Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2022/12/09
Update

【内容予想考察】シン・仮面ライダー|2号の設定は漫画版!“二つ”の原作あらすじで“魂の自由を取り戻して”の意味を探る【仮面の男の名はシン1】

  • Writer :
  • 河合のび

連載コラム『仮面の男の名はシン』第1回

シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』に続く新たな“シン”映画『シン・仮面ライダー』。

原作・石ノ森章太郎の特撮テレビドラマ『仮面ライダー』(1971〜1973)及び関連作品群を基に、庵野秀明が監督・脚本を手がけた作品です。

本記事では、2022年12月3日より3日連続で解禁された映画『シン・仮面ライダー』の新ティザーポスタービジュアルにクローズアップ。

新ティザーポスタービジュアルに記された情報をもとに、映画『シン・仮面ライダー』の内容を予想・考察していきます。

【連載コラム】『仮面の男の名はシン』記事一覧はこちら

映画『シン・仮面ライダー』の作品情報


(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

【公開予定】
2023年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【脚本・監督】
庵野秀明

【キャスト】
池松壮亮、浜辺美波、柄本佑

【作品概要】
1971年4月に第1作目『仮面ライダー』の放送が開始され、今年2021年で50周年を迎える「仮面ライダー」シリーズの生誕50周年作品として企画された映画作品。

脚本・監督は『シン・ゴジラ』(2016)と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)にて総監督を、『シン・ウルトラマン』にて脚本・総監修を務めた庵野秀明。

主人公の本郷猛/仮面ライダーを池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子を浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー2号を柄本佑が演じる。

映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスターから内容考察!

映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第2弾


(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

「魂の自由を取り戻して。」から見えるもの

2022年12月3日より3日連続で解禁された、映画『シン・仮面ライダー』の新ティザーポスタービジュアル。その第1弾は、「孤高。」「言ったでしょ。私は用意周到なの。」というコピーと緑川ルリ子(演:浜辺美波)の姿が映したものでした。

さらに12月4日解禁の第2弾は「信頼。」「あなたを信じてあなたに託す。」というコピーと、外したマスクを脇に抱えるライダースーツ姿の本郷猛/仮面ライダー(演:池松壮亮)とルリ子が並び歩く姿。

そして12月5日解禁の第3弾は「継承。」「魂の自由を取り戻して。」というコピー、マスクを外しているライダースーツ姿の一文字隼人/仮面ライダー2号(演:柄本佑)が膝をついた姿と彼の「赤色のスカーフ」を手に持つルリ子の姿という内容でした。

その中でも注目したいのは、第3弾のコピー「魂の自由を取り戻して。」です。

一文字隼人/仮面ライダー2号は「漫画版」設定?

映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第3弾


(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

1971〜1973年に放映された特撮テレビドラマ『仮面ライダー』では、格闘技の才能と「本郷猛/仮面ライダーの知人」という点をつけ狙われてショッカーに拉致され、改造手術を施されてしまったものの、脳改造の一歩手前で本郷に救われていた一文字隼人/仮面ライダー2号

しかし「魂の自由を取り戻して。」というコピーからは、「改造された肉体とともに、自身が人間であると信じる心までも奪われてしまった」という改造人間の悲哀を感じる一方で、「シン・仮面ライダー』の一文字隼人/仮面ライダー2号は脳改造も施され、本来の魂までもショッカーに奪われてしまったのでは?」と想像することも可能です。

脳改造までも施されてしまった一文字隼人/仮面ライダー2号」……その言葉を聞いて、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の放映に先行する形で、本作の原作者である石ノ森章太郎自らの手によって1971年から連載された漫画『仮面ライダー』と、同作での一文字隼人/仮面ライダー2号の設定を思い出した方は多いはずです。


(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

組織の裏切り者である本郷を抹殺するため造られた12人の「ショッカーライダー」の一員として登場したものの、仲間の誤射により頭部を損傷したのをきっかけに洗脳が解けた一文字隼人。

