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『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想と内容解説。平成最後の戦隊シリーズの鑑賞ポイントを紹介|邦画特撮大全38

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第38章

先日2019年3月17日から平成最後の戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の放送が開始されました。

あなたは第1話をご覧になられましたか。王道的な展開と新たな映像でこれからの展開に大きく期待が持てます。

今回取り上げる作品は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』です。現在第1話が期間限定で無料公開中です。第2話の放送前に、シリーズの予習と第1話の振り返りをしましょう。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の作品概要

【放送】
2019年3月17日から放送開始

【プロデューサー】
丸山真哉、高橋一浩

【脚本】
山岡潤平

【音楽】
吉川清之

【監督】
上堀内佳寿也

【キャスト】
一之瀬颯、綱啓永、尾碕真花、小原唯和、岸田タツヤ、金城茉奈、黄川田将也、渋江譲二、沢井美優、団時朗、中田譲治(声の出演)、白石涼子(声の出演)、てらそままさき(声の出演)、吹越満

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のあらすじ

騎士竜戦隊リュウソウジャー 第1話「ケボーン!!竜装者」

かつて恐竜が栄えていた時代。古代人類“リュウソウ族”は“騎士竜”と共に、戦闘民族“ドルイドン”と戦っていました。

そんな中、地球に巨大隕石が接近。地球征服を企む戦闘民族“ドルイドン”は宇宙へ逃亡。リュウソウ族は騎士竜を神殿に封印していきます。

6500万年後の現代……。宇宙にいたはずのドルイドンが再び地球を狙います。

師匠たちの遺志を継ぎ、立ち上がったコウ、メルト、アスナ、トワ、バンバ、リュウソウ族の5人の騎士。彼らと騎士竜は共に、ドルイドンの魔の手から地球を守るため戦うのですが…。

原点回帰とファンタジー要素

前作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018)では2つの戦隊の激突を描き、前々作『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017)では9人戦隊(最終的には12人)と、これまでのシリーズから見ると異色な作品が連続していました。

そのため本作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は“王道”をテーマに掲げ原点回帰が図られています。

リュウソウジャーのメンバーは5人となり、子ども人気も高く今回で4度目の採用となる“恐竜”が戦隊のモチーフに選ばれています。

またタイトルにもあるように“騎士”も併せてモチーフに選ばれています。その他、主人公5人によるエンディングのダンスも復活しました。

古代の伝説を背景に置いた設定や、騎士のモチーフ、敵の名称の“ドルイドン”などからファンタジー、特にケルト系の要素が見られます。

恐竜を初めてモチーフに採用した『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)やファンタジー要素の強い『星獣戦隊ギンガマン』(1998)との共通点も見られました。

主人公たちが古代から続く民族や戦士であるという基本設定は『ジュウレンジャー』や『ギンガマン』とも共通しています。

また巨大ロボットに変形する騎士竜の設定が『ジュウレンジャー』の“守護獣”、『ギンガマン』の“星獣”を思わせる設定になっています。

その一方で、第1話の段階で5人全員が揃っていなかったり、最初の敵が等身大ではなく巨大な怪獣“ドラゴンマイナソー”であったりと、所々に変化球の要素も見られます。

メインスタッフはプロデューサーに丸山真哉、脚本に山岡潤平、音楽に吉川清之とスーパー戦隊シリーズ初参加の顔が並びます。

この3人はテレビ朝日・東映が制作する人気刑事ドラマ『遺留捜査』のメインスタッフです。パイロット(第1話・第2話)を手掛ける監督は『仮面ライダービルド』(2017~2018)の劇場版を手掛けた上堀内佳寿也。

初参加となるスタッフをメインに配することで、“王道”をテーマに掲げつつもシリーズに新風を吹き込もうという意気を感じます。

新鮮なキャスト陣と特撮経験者の共演

リュウソウジャーの5人を演じるのはこれまでのシリーズ同様、デビュー間もない若手俳優たちです。コウ/リュウソウレッドには本作がデビュー作となる一之瀬颯。

メルト/リュウソウブルーには綱啓永。綱啓永は第30回(2017年)ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのグランプリ受賞者です。
ちなみに同回でフォトジェニック賞を受賞したのが現在『仮面ライダージオウ』で主人公・常盤ソウゴを演じている奥野壮です。

アスナ/リュウソウピンクを演じるのは尾碕真花。芸能プロダクションのオスカープロモーションが主催する第13回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞しました。

このコンテストのファイナリストで結成されたアイドルグループX21のメンバーでもあります。

トワ/リュウソウグリーン役は小原唯和。第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのファイナリストの1人でした。いくえみ綾原作のドラマ『あなたのことはそれほど』(2017)で、鈴木伸之演じる有島光軌の中学生時代で俳優デビュー。

バンバ/リュウソウブラック役には岸田タツヤ。高校時代から広告のモデルやCMなどで活躍。2010年8月から2011年頃まで俳優集団NAKED BOYZのメンバーでした。

一方、コウの師匠マスターレッドを黄川田将也、メルトの師匠マスターブルーを渋江譲二、アスナの師匠マスターピンクを沢井美優がそれぞれ演じています。

黄川田将也は映画『仮面ライダーTHE FIRST』(2005)『仮面ライダーTHE NEXT』(2007)で主人公の本郷猛を演じていました。

渋江譲二は『仮面ライダー響鬼』(2005)でイブキ/仮面ライダー威吹鬼を好演。沢井美優は東映が制作した実写ドラマ版『美少女戦士セーラームーン』(2004)で主人公の月野うさぎ/セーラームーンを演じていました。

ちなみに黄川田将也、渋江譲二も実写版『セーラームーン』に出演しています。

また彼らを束ねるリュウソウ族の長老を演じるのは団時朗。団時朗は『帰ってきたウルトラマン』(1971)の主人公・郷秀樹役で有名です。

新たなヒーロー5人を支える師匠たちを、かつて特撮作品でヒーローを演じた俳優たちが演じるのです。

また騎士竜ティラミーゴの声をてらそままさき、敵ドルイドンのタンクジョウの声を中田譲治が担当します。

てらそまは『仮面ライダーBLACK』(1988)のシャドームーンや『仮面ライダー電王』(2007)のキンタロスの声を演じていました。

中田譲治はかつて『超新星フラッシュマン』(1986)『超獣戦隊ライブマン』(1988)に顔出しで敵役を演じていたほか、声優としても数多くの特撮作品に出演しています。

また恐竜を研究する学者・龍井治久役で、個性派俳優の吹越満もレギュラー出演します。

吹越満もかつて特撮テレビドラマ『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)にレギュラー出演していた経験があります。

まとめ

デビュー間もない新鮮な出演者、初参加のメインスタッフ、そしてかつて特撮作品に出演していた出演者。

テーマに掲げた“王道”と『リュウソウジャー』特有の要素が、今後どのように絡んで展開していくのか期待が膨らみます。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992)のほか歴代の“恐竜戦隊”たちを特集します。

恐竜戦隊ジュウレンジャー 第01話「誕生」公式

お楽しみに。

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