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映画『リトルモンスターズ』あらすじネタバレと感想。ゾンビだらけの遠足旅行にルピタ・ニョンゴ先生と出かけよう|未体験ゾーンの映画たち2020見破録16

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第16回

多様なジャンルの映画の祭典「未体験ゾーンの映画たち2020」は、今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催。いよいよ2月7日(金)からはシネ・リーブル梅田でも実施、一部作品は青山シアターで、期間限定でオンライン上映されます。

前年は「未体験ゾーンの映画たち2019」にて、上映58作品を紹介いたしました。

今年も挑戦中の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」。第16回で紹介するのは、お馴染みゾンビ映画『リトル・モンスターズ』

ただしこのゾンビ映画、ちょっと今までの作品とは趣向が異なります。楽しいはずの幼稚園の遠足が、なぜかソンビの群れに遭遇、大騒動に発展するのです。

ちびっ子と明るい歌と、それと全く異なる悪趣味にまみれた、実にバチ当たりな描写で見せる、ゾンビフルコメディが登場します。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら

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映画『リトル・モンスターズ』の作品情報


(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

【日本公開】
2020年(イギリス・オーストラリア・アメリカ合作映画)

【原題】
Little Monsters

【監督・脚本】
エイブ・フォーサイス

【キャスト】
ルピタ・ニョンゴ、ジョシュ・ギャッド、アレクサンダー・イングランド、キャット・スチュワート

【作品概要】
遠足先の動物園でゾンビの襲撃に遭遇した、幼稚園児と引率の大人の一行を描いた、ゾンビ・コメディ映画。監督は俳優・監督・脚本家と、オーストラリアで多様な活躍を見せるエイブ・フォーサイス。シドニーで発生した人種対立暴動を元に、コメディ映画化した作品『Down Under』を2016年に発表し、注目を集めました。

主演は『ブラック・パンサー』『アス』のルピタ・ニョンゴ。実写版『美女と野獣』のル・フウ役や『アナと雪の女王』のオラフの声など、歌とコミカルな演技で活躍するジョシュ・ギャッド、フォーサイス監督の『Down Under』にも出演し、『エイリアン コヴェナント』などハリウッド映画へ進出を果たした、アレクサンダー・イングランドが共演します。

ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2020」上映作品。

映画『リトル・モンスターズ』のあらすじとネタバレ


(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

同棲中のサラと喧嘩ばかりしている、落ち目のミュージシャンのデヴィット(アレクサンダー・イングランド)。真面目に働く彼女に対し、路上での音楽パフォーマンスは相手にされず、家ではハッパを吸ってエロVR動画鑑賞と、見事なまでのダメ男でした。

そろそろ子供が欲しいと意識し始めたサラと、毎日のように言い争う生活にウンザリしたデヴィットは、ある日家を飛び出し姉の家に転がり込みます。

シングルマザーの姉の幼い息子フェリックスは、家でゴロゴロしているデヴィット叔父さんに、一緒に遊んで欲しいとねだります。うるさいテディ・マクギル(ジョシュ・ギャッド)司会の子供番組を見るよりマシと、甥を暴力アクションゲームで遊ばせるデヴィット。

帰宅した看護士として働く姉・テッサ(キャット・スチュワート)は、すぐさまゲームを止めさせます。おもちゃのトラクターが大好きな幼児、フェリックスには食物アレルギーがあり、一家の食事はベジタブルピザ。粗末なピザを見てFワードで悪態をつくデヴィットは、姉に叱られます。

そんな彼も、幼い頃は姉から親しみを込め”ブーブー”とあだ名で呼ばれていました。それを知ったフェリックスに”ブーブー”と呼ばれ、大人げなくまたもFワードで叫ぶデヴィット。

それでも姉と甥が仲良く暮らす姿を見て、自分を振る舞いを反省したデヴィットは、何故かベットで眠るフェリックスを叩き起こします。

真夜中に恋人サラの家に向かい、ダース・ベイダーのコスプレをしたフェリックスをだしに、彼女に結婚を申し込むのがデヴィットの計画でした。ところが彼女の部屋に甥を入れると、彼女は年上の同僚とナニに励んでいる真っ最中でした。

