チェ・ミンシク主演作『不思議の国の数学者』は2023年4月28日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかにて全国公開!
『オールド・ボーイ』『新しき世界』で知られるチェ・ミンシクが主演を務めた映画『不思議の国の数学者』。
脱北した天才数学者と、挫折寸前の苦学生の出逢いを通じて、一歩を踏み出す勇気と希望を描き出したヒューマンドラマです。
秀才が集まる名門校で夜間警備員を務める男の正体は、脱北した天才数学者だった……数学が苦手な苦学生の青年は彼に教えを乞い、絆を深めていきます。
そして、天才ゆえに男が歩んできた苦悩の道とは、果たしてどのようなものだったのか。2023年4月28日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかで全国公開される本作の魅力をご紹介します。
映画『不思議の国の数学者』の作品情報
【日本公開】
2023年(韓国映画)
【監督】
パク・ドンフン
【脚本】
イ・ヨンジュ
【キャスト】
チェ・ミンシク、キム・ドンフィ、パク・ビョンウン、パク・ヘジュン、チョ・ユンソ
【作品概要】
『オールド・ボーイ』(2003)のチェ・ミンシク主演作。脱北した天才数学者と挫折寸前の男子学生の出逢いを通じて、一歩を踏み出す勇気と希望を描き出します。
チェ・ミンシクが主人公の天才数学者・ハクソンを味わい深く演じ、数学が苦手な苦学生・ジウ役を“競争率250倍”のオーディションを勝ち抜いた若手俳優キム・ドンフィが抜擢されました。
また『SEOBOK/ソボク』(2021)のパク・ビョンウン、『毒戦 BELIEVER』(2019)のパク・ヘジュンが出演しています。
映画『不思議の国の数学者』のあらすじ
上位1%の英才が集う名門私立高校に通うジウは、苦手な数学で悩んでいました。
ついには先生から普通学校への転校を勧められてしまいますが、父亡き後に自分を一人で育て上げてくれた母に明かすことができません。
一方、同校の夜間警備員として働く無愛想なハクソンは、実は学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者という顔を持っていました。
ある雨の晩、校則違反により退寮させられてしまったジウは、やむなく警備員室に泊めてもらいます。ジウが眠っている傍らで、ハクソンは彼の数学の難問プリントをすべて解き明かし、授業でそのことに気づいたジウは驚きます。
ジウはハクソンに数学を教えてもらおうとしますが、追い払われます。しかしジウが成績不振のみならず、低所得家庭の子だからという理由でも教師たちに疎まれていることを知ったハクソンは、周囲には秘密でジウに数学を教え始めます。
「正解だけを求めるのではなく、問題を解く過程こそが大切だ」と教えるハクソン。ハクソンの教えのもと、ジウは着実に力をつけていきました。
そんな中、ハクソンの人生に思わぬ転機が訪れ……。
映画『不思議の国の数学者』の感想と評価
脱北してきた天才数学者のハクソンは、身の上を隠して高校の夜間警備員として働いていますが、その心の内にはあまりにもつらく悲しい過去を抱えています。
一方の学生・ジウは、超名門校に通いながらも数学の成績が悪いことに悩み、家が貧しいために教師からは非情にも転校を勧められ、挫折寸前でした。
孤独な魂が呼応したのでしょう。二人は磁力が呼び合うかのように互いに惹かれ始めます。
偶然、ハクソンの数学の実力の知ったジウは、教えを乞うようになりました。はじめは断っていたハクソンでしたが、ジウの厳しい身の上を知って、彼に教えるようになります。
ハクソンがジウに教えるのは、数学の解き方そのもの以上に、問題を解く「過程」の大切さ……あらゆる物事にじっくり取り組み、よく考えることの貴さ。それは、自分の頭を使う前にネットの検索機能を用いてしまうように、スピードばかり重視し「結果」のみを追求する現代の私たちへの警鐘にも感じとれます。
そのため本作では、素敵な「過程」たちがいくつも現れます。素朴でおいしそうなパックのイチゴ牛乳に、「音楽の始まりであり終わりである」とハクソンが語ったバッハの無伴奏チェロの響き。少女ボラムとハクソンがピアノの連弾で奏でるπのメロディ……。
素直であどけなさの残るジウと、人生の荒波をくぐり抜けてきたハクソンのやりとりには心が揺さぶられます。また、数式の美しさを熱っぽく語るハクソンの言葉を聞いても、簡単に同意することのない正直なジウの姿には、思わずふっと笑ってしまうに違いありません。
数学を深く愛するハクソンの姿からジウは多くを学び、ハクソンは若者の持つ明るさや未来に心が慰められていきます。ジウに思いを寄せる、表情豊かなクラスメイトの少女・ボラムもとても魅力的です。
後半は天才ゆえの悲劇が描かれ、サスペンスフルな展開となっています。最後まで目が離せない秀作をどうぞご堪能ください。
まとめ
脱北した天才数学者と、厳しい環境のなかで挫折しそうになっている年若い青年との強い絆を描く感動作『不思議の国の数学者』。
韓国を代表する名優チェ・ミンシクと、狭き門をくぐって大抜擢された新鋭キム・ドンフィが素晴らしい化学反応を起こしました。
熱い絆に心揺さぶられるとともに、深く考えて答えを手にするまでの「過程」が大切だと諭す数学者・ハクソンの言葉に、わが身を振り返らずにはいられない一作です。
映画『不思議の国の数学者』は2023年4月28日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかにて全国公開です。