「月イチ」企画の短編WEB映画第10弾『私の男子会』が無料配信中!
『つどうものたち』(2019)、『異し日にて』(2014)、『お散歩』(2006)などの作品で数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰による特集企画「月イチ」短編WEB映画・第10弾『私の男子会』。
松田監督が「ハンバーガーをひとつ食べ終われる程度の尺で、生活の隙間でクスリと笑ってもらえる作品を届けたい」という想いから「月に1度のペースで映画を完成させて公開する」に挑戦した特集企画「月イチ」の最後を飾る作品です。
大人男子たちが集まってそれぞれ黙々と料理する不思議な男子会と、その姿を見守る妻との関係をほのぼのと描いた本作。
2023年9月29日(金)より無料配信される短編映画『私の男子会』の魅力についてご紹介します。
【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら
松田彰監督のコメント
いろんな理由から、 出来たはずなのにやらなかった事のいろいろを思ったとき、 何とも言えないやりきれなさに襲われました。 出来たはずのいろいろは自分の頭の中だけで朽ちていくだけなのか……。 そんな感情に襲われたとき、 人はその感情とどのように向き合うべきなのでしょうか。いま思うことは、 今回の企画である 「月イチ」 とは、 まさに、 そのような自分への私なりの回答であったのではないかということ。
決めたことは、 月に1度のペースで映画を完成させて公開すること。 そのために、 すこしだけ無理をすること。ただ、 それだけのことですが、 続けることの難しさは早々に分かるものです。ですが、 そのような状況であるからこそ、 視聴者様からの反響が得られれば、 喜びもひとしおで、 やりきることの原動力をいただけるのではないかと期待もしています。
シリーズ全9本を予定し、 尺はハンバーガーをひとつ⾷べ終われる程度に押さえることで、 人を待つ間や通勤中の電⾞内など、 生活の隙間でクスリと笑っていただける作品を作ってお届けしたい。
どなた様でも無料でご視聴いただけますので、 お気軽にお楽しみいただければ幸いです。 また、 作品を気に入っていただけた方には、 口コミやSNS等で周囲に広めていただけると有り難いです。
映画『私の男子会』の作品情報
下記のWeb映画は無料にて配信中!
【公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本】
松田彰
【キャスト】
優美早紀、佐藤聖之、山本琢也、オハラカズヤ、鈴木まゆ、森りさ、黒永明日香、秋葉美希
【作品概要】
数々の国内外の映画賞を受賞してきた松田彰監督が「月に1度のペースで短編映画を完成させてWeb上で公開する」に挑戦した特集企画「月イチ」の第10弾にしてシリーズ最終作。
気が合う3人組の男性陣が黙々とそれぞれに料理を作り食事を楽しむ独特な男子会と、その姿を見守る妻との様子をほほえましく描きます。
出演は優美早紀、佐藤聖之、山本琢也、オハラカズヤ。
映画『私の男子会』のあらすじ
美久は夫の拓也とふたり暮らし。また拓也は、美久の兄・比呂樹とその上司・弥と非常に気が合っていました。
4人でキャンプに行くはずの日に、美久は急な事情でリモート出勤が入ってしまいます。すると、そんな彼女のいる家に男たちはやって来て、いつものようにキッチンへと集うと料理を作り始めました。
美久は休憩に、おいしいお昼ご飯や手作りおやつを食べさせてもらい……。
映画『私の男子会』の感想と評価
リモート出勤する女性の家で、彼女の夫を含む3人の男性陣が「男子会」を開くさまをほのぼのと描く作品です。
おしゃべりを楽しむ「女子会」とは少々趣が異なり、彼らはそれぞれ自分の作りたい料理に黙々と取りかかります。会話はぽつぽつ交わされる程度です。
ですが料理にいそしむ男性陣からは、それがどれほど楽しく充実した時間であるか、この場所がどれほど居心地よいかが伝わってきて静かな感動を覚えます。大人になってからそうした居場所を得ることは、決して簡単なことではありません。
妻である美久ひとりが臨時でリモート出勤する状況も、コロナ禍以降の社会ならではのリアルさを感じさせます。夫とその友人に自由にキッチンを使わせ、楽しい時間を過ごすことを一緒に喜んでいる様に、美久の懐の深さや大らかさが感じられることでしょう。
また、日頃から彼女に感謝の念を抱いている男たちが、仕事に忙しい彼女を癒すためにあれやこれや工夫する姿にも思わず癒されます。
ほのぼのした夫婦愛、それぞれの家族関係、ニューフェイスの存在など、穏やかに映し出される人間模様もみどころです。
まとめ
身を寄せ合い料理を作りながら心地よく過ごす男性たちと、彼らを温かく見守る大らかな妻の物語『私の男子会』。
ひと昔前であれば「男たちが飲んで騒ぐ側でお酌をする妻」という古めかしい構図が一般的でしたが、「妻のためにいそいそと料理を作って楽しむ男子会」という設定がイマドキの新しさを感じさせます。
少し手を加えるだけで日常を簡単に素敵な非日常に変えられること、幸せが本当は自分のすぐ側にあることに気づかされることでしょう。
寂しいことに、本作がとうとう特集企画「ツキイチ」最後の作品となります。色とりどりの作品たちは、時に私たちの心に寄り添い、時に驚きと刺激を与え、時に胸をほっと温めてくれました。
松田監督は「10ヶ月間で10本。思う存分 ‟映画づくり”に浸った期間でした。これほど多くの彩りで体験できたのは、とても至福の時間でした。ツキイチの10本の映画は、永続的に配信されますので、いつかご視聴して頂けると嬉しいです。」とコメントを寄せられています。
無料配信が開始される『私の男子会』はもちろん、さまざまな人生がギュッと詰まったこれまでのシリーズ作品たちを、ぜひもう一度観返して楽しんでみてはいかがでしょう。
特集企画「月イチ」短編WEB映画・第10弾にしてシリーズ最終作『私の男子会』は無料配信中です。
【連載コラム】「松田彰監督WEB映画12選」記事一覧はこちら