映画『フード・ラック!食運』は2020年11月20日(金)より全国ロードショー!
芸能界屈指の食通として知られるお笑い芸人「ダチョウ倶楽部」寺門ジモンの初映画監督作『フード・ラック!食運』。下町で人気を誇った焼肉店を舞台に、「食」を通じて繋がり続ける親子の愛と人生模様を描き出す。
主人公を演じるのは、「EXILE」「三代目J Soul Brothers」パフォーマーとして活躍するEXILE NAOTO。また主人公を支える新人編集者・静香役を土屋太鳳が務めています。
映画『フード・ラック!食運』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作・監督】
寺門ジモン
【脚本】
本山久美子
【キャスト】
EXILE NAOTO、土屋太鳳、石黒賢、松尾諭、寺脇康文、白竜、東ちづる、矢柴俊博、筧美和子、大泉洋、大和田伸也、竜雷太、りょう
【作品概要】
芸能界屈指の食通として知られるお笑い芸人「ダチョウ倶楽部」の寺門ジモンによる初映画監督作。下町で人気を誇った焼肉店を舞台に、「食」を通じて繋がり続ける親子の愛と人生模様を描き出す。
主演は「EXILE」「三代目J Soul Brothers」パフォーマーのEXILE NAOTO。主人公・良人役を務め、ヒロインであり主人公を支える新人編集者・静香役には土屋太鳳。また良人の母で「根岸苑」店主の安江をりょうが演じた他、石黒賢、松尾諭、寺脇康文、白竜、東ちづる、矢柴俊博、筧美和子、大泉洋、大和田伸也、竜雷太など実力派・ベテラン俳優陣が出演している。
映画『フード・ラック!食運』のあらすじネタバレ
下町の人気焼肉店「根岸苑」。そこの一人息子である少年・良人は、すでに他界した父に代わって一人店を切り盛りする母・安江(りょう)が忙しい中で作ってくれる手料理が何よりも大好きでした。
しかし、ある事件をきっかけに「根岸苑」は閉店してしまいます。
18年後、実家を飛び出したのち、うだつの上がらないフリーライターとして日々を過ごしていた良人(EXILE NAOTO)は、「ネクスト・エイジ」社長の新生(石黒賢)に呼び出されます。
そして編集者の竹中静香(土屋太鳳)と共に、「“本物”だけを集めた新しいグルメ情報サイト」の立ち上げ、その第一弾のテーマ「“本物”の焼肉」のために覆面取材と記事執筆をするよう依頼されます。
依頼を引き受けた良人は、早速静香に連れられて人気グルメ評論家・古山(松尾諭)が高く評価していた流行の焼肉店「焼肉・粋」へと向かいます。
良い料理に出会うことができる「食運」、食に対する卓越した審美眼という良人の才能、そして余りにも徹底された良人の焼肉に対するこだわりに、驚きと呆れと隠せない静香。一方、良人は丁寧に焼き上げた肉を一口食したものの「美味しくない」と断じてしまいます。
その言葉を耳にし近づいてきたのは、店を高く評価した古山本人。良人と古山は「焼肉・粋」の肉について意見をぶつけ合いますが、自慢げに「飲食店が流行るための仕組み」という身も蓋もない現実を語る古山を前に、良人は店を立ち去ります。
後を追ってきた静香に企画から降りることを告げる良人。しかしそこに、「家を飛び出して以来疎遠だった母・安江が倒れた」という報せが届きます。そして安江は末期のがんに侵され、10年以上闘病を続けていたものの既に末期であることを知ります。
一方、新生を通じて「根岸苑」を知った静香は店について調べます。そこで、かつて「根岸苑」はある週刊誌に取材された際に風評被害を被ったこと、その原因である事実無根の批判記事を書いたのは古山だったこと、のちに「根岸苑」は閉店したことを知ります。
その後、一人「焼肉スタミナ亭」への覆面取材へ行く静香。すると、行列に一人並んでいた良人と遭遇します。彼は「スタミナ亭」の店主であり、安江の緊急入院時に付き添いをしてくれた豊川(大和田伸也)へ会いに来たのです。
豊川に病床の安江に会うことを躊躇っていること指摘され、思わず店を去ってしまう良人。また静香は豊川から、「根岸苑」の閉店理由は古山の記事ではなく、店で出していたぬか漬けに何者かが洗剤を入れたことで起きた食中毒事件だと聞かされます。
「根岸苑」で一人佇む良人の元へ、静香が現れます。静香は厨房の隅に置かれていたツギハギだらけのぬか漬けの壺を見つけると、良人の制止も聞かず中を見ます。そこには幼い良人が描いた母子と母の手料理の絵、そして旧型のポータブルテレビが入っていました。
