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Entry 2021/07/10
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映画『第8日の夜』ネタバレ感想と結末のあらすじ解説。キャストのイ・ソンミンが魔王復活阻止を熱演|Netflix映画おすすめ48

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第48回

今回ご紹介するNetflix映画は『第8日の夜』です。本作は古の俗世で人々を惑わし苦しみを与え、封印された邪悪な魔王が、蘇ろうとする現代の韓国が舞台です。

世捨て人の元僧侶の男と少年僧が、人々に災いを招くという魔王の復活を阻止するため、8日間の激闘を描いたサスペンス・ホラー作品です。

主人公のパク・ジンス役には、映画『さまよう刃』(2014)、『目撃者』『工作』(2019)などの注目作品で、実力派俳優の地位を不動のものとした、イ・ソンミンが務めます。

少年僧のチョンソク役は『いつか家族に』(2018)のナム・ダルム、謎の少女エランの役は韓国ドラマ『トンイ』、『太陽を抱く月』のキム・ユジョンが務めます。

2人ともに韓国のテレビドラマや映画で、子役からキャリアを積み重ね、本作が俳優として新境地になると期待されています。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『第8日の夜』の作品情報

(C)2021 Netflix

【日本公開】
2021年(韓国映画)

【原題】
The 8th Night

【監督/脚本】
キム・テヒョン

【キャスト】
イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ユジョン、ナム・ダルム、チェ・ジノ、イ・オル、キム・ドンヨン

【作品概要】
本作は2020年劇場公開の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、2021年にNetflixにより配信されました。

キム・テヒョンの初監督作品です。脚本も手掛けたキム監督は、実際にある伝説のようなストーリーについて、以下のように語りました。

数年前に就寝時に壁側を向いて横になると、周囲の様子が急に鮮明に見える経験をし、「頭の後ろ、髪の毛の間に隠れている黒い眼球’」この短いキーワードをメモして、後に哲学書やドキュメンタリー、人文学などの資料を精査し、本作の脚本を完成させました。

映画『第8日の夜』のあらすじとネタバレ

(C)2021 Netflix

2500年前、人間は魔物の妖力によって、苦しい暮らしを強いられていました。見かねた釈迦仏は魔物の力の根源である、“黒い目”と“赤い目”をくりぬきます。

ところが2つの目は釈迦仏の手から逃げだし、黒い目はすぐに捕まり“舎利容器”に閉じ込められました。

“赤い目”は、7人の人間に憑りつきながら逃げるも、8日目の晩に逃げてきた道を振り返った時、7人の人間が仏へと続く飛び石だったと気づき、観念して自ら舎利容器に入り封印されます。

目は別々の“舎利容器”に入れられ、赤い目は西の広大な砂漠へ、黒い目は東の険しい崖へ封じ込めます。そして、2人の弟子に2つの目が交わらないようにするよう命じました。

2005年、インドとパキスタン国境近くの砂漠に、キム・ジュンチョルという教授が訪れます。

彼は長年“金剛経”に書かれている伝説について研究し、それが真実であることを証明するため砂漠の発掘をしていました。

ジュンチョル教授は砂漠に忽然と現れた、木片で囲われた場所から文字の書かれた石蓋を発見し、その下を掘り起こすと石でできた容器を掘り出します。

ジュンチョルはこれこそが金剛経に記された、魔物の赤い目が封じ込まれた舎利容器だと確信し、学会に発表をし世紀の大発見と注目されます。

ところが、発掘された容器や中身の物質調査から、2500年前の物とは判定されず、ジュンチョルの捏造による遺物だと決定づけられ、彼の地位や名誉もはく奪されてしまいます。

