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【平成モスラ1・2・3考察と比較解説】子供と見たいファンタジー映画に特撮技術の操演からCGへの変化が可能にした怪獣メタモルフォーゼ|邦画特撮大全76

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第76章

今回の邦画特撮大全は「平成モスラ」シリーズを紹介します。

東宝特撮映画を代表する怪獣モスラは、1961年公開の映画『モスラ』で初登場。

怪獣王ゴジラと並ぶ人気を誇り、「ゴジラ」シリーズには『モスラ対ゴジラ』(1964)に登場以降『ゴジラ FINAL WARS』(2004)まで計9作品に登場。昨年公開された『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)にも登場しました。

平成に入りモスラは、「ゴジラ」シリーズとは別にオリジナルシリーズが展開されました。現在Netflixにて配信中の「平成モスラ」シリーズの特徴を、今回紹介していきます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

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『モスラ(1996)』の作品情報


(C)1996 東宝

【公開】
1996年(日本映画)

【監督】
米田興弘

【特技監督】
川北紘一

【脚本】
末谷真澄

【出演】
小林恵、山口紗弥加、羽野晶紀、二見一樹、藤沢麻弥、萩原流行、大寶智子、寺尾聰、高橋ひとみ、梨本謙次郎

【作品概要】
前年『ゴジラVSデストロイア』(1995)にてシリーズが終了した(後に1999年~2004年まで再開)「ゴジラ」シリーズに代わって、東宝が新たに製作した特撮映画のシリーズが本作『モスラ』です。監督は「ゴジラ」シリーズで助監督を歴任してきた米田興弘監督、特技監督は「ゴジラ」シリーズを担当して来た川北紘一監督が務めています。

ファンタジックな特撮巨編『モスラ』

本作『モスラ』のテーマは環境破壊で、舞台は森林伐採が進む北海道・紋別の森となりました。これまでの怪獣映画のような大都市の破壊や自衛隊や架空の防衛軍の活躍などの描写はなく、全篇にわたって明るくファンタジックな作風です。

遺跡から復活した敵怪獣デスギドラや、屋久杉に繭を張り成虫へと変貌するモスラなど幻想的な特撮シーンには目を見張るものがあります。

1961年に公開したオリジナル版『モスラ』と本作『モスラ』に直接的なつながりはありませんが、インファント島と小美人の設定は継承され本作にも登場しています。

本作の小美人は「エリアス」と呼ばれ、小林恵と山口紗弥加が演じていました。過去の小美人は双子という設定のため2人ともほぼ同じ衣装でしたが、本作のエリアスは衣装がそれぞれ違う色で、性格の異なる姉妹として描かれています。

また過去の作品に登場した小美人たちは人類に警告を伝える役割と人間の欲望に翻弄される被害者の側面が強調されて描かれていました。本作の小美人“エリアス”は過去の小美人よりもアクティブに行動し、映画の中を縦横無尽に活躍します。

さらに平成モスラシリーズには敵役として、エリアスの実姉・ベルベラが登場します。実の姉妹同士での戦いを描く一方で、シリーズ通して3姉妹の絆を丹念に描き出します。

また本作『モスラ』はファミリー映画という側面が強い作品でした。モスラの戦いに協力する後藤一家はバラバラだった家族の絆を戦いの中で取り戻していきます。

『モスラ2 海底の大決戦』の作品情報


(C)1997 東宝

【公開】
1997年(日本映画)

【監督】
三好邦夫

【特技監督】
川北紘一

【脚本】
末谷真澄

【出演】
小林恵、山口紗弥加、羽野晶紀、野波麻帆、満島ひかり、島田正直、大竹雅樹、奥野敦士、おかやまはじめ、佐藤正宏、細川ふみえ、紺野美沙子

【作品概要】
シリーズ第2作目となった『モスラ2 海底の大決戦』。米田興弘監督に代り、本作のメガホンをとったのは長年ゴジラシリーズで助監督を務めて来た三好邦夫監督。特技監督は前作に続き川北紘一監督が務めました。

