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Entry 2018/11/09
Update

映画『ボヘミアンラプソディ』あらすじと感想レビュー。クイーンの名曲とトリビアを紹介!

  • Writer :
  • 松平光冬

イギリスの伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカルを務め、45歳という若さで亡くなったフレディ・マーキュリーの半生を描く、『ボヘミアン・ラプソディ』が話題沸騰となっています。

メンバーたちの音楽にかける情熱とフレディの知られざる実像に迫った、観る者の心を鷲掴みにする、2018年秋の必見映画です。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の作品情報


(C)2018 Twentieth Century Fox

【公開】
2018年(イギリス、アメリカ合作映画)

【原題】
Bohemian Rhapsody

【監督】
ブライアン・シンガー

【キャスト】
ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、アレン・リーチ、トム・ホランダー、マイク・マイヤーズ、アーロン・マカスカー

【作品概要】
『ボヘミアン・ラプソディ』は、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーを中心に、デビュー間もない1970年から、85年に開催されたチャリティーコンサート「ライブ・エイド」出場に至るまでが描かれます。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』のあらすじ


(C)2018 Twentieth Century Fox

「女王」の誕生

1985年7月13日イギリス。

ロンドン郊外にあるウェンブリー・スタジアムで、アフリカ難民救済を目的とした大規模なチャリティーコンサート「ライブ・エイド」が開かれようとしていました。

ライブに参加するロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーは起床し、咳払いをしつつ支度を整え、一人ステージに向かいます。

時代はさかのぼり、1970年のロンドン。

ファルーク・バルサラ青年は、これといった目的もなく空港で働いていました。

ペルシャ系インド人にしてゾロアスター教徒の両親を持つ彼は、その境遇や自身の歯並びの悪さもコンプレックスに感じており、さらにはファルークという名が嫌で、普段は「フレディ」と名乗っています。

当然のように、「善き思い、善き言葉、善き行いをしろ」を教訓とする父親ともそりが合わないフレディは、鬱屈した日々を過ごしていました。

そんなある夜に、気分転換にライブハウスに行ったフレディ。

そこで彼は、ライブ演奏をしていたギターのブライアン・メイとドラムのロジャー・テイラーのテクニックに魅了されます。

ライブ後、衝動的に2人の居場所を探していたフレディは、近くにいた洋服店で働く女性メアリーに尋ねます。

一目で彼女に惹かれたフレディ。メアリーも彼に運命的なものを感じるのでした。

一方その頃、ブライアンとロジャーはボーカルに突然の脱退を告げられ、途方に暮れていました。

そこに現れたフレディは、自身が書いた歌詞を渡し、さらに歌唱力の高さをアピール。イラストが得意だったフレディですが、密かにシンガーソングライターとしての才もあったのです。

こうして、後にロジャーたちのスカウトによりベースのジョン・ディーコンも加入。

フレディが「クイーン」と命名した、新たなバンドが始動します。

次第に得ていく名声。その一方で…


(C)2018 Twentieth Century Fox
4人は創作活動の際、様々な試みを行います。

ドラムのティンパニにコインをばら撒いた状態で叩いたり、ジョンが自作したギターアンプを振り子のように揺らして録音するといった、奇抜かつ斬新な楽曲作りをします。

その行為が業界関係者に伝わり、ついにはエルトン・ジョンの元マネージャーだったジョン・リードの耳にも届きます。

クイーンの楽曲作りに興味を示したリードはデモテープを聞き、マネージャーを志願。さらに弁護士のジム・“マイアミ”・ビーチや、リードの知人ポール・プレンターらも加わり、クイーンの活動が本格化していきます。

リードの口添えでイギリスBBCでのライブ番組に出演したクイーン。局の方針で生演奏はNGとされながらも、口パクで披露した「キラー・クイーン」は瞬く間に話題になります。

ライブ活動を中心に多忙を極めるようになったクイーンでしたが、その最中にフレディは恋人となったメアリーにプロポーズ。永遠の愛を誓います。

しかし一方で、フレディは自然と湧き起こってくるもう一つのセクシャリティに、戸惑いを隠せないのでした。

勢いに乗るクイーンは、次作のアルバム「オペラ座の夜」のシングルカット曲として、6分超の大作「ボヘミアン・ラプソディ」を制作します。

ところが、レコード契約主EMIの重役レイ・フォスターは、「長すぎるからラジオでは流せない」として別の曲をシングルにするよう要求。

それを不服としたフレディは、知人のラジオDJのケニー・エヴェレットを巻き込み、ゲリラ的に曲を流して話題を作り、無理やりにシングル曲にするのでした。

「オペラ座の夜」は、発売当初こそ批評家たちからは酷評されるものの、日本など諸外国からの評判を集め、逆輸入的に人気を獲得していくことになります。

次第に世界的な名声を得ていくクイーン。

しかしその一方で、フレディは個人マネージャーとなっていたポールと親密になっていったことで、他のメンバーたち、そしてメアリーとの関係性にも変化が生じていくのでした…。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の見どころ


(C)2018 Twentieth Century Fox

数々の名曲がスクリーンが堪能できる!