14年後、ジュンチョルはニュースで35年ぶりの皆既月食「ブラッドムーン」が観測されることを知り、石蓋に記されていた、赤い目を復活させる儀式を思い出します。

世間からのバッシングで恨みや怒りに囚われていたジュンチョルは、赤い目を復活させ地獄の門を開けば、自分の研究が正しかったと証明できると考えたのです。

皆既月食が観測される時刻、冷蔵庫に保存された血液を舎利容器に注ぎ、最後に自分の血を入れると、石蓋の文字を呪文のように読みあげます。

しかし、何も起こらず彼は絶望から、自死しようと喉にナイフをあて叫ぶと、テーブルから何かが落ちてきました。

それは紛れもなく伝説で記された、“赤い目”でした。ジュンチョルが這ってその目に近づくと、眼の瞳孔が動き何かを認識します。

その頃、人里離れた山奥にある寺院では、ハジョン僧侶が禁忌が破られたことを感じていました。そして、「時がきた」とつぶやき、仏像の下に隠してある舎利容器に手をかけます。

翌朝、“プク山”の寺院では、若い修行僧が朝食をはジョン僧侶に運びます。修行僧の名はチョンソクといい、“黙言”という無言の修行を2年続けていました。

ハジョンはチョンソクを社殿とは別に、人目につかない「祠堂」へと導きます。そこには木彫りの仏像が鎮座していました。

ハジョンはその周囲のロウソクに火を灯し、伝説の魔物の話を覚えているかと聞き、チョンソクは筆談でなぜ、滅ぼさなかったのかと尋ねます。

ハジョンは魔物の正体は存在するが、姿が見えないため滅ぼせなかったとし、2つの目を東西の僻地へ封印し、東側の参道には“処女菩薩”、崖には“無名の僧侶”の2人を守りに就けたと話しました。

しかし、時が流れ“赤い目”を助ける者が現れ、赤い月の夜にその封印は解かれてしまい、7夜をかけて7つの飛び石(人間)を渡って、黒い目に向い第8日の夜に魔物は蘇ると話します。

つづけてハジョンは滅ぼすことはできないが、復活を阻止することはできると言い、7つの飛び石のどれか1つでも無くせば、2つの目は交わることができなくなると語りました。

以下、『第8日の夜』ネタバレ・結末の記載がございます。『第8日の夜』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2021 Netflix

その晩、街では怪奇な殺人事件が発生します。最初に森で猟をしていた男が何者かに憑りつかれ、郊外のモーテルの前で佇みます。

モーテルにはカップルが1組だけ、女性の手首にはリストカットした痕があり、同伴の男に生き方を変えるために“瞑想の会”に行ったことを話します。

そこでは血液検査で健康状態も調べてくれる上に、主催者の教授がお金までくれたと言います。

ところが男女の部屋に憑りつかれた猟師が迫っていました。怖ろしい形相の男はカップルに襲いかかります。

プク山の寺院ではチョンソクが悪夢を見て目を覚まし、傍らにいたハジョン僧侶は夢(過去)に振り回されぬよう諭し、“ソナ”を訪ね“ヤツ”が目覚めたことを伝えるよう命じます。

