Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2020/01/17
Update

映画『東京不穏詩』感想レビューと評価。女優・飯島珠奈が全てを捧げて演じる夢と愛に裏切られた女の“魂の叫び”

  • Writer :
  • 三島穂乃佳

夢や愛に裏切られ、その時ひとはどうなるのか。人生に溺れた女の物語

映画『東京不穏詩』が2020年1月18日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開されることが決定しました。

「夢も愛も失ったとき、ひとはどこへ向かうのだろう」──この強烈な問いかけを極限まで突き詰めた映画『東京不穏詩』。厳しい現実の中で足掻く人間を日本人俳優と外国人クルーが真摯に描いています。

本作は、レインダンス映画祭や大阪アジアン映画祭などで上映され、ブリュッセル・インディぺンデント映画祭ではグランプリを受賞しました。国内外問わず多くの映画祭で絶賛を受けた本作が、2020年、待望の劇場公開となります。

心の奥底でうごめきながらも、全身からあふれ出てしまう叫びが、観る者へと突き刺さる作品です。

スポンサーリンク

映画『東京不穏詩』の作品情報


(C)2018 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2020年1月18日(日本公開)

【英題】
BAD POETRY TOKYO

【監督】
アンシュル・チョウハン

【脚本】
アンシュル・チョウハン、ランド・コルター

【プロデューサー】
アンシュル・チョウハン、茂木美那

【撮影監督】
マックス・ゴロミドフ

【キャスト】
飯島珠奈、望月オーソン、川口高志、真柴幸平、山田太一、ナナ・ブランク、古越健人

【作品概要】
愛も夢も失った女性の生きざまを描いた長編映画。罪、幸せ、性、倫理といったテーマが織り交ぜられた作品です。

演出を務めたのはインド出身の新進気鋭アンシュル・チョウハン監督。2016年の初短編映画『石鹸』を機に監督として映画制作を始め、本作で、長編映画デビューを果たしました。独自の視点で日本社会の問題点を読み解き、社会や環境に抑圧されながらも何とか生きていこうとする女性を描いています。

主演は、飯島珠奈。これまで、小路紘史監督の『ケンとカズ』(2016)や夏都愛未監督の『浜辺のゲーム』(2019)の出演を含め、国内のみならず海外の映画にも出演しています。本作で、第13回大阪アジアン映画祭をはじめ、国内外の国際映画祭にて最優秀女優賞を受賞しました。愛や夢に心を蝕まれていく女・ジュンを演じる姿は必見です。

アンシュル・チョウハン監督の『東京不穏詩』は、Vimeoにて配信開始!

映画『東京不穏詩』のあらすじ


(C)2018 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED

東京のクラブでホステスとして働きながら女優を目指す30歳のジュン。ある日彼女が帰宅すると、恋人のタカの策略で家に侵入した不審な男に、貯めてきたお金を奪われ、顔に深い傷をつけられてしまいます。

夢も愛も一瞬で失ったジュンは、5年前に飛び出した長野の実家に帰ることに。しかし、受け入れがたい事実を知った事で、心の中の何かがはじけたジュン。彼女は亡き祖母の財産で暮らす粗暴な父に「強姦されたと言いふらす」と財産の半分を要求します。

心の平衡を失っていく中で、かつて恋心を抱いた同級生のユウキとの邂逅に居所を見出しますが──。ジュン、タカ、父、ユウキ、軋み合う彼らの欲求はやがて“堪えきれない衝動”となり、誰も予想できない衝撃の事態を生むことに──。

スポンサーリンク

映画『東京不穏詩』の感想と評価


(C)2018 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED

本作は、「人は愛や夢があるうちはそれだけで生きていける気になるが、その両方に裏切られた時、どうなるのか?」という監督の問いかけのもと、がむしゃらに生きる人々の心の奥深くをリアルに描いています。

公開されているポスタービジュアルには、東京の雑踏の中で生きるジュンとタカの、人生の一瞬が切り取られていました。映し出されているのは、痛々しい現実のなかで、どこか自分がぼやけていくようでありながらも、確かにちゃんと存在している人の姿。