それを見たデヴィットはFワードを連発します。この状況は色々と幼児の前ではマズいだろう、とたしなめる浮気相手に彼は殴りかかりますが、かえって取り押さえられる始末です。部屋にあったハッパのパイプだけを引き取って、すごすごと引き上げるデヴィット。

夜中に幼い息子を連れ出し、おまけにあの行為まで見せたと知りテッサは怒り狂い、出ていけと怒鳴りますが、情けなく泣き出したデヴィットを見て、家にいるなら協力してと言いました。

次の日の朝、デヴィットはフェリックスを幼稚園まで送り届けます。そこで甥の担任・キャロライン先生(ルピタ・ニョンゴ)に出会い、彼はあっさり一目惚れ。姉の身が大変で世話をしてると嘘をつき、生意気な園児を密かに痛い目に遭わせるなど、あの手この手で気を引きます。

フェリックスの迎えにはギターを背負って現れ、ミュージシャンとアピールするデヴィット。ジャンルはクリスチャンバンドだと、見栄をはったデタラメを並べます。明日の遠足の引率者が欠けたと知って、大喜びでその役を引き受けます。

遠足の準備をするテッサは、弟に万一の場合息子に使う、アレルギー治療薬のエピペン(簡易注射薬)の使用法を説明をしますが、彼はロクに聞いていません。挙句の果てに園児たちと共に写ったキャロライン先生の写真を使い、トイレでナニを始めるデビィット。

翌日は幼稚園児たちの楽しいバス旅行。バスが故障するとキャロライン先生がウクレレを演奏し、テイラー・スゥイフトの「シェイク・イット・オフ」を歌うと、園児たちは大盛り上がりですが、その音楽はデヴィットに耐えがたい苦痛の模様。

キャロライン先生から園児たちに、プロのミュージシャンと紹介されたデヴィットは、皆がドン引きするヘビーなデスメタルを一曲披露。修理を終えバスは動き出します。目的の動物園の隣には、なぜか米軍施設がありました。

どういう訳か米軍は、このオーストラリア国内にある基地で、死者を蘇らせる実験を行っていました。警備兵が施設内で職員を襲うゾンビを発見、射殺しますが犠牲になった職員はゾンビ化、兵士を襲います。基地に非常事態を告げるサイレンが鳴り響きます。

動物園に向かうバスを、米軍車両の列が追い抜いていきますが、一同は目的の動物園に到着します。そこには撮影にやって来た、人気子供番組の司会者テディ・マクギルの姿がありました。

テディの相棒、カエルのフロクシー(手踊り人形です)との撮影に、キャロライン先生が招かれ園児たちは大盛り上がり。しかし馴れ馴れしいテディの態度に、不満げな表情のデヴィット。

動物と触れ合える、農場体験型の動物園に子供たちは喜びますが、デヴィットはそのノリに付いていけません。その頃米軍基地からは、ゾンビの群れが溢れ出していました。ゾンビは動物園の敷地に侵入、ミニゴルフ場の観光客を襲います。

そうとは知らぬ園児たち一行は、トラクターに引かれた客車に乗って、ゆっくりと園内を回っていました。ところが運転手が倒れた人を襲うゾンビを見かけ、停車して確認に向かい襲われます。

車を降りていたデヴィットとキャロライン先生に、ゾンビが向かってきます。先生はピッチフォーク(農業用フォーク)をゾンビに突き立てますが、流石はゾンビ、なおも迫ってきます。

慌ててトラクターに乗ったデヴィットですが、さっぱり操作方法が判らない有様。しかしトラクターが大好きなフェリックスに教えられ、なんとか動かす事が出来ました。

ノロノロ走るトラクターですが、ノロノロ動くゾンビからは逃れる事が出来ました。園児たちを動揺させぬよう、ウクレレを演奏して歌い出すキャロライン先生。

バスを目指し進みますが、もはや動物園はゾンビだらけの状態。道は牛の死骸で塞がれ、トラクターを捨てるしかありません。先生の指導で前の者の肩を持ち、1列になって進む園児たち。