翌朝、チョンソクが起床すると、ハジョンは座位したまま亡くなっていました。そばには舎利容器が置かれています。

モーテルでは銃殺された男性とミイラ化した猟師の遺体が残され、女の姿はどこにもありません。この猟奇事件を担当する刑事キム・ホウタエは、異様な現場を見て困惑します。

ソナは暗闇の中、成仏を待つ多くの霊に囲まれていました。彼はそれらを放棄し寺院から逃げ出し、日雇いの仕事をしていました。

赤い目が解放され4日目の朝、チョンソクはハジョンの言いつけ通り、舎利容器を持ってソナ和尚を訪ねるため、山を下り彼の住む街の駅に到着します。

住所の書かれた紙を通りすがる人に見せますが、誰も相手にしてくれず目を離した瞬間に、舎利容器の入った布袋を盗まれてしまいました。

慌てて周りを探すチョンソクは、人混みの中に彼を見る少女を見ますが、すぐに消えてしまいます。

その頃、再び奇怪な遺体が発見される事件が起きます。その遺体はモーテルから去った女で、その姿はモーテルの猟師と同様にミイラ化していました。

ホウタエ刑事は部下のドンジンに意見を求めますが、怪奇事件に強い“霊媒師”がいると口走ります。

チョンソクはソナの住む住所を捜し歩き、ようやく見つけ出しましたが留守でした。夕刻、帰宅したソナにチョンソクは、ハジョン僧侶が亡くなったことを伝えます。

そして、“ヤツが来た”こと、舎利容器を紛失したことも伝えると、ソナはチョンソクの背後に何かの存在を感じていました。

その晩、出前の配達をする青年の目の前を、靴も履かずにボロボロな姿で歩く女性と遭遇しました。

配達員はバイクを降りて心配そうに声をかけます。彼は女性の顔を見るなり、“瞑想の会”にいた人かと聞きます。

すると、女性はみるみる怖ろしい形相になり、彼に近づくと臭いを嗅ぎ、突然襲いかかりました。配達員は“処女菩薩”と書かれた看板の門前に現れます。

家には駅でチョンソクをみつめていた少女がいました。気配を感じとった少女は、血液の入った容器を蓋をあけて、門扉の側に起きます。

門のすき間からは彼のこめかみが見えそこが裂けると、眼球が現れ中を覗き込み、次に臭いを嗅ぐと立ち去っていきました。

(C)2021 Netflix

ソナの家ではチョンソクの背中に乗ってきた、ハジョンの霊がソナに話しかけます。ハジョンは怒りに満ちたソナに死ぬまで、死者を供養する責務を諭します。

そして、改めて“ヤツ”が解き放たれたことを話し、7つの飛び石の中で唯一存在のわかる、“処女菩薩”を探して殺さねばならない使命を告げます。

第5日目、ソナは処女菩薩を抹殺するための準備をします。ソナはプテ山の寺院でハジョンの次に、“守り人”として継承された僧侶でした。

ソナは唯一の手がかりになる、“処女菩薩”の伝承者と家の前で撮った写真があり、裏面に書かれた住所を確認します。

更にソナにはパク・ジンスという俗名があり、過去の悲しい記憶がありました。血まみれの子供服と手紙を見つめます。

ソナは使命を果たすために必要なものをそろえると、チョンソクを寺院に帰そうとしますが、チョンソクはハジョンから一緒にいるよう言われたから、供をさせてほしいと願います。

2人は処女菩薩のいる住所に行きますが、そこは売り払われ飲食店になっていました。聞き込みをし転居先を探しますがわかりません。

日没、処女菩薩を探しているという噂を聞いた男が、ソナに声をかけ居場所の地区を教えます。

一方、配達員と女性の会った場所ではミイラ化した、女性の遺体が発見されホウタエも現場に向います。

これまでにみつかった遺体の共通点は、一晩で腐敗し細胞が破壊され、頭部に陥没した穴があるということです。

ソナとチョンソクは高速バスに乗って、処女菩薩のいる場所を目指します。処女菩薩の家には、6つ目の飛び石が迫っていました。

ターミナルに到着したソナは事故で妻子を失った夢を見ます。事故を起こした女性が遺書に償って自死すると手紙を残していました。そして、彼女にも幼い息子がいました。

ソナは怒りに満ちた顔で、その息子の首を絞め殺そうとしますが、ハジョンに喝破され我に返ります。

ソナは遺体の見つかったモーテルとトイレの付近にある、“霊媒師”の家を探すようチョンソクに言います。

チョンソクが“処女菩薩”の看板をみつけると、雨が降り出しはじめ家の軒下で雨宿りをしていると、家の門扉がスッと開き彼は家の中へと導かれました。

ソナの方はテレビで女性の変死体がみつかったニュースを見て、現場に向いそこでホウタエと遭遇し、不審人物として目をつけられてしまいます。

一方、家の中に入れてくれた少女の顔をみたチョンソクは、前に一度会っていないか聞きますが、答えはNoでした。

家には閻魔の掛け軸や処女菩薩の絵が飾られ、少女のほかに中年の女性もいました。雨が上りチョンソクが表に出ると、彼は不気味な女子高生と遭遇します。

彼女は妙な動きをして形相を変え、頬が裂けると中から赤い目がチョンソクを見ます。

その頃、ソナと格闘したホウタエは警察署で、大邱高校の前で発見された、配達員の変死体がこれまでの死体と同じ状態としります。

警察の調べでソナは光州の寺院で、悪霊払いをする僧侶でした。そして、悪霊を祓う過程で殴ったことで訴訟され、曹渓宗に身元確認をした際、僧籍がなく詐欺罪で訴えられていました。