本作『ボヘミアン・ラプソディ』の一番の見どころと言えば、やはり全編にわたってクイーンの名曲の数々がフィーチャーされていることでしょう。

28もの曲が流れる上に、それらが生まれるきっかけとなった過程も描かれます。

中でも、24トラックのマルチ・トラック・レコーダーを用いた「ボヘミアン・ラプソディ」のレコーディング過程など、クイーンのファンならずともテンションが上がることでしょう。

そのほか、「ウィー・ウィル・ロック・ユー」や「地獄へ道づれ」などが生まれるきっかけなども興味深いです。

フレディ・マーキュリーの知られざる実像が明かされる


(C)2018 Twentieth Century Fox
1991年に、45歳という若さで亡くなったフレディ・マーキュリー。

フレディ自身は公言しませんでしたが、ファンの間では彼がバイセクシャルであったと認識されています。

本作では、フレディと終生近しかった女性メアリー・オースティンや、彼の最期を看取ったとされる恋人ジム・ハットンも登場し、これまで公にされなかった彼の繊細な私生活が描かれます。

圧巻にして感涙を呼ぶクライマックス21分間のライブシーン


(C)2018 Twentieth Century Fox

そしてなんといっても、ラスト21分にも渡るライブ・エイドのシーンは必見です。

実際にクイーンが会場で演奏した順番通りに再現され、「レディオ・ガ・ガ」や「伝説のチャンピオン」といった名曲が披露されます。

それらの歌詞が、エイズという病を抱えたフレディの心境を表していると言っても過言ではなく、これまで映画を観てきた人なら感涙必至となるのは間違いありません(歌詞はちゃんと字幕表示されるのでご安心を)。

フレディがエイズに感染していたということは、ライブ・エイド時はごく一部の人間しか知らなかったわけですから(フレディが病状を告白するシーンも見逃せません)、それを思うと彼の覚悟が並々ならぬものであったことがうかがえます。

冒頭とクライマックスをつなぐ“ブックエンド”に注目


(C)2018 Twentieth Century Fox

冒頭と終わりを同じ映像にして構成するという、作劇でよく用いられる“ブックエンド方式”。

『ボヘミアン・ラプソディ』でも、ライブ・エイドのステージに向かうフレディが冒頭で描かれ、クライマックスでも同じシーンが描かれます。

ですが、クライマックスのそれは、同じように見えて少々違います。

その違いが、さらなる感動を呼びます。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』のちょっとしたトリビア


(C)2018 Twentieth Century Fox

二転三転したスタッフ&キャスティング

すでに報道されていますが、本作『ボヘミアン・ラプソディ』の監督はブライアン・シンガーとなっているものの、実質的にはシンガー監督は製作上のトラブルにより途中降板。

代わりに、シンガーの前に監督候補だったデクスター・フレッチャーと、撮影監督のニュートン・トーマス・サイジェルが最終的に仕上げています。

フレディ役のキャスティングも、最初はサシャ・バロン・コーエンやベン・ウィショーが候補に挙がるも、いずれも頓挫。

その後も有力な候補者がなさすぎて、ついにはダニエル・ラドクリフの名が出るなど混迷を極めました。

クイーンを理解できない人物を演じたクイーンマニアの俳優

劇中に登場する、「ボヘミアン・ラプソディ」の出来を不服としてクイーンと衝突してしまうEMIのレイ・フォスター。

実は彼を演じているのは、『オースティン・パワーズ』シリーズで知られるマイク・マイヤーズです。

マイクと言えば、自身の出世作『ウェインズ・ワールド』の冒頭で、「ボヘミアン・ラプソディ」をノリノリで熱唱していたほどのクイーンマニア。

そんなマイクが、クイーンの曲を理解できない男を演じるというのが、ひねりが利いています。

ちなみにレイ・フォスターは、EMIの重役レイ・フェザーストーンを含めたいくつかの実在人物を組み合わせて作られた人物です。

クイーンを仲違いさせた人物

フレディの個人マネージャーとして、私生活を共にする男ポール・プレンター。

劇中では、彼の存在がフレディと他メンバー3人との関係を大きく変えていくという描写がされていますが、実際のポールもレコーディングに必要以上に介入してきたことで、バンドの方向性がおかしくなってしまったと云われています。

そうした事の顛末は、2011年に製作されたドキュメンタリー『クイーン~デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける日々』に詳しいです。

なおポール本人は、フレディが亡くなる3か月前に、やはりエイズによる合併症でこの世を去っています。


(C)2018 Twentieth Century Fox

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の感想と評価


(C)2018 Twentieth Century Fox

これまで、クイーンの伝記映画が製作されるという情報は度々出ていましたが、いつの間にか進行状況が不明瞭な状態が続いていました。

本作『ボヘミアン・ラプソディ』も、構想から完成まで8年もの歳月を要しています。

内容も、実際にあった出来事や事実とは変えているフィクションを織り交ぜてはいますが、長らく待たされたファンにとしては満足のいく出来になっているのではないでしょうか。

アメリカでも日本に先駆けて公開され、大ヒットスタートとなっていることからも、期待値を大きく上回る評価となっています。

まとめ


(C)2018 Twentieth Century Fox

クイーンというバンド自体を知らない人でも、一度はどこかで耳にしたことのある楽曲の数々が流れる、この『ボヘミアン・ラプソディ』。

もしこの作品を観てクイーンというバンドに興味を持たれたら、是非とも彼らが手掛けたアルバムや、映画のサントラを聴くことをおススメします。

さらなるクイーン・ワールドに浸れること間違いなしです。

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