はっきりとカタチあるものではない、夢や愛という曖昧なものを追いかけている人間のリアルが、映画の中に詰まっていることを暗示しているように感じます。

愛や夢は、きっと多くの人間にとって生きる糧であり、自分が自分として立っていくためには不可欠なもの。しかし、時に人間は、それらによって心を蝕まれてしまうのです。主人公・ジュンがそうだったように。

進むべき道を失い、果てしない絶望の渦へと吸い込まれてしまった時、人は何を生きる指針とすればいいのでしょうか?その答えを探しながら自らの人生を必死で生き抜こうとするジュンは、思わず目を背けたくなるほどリアルなキャラクターです。

主演女優の飯島珠奈(画像クリックでインタビュー記事へ)


(C)Cinemarche

この物語は、どこか遠い話のようで物凄く近く、私たちと彼女の間には脆い一線しかないのかもしれない……本作を見ていると、不思議とそう感じます。いつだって愛や夢によって道を迷わされてしまう私たち。そんな誰しもに起きうる痛みを、ジュンは全身で観客へと伝えてきます。

本作でジュンを演じ、多数の賞を受賞した飯島珠奈。彼女の身体からあふれ出る心の叫びは、恐ろしいほどに観る者の心を突き刺してきました。怒り、諦め、願い……さまざまな感情が混じり合い過ぎた彼女の目は「生」そのものでありながら、どこか、その裏にある「死」を感じさせるのです。

リアルと幻想、生と死、私たちとジュン、それらはすべて紙一重。

ジュンが負った痛みは、観る者に通ずる痛みだからこそ、激しく心を揺さぶる力を持った一作でした。

アンシュル・チョウハン監督の『東京不穏詩』は、Vimeoにて配信開始!

まとめ

メイキング画像:アンシュル・チョウハン監督(画像クリックでインタビュー記事へ)


(C)2018 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED

人間の性(さが)をまっすぐ正直に描いた映画『東京不穏詩』。

どうにもならない現実に埋もれそうになりながらも、それでも生き抜こうとする人間のがむしゃらな姿が、観る者の心に熱く重い衝撃を残す一作です。

キャストやスタッフが、日本社会に根付く問題を映し出し、国内外で絶賛された映画『東京不穏詩』は2020年1月18日公開。ぜひ劇場で、ご覧ください。


アンシュル・チョウハン監督の『東京不穏詩』は、Vimeoにて配信開始!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ベル・エポックでもう一度』感想評価とレビュー解説。ギョームカネが恋愛フレンチコメディでオーダーメイドな時間旅行を企画する

映画『ベル・エポックでもう一度』は2021年6月12日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて公開予定!   レトロでキュートなファッションや街並み、心浮き立つフレンチポップで彩られた、映画『ベル・エポック …

ヒューマンドラマ映画

映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』感想とレビュー評価。バンデラスの演技力と歌声を堪能

世界最高峰のテノール歌手であるアンドレア・ボチェッリの愛と半生。 2019年11月15日(金)より、新宿ピカデリーほかにて全国ロードショーされる映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』。 現在活 …

ヒューマンドラマ映画

映画『殿、利息でござる!』あらすじネタバレと動画無料視聴方法

世の中には映画のチラシや、DVDのジャケットのような感じの話と思ったら、全然違う雰囲気だったということが時々あります。 今回ご紹介する『殿、利息でござる!』も『!』が付くくらいなんだから、さぞ突拍子も …

ヒューマンドラマ映画

映画『イントゥ・ザ・スカイ』ネタバレあらすじと感想。実話を基に気球での高度世界記録に挑む男女を描く

『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメイン&フェリシティ・ジョーンズのコンビが、はるか上空を目指す 『博士と彼女のセオリー』(2014)のエディ・レッドメイン&フェリシティ・ジョーンズのコンビが、 …

ヒューマンドラマ映画

映画『愛しのアイリーン』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【吉田恵介×新井英樹】

閉鎖的な地方の農村に、フィリピン人女性が嫁いだ事で巻き起こる騒動を描く、映画『愛しのアイリーン』。 『宮本から君へ』『ワールドイズマイン』で知られる漫画家・新井英樹の同名コミックを、『さんかく』『ヒメ …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学