ポータブルテレビに書かれた店名を頼りに、「焼肉 マウンテン」へ向かう二人。そしてそこで出会った店主・山田(寺脇康文)から、彼と「根岸苑」の関わり、安江から教えられた言葉を聞かされます。
安江の食への誠実さを再認識し、取材と記事執筆を再開する良人。しかし、彼が書いたレビューを火種に炎上が起こり、閉店に追い込まれたパン屋の店主・西田(矢柴俊博)からの言葉を聞いてしまった良人は、再び記事が書けなくなります。
新生はそれに対し、かつて「根岸苑」を苦しめた古山による批判記事の編集を担当していたのは自身であると告白します。良人はただその場を後にします。
後日、良人は静香は連れられ、本来は「一見さんお断り」な焼肉店「川崎苑」へ向かいます。そこで良人は、店の名物である千切りキャベツと、母の手料理である「千切りキャベツの焼肉のせ」のキャベツの切り方などが似ていることに気づきます。
そして、「川崎苑」の店主・二郎(白竜)は良人の亡き父と共に修行していたこと。静香は良人に代わって安江の見舞いを続けていた際に、「川崎苑」の女将・小百合(東ちづる)と偶然会ったことで今回の来店が実現したこと。名物の千切りキャベツは小百合と安江が共同で開発したものだと知ります。
母の言葉と手料理が「根岸苑」なき今も生き続けていることを知ったものの、それでも記事を書くことを断る良人は、静かにある真実を告白します。
映画『フード・ラック!食運』の感想と評価
EXILE NAOTOによる「焼肉」という名の儀式
焼かれてゆく肉、肉、肉……「これほどまでに“焼肉”を映し出した映画はない」という感想をまず抱かれた方は大勢いるはずです。そして「食通」として、「監督」として徹底したのであろう、寺門ジモンによる“焼肉”の作法の演出にもさらに驚かされるはずです。
炭火によって高まっていく網の熱を慎重に確認した上で、肉を繊細に、大胆にのせていく。その肉が持つポテンシャルの最大・最高を「食す者」の礼儀として追求すべく、焼き加減を見定める。そして焼けた肉を口にしても、肉の「本当の味」が現れる時までじっくりと噛み、飲み込むその瞬間まで一切を味わい尽くす。寺門ジモンの肉への「美学」がそこにあるのです。
また「監督」である寺門ジモンに代わって彼の美学を体現しているのが、本作の主人公・良人役を務め、「EXILE」「三代目J Soul Brothers」パフォーマーとして「ダンス」という身体表現を自らの糧とするNAOTO。
作中、良人として肉を焼いてゆく彼の姿からは、やはり一種の美しさのようなものを感じ取れます。しかし、その「美」は作法に基づく動作の精密さや無駄のなさから由来するものというよりも、「肉」に対し、「食」に対し常に真剣さと誠実さをもって向き合う主人公・良人と監督・寺門ジモンの想いが表れているからではないでしょうか。
「食」という行為は、生物としての生存に不可欠な本能に基づく行為という側面がある一方で、自身の生を改めて確認するための「儀式」に近い行為でもある。寺門ジモンによる「焼肉」の作法の演出、主人公と監督の想いを体現したNAOTOの姿からは、それが感じとれるはずです。
まとめ
本作を鑑賞された方の中には、「“焼肉”がテーマの映画として観に行ったら、いつの間にか“ぬか漬け”の映画になっていた」と困惑された方もいるかもしれません。その一方で、本作が「親子の時を超えて伝わる愛情の物語」である点を振り返ったことで、納得された方もいるのではないでしょうか。
「肉を焼く」という原初の調理法と食文化について考えてゆく中で、「肉を焼く」には及ばないものの世界各地で古くから存在する調理法であり、「良い食材がより長い時間食べられるように」「その“美味しい”が時を超え多くの人々の口に届くように」という想いが込められた料理ともいえる“漬物”に行き着く。
漬物が多くの食文化の歴史と、現代まで続いてきた無数の人々の「食」を支えてきたという事実を知った時。そして人の「生存という本能」と「愛」が混ざり合うことで生まれた「食」だと想像した時、「親子の時を超えて伝わる愛情の物語」でもある本作が「ぬか漬け」作りへと向かっていくことにも、ある種の納得が生まれるのではないでしょうか。
映画『フード・ラック!食運』の物語が「素晴らしい“食”は、作る者の“愛”なくしては生まれない」という良人の言葉で締め括られたのも、そこが一番の理由なのかもしれません。