左右にゾンビが溢れていますが、なんとか切り抜けバスの前まで来た一同。しかしバスの周囲はゾンビで溢れ、とても近寄れません。やむなく先生は土産物屋に向かいます。

ところがその扉に鍵がかけられており、中には子供番組の司会者、テディ・マクギルがいました。先生は中に入れてと訴えますが、我が身が大事なテディは悪態をついて拒みます。

ゾンビに追われた先生と園児は、建物の壁のくぐり穴から店内に逃れ,逃げ遅れたデヴィットも店の屋根から入り、身勝手なテディを殴って黙らせると、先生たちと合流します。

土産物屋は軍人から動物園のマスコットキャラに、アジア系の観光客といったあらゆる層の、老若男女のゾンビに囲まれました。携帯は通じず、デヴィットは店の出入り口にバリケードを築き、園児にこれはゲームだと説明して、何とか落ち着かせるキャロライン先生。

しかし番組のカメラマンも、相棒のカエルのフロクシー(の中の人)も死んだと訴え、絶望のあまり園児にFワードを連発するテディ。そんなテディを先生は、子供たちを不安にさせたら許さないと、き密かにきっちり脅して黙らせます。

デヴィットは園児を落ち着かせようと、店内にあったスナック菓子を皆に配りますが、それを食べたフェリックスが苦しみ出します。その中に、食物アレルギー症状を引き起こす成分が含まれていたのです。

ところがデヴィットは、甥用に渡されたエピペンの操作を誤り無駄にしてしまいます。先生はフェリックスのリュッックにある、予備のエピペンを求め、屋根から外に出ます。ゾンビの中を走り抜け、シャベルでゾンビの首を、見事にはね飛ばすキャロライン先生。

トラクターにたどり付くとリュックを背負い、シャベルを手にまたもゾンビの群れに飛び込む先生。無事に店内に戻ると、フェリックスにエピペンを注射しました。

こうして救われたフェリックス。血みどろになった先生を見て動揺する園児たちに、ジャムをかけあって遊んだと誤魔化し、何とか落ち着かせるキャロライン。その姿と行動力に、デヴィットは改めてホレ直します。

ところがヘリの音が聞こえると、自分を助けに来たと言って屋根に上るテディ。しかし慌てて屋根から転げ落ち、店内に入れろとFワード連発で叫びます。そんなテディを、屋根に上がったデヴィットが引き上げて助けました。

ほうほうの体で助けられたテディは屋根の上で泣き言まじりに、アクターズ・スタジオに入って、アル・パチーノの指導を仰いだ、実はガキが大嫌いな俺は、一体ここで何をやっているんだと、デヴィットに本音を語ります。

楽しみといえば、番組に子供を連れて来たお母様方に、手を出してナニするだけ…そんな最低過ぎる告白を、困惑した表情で聞くしかないデヴィット。

その頃周囲を包囲した米軍は、ゾンビの群れを始末するために、問題の動物園への爆撃を検討していました…。

以下、『リトル・モンスターズ』ネタバレ・結末の記載がございます。『リトル・モンスターズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

遠足の幼稚園児たち一行がこもる土産物屋に、夜がやってきました。キャロライン先生は子供たちを落ち着かせるために歌います。その姿を黙って見つめているデヴィット。

動物園の周囲では、フェリックスの母テッサら園児の親や、行方不明者を気遣う人々が詰めかけ、封鎖する兵士に家族の安否を尋ねていました。

ゾンビの出現に出動した米軍兵士たちは、今回出現したのは”ノロノロ動くゾンビ”聞いて、やや安堵しています。しかしテッサは、連絡のとれない弟と息子の身を案じていました。

フェリックスが母から教わったおとぎ話を語り始めると、デヴィットも一緒に語ります。その話は自分がまだ”ブーブー”と呼ばれた幼い頃、姉テッサに話してもらった、と語るデヴィット。絆を深める叔父と甥の姿を、キャロライン先生は優しく見つめていました。

子供たちが眠りにつくと、2人は語り合います。実は今は姉の家に居候の身で、先生に気に入られようと、背伸びしていたと打ち明けるデヴィット。

立派な保母であるキャロラインは、元はアメリカに住んでいましたが、若い頃にバンド”ハンソン”の、テイラー・ハンソンの追っかけをやって無茶をし、その結果オーストラリアに住みつき、この地で教師を始めたと語ります。

