映画『香港の流れ者たち』が、2023年12月16日(土)よりユーロスペース、2024年1月6日(土)より大阪シネ・ヌーヴォほかで全国順次公開!
香港アカデミー賞11部門、台湾アカデミー賞12部門を席捲し、日本では全国5都市にて開催された「香港映画祭2022」で動員数No.1となった注目の香港映画『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流)。
デビュー作『トレイシー』(2018)が東京国際映画祭で上映されたジュン・リー監督の長編2作目にして、実際のホームレス荷物強制撤去事件から人間の尊厳を問いかける社会派ヒューマンドラマです。
『エグザイル/絆』(2006)の香港のベテラン俳優フランシス・ンがヤク中のホームレス役を熱演するほか、1990年代を代表するロレッタ・リー、セシリア・チョイ、ウィル・オーら、香港の新旧世代を代表するスターキャストたちが集結しました。
さまざまな人々の人生が交錯する濃密な人間ドラマの魅力をご紹介します。
映画『香港の流れ者たち』の作品情報
【日本公開】
2023年(香港映画)
【監督・脚本】
ジュン・リー
【編集】
ヘイワード・マック、ジュン・リー
【キャスト】
フランシス・ン、ツェー・クワンホウ、ロレッタ・リー、セシリア・チョイ、チュー・パクホン、ベイビー・ボウ、ウィル・オー
【作品概要】
香港アカデミー賞11部門、台湾アカデミー賞12部門を席捲し、日本では全国5都市にて開催された「香港映画祭2022」で動員数No.1となった注目の1作。デビュー作『トレイシー』(2018)が、東京国際映画祭で上映された、新世代の香港映画の担い手の一人であるジュン・リー監督の長編2作目です。
実際のホームレス荷物強制撤去事件から、移民問題、そして薬物に蝕まれる貧困層など様々な社会問題を浮き彫りにし、人間の尊厳を問いかける社会派ヒューマンドラマである本作。1980年代から香港映画界で活躍し『エグザイル/絆』(2006/ジョニー・トー監督)などで知られる香港のベテラン俳優フランシス・ンが、ヤク中のホームレスの人生の悲哀を表現し、新境地を切り拓きました。
舞台や映画で活躍するツェー・クワンホウが、ホームレス仲間の長老役を好演。1990年代を代表するロレッタ・リーが本作でカムバックしたほか、『風の輝く朝に』(1982/レオン・ポーチ監督)で知られるセシリア・イップが特別出演するなど、香港映画を代表する俳優が集結しました。またキーパーソンとなるソーシャルワーカー役をセシリア・チョイが演じます。
映画『香港の流れ者たち』のあらすじ
刑務所を出たファイは、雑多で陰鬱な街・深水埗(シャムスイポー)へ戻ってきました。ヤク中の彼は、ラムじいが出所祝いにくれたクスリを道端でさっそく打ちます。
かつてのホームレス仲間たちとふたたび高架下で暮らし始めたものの、事前通告なしにやってきた食物環境衛生署になけなしの財産を一掃され、家も身分証明書も何もかも失ってしまいます。
新人ソーシャルワーカーのホーはファイたちと裁判を起こし、政府に賠償と謝罪を求めました。
そんな中、ファイはハーモニカを吹く失語症の青年に出会います。青年は大きな2段ベッドを運ぶファイを手伝ってくれました。
その後、再会した青年にファイは「モク」という名前を与え、ヤクに手を出さないよう父親のように見守り始めます。
ある時、建設中のマンションに忍び込んだファイは、まばゆい光の海が広がる夜の深水埗の街を見下ろしながらモクに静かに語りかけ……。
映画『香港の流れ者たち』の感想と評価
ゴミ溜めのような場所で身を寄せ合い、人間らしく生きようとするホームレスたちの姿を映し出す作品です。悲惨さの中にも、そこはかとないユーモアも交えたドラマとなっており、人々の紡ぐあたたかな人情が胸にじんと染み入ります。
刑務所帰りの主人公・ファイは、仕事のない無為な日々をヤクでつぶして生きていました。しかし、仕事を持つ友人をうらやましく思う彼は、中毒を断つために病院に通い始めます。
理不尽に行政に持ち物全てを奪われたホームレスらは、ソーシャルワーカーの力を借りながら団結して訴訟を起こし、自分たちが生存する権利を必死で訴えます。持たざる貧しい者から、町を清潔にするためというだけに全て奪い去り、平気で捨て去る行政の非情さに怒りを覚えます。
その後、ファイは失語症の純粋な魂を持つ青年と偶然に出会い、モクという名を与えて父親のように面倒を見始めました。
息子同様にモクを深い愛情で見守るファイ、仲間と一緒にいたいという一心から盗みをせずに禁断症状に耐える男、そんな男を見捨てられない情に厚い女、ホームレスたちを救うために奔走するソーシャルワーカー。
それぞれの人生が交錯し、思わず涙する胸を揺さぶる人間ドラマが映し出されます。どうぞ最後までお楽しみください。
まとめ
実際にあったホームレスに持つ強制撤去をモチーフに描いたジュン・リー監督の意欲作『香港の流れ者たち』。
さまざまな社会問題とともに、登場人物それぞれの人生や思いを丁寧にクローズアップしていく見事な手腕に驚かされます。
香港映画『香港の流れ者たち』は2023年12月16日(土)よりユーロスペース、2024年1月6日(土)より大阪シネ・ヌーヴォほかで全国順次公開です。