ホウタエはソナが地域地図を落としたことに気づき、格闘した場所へ戻ります。そして、地図に記した場所を線で囲むと、高校の生徒に行方不明者がいないか調べます。

その中に自殺願望の女子高生が家出をしていて、直近に自殺願望者が集う“瞑想の会”に参加していることを知ります。

ソナはチョンソクがみつけた、“処女菩薩”の家をストリートビューで確認し、そこで何を行うか話し別れを告げます。

ソナは処女菩薩の家に向い、チョンソクは少女を助けるために走り、彼女を連れて逃げ出します。

ホウタエはソナの姿を発見し追跡し、ソナは憑依された女子高生を追いかけ、ドンジンと遭遇し、女子高生ははドンジンにとびかかり、その隙にソナは逃げ出し処女菩薩の家を発見します。

ところが憑依された女子高生は、7つ目の飛び石の処女菩薩ではなく、なぜかドンジンに憑依します。そして彼は援護にかけつけた警察官を射殺してしまいます。

ソナはもぬけの殻になった部屋に入ると、障子のすき間から伸びる指先を見ます。そこには「プテ山に行け」と書かれたメモが残されていました。

プテ山には舎利容器を持ったチョンソクと謎の少女、7つ目の飛び石となったドンジンとソナが向います。

ホウタエも処女菩薩の家を発見し、本物の処女菩薩を発見します。彼女は血糊で書いたお札を顔に巻き隠れていました。

処女菩薩は少女といた中年の女性でした。そして、少女の正体は虐待され生きる望みを失ったエランという名の子で、ジュンチョル教授が保護し養育していました。

処女菩薩の女性は自分の運命に怯え、自殺未遂を繰り返し元の家から転居して、瞑想の会にも参加をしていました。

霊媒師の彼女には、教授の家にいるエランの姿が見えましたが、他の人には見えません。

エランは教授から魔王を復活させるためには、処女菩薩を惑わす生贄が必要だと、言われ自ら命を絶ち、亡霊となっていました。その姿を霊媒師に見せ彼女に着いくためです。

エランは処女菩薩を惑わし、名もなき僧侶に殺されずに済む方法を教え、お札を作りに来たドンジンの血を使って、彼を身代わりにしたと話します。

プテ山では廃虚の小屋にチョンソクとエランが隠れていますが、そこを発見したソナには彼女の姿は見えず、チョンソクもまた、エランは存在していなかったことに気がつきます。