子供は前に立つ大人を信頼してくれる、教師は責任を持つ事を教えてくれる仕事だと語るキャロライン先生。バンドは6年前に解散し、自分はクリスチャンではないと、見栄でついた嘘はすべて告白したデヴィット。2人は信頼しあう仲になっていました。

夜が明けると米軍包囲部隊の指揮官は、1時間後に爆撃を実施するので、各部隊に後退するように命令を下していました。

デヴィットとキャロラインから、脱出計画を打ち明けられた子供番組の司会者・テディ・マクギルは、ゾンビの群れの中バスまで向かい、乗り込んで土産物屋に戻ってくるのは無謀と、Fワードを連発して大反対します。

ニコロデオン(子供番組専門チャンネル)の授賞式の、プレゼンターを務める程の重要人物の自分は、絶対に助け出されるはず、そう主張して強く反対したテディも、近くにある自分の番組の車両まで行くなら、と最後には脱出に賛成しました。

キャロライン先生に従っていた子供たちも、もう家に帰りたいと騒ぎ始めます。困惑する先生を助けるため、デヴィットはウクレレを手に歌い、子供たちと合唱して落ち着かせると、テディと共に土産物屋の屋根に上がります。

まずデヴィットが音でゾンビの注意を引きつけ、その隙にテディが降りて車に向かいます。アル・パチーノのために、と叫んで駆け下りるつもりが、なんとも無様に地に落ちたテディですが、今までのうっぷんを晴らすかの様に、お子様ゾンビを倒しながら進みます。

何とか子供番組の車両に乗り込んだテディ。しかし後から来たデヴィットを乗せようとしません。彼に中指を立て、1人逃れようとしたテディ。しかし車内に潜みゾンビと化した相棒、カエルのフロクシーに襲われ、見るも無惨な最期をとげます。

車の屋根に逃れたデヴィットは電波が通じたのか、かかってきた姉テッサの電話に出る事ができました。しかしゾンビに囲まれ、姉には感謝の言葉しか伝えられません。

土産物屋で待たされた子供が耐えられず癇癪を起し、それをキャロラインが必死になだめている隙に、リュックにあったダースベイダーのコスプレ衣装を着て、店の外にフェリックス少年が飛び出します。

子供のすばしっこさを発揮して、ノロノロ動くゾンビの群れをすり抜けるフェリックス。フォースの力か偶然か、無事ゾンビの群れから逃れる事が出来ました。

トラクターが大好きなフェリックス少年にとって、その運転はお手のもの。客車を引くトラクターに乗り込むと、まずは叔父のデヴィットを救出します。

無数のゾンビが土産物屋に詰めかけ、キャロライン先生も園児たちもいよいよ身の危険を感じたその時、店の壁を突き破りトラクターが現れます。

先生と園児を乗せたトラクターは、デヴィットの運転で脱出します。ノロノロ走るトラクターも、ノロノロ動くゾンビが相手なら追いつかれません。

付いてくるゾンビに子供が怯えないよう、キャロライン先生がウクレレで歌うと園児も大合唱。「幸せなら手を叩こう」を歌い、園児が手を叩けば、なぜかゾンビも手を叩く。合唱に合わせて唸るゾンビを引き連れ、先へと進むトラクター。

封鎖線に近づくトラクターに米軍は銃を向けますが、子供たちが乗っていると知りまずトラクターを通し、群れをなすゾンビに銃弾の嵐を浴びせます。コアラの着ぐるみゾンビだろうが、カエルのフロクシーゾンビだろうが、次々と射殺されていきます。

上空に爆撃機が現れます。脱出したデヴィットとキャロラインがキスを交わす背後で、閃光に続いて巨大なキノコ雲が立ち上ります。そして2人と園児たちは、防護服を着た兵士の手で車両の押し込められます。

