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映画『帰ってきたムッソリーニ』感想と評価レビュー。ヒトラーに続き現代に統師(ドゥーチェ)が帰ってきた!

  • Writer :
  • 映画屋のジョン

『帰ってきたムッソリーニ』は2019年9月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!

2012年にドイツで風刺小説として発表されるや話題沸騰、2015年映画化されるや大ヒット、日本でも翌2016年公開され、大きな注目を集めた風刺コメディ『帰ってきたヒトラー』

その続編?姉妹編?と言うべき作品が、イタリアで製作されました。無論帰ってくるのは”あのお方”です。

1945年に亡くなったイタリアの独裁者、ムッソリーニが70余年の時を越え、現代のローマに甦ります。最初は好奇の目で、笑って彼を見ていた人々ですが、徐々に彼の演説に魅了されていきます。

そんなムッソリーニを利用して、一ヤマ当てようと企む人物も現れます。そんな連中の思惑をよそに、ムッソリーニが現代で企てる野望とは…。

混迷するイタリア・ヨーロッパ諸国の政治状況を背景にした、風刺たっぷりのコメディ映画『帰ってきたムッソリーニ』が登場、日本でも公開されます。

笑っているあなたも、いつの間にか”奴”に征服されている?

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映画『帰ってきたムッソリーニ』


© 2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

【日本公開】
2019年9月20日(金)(イタリア映画)

【原題】
Sono tornato

【監督・脚本】
ルカ・ミニエーロ

【出演】
マッシモ・ポポリツィオ、フランク・マターノ、ステファニア・ロッカ

【作品概要】

現代に復活したファシスト党統師、ムッソリーニ。彼に遭遇した人々の反応や、その言動を通して現代社会を風刺する、政治コメディ映画。

監督はイタリアのコメディ映画の巨匠、そしてヒットメーカーとして名高いルカ・ミニエーロ。

2010年の『Benvenuti al Sud(南イタリアへようこそ)』、2012年の『Benvenuti al Nord(北イタリアへようこそ)』を手がけ、南北イタリアに住む人々へのステレオタイプなイメージを笑いに変え、共にイタリア国内で一番のヒット作となった両作を手がけました。

ムッソリーニを演じるのは、俳優・声優・舞台演出家として活躍するマッシモ・ポポリツィオ。頭をスキンヘッドにして、不朽の悪名を誇る歴史上をカリスマを堂々と演じています。

売れない映像作家に扮するのはフランク・マターノ。早くからユーチューブに目を付け活躍、今や作家・パフォーマーとして”イタリア・デジタル界のリーダー”と称される人物。その彼がSNS時代の人々を代表する役柄で、甦ったムッソリーニと行動を共にします。

東京・大阪で開催された「イタリア映画祭2019」上映作品。

映画『帰ってきたムッソリーニ』のあらすじ


© 2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

あのイタリアの独裁者ムッソリーニ(マッシモ・ポポリツィオ)が、現代のローマに復活します。驚愕すべき出来事に彼は困惑しますが、徐々に現代がどの様な世界であるか理解していきます。

一方偶然復活したムッソリーニを撮影した、売れない映像作家・カナレッティ(フランク・マターノ)。彼は一発逆転をかけて、ムッソリーニを利用したドキュメンタリー映画の製作を思い立ちます。

カナレッティは甦ったムッソリーニと共に、イタリア全土を巡る撮影旅行を行います。多くの人々が握手を求め、屈託なくスマホを向ける姿に、戸惑いながらも撮影に応じるムッソリーニ。

またムッソリーニが市民の中に飛び込み、政治への不満について質問を投げかけると、人々の移民問題に対する不満や、政治に対する不信といった、生の声があふれ出します。

この様子が動画サイトに投稿されると、瞬く間に再生回数は伸び大きく拡散されていきます。この人気にテレビ局の編集局長カティア(ステファニア・ロッカ)は、彼の出演するテレビ番組『ムッソリーニ・ショー』を製作・放送します。

