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ロバート・アルトマンおすすめ映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』あらすじと感想レビュー。80年代の幻のコメディ作品とは

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

ロバート・アルトマンのおすすめ映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』

2018年12月15日(土)、16日(日)に東京・杉並にある座・高円寺2にて、After School Cinema Club + Gucchi ’s Free Schoolによる映画祭『傑作?珍作?大珍作!! コメディ映画文化祭』が開催されます。

このイベントで12月15日に公開される映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』。

おバカと社会派、両方のコメディとして楽しめる、本作の魅力をご紹介します。

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映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』の作品情報


映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』

【公開】
1985年(アメリカ映画)

【監督】
ロバート・アルトマン

【キャスト】
ダニエル・ジェンキンス、ニール・バリー、ジェーン・カーティン、ポール・ドゥーリー、デニス・ホッパー、メルビン・バン・ピーブルズ

【作品概要】
「米インディペンデント映画の父」とも呼ばれる、鬼才ロバート・アルトマンが、人気雑誌『ナショナル・ランプーン』に登場するキャラクターを映画化。

高校生と金持ち一家の攻防を通して、高所得者と低所得者の格差が拡大し始めた当時のアメリカ社会を、徹底的に皮肉った青春コメディ。

本作は、SD画質をアップコンバートして上映します。

映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』あらすじ


映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』

ハイスクールの親友同士である、O・Cとスティッグスは、保険会社を経営するシュワブ家に嫌がらせをしていました。

O・Cの祖父は元警官ですが、シュワブ保険は、正当な退職年金を支払いません。

その為、ボケ始めた祖父と貧乏な暮らしを送っているO・Cは、シュワブ保険に揺さぶりをかける事にします。

親友で政治好きのスティッグスも、O・Cに同意して弱者を救済する為に、行動を共にします。

2人はシュワブ一家へ、さまざまな嫌がらせを行い続け、さらにシュワブの豪邸へとんでもない悪戯を仕掛ける事を計画しますが…。

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現在も根強い人気を持つロバート・アルトマン監督

本作の監督は、『M☆A☆S☆H マッシュ』(1970年)や『ナッシュビル』(1975年)などの作品で知られる、ロバート・アルトマンです。

アルトマンは、ハリウッドの商業主義を嫌い、リアリティにこだわった独自路線を貫いた監督です。

リアリティを追求し、1度に数人が同時に喋るという演出を考案、その為の録音機器も開発したほどです。

この、1度に数人が同時に喋るという演出は、現在では当たり前の手法ですが、当時では理解されず「役者を同時に喋らせた馬鹿」として、解雇された経緯もあります。

アルトマンは独自の視点で、時代を先取っていたと言えるでしょう。

2006年に亡くなった現在も、ポール・トーマス・アンダーソンなど、アルトマンに影響を受けたと公言するクリエーターも多く、2018年に日本で公開され、映画通を唸らせた『アンダー・ザ・シルバーレイク』の監督、デヴィッド・ロバート・ミッチェルも、ロバート・アルトマンにインスパイアされた事を語っています。

『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』は、大作映画だった『ポパイ』(1980年)が、酷評され興行的に失敗し、アルトマンが数年間映画から離れた後に制作された作品です。

この事を踏まえて観賞すると、アルトマンの何とも言えない感情が、作品に込められている印象を受けます。

現代の日本にも通用する社会風刺

本作は、O・Cとスティッグスが、自身を「絶対的な成功者」と過信しているシュワブへ、ひたすら嫌がらせを行う、おバカなコメディです。

海外のコメディとなると、その国の、その時代の文化や流行が反映されている事が多く「よく分からない」と敬遠される方もいるでしょうが、本作は、表向きはおバカコメディですが、実は1980年代のアメリカを、風刺的に描いている作品でもあります。

そして、この1980年代のアメリカの社会情勢が、今の日本にピタリとハマるのです。

本作が制作された、1980年代のアメリカは、レーガン大統領の政権下で、富裕層への減税を行う、後に「レーガノミクス」と呼ばれる経済政策が実行された時代です。

その結果何が起きたかというと、金持ちが潤い、貧乏人が苦しむという、格差社会の拡大に繋がったと言われています。

日本でも、2012年に「レーガノミクス」を語源にした「アベノミクス」が施行され、「格差が拡大した」と言われており、『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』の時代背景と、今の日本がほぼ同じ状況になっています。

「安倍政権の恩恵で儲かっている金持ちに、逆に酷い目にあっている家庭の高校生が逆襲する話」と同じ感覚で観賞すると、ストーリーの軸の部分は、何の問題もなく受け入れられますよ。

あとは「アメリカからメキシコへ浮き輪で旅する」「シュワブの娘の結婚式でマシンガンを乱射する」など、現代の感覚だとギリギリの、ブラックな笑いが楽しめます。

特に、お酒を禁じられているシュワブの妻が、夫に隠れて飲酒するのですが、この飲酒のパターンがやたら豊富でオススメの部分です。

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強烈なキャラクター達

本作には、常に戦闘状態のベトナム戦争帰りの軍人、スポンソンというキャラクターが登場しますが、演じているのがデニス・ホッパー

このスポンソンが強烈なキャラクターで、O・Cとスティッグスが繰り広げるシュワブとの戦いに、本格的に参戦して以降、一気に悪乗りがエスカレートし、笑うしか無い展開となっていきます。

また、元保管で、ブラックすぎるアメリカンジョークしか言わないO・Cの祖父や、ゲイの演劇顧問など、強烈なキャラクターが多数登場、特に「勝ち組」のはずのシュワブ一家が全員酷く、その描かれ方にアルトマンの悪意しか感じず最高です。

まとめ

2015年に日本で公開された、ロバート・アルトマンのドキュメント映画『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』で、アルトマンは『M☆A☆S☆H』撮影時から「脚本は設計図にすぎない、面白い事は、その場で採用していった」と語っています。

『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』でも、そのスタイルは貫かれたと思われ、1980年代の、アフリカの国際的なスター「キング・サニー・アデ」のライブが、突然1曲まるまる演奏されたり、俳優がセリフを言い直している部分を、そのまま採用したり、一部のシーンだけ「パフッ」という効果音がやたら多用されていたりと、独自の演出も楽しめますよ。

また、O・Cが片思いをするミッシェルと出会った事で、自分の悪戯や悪ふざけを反省し、少し精神的に成長するという、青春部分もしっかりと描いています。

『傑作?珍作?大珍作!! コメディ映画文化祭』で上映


『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』は、2018年12月15日(土)、16日(日)に座・高円寺2にて開催される『傑作? 珍作? 大珍作!! コメディ映画文化祭』で上映されます。

映画『突撃!O・Cとスティッグス/お笑い黙示録』上映日時

12月15日(土) 16:10

料金
全日券:8,000円、15日券:5,000円、16日券:4,000円

各回前売り券:1,500円(『突撃!O・Cとスティッグス』のみ1,000円)

当日券:1800円(『突撃!O・Cとスティッグス』のみ1,000円)

前売りチケットは現在Peatixにて好評発売中!

ロバート・アルトマンの幻のコメディ映画である本作、今回を逃すと劇場で観賞する機会は無いと思います。

現代の感覚では、絶対に制作されないだろう本作に、触れてみてはいかがでしょうか?

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