そして本郷を抹殺したショッカーライダーたちを全滅させたのち、かろうじて脳だけが生き残った本郷の意志をひき継ぎ、「仮面ライダー2号」としてショッカーとの戦いに身を投じる……。

そうした石ノ森章太郎による漫画『仮面ライダー』で描かれた一文字隼人/仮面ライダー2号の設定は、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の設定以上に、今回の新ティザーポスタービジュアル第3弾のコピー「魂の自由を取り戻して。」の内容と符合するといえます。

まとめ

映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第1弾


(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

シン・仮面ライダー』に登場する一文字隼人/仮面ライダー2号の設定には、石ノ森章太郎による漫画内の設定が用いられているのでは?」と読み取ることのできた、今回の新ティザーポスタービジュアル3点。

また3点にそれぞれ記載されていたコピー「言ったでしょ。私は用意周到なの。」「あなたを信じてあなたに託す。」「魂の自由を取り戻して。」は、いずれもルリ子視点の言葉(セリフ)であることも見逃せません。

本郷の恩師であり城北大学生化学研究所の教授……そしてショッカーの改造人間研究・開発の協力者であった緑川弘の娘・ルリ子。脳改造前の本郷を救出するという「裏切り」への制裁として父・弘がショッカーの改造人間・蜘蛛男に殺された際には、現場に居合わせた本郷を父殺害の犯人と誤解したものの、のちに真相を知った彼女は本郷の協力者となりました。

中でも「当初は本郷を父殺しの犯人と誤解し、彼を憎んでいた」というテレビドラマ版・石ノ森漫画版で共通するルリ子の設定は、『シン・仮面ライダー特報内にて彼女が拳銃という「“仇討ち”に使用可能な武器」を携帯する姿が映し出されていたことからも、今回の映画のストーリーにも盛り込まれていることが予想できます。

テレビドラマ版と石ノ森漫画版の各設定を融合させている可能性は濃厚な映画『シン・仮面ライダー。その全貌が果たしてどのようなものなのか、期待が膨らむばかりです。

【連載コラム】『仮面の男の名はシン』記事一覧はこちら

ライター:河合のびプロフィール

1995年生まれ、静岡県出身の詩人。

2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、映画情報サイト「Cinemarche」編集部へ加入。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける(@youzo_kawai)。


photo by 田中舘裕介












関連記事

連載コラム

大林宣彦代表作『異人たちとの夏』を臨床心理学の視点から現代を生き抜くヒントを読む|映画道シカミミ見聞録7

連作コラム「映画道シカミミ見聞録」第7回 こんにちは、森田です。 夏といえば郷愁にかられて心を温めたくなる一方で、怖い話で肝を冷やしたくもなりますよね。 今回は、「お盆」と「怪談」そのどちらをも味わえ …

連載コラム

『ウィークエンド・アウェイ』ネタバレあらすじ考察と結末感想の解説。サスペンス映画おすすめは異国の地で謎が謎を呼ぶスピーディな展開へ⁈|Netflix映画おすすめ89

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第89回 クロアチア旅行中に親友が姿を消したことによって巻き起こるサスペンス映画『ウィークエンド・アウェイ』。 本作は、Netflixで20 …

連載コラム

韓国映画『目撃者』あらすじとネタバレ感想。キャストの演技力で都会に潜む他人への無関心を描く|未体験ゾーンの映画たち2019見破録41

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第41回 ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。今回は、韓国で大ヒットした映画を紹介します。 日 …

連載コラム

『ライク&シェア』あらすじ感想と評価解説。大阪アジアン映画祭グランプリ作は“リベンジポルノ”と“インドネシアの法律”に切り込む|大阪アジアン映画祭2023見聞録10

第18回大阪アジアン映画祭・グランプリ作『ライク&シェア』! 2023年3月10日(金)より10日間に渡って開催された「第18回大阪アジアン映画祭」。16の国・地域の合計51作品が上映されました。 今 …

連載コラム

【ネタバレ】ホワイトハウスの陰謀|あらすじ結末感想とラスト評価解説。おすすめ社会派サスペンス映画が描くのは“ホワイトハウス殺人事件”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー92

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第92回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞す …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学