっても楽しくないと愚痴をこぼし始めます。

メンバーの込山晃は言います。「楽しいのは最初だけ。一年、また一年、売れずにただ続けてる」。そこには、疲れ切ったおじさんの顔がありました。

そんなおじさん達に、愛は「つまんねぇ人生だな。あだすが入ったら、おじさん達の運命、変わるがもよ」と、喝を入れます。

しかし今度は、ボーカルの天野真吾が、独立を考えていることがバレてしまいます。喧嘩はさらにヒートアップ。お互いの悪口合戦に収集がつきません。

ハローナイツを続けるために、メンバーの西一夫に金の工面をしてもらっていたリーダーの修は、申し訳ない気持ちを伝え、静かに言い放ちます。「今日を最後に解散しよ」。

歌謡ショーはすでに始まっていました。舞台では、キティ岩城が会場を盛り上げています。

そして、ハローナイツのラストステージとなりました。メンバーそれぞれの顔は、もう覚悟を決めたかのように晴れやかに見えました。

オリジナル曲「MISS YOU」です。ボーカルの真吾は、愛をステージに呼び一緒に歌おうと誘います。

2人の歌声は、ぴったりと重なり、まるで親子のようにも見えました。村の観客は大喜び、歌謡ショーは大成功に幕を閉じました。

お別れの時です。「愛ちゃん、元気でな。六造じいさんによろしくな」。声をかえる修に、愛は「じいちゃんなら、3年前に死んだべ」と返します。

「えっ!?」。英二を見るとバツの悪そうな顔をしています。英二は、息子の啓太が愛を好きな気持ちを知っていて、東京に行かせたくなかったのです。

「自分のことばっか考えて、こったな田舎に縛り付けて置ぐきが」。修の言葉に、今まで溜めて来た兄への不満が爆発する英二。「兄さんこそ、俺に全部押し付けて、さっさと出て行ったくせに」。

兄弟げんかを止めに入ったのは、英二の息子・啓太でした。「愛ちゃんの夢、叶えでけれ」。

愛は、啓太の応援もあって、ハローナイツのメンバーになりました。「愛&ハローナイツ」のスタートです。

愛がうたう「恋の季節」は、順調にファンを増やしていきました。そして、テレビ出演にステージにと忙しい日々が続きます。

愛は、自分の歌いたい歌、父親のこと、啓太のこと、これからの人生を考えていました。

そして、ハローナイツの凱旋ライブが、盛岡で決定しました。愛は、母と英二、啓太を招待します。

楽しいステージはあっという間でした。成長した愛の姿に、地元の皆も嬉しそうです。

その夜、修と英二兄弟も一緒に酒を交わしていました。愛の父親の話になり、札幌の話をしだす修に、「まさか、おめぇじゃねえよな!」と掴みかかる英二。「おれじゃねえよ」。

そこに、愛の母親・浩美がやってきます。実は、英二と浩美は、結婚の約束をしていました。愛に、新しい父親が出来ました。

愛は、啓太に宣言します。「もう後ろは振りむがね」。それを温かく見守る啓太。

次の朝、駅のホームにハローナイツのメンバーを見送る、愛の姿がありました。いつまでも大きく手を振る愛。愛は、新しい自分の道を見つけていました。

汽車の中では、ハローナイツのメンバーとキティ岩城が、賑やかに花札を楽しんでいます。皆、どこか寂しそうです。

そこに、さっそうと現れた二枚目。ボーカルの真吾でした。「シンちゃん!やっぱりソロはつまらんか?」「そういうこっちゃ!」。笑い声が響きます。

東北の田舎町では、作物の収穫時です。浩美が2人分のお弁当を持って畑にやってきました。英二と啓太親子は、嬉しそうに手を振っています。

一方、ステージの上には、楽しそうに歌う愛の姿がありました。後ろには、4人組の男性アイドルがキレキレに踊っています。おじさん達よりはイイ感じです。

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映画『星屑の町』の感想と評価


(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ
笑って、泣いて、歌う人情映画『星屑の町』。懐かしい昭和の名曲の数々と、主人公・愛のサクセスストーリーに、心がほっこりします。

島倉千代子の「ほんきかしら」を始め、藤圭子「新宿の女」内山田洋とクールファイブ「中の島ブルース」ピンキーとキラーズ「恋の季節」など、一度聴いたら病みつきの名曲揃いです。

映画館では、年配の方々が思わず一緒に歌い出してしまう場面もありました。

そして、1996年に発売されている、山田修とハローナイツのオリジナル曲「MISS YOU」。主人公・愛(のん)と、真吾(大平サブロー)のデュエットもみどころです。

また、今作でもオリジナル曲が誕生しています。愛&ハローナイツで「しゃぼん玉」です。のんの可愛らしい高音の声がよく合うアップテンポなリズムに、ハローナイツの絶妙なコーラスが入り、楽しい気分になる1曲です。

舞台で25年間愛され続けた『星屑の町』シリーズなだけに、ハローナイツのメンバーの息のあった芝居が光ります。

「コント赤信号」のメンバーだった小宮孝康とラサール石井「太平サブロー・シロー」の漫才コンビだった大平サブローと、昭和のお笑いを盛り上げた芸人さんたちの掛け合いは、面白くないはずがない。

低音ハスキーボイスのボーカル、しんちゃん(大平サブロー)の歌声にしびれます。

ベテラン女性歌手・キティ岩城を演じたのは、これまたベテラン女優の戸田恵子。彼女の貫禄ある豪ジャスな歌いっぷりに、村の体育館も高級クラブに大変身です。

豪華キャストの中に新たに加わったヒロイン・愛を演じたのん。田舎娘が似合うこと。今作ではギターの弾き語りにも挑戦。藤圭子の名作「新宿の女」を、心を込めて歌い切りました。

ロカビリーファッションに身を包み、ハローナイツのメンバーと歌うのんの姿には、子の成長を喜ぶ親の気持ちになってしまいました。

歌の力で、一歩一歩前に進んで行く人々の姿を描いた映画『星屑の町』は、自分の輝ける場所がきっとあることを教えてくれます。その場所で、精一杯輝ける自分でありたいものです。

まとめ


(C)2020「星屑の町」フィルムパートナーズ
映画『星屑の町』のロケ地のひとつとなった岩手県久慈市では、女優のんの里帰りに大盛り上がりです。

のんは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で天野アキを演じて以来、岩手県のPR活動に積極的に参加しています。

地元では、今作公開に向け「公式応援隊」が結成され、久慈市ではロケ地マップも作成されました。

昭和の名曲にのせて、ヒロイン・のんの七変化をお楽しみください。

映画『星屑の町』は2020年3月6日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショーです。



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