ムッソリーニのカリスマ的な言動が人気を呼び、番組は大成功し高視聴率を叩き出すと、テレビ局の関係者は大喜び。ついにカナレッティも成功を掴み取ります。

番組で得た国民からの人気に、手応えを感じたかつての統師(ドゥーチェ)。ムッソリーニは再びイタリアを征服し、自らの手で支配しようと野望を抱きます。

はたしてムッソリーニは、現代で権力を握る事ができるのか。彼が権力を握ると、果たしてどんな世界がやって来るのか…。

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映画『帰ってきたムッソリーニ』の感想と評価


© 2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

『帰ってきたヒトラー』の姉妹編が誕生

2015年にドイツで製作、公開され話題となった政治コメディ映画『帰ってきたヒトラー』。翌2016年にはヨーロッパ各国で公開され、イタリアの映画会社が早速リメイク権の獲得に動きます

こうして誕生した、主人公をムッソリーニに置き換えたイタリア版が『帰ってきたムッソリーニ』、『~ヒトラー』の正式なリメイク作品である本作は、様々な点でオリジナル作品を踏襲した作りになっています

ムッソリーニに扮した俳優が堂々と街を闊歩し、出会った人々の反応を捉えるドキュメンタリー形式で撮った場面も健在、かつての独裁者に対する現代の人々の、リアルな反応を見る事ができます

オリジナルをご存知の方には同じテイストの作品として、そしてお国柄に根差したものか、その中で描き出される両者の違いを見比べる事で、楽しめる作品となっています。

虚の存在が実になるストーリー

『~ヒトラー』と同じく、現代に復活したもののそっくりさんの芸人と思われ、その言動がお笑いの対象として、徐々に人気者になってゆくムッソリーニ。

しかしかつての独裁者は、再度権力を手に入れようと画策します。そこに『~ヒトラー』と異なる展開、新たな視点が描かれていますので、是非ご覧になって確認して下さい

芸人が演じる虚像の独裁者と信じられた人物が、果たして本物の権力者に変貌できるのか、という脚本を監督と共に書いたのは『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の脚本家、ニコラ・グアリャノーネ

参考映像:『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2017年日本公開)

ある日突然超能力を得た、街の孤独なさえないチンピラ。授かった力を生かす術を知らなかった男が、孤独な娘の信じる虚構のヒーロー、「鋼鉄ジーグ」に身を重ねる事で、真のヒーローへと覚醒してゆく姿が、“胸熱”と評判になった作品です

虚のヒーローが真のヒーローとなる様を、巧みに描いたニコラ・グアリャノーネ。その彼が今回、虚の存在と思われ軽んじられていた独裁者が、実の権力を持つ存在に変貌しようとする姿を、現代社会を風刺しながら描きます

オリジナル版をリメイクする制約の中で、彼がどの様な独自性と、新たなメッセージを作品に加えたのか注目してご覧下さい。

まとめ


© 2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

『帰ってきたヒトラー』が映画化された後、『帰ってきたムッソリーニ』が完成するまでの間に、世界には大きな動きがありました。

それはアメリカでのトランプ大統領の誕生であり、それに力を得た排他的な主張をする勢力が、ヨーロッパそして世界各地で、力を増し無視できない存在になっている事実です

『~ムッソリーニ』は『~ヒトラー』のストーリーを踏襲しながらも、トランプ誕生後の世界の、社会情勢を強く意識した作品になっています

この映画はイタリアのみならず、日本を含む他の国々の人々にとっても、現代社会が背負う大問題について、改めて問う展開になっています

また『~ムッソリーニ』はそのストーリーだけでなく、セリフに出て来る言葉や、映像の背後に映し出された物に、様々なメッセージが込められているので、そこにも注目してご覧下さい

この映画でムッソリーニを利用して、一山当てようとする人物を演じているのが、イタリアの“大人気ユーチューバー”の先駆けと言うべき、映像パフォーマーでもあるフランク・マターノ。

かつてマスメディアの力を利用して、絶対権力を手にした独裁者の元祖である、ムッソリーニと向き合うに相応しい、現代の人物をキャスティングしているとご理解下さい。

映画でムッソリーニを演じた俳優マッシモ・ポポリツィオは、俳優として舞台演出家として活躍している実力者。そしてイタリアでは映画「ハリー・ポッター」シリーズの、ヴォルデモート卿を吹き替えた声優としても有名です。

希代の独裁者を演じた人物は、世界的人気のファンタジー映画では、悪の権化として君臨していた…。そう思ってご覧になると、実に面白いですよ。

『帰ってきたムッソリーニ』は2019年9月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!

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