連載コラム『仮面の男の名はシン』第1回
『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』に続く新たな“シン”映画『シン・仮面ライダー』。
原作・石ノ森章太郎の特撮テレビドラマ『仮面ライダー』(1971〜1973)及び関連作品群を基に、庵野秀明が監督・脚本を手がけた作品です。
本記事では、2022年12月3日より3日連続で解禁された映画『シン・仮面ライダー』の新ティザーポスタービジュアルにクローズアップ。
新ティザーポスタービジュアルに記された情報をもとに、映画『シン・仮面ライダー』の内容を予想・考察していきます。
CONTENTS
映画『シン・仮面ライダー』の作品情報
【公開予定】
2023年(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【脚本・監督】
庵野秀明
【キャスト】
池松壮亮、浜辺美波、柄本佑
【作品概要】
1971年4月に第1作目『仮面ライダー』の放送が開始され、今年2021年で50周年を迎える「仮面ライダー」シリーズの生誕50周年作品として企画された映画作品。
脚本・監督は『シン・ゴジラ』(2016)と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)にて総監督を、『シン・ウルトラマン』にて脚本・総監修を務めた庵野秀明。
主人公の本郷猛/仮面ライダーを池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子を浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー2号を柄本佑が演じる。
映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスターから内容考察!
映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第2弾
「魂の自由を取り戻して。」から見えるもの
2022年12月3日より3日連続で解禁された、映画『シン・仮面ライダー』の新ティザーポスタービジュアル。その第1弾は、「孤高。」「言ったでしょ。私は用意周到なの。」というコピーと緑川ルリ子(演:浜辺美波)の姿が映したものでした。
さらに12月4日解禁の第2弾は「信頼。」「あなたを信じてあなたに託す。」というコピーと、外したマスクを脇に抱えるライダースーツ姿の本郷猛/仮面ライダー(演:池松壮亮)とルリ子が並び歩く姿。
そして12月5日解禁の第3弾は「継承。」「魂の自由を取り戻して。」というコピー、マスクを外しているライダースーツ姿の一文字隼人/仮面ライダー2号(演:柄本佑)が膝をついた姿と彼の「赤色のスカーフ」を手に持つルリ子の姿という内容でした。
その中でも注目したいのは、第3弾のコピー「魂の自由を取り戻して。」です。
一文字隼人/仮面ライダー2号は「漫画版」設定?
映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第3弾
1971〜1973年に放映された特撮テレビドラマ『仮面ライダー』では、格闘技の才能と「本郷猛/仮面ライダーの知人」という点をつけ狙われてショッカーに拉致され、改造手術を施されてしまったものの、脳改造の一歩手前で本郷に救われていた一文字隼人/仮面ライダー2号。
しかし「魂の自由を取り戻して。」というコピーからは、「改造された肉体とともに、自身が人間であると信じる心までも奪われてしまった」という改造人間の悲哀を感じる一方で、「『シン・仮面ライダー』の一文字隼人/仮面ライダー2号は脳改造も施され、本来の魂までもショッカーに奪われてしまったのでは?」と想像することも可能です。
「脳改造までも施されてしまった一文字隼人/仮面ライダー2号」……その言葉を聞いて、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の放映に先行する形で、本作の原作者である石ノ森章太郎自らの手によって1971年から連載された漫画『仮面ライダー』と、同作での一文字隼人/仮面ライダー2号の設定を思い出した方は多いはずです。
組織の裏切り者である本郷を抹殺するため造られた12人の「ショッカーライダー」の一員として登場したものの、仲間の誤射により頭部を損傷したのをきっかけに洗脳が解けた一文字隼人。
そして本郷を抹殺したショッカーライダーたちを全滅させたのち、かろうじて脳だけが生き残った本郷の意志をひき継ぎ、「仮面ライダー2号」としてショッカーとの戦いに身を投じる……。
そうした石ノ森章太郎による漫画『仮面ライダー』で描かれた一文字隼人/仮面ライダー2号の設定は、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の設定以上に、今回の新ティザーポスタービジュアル第3弾のコピー「魂の自由を取り戻して。」の内容と符合するといえます。
まとめ
映画『シン・仮面ライダー』新ティザーポスター第1弾
「『シン・仮面ライダー』に登場する一文字隼人/仮面ライダー2号の設定には、石ノ森章太郎による漫画内の設定が用いられているのでは?」と読み取ることのできた、今回の新ティザーポスタービジュアル3点。
また3点にそれぞれ記載されていたコピー「言ったでしょ。私は用意周到なの。」「あなたを信じてあなたに託す。」「魂の自由を取り戻して。」は、いずれもルリ子視点の言葉(セリフ)であることも見逃せません。
本郷の恩師であり城北大学生化学研究所の教授……そしてショッカーの改造人間研究・開発の協力者であった緑川弘の娘・ルリ子。脳改造前の本郷を救出するという「裏切り」への制裁として父・弘がショッカーの改造人間・蜘蛛男に殺された際には、現場に居合わせた本郷を父殺害の犯人と誤解したものの、のちに真相を知った彼女は本郷の協力者となりました。
中でも「当初は本郷を父殺しの犯人と誤解し、彼を憎んでいた」というテレビドラマ版・石ノ森漫画版で共通するルリ子の設定は、『シン・仮面ライダー』特報内にて彼女が拳銃という「“仇討ち”に使用可能な武器」を携帯する姿が映し出されていたことからも、今回の映画のストーリーにも盛り込まれていることが予想できます。
テレビドラマ版と石ノ森漫画版の各設定を融合させている可能性は濃厚な映画『シン・仮面ライダー』。その全貌が果たしてどのようなものなのか、期待が膨らむばかりです。
ライター:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。
2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、映画情報サイト「Cinemarche」編集部へ加入。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける(@youzo_kawai)。