映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』は2023年12月9日(土)~12月22日(金)連日20:50~/池袋シネマ・ロサにて劇場公開!
「哲学ゾンビ」となった妻を救うべく奮闘する男を描いた、奇想天外な不条理ロマンス映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』が2023年12月9日(土)~12月22日(金)連日20:50~/池袋シネマ・ロサにて劇場公開されます。
心的内面は持たないが、外見は通常の人間と区別がつかない状態・存在を指す脳科学用語「哲学的ゾンビ」に着想を得て、『笑う胃袋』(2000)など数多くの短編作品や、医療啓発ドラマを手がけてきた伊刀嘉紘監督が本作を生み出しました。
主演は映画『ファミリア』(2023)や日曜洋画劇場『VIVANT』に出演し、出演作『笑いのカイブツ』の公開も控える注目の俳優・管勇毅。また無機質な反射行動を繰り返す妻・亜居を門田麻衣子が演じます。
深い夫婦愛に心奪われる、スリリングな本作の魅力をご紹介します。
映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本・製作】
伊刀嘉紘
【キャスト】
管勇毅、門田麻衣子、竹中凌平、藤崎卓也、川瀬陽太、比嘉梨乃、渡部遼介、山田浩、川連廣明、金原泰成、埜本佳菜美、小磯勝弥、井波知子、高越昭紀、川野弘毅、赤山健太、沖田裕樹、鈴木広志、東涼太、土屋吉弘、田中庸介、井手永孝介、青木俊範、しままなぶ、橋本晶子、谷村好-、大谷亮介
【作品概要】
実行委員会と一般審査員の投票でグランプリを決定する中・長編映画コンペティション「TAMA NEW WAVE」にて中編『笑う胃袋』(2000)でグランプリを受賞した伊刀嘉紘による初の長編映画。
映画『ファーストラヴ』(2021)で物語の重要な人物となる主人公の父親を演じ、大人気ドラマ『VIVANT』にも出演した管勇毅が本作の主人公・悟役を務めます。
「哲学ゾンビ」となる悟の妻・亜居を門田麻衣子が演じるほか、ミュージカル『東京リベンジャーズ』で主人公・花垣武道を演じる竹中凌平、舞台『ハーヴェイ』の藤崎卓也、『激怒』(2022)の川瀬陽太などの実力派俳優が脇を固めます。
映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』のあらすじ
1年前。夫婦で不法投棄の不燃物を漁る悟と亜居。廃材からオーダーメイド玩具を作り、こども園などにおさめながら、二人慎ましく暮らしていました。
そんなある日、意図せず持ち帰った昆虫から未知の寄生体が亜居の頭蓋内に侵入します。脳を蚕食され、妻はすこしずつ壊れていきました。
じわじわと感染を拡げつつあるこの奇妙な寄生体疾患において、感染者同士は属性を共有しあうという特性がありました。あろうことか、亜居は連続殺人鬼の属性を継承してしまいます。
感染から一ヶ月経ち、すべての脳細胞が失われ、自我意識を喪失した亜居は完全なる《哲学ゾンビ》となりました。
改正脳死法に従い、人権を喪失した亜居は一種の危険生物と見なされ、「殺処分」の宣告が下されてしまい…。
映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』の感想と評価
愛する妻が寄生体に脳を冒され、何もかもわからなくなってしまう「哲学ゾンビ」となっていく様を描く衝撃の物語です。冒頭からシュールな映像が続き、この話はいったいどこに向かうのかと好奇心を掻き立てられます。
「昆虫を媒介して寄生体が侵入することで新型認知症になってしまう」という恐ろしい状況が描かれますが、その様は現実の私たちが立ち向かうことになった新型ウィルスの存在を彷彿とさせます。
ただの夢物語として捉えることはできない「哲学ゾンビ」の設定。哲学ゾンビの醸し出す異様な緊張感がゾワゾワとした恐怖を掻き立て、スリリングなストーリーが展開される一方で「深い夫婦愛」も大きなみどころです。
次第に壊れゆく妻を間近で見ていながらも、すぐに感染に気づいてやれなかったことへの悟の抱く強い後悔に、胸が締め付けられます。
亜居もまた、さまざまなことがわからなくなっていく恐怖に泣き崩れます。それは現実世界における認知症患者や、若年性アルツハイマー患者の抱く苦しみと重なるものといえます。フィクションの新型認知症を通して、現実に起きている社会問題に迫る1作となっています。
やがて、亜居が凶悪な連続殺人鬼の属性を継承していることも判明し。感染者への世間の厳しい目は時とともに苛烈になり、妻にはとうとう「殺処分」が宣告される中、それでも悟は亜居を救い出すことを決意し、危険の中に自ら飛び込んでいきます。
人間を人間たらしめるものとは、いったい何なのか。愛し合う夫婦の運命の行方とともに、どうぞ最後まで見届けて下さい。
まとめ
謎の寄生体によって妻を「哲学ゾンビ」にされてしまった夫の戦いを描く衝撃作『物体 妻が哲学ゾンビになった』。
未知の病が蔓延する恐怖や、認知症患者とその家族の苦悩は現実にも存在するものであり、決して絵空事とは思えません。
空想世界にある「哲学ゾンビ」を通して、作品は私たちに現実社会の問題を突き付けています。
映画『物体 妻が哲学ゾンビになった』は2023年12月9日(土)~12月22日(金)連日20:50~/池袋シネマ・ロサにて劇場公開されます。