第8日の夜ソナは結界を作り中に閉じ込め、自分に憑りついたら迷わず斧で殺すよう、チョンソクに言います。

チョンソクは背中に護符を書いた上着を着、舎利容器を持って罠の外に隠れます。

ソナと赤い目との一騎打ちのはずが、エランが現れチョンソクの上着は脱がされてしまいます。すると赤い目はチョンソクの姿に気がつきます。

ソナは思わず「ジョンフン(チョンソクの俗名)逃げろ!」と叫び、チョンソクは舎利容器を持って逃げますが、強靭な魔力を手に入れた赤い目は、結界を破り追いかけます。

激しい攻防も虚しく赤い目はチョンソクに憑りつきます。

身代わりになるというソナに、チョンソクは恨んでいる女の息子なのになぜだと問いながら、舎利容器の蓋を開けソナに斧をふり下しました。

チョンソクは飲酒運転で事故をおこし、ソナの妻子を死亡させた女の息子で、遺書に望みを託していた子です。

ソナは幼いチョンソクを連れて、プテ山でハジョンの下仏門に入りましたが、怒りや恨みでチョンソクを手にかけようとして、プテ山を逃げ出していました。

幼い姿のチョンソクはソナに「殺してもいいよ」と首に手を誘導し、自分を殺せば地獄のような夜は終わると惑わします。

ソナは泣きながらその顔を指でなぞり、血糊でオームを書くと手を握り呪文を唱え、チョンソクから赤い目の魔物を解きます。

ソナは「ジョンフン、今までのことは許してくれ」とつぶやきました。

全てを察したチョンソクは、ソナの額に赤い目が現れると、斧を振り下ろします。空に開き始めた地獄への扉から、稲妻が落ちて闇が吹き去り地響きが起き、夜が明け始めます。

映画『第8日の夜』の感想と評価

(C)2021 Netflix

『第8日の夜』はただおどろおどろしいホラーではなく、生命論的な哲学を用いた作品で、人の“生き方”について心に直接訴えかけるような、今までにない異色作でした。

実際にある伝説のように仕立てるため、全体的に暗く冷たい色味に彩度を下げ、絵画も実際にある高麗仏画をストーリーに沿った絵に描き直すという徹底ぶりでした。

ソナ役のイ・ソンミンはインタビューで、よりリアルな悪霊祓いを演じるため、呪文のサンスクリット語をかなり練習し、本番に挑んだと語ります。

“無名の僧侶”という設定だから、ソナは曹渓宗に僧籍がなかったのか?とかちょっとした布石もありました。

「煩悶」と「煩悩」に着想した作品

釈迦が菩提樹の木の下で瞑想し、悟りを開く説話にも、様々な魔物が出現し修行を妨げ、解脱させないようにする場面があります。

7人の弱い人間に憑りつきながら、完全体になろうとした魔物とは、ハジョン僧侶が言ったように「存在するが見えない」人の弱さに付け入る煩悩のことを指していました。

生きている間には様々なことがあります。「煩悶」些細なことやいつも同じことで、思い悩み苦しんだり、「煩悩(貪り・怒り・憎しみ・妬み・おろかさ・愚痴・無知 )」に心が支配され荒ぶることなどです。

飛び石の6人までは、このような弱い人達でありましたが、“舎利容器”を守る者として伝承された、霊媒師でさえも死にたくなるほど苦しみながら、いざ死に現実味が帯びてくると恐怖で心が支配されました。

そして、いとも簡単に心は寝返ってしまうという、人間がもってる弱さの本質に触れていました。

数字の“8”を無限「∞」と表す意味を考察

「∞」とは“完全”や“不滅”、“生まれ変わり”といった意味を現しますが、仏教上でよくいわれるのが「無間地獄」というものです。

“無間地獄”とは、永遠に悩みもがき苦しみ、真っ暗闇の中で逃れることのできない状態のことです。赤い目を復活させたジュンチョル教授の怒りと恨み、執着はまさに“無間地獄”状態でした。

“四苦八苦”という言葉がありますが、生苦・老苦・病苦・死苦という4つの苦しみが基本にあります。

そして、愛する者と別離する苦しみ、怨み憎んでいる者に会う苦しみ、求める物が得られない苦しみ、心と体がうまくかみ合わない苦しみ、この4つが合わさり四苦八苦と言います。

飛び石となった7人にはこの四苦八苦があり、無間地獄のような苦しみの中、生きる意味を見いだせず、自殺願望があったと考えることができます。

仏教上の考え方ではそのような苦しい状況をそのままにして、命を絶ったとしても生命は永遠であり、全てを受け入れ自らの力で打開し、運命を転換していく大切さを諭しています。

ソナが愛する家族との死別に苦しみ、事故の原因となった女性を自殺に追い込み、その息子までも恨んだこと…多くの苦しみを抱えて闇が深かったといえます。

黒い目「煩悶」と赤い目の「煩悩」という魔物の存在は、ソナが抱えた苦しみから解脱させるために必要だったとも捉えられます。

まとめ

(C)2021 Netflix

人を踏み台にして生きる…そんな、悪い人間もいますが、そういう人ほど本性を上手に隠し、世間を渡り歩いていると思うと、その醜さや恐ろしさは魔物の姿そのものと感じました。

映画『第8日の夜』には怪談的な要素はなく、生命哲学や仏教的な例えが表現された作品でした。人間の心に迫り存在するけど見えにくい、闇の部分を具現化していました。

最後は「全て夢だった…」という、救いのあるシーンで終わり、また長い年月の中で“守り人”が絶たれそうな時がきたら、舎利容器の目が解き放たれるのだと想像させます。

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