自由な変身を見せる『モスラ2』

前作『モスラ』は北海道・紋別の森が舞台でしたが、本作『モスラ2 海底の大決戦』では舞台を沖縄・石垣島の海に変更。

舞台変更によって作品のカラーが前作からガラリと変わりました。本作は海底遺跡「ニライカナイ」の秘宝を巡る物語で、全体的にアドベンチャーの要素が強くなっています。

前作同様、本作のテーマも環境破壊で、敵怪獣ダガーラは海の汚染物質を浄化するために作り出された怪獣です。しかし完全には浄化できず、体内でベーレムという生物を生み出してしまいます。ベーレムが大量発生した海の描写は「赤潮」を思わせるものでした。

本作最大の特徴はモスラの変身です。水中戦を得意とするダガーラに対抗するため、魚のヒレのような羽を持つ「モスラ水中モード」に変身します。さらに終盤には虹色の翼を持つ「レインボーモスラ」へと変身を遂げました。

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『モスラ3 キングギドラ来襲』の作品情報


(C)1998 東宝

【公開】
1998年(日本映画)

【監督】
米田興弘

【特技技術】
鈴木健二

【脚本】
末谷真澄

【出演】
小林恵、建みさと、大仁田厚、松田美由紀、吉澤拓真、篠崎杏兵、鈴木綾野、並樹史朗、羽野晶紀、山口紗弥加(ナレーション)

【作品概要】
平成モスラシリーズの最終作『モスラ3 キングギドラ来襲』。第1作に続き米田興弘監督が再びメガホンをとり、「特殊技術」にはこれまで川北紘一監督の下で助監督を務めて来た鈴木健二が抜擢されました。

シリーズ最終作『モスラ3』強敵キングギドラ登場!!

平成モスラシリーズ最終作となった『モスラ3 キングギドラ来襲』。これまでの作品にはなかった都市の破壊描写や強敵キングギドラの登場など、シリーズの最後を飾るのにふさわしい作品となっています。

本作に登場したキングギドラは恐竜絶滅の原因となった存在で、ベルベラは予言の中で「空から恐怖の大魔王が降りてくる」と表現します。

これはちょうど本作公開の翌年が1999年だったこともあり、「1999年7月、空から恐怖の大王が降りてきて世界が滅ぶ」というようなノストラダムスの予言と重ねられた設定なのでしょう。

世界滅亡の予言と重ねられるように、本作に登場したキングギドラは圧倒的な強さを見せます。

モスラはこれまでゴジラシリーズでキングギドラと戦ってきてはいますが、1対1の勝負は本作が初。そのためモスラは強敵キングギドラを倒すために、なんと白亜紀へタイムスリップするのです。

さらに現代のキングギドラとは別に、白亜紀型キングギドラも登場。顔つきや脚、皮膚のディテールが恐竜を思わせる造形で、これまでのキングギドラは趣を異にします。

また前作で描かれたモスラの変身も本作ではパワーアップ。タイムスリップするために水中モードから変形した「光速モード」、最終決戦時に変身した「鎧モスラ」、「鎧モスラ・エターナル」と3度の変身を見せます。

CGを効果的に利用した本作の変身シーンは見応えがあり、特に鎧モスラの透明な羽が虹色に色づいていく場面は美しいです。

まとめ

家族向けのファンタジー映画シリーズとなった平成モスラ3作品。モスラは着ぐるみ怪獣ではなく操演怪獣のため、CGを効果的に用いて自在に変身することが可能でした。

平成モスラシリーズは、モスラの自由自在な変身シーンを通して作り手のチャレンジ精神を強く感じることのできる3作品となっています。

次回の『邦画特撮大全』は…

(C)東宝

次回の邦画特撮大全は東宝特撮に登場する巨大ロボについて紹介します。お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら


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