消防士兄弟の絆を描いた「バックドラフト」シリーズ第1作!
ロン・ハワードが監督を務めた、1991年製作のアメリカの大作ドラマ映画『バックドラフト』。
消火作業中に殉職した父の後を引き継ぎ、消防士になった主人公ブライアンが勇敢な消防士である兄スティーブンと仲間たちと共に、火災と戦う日々を送っていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
日夜火災と戦い続けている男たちが、炎を熟知しバックドラフトを起こす放火犯を探すというサスペンス要素もある、アメリカの大作ドラマ「バックドラフト」シリーズ第1作目、映画『バックドラフト』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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映画『バックドラフト』の作品情報
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
【公開】
1991年(アメリカ映画)
【脚本】
グレゴリー・ワイデン
【監督】
ロン・ハワード
【キャスト】
カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、ロバート・デ・ニーロ、スコット・グレン、ジェニファー・ジェイソン・リー、レベッカ・デモーネイ、ドナルド・サザーランド、クリント・ハワード、ライアン・トッド、ジェイソン・ゲドリック、J・T・ウォルシュ、セドリック・ヤング、トニー・モッカス・Sr、ジャック・マクギー、マーク・ウィーラー
【作品概要】
『バックマン家の人々』(1989)やトム・ハンクス主演の大ヒットミステリー「ラングドン」シリーズ、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)などを手掛ける、ロン・ハワードが監督を務めたアメリカの大作ドラマ作品。
1992年、第64回アカデミー賞音響賞や音響効果編集賞、視覚効果賞にノミネートされた作品です。
「ワイルド・スピード」シリーズや『バーニング・オーシャン』(2016)などに出演するカート・ラッセルが主演を務め、『アンタッチャブル』(1987)や『ジョーカー』(2019)などに出演するロバート・デ・ニーロが共演しています。
映画『バックドラフト』のあらすじとネタバレ
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
1972年、アメリカ・シカゴ。幼い少年ブライアン・マキャフリーは、シカゴ消防局第17分隊に所属する消防士の父デニスが、仲間たちと共に火災現場に出動するのに同行しました。
しかし消火作業中、デニスはガス管の下にいた部下アドコックスを庇い、ブライアンが見ている目の前で殉職してしまったのです。
それから20年後。ブライアンは父の後を継ぐべく、一度挫折し逃げ出した消防学校を卒業。故郷のシカゴで消防士になることが決まりました。
卒業式の夜、友人のティム・クリズミンスキーら同期と一緒に、卒業祝いに飲んでいたブライアンは、近くで火災が起きたことを知ります。
ブライアンがティムと一緒に見に行った現場は、「爆発気流(バックドラフト)」と呼んでいる火災が発生。建物の住人である公認会計士シーグレイブが爆風で吹き飛ばされ、車に激突し即死しました。
消火作業をしている第17分隊の中で、ブライアンは5歳離れた兄スティーブの姿を発見。父に憧れて消防士を目指したスティーブは、父と同じ第17分隊の隊長として活躍していたのです。
スティーブは昔から兄貴風を吹かせて威張るため、ブライアンたち兄弟は昔から折り合いが悪く、確執がありました。
ブライアンに声を掛けたスティーブは、弟を自分の目の届くところに置くため、勝手にブライアンの配属先を第17分隊に決めてしまいます。
それを抗議しに行った際、ブライアンは一見何もかも完璧そうに見えるスティーブが、強情な性格故に妻子と別居状態で、オンボロな父の船で寝泊まりしていることを知りました。
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
迎えた初出動の日、ブライアンは友人であり同期でもあると共に第17分隊の新米消防士として、火災が起きた縫製工場へ出動。
消火作業中、スティーブの補佐についたブライアンは、消防士としてエリートである兄の活躍を目の当たりにします。
その一方で、ブライアンは消火栓にホースを繋ぐのが遅れたり、炎の中必死に救助したのがただのマネキンだったりとチームの足を引っ張ってしまい、劣等感に苛まれてしまいました。
スティーブの指示により、アドコックスと共に取り残された女性を救助したティムは、功績をあげるきっかけをくれたスティーブに憧れを抱きます。
その日の夜。ブライアンはスティーブたちと共に出席したパーティーで、元恋人ジェニファー・ヴァイトクスから、彼女が秘書を務める市議会議員マーティン・スウェイザクを紹介されます。
予算の合理化の一環として、消防署と消防士の人員削減を進めているスウェイザクは、元消防士の火災調査官ドナルド・リムゲインに、シーグレイブが爆死した火災調査を頼んでいました。