米軍基地につめかけたテッサや園児の親たちに、指揮官は彼らは奇跡的に脱出した、48時間の隔離措置が必要だが、皆元気にしていると伝えます。

隔離室ではデヴィットとキャロライン先生、そしてフェリックスら園児たちが、先生のウクレレの演奏にあわせて、「シェイク・イット・オフ」を歌っていました。

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映画『リトル・モンスターズ』の感想と評価


(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

ゾンビ描写より過激にFワードを連発

…実に悪ノリが過ぎるブラックコメディです。冒頭からFワードの嵐、この映画の大人たちは、ちびっ子たちを前に何やってるの、という描写の数々に笑わせてもらいました。

ゾンビの群れには子供もいますが、子供番組の司会者テディ・マクギルが手加減せずブチ倒します。悪趣味描写が続きますが、フェリックス少年や園児たちは、馬鹿な大人やゾンビたちとは一線を引いて、悪乗りコメディに参加させないのは実に良心的です。

参考映像:『Down Under』予告編(2016)

役者でもあるエイブ・フォーサイスは2005年に発生した、クロラナ暴動(シドニー人種暴動)という、実にデリケートな事件を題材に取り上げた風刺コメディ映画、『Down Under』の監督・脚本を務めています。

その際に「人が笑うべきではないと敬遠する題材で、笑いが取れる事ほど嬉しい事はない」「コメディは意義のある題材を表現する、最良の方法だ」と語っているエイブ・フォーサイス。その精神は本作でも健在でした。

アレクサンダー・イングランドとは『Down Under』で組んだ仲、ジョシュ・ギャッドは、ブラックな風刺アニメ「サウスパーク」のクリエイター、トレイ・パーカーとマット・ストーンが手掛けたブロードウェイ・ミュージカル、『ブック・オブ・モルモン』でトニー賞にノミネートされた人物。際どいネタを演じるには最適の人選です。

バチ当たりな描写が溢れていますが真の恐怖とは?


(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

“血沸き肉躍る”描写だけでなく、それ以上に面白い下ネタと過激なセリフにご注目を。馬鹿な大人が下品なFワードを連発、しかし子供の前では精いっぱい保護者として振るまう姿(1名除く)が秀逸で、吹替版を作るならこの部分は是非生かしてもらいたい所です。

悪趣味映画大好き人間に、大いにおススメしたい本作ですが、全編テンポ良くつっ走る作品ではありません。子供を慈しむシーンを映画のリズムを乱す描写と受け取るか、このバチ当たり映画の良心と判断するかは、皆様のお心次第です。

ところでエイブ・フォーサイス監督はインタビューで、この映画を作った一番の動機はゾンビではなく、自分の息子だったと語っています。

映画のフェリックス少年同様、食物アレルギーを持つ息子が幼稚園に入園した時、その息子の身を他人に預けねばならない事態に、監督は大変な不安と恐怖を感じたと告白しています。

幸いにも親切で信頼できる先生に恵まれた監督親子。そして彼らは他の園児と共に幼稚園の旅行で、映画に登場した動物園に行きました。これらの経験を膨らませて作られたのが『リトル・モンスターズ』です。

悪乗りの極みの映画ですが、園児に対する優しい姿勢と、そして幼い子を持つ父親にとっての、一番のリアルな恐怖を描いた点は、ご覧の方にしっかり伝わるでしょう。
  

まとめ


(C)2019 Little Monsters Holdings Pty Ltd,Create NSW and Screen Australia

ゾンビや血生臭い描写、下ネタなどのお下劣発言が大好きな、私のような心の汚れた人間が大好物の映画『リトル・モンスターズ』。意外にも子供に対する温かい視点を維持し、そしてゾンビより怖い身近で切実な恐怖も描いています。

舞台はオーストラリアですが、ゾンビ騒動をやらかし、大惨事を引き起こしたのは何故か米軍。風刺というより、この手の映画の悪役に申し分ない、何かと派手で間抜けな米軍様として登場して頂いたのでしょう。B級映画にとって米軍は、何かと頼りになる存在です。

ブラックで面白い作品を手がけた実績を、高く評価されたエイブ・フォーサイスは「ロボコップ」シリーズ最新作、『RoboCop Returns』の監督に抜擢されました。

このまま作品が完成すれば、ポール・バーホーベンが監督した第1作の『ロボコップ』の様に、きっとブラック要素盛り沢山の作品になると期待しています。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」は…


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次回の第17回はレニー・ハーリン監督が香港映画界とタッグを組んだアクション映画『ハード・ナイト』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら



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