連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第59回
殺人鬼によって人がひとり、またひとりと殺されていく「スラッシャー」映画は、ホラー映画のジャンルの中でも特に人気があるジャンルです。
「スラッシャー」の始祖とも言われている「ハロウィン」シリーズは、初作から2020年を越す今に至るまでその高い人気から新作が制作され続けているほどです。
2021年10月6日(水)にNetflixで配信された映画『サムワン・インサイド』(2021)は、そんな「スラッシャー」映画の定番をしっかりと抑えた作品。
そんなわけで、今回は『サムワン・インサイド』を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『サムワン・インサイド』の作品情報
【配信日】
2021年(アメリカ映画)
【原題】
There’s Someone Inside Your House
【監督】
パトリック・ブライス
【キャスト】
シドニー・パーク、テオドール・ペルランテオドール・ペルラン、アスジャ・クーパー、デール・ウィブリー、ジェシー・ラトゥーレット、サラ・ダグデイルサラ・ダグデイル、ウィリアム・マクドナルドウィリアム・マクドナルド
【作品概要】
アメリカの小説家ステファニー・パーキンスによって執筆された同名小説を、『クリープ』(2015)などの映画を監督したパトリック・ブライスが映像化した作品。
『モキシー 私たちのムーブメント』(2021)に出演したシドニー・パークが主演を務めました。
映画『サムワン・インサイド』のあらすじとネタバレ
畑に囲まれた家に暮らすジャクソンはキッチンタイマーで目を覚まします。
家の中に誰かが侵入した形跡があり、家の中にはジャクソンが同じアメフトチームのケイレブに過剰とも言えるイジメをしていた証拠の写真が貼られていました。
ジャクソンは家の中にいる犯人を恫喝しますが、突如現れたジャクソンの顔の仮面を被る何者かに刺殺されます。
警察はいじめを受けていたケイレブを疑いますが、彼は殺害時刻にアメフトの試合に出ており、完璧なアリバイがありました。
翌日、ケイレブは校内でアメフトチームのメンバーから距離を置かれますが、アメフトチームに良い印象を持っていなかったマカニたちによって1人にはなりませんでした。
次の日、ポッドキャストで白人至上主義的持論を配信し続けていた生徒会長のケイティが、ケイティの顔の仮面を被った殺人鬼に殺害されます。
警察の捜査を受けるマカニたちは被害者の2人が表沙汰に出来ない秘密を抱えていることから、秘密が被害者の共通項だと考えます。
大地主であり警察にも顔が効くサンドフォード家の長男ザックはマカニたちの親友ではありましたが、近隣住民からは妬みが混じった陰湿ないじめを受けていました。
マカニは警察官の兄を持ち、マカニの隠された秘密を知るオリーと秘密裏に愛し合っていました。
しかしその日、ザックの家でパーティがあることを知ったマカニはサンドフォード家に良くない噂が多いことを思い出し、パーティに駆けつけます。
パーティはザックが同級生を呼んだマリファナパーティであり、父親を快く思わないザックは自分の秘密を洗いざらい公表します。
パーティの最中、参加者全員にマカニの友人であるロドリゴが抗精神薬の中毒者であることを告発するメッセージが送られ、突如の停電に合わせロドリゴの仮面を被った殺人鬼が現れ、ロドリゴの首を切り殺害。
数ヵ月後、休校が明け学校が始まりますが、ロドリゴの彼女のアレックスを始めとした多くの生徒が学内で浮いた存在であるオリーを殺人鬼と疑っていました。
オリーの両親は事故で亡くなっていましたが、アルコール中毒であったことから話に尾鰭がつき、異常者だと吹聴されており、そのことがオリーの犯人説をより後押ししています。
夜、マカニの家にマカニの仮面を被った殺人鬼が現れ、テーザー銃で彼女を撃ち痙攣させます。
殺人鬼はマカニが親友に火傷で重症を負わせた過去を持っていることを知っており、彼女を焼死させようとします。
マカニはアレックスが家を訪ねてきたことで助かり、マカニは殺人鬼が自身の過去を知っていてなおかつテーザー銃を容易に手にできるオリーだと名指しし、警察に彼を逮捕させます。
映画『サムワン・インサイド』の感想と評価
「殺人鬼」の存在を巡る謎解きスラッシャー映画
さまざまな「スラッシャー」の定番を兼ね揃えた最新ホラー映画『サムワン・インサイド』。
本作は「スラッシャー」映画と言っても、「ハロウィン」シリーズや「13日の金曜日」シリーズのように人知を越えた存在が「殺人鬼」となるわけではなく、あくまでも普通の日常を過ごしているように見える一般人の中に殺人鬼が存在します。
どちらかといえば、本作は名作スラッシャーシリーズ「スクリーム」に近い構成であり、「惨たらしい殺人」と「誰が犯人なのか」に重点が置かれています。
残酷描写をはっきりと映すバイオレンス要素と、意外すぎる犯人の正体をその目に焼き付けて欲しい作品でした。
誰もが仮面を被った人間
本作では「殺人鬼」は、これから殺す「被害者」の顔を3Dプリントした「仮面」を被り殺人を実行します。
「被害者」は全員が人には言えない「秘密」を抱えながらも、まるで自分はやましい事を一切してないような顔で友人たちと話しながら日常を過ごしていました。
自らの本心をすべて公表し生きている人間はおらず、人間は誰もが心に「仮面」を被って生きていると言えます。
その「仮面」を使い誰かを傷つけた時、本作で描かれるような「殺人鬼」が生まれてしまうのでは、と恐ろしさを感じる作品でした。
まとめ
目を逸らしたくなるような残虐な殺人シーンが存在し、決して誰にでもオススメできる作品とは言えない本作。
ですが、「殺人鬼」の意外な正体や、犯人の抱える殺人の動機は一見の価値が充分にあります。
映画『サムワン・インサイド』は上記のように「サスペンス」映画好きの方に、そしてもちろん「スラッシャー」映画が好きな人にも一度は鑑賞して欲しい作品です。