しかし、なかなか調査報告書をあげないリムゲインにしびれを切らし、スウェイザクはブライアンを、彼の助手に推薦します。
ところが、父のような消防士になると固く決意していたブライアンは、僅か30秒で断りました。
一方スティーブは、別居中の妻ヘレンとヘレンと踊っていた男に、ブライアンの悪口を言われカッとなり、騒ぎを起こしてしまいます。
そんなスティーブを止めたアドコックスは、「もっと自分を抑えろ、だから昇進できないんだ」と諭します。
それでも再び男に殴りかかろうとするスティーブを、今度はブライアンが止め、酔っ払いの彼をオンボロ船まで送りました。
眠りにつくまでの間、スティーブはブライアンに初めて弱音を吐きます。「俺は火を知ってるんだ、誰よりも火に詳しい。だから親父の二の舞にはならない」
「なのになぜ、お前も他の連中も、俺のことを信用しなくなった?」………スティーブは気が短く自制心が保てない性格と、強引なやり方で消火作業をするせいで、なかなか昇進できずにいたのです。
翌日以降、スティーブに負けじと訓練に励むブライアンでしたが、そのスティーブが自分だけ厳しく指導するのが不満な様子。なかなか兄弟の間にできた溝は埋まりません。
そんなある日。放水準備がまだできていないにもかかわらず、スティーブは父同様、火災現場に取り残された子供を助けたい一心で、単身火災現場に突入。
ブライアンも負けじと後を追いますが、行く手を阻む炎に尻込みしてしまいます。対してスティーブは、マスクを着けずに炎の中を突き進み、まるでヒーローのように子供を救ってみせたのです。
圧倒的な兄との実力差をまざまざと見せつけられ、敗北感を味わったブライアンは、消防士を辞めてリムゲインの助手に転職しました。
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映画『バックドラフト』の感想と評価
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
消防士兄弟の確執と修復
昔からスティーブが兄貴風を吹かせて威張るせいで、折り合いが悪かったマキャフリー兄弟。大人になっても2人の間には確執がありました。
一見完璧に見えるエリート消防士スティーブの悩みが明かされた場面では、ブライアンは今まで別世界の人間だと思っていた兄に、親近感を持てたことでしょう。
その証拠に、マキャフリー兄弟は互いに負けじと訓練に励み、時に笑い合う姿が見られます。
このまま良きライバルとして、兄弟仲を修復させていくかと思いきや、ブライアンがスティーブへの敗北感で消防士を辞めてしまい、再びギクシャクしてしまうのです。
ブライアンがいなくなった後、初めてヘレンに本音を打ち明けたスティーブの姿を見ていると、彼が強引なやり方で消火作業をするのは、共に炎と戦う大事な仲間と無事帰還するため。
尊敬していた父を救えなかった後悔と、大事な弟まで失いたくない思いから、ブライアンを厳しく指導しているのではないかと考察できます。
不器用なだけで弟想いなスティーブにブライアンが気づき、関係を修復できたのが彼の死に際だったなんて、悲しすぎて涙が止まりません。
衝撃を受ける放火犯の正体
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
物語の後半ではブライアンが消防士を辞め、火災調査官の助手となり、リムゲイルと共に事件を調査し、放火犯が誰か探していきます。
偶然にもマキャフリー兄弟が同時に辿り着いた放火犯の正体は、彼らの父が命懸けで救い、2人を見守ってきてくれたアドコックスでした。
それまでスウェイザクに疑いがかけられていただけに、まさか消防士が放火犯なんていう展開に衝撃を受けます。
いとこからスウェイザクの不正を知り、彼らの金儲けのせいで仲間が殉職していくことが許せなかったアドコックスは、仲間のためを思って放火犯となってしまったのです。
だからといってスティーブたち仲間の消防士を殺す気はさらさらなく、アドコックスは自らが仕掛けたバックドラフトがある場所には、彼らを近づけまいとしていました。
まとめ
(C) 1991 Universal Studios All Rights Reserved
確執がある消防士兄弟と、特定の人物だけを爆死させる放火犯の男3人が、燃え盛る炎の中で交差するアメリカの大作ドラマ作品でした。
本作の見どころは、マキャフリー兄弟の確執と修復、炎と戦う熱き消防士たちの活躍。そして放火犯を探す火災調査官の活躍です。
作中で描かれている、消防士たちに襲い掛かる炎はとても迫力があり、そのクオリティの高さに第64回アカデミー賞視覚効果賞にノミネートされたのも頷けます。
エンドロール前には、「現在アメリカでは、120万700人の消防士が活躍している」というテロップが流れていました。
今この瞬間も、人々の命と仲間を守るために炎と戦っている消防士が沢山いることを考えると、これは炎と戦う消防士たちを讃え、感謝を込めて作られた作品なのではないでしょうか。
消防士兄弟の絆と、炎の中で交差する熱き男たちの運命を描いた大作ドラマ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。