Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/09/30
Update

ロブゾンビ新作映画『スリー・フロム・ヘル』感想と考察解説。スプラッタホラーな殺人鬼一家が蘇る【シッチェス映画祭2020】|SF恐怖映画という名の観覧車122

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile122

復活を求める声が多く、2018年に復活した「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション」。

新型コロナウイルスの影響で開催を危ぶまれていましたが、今年も10月末より開催が決定。

今回は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」第1弾として、ロブ・ゾンビ監督による最新スプラッタホラー映画『スリー・フロム・ヘル』の魅力をご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

映画『スリー・フロム・ヘル』の作品情報


(C)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

【原題】
3 from Hell

【公開】
2020年(アメリカ映画)

【監督】
ロブ・ゾンビ

【キャスト】
ビル・モーズリイ、シェリ・ムーン・ゾンビ、リチャード・ブレイク、ダニー・トレホ、エミリオ・リヴェラ、シド・ヘイグ


『スリー・フロム・ヘル』のあらすじ


(C)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

警官隊による銃撃を受け死亡したとされていた殺人鬼ファイアフライ一家が奇跡的に息を吹き返します。

司法の捌きにより死刑判決を受けたファイアフライ一家でしたが、オーティス・ドリフトウッド(ビル・モーズリイ)が脱走したことで再び惨劇が巻き起こり……。

スポンサーリンク

過激に復活した殺人逃亡劇

映画『スリー・フロム・ヘル』は、アメリカでミュージシャンとして活躍するロブ・ゾンビが初監督として手掛けた映画「マーダー・ライド・ショー」シリーズの3作目にあたる作品。

2005年に製作された『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(2006)で「死亡したとされた殺人鬼ファイアフライ一家が実は生きていた」と言う力強い文言で、本シリーズもキャストを引き継ぎ14年ぶりに再復活を果たしました。

ファイアフライ一家の殺人鬼オーティスとベイビーに新たにフォキシーを加えた3人の殺人逃亡劇は前作に比べより凄惨で、それでいて陽気に進んでいくことになります。

悪ノリと理不尽な暴力を極めたシリーズ

ロブ・ゾンビが『悪魔のいけにえ』(1975)や『サランドラ』(1984)などの1970年代のアメリカホラー映画に触発されて製作した『マーダー・ライド・ショー』(2004)は、「田舎町のアトラクションを訪ねた若者たちが殺人鬼一家に襲われる」と展開だけを見れば「ホラー」ジャンルとしてお馴染みの物語でした。

しかし、他のシリーズと大きく違うのは「殺人鬼ファイアフライ一家」の特殊性にあります。

シド・ヘイグ演じるキャプテン・スポールディングを父とするファイアフライ一家は、家族全員が猟奇殺人鬼であると同時にそれぞれの猟奇的な心理がシリーズを通し描かれるため、「殺人鬼」でありながらその猟奇的な「人間性」をしっかりと感じることが出来ます。

殺人鬼一家に生まれ子供のような純粋な猟奇性を持つ長女のベイビー、サディスティックで家族一の暴力性を持つオーティス、そして殺人鬼でありながら家族を束ねる苦労を垣間見えさせるキャプテン・スポールディング。

殺人鬼たちを知性を持たないモンスターではなくあくまでも人間として描くことで、シリーズの持つ「悪ノリ」と「理不尽な暴力」がより際立っていると言えます。

新たな殺人の舞台はメキシコへ


(C)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

シリーズ3作目となる『スリー・フロム・ヘル』では、オーティスとベイビー、そしてフォキシーが逃亡劇の末にメキシコへたどり着きます。

暴力が支配するメキシコの街に足を踏み入れた「より暴力的な一家」。

その街でベイビーは自身の人生を変えかねない新たな出会いを果たします。

ロブ・ゾンビが目指した「お化け屋敷」を意識した1作目と異なり、2作目以降は「殺人鬼」を野に放つことでその暴力性を使った物語を展開させています。

しかし、3作目となる本作は「殺人鬼」の暴力性に焦点を当てているだけでなく、恋愛映画やアクション映画のようなエンターテイメント性をも取り込んでおり、シリーズに新たな面白味を増していました。

シリーズを支えた偉大な俳優


(c)2005 Cinelamda Internationale Filmproduktionsgesellschaft mbh & Co. 1 Beteiligungs-KG. All Rights Reserved.

本シリーズで殺人鬼ファイアフライ一家のリーダーとも言えるキャプテン・スポールディングを演じたシド・ヘイグは、2019年9月にこの世を去りました。

ピエロメイクが特徴的であったキャプテン・スポールディングは近年のホラー映画のアイコンと呼ばれるほどに根強い人気を誇っており、シド・ヘイグは間違いなく本シリーズを支えた立役者と言えます。

『スリー・フロム・ヘル』にもシド・ヘイグは出演しており、短い登場時間ながら圧倒的な存在感を見せつけてくれます。

本作にはさらに人気俳優ダニー・トレホが友情出演を果たしており、一瞬の出演シーンではっきりとダニー・トレホと認識できる彼ならではの役どころとなっています。

ベイビーとオーティスを演じたシェリ・ムーン・ゾンビとビル・モーズリイの猟奇的な演技も相変わらず冴えわたる最新作です。

スポンサーリンク

まとめ

シリーズファンが待ちわびた「マーダー・ライド・ショー」シリーズ最新作『スリー・フロム・ヘル』。

本作は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」において劇場で公開予定。

「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」はヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、シネマスコーレ(名古屋)の3劇場で開催予定。

日程をご確認の上、ぜひ会場に足を運んでみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile123では、引き続き「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」として、ロシアのスプラッター映画『とっととくたばれ』(2020)をご紹介させていただきます。

10月6日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

『パラサイト』考察。映画の結末を半地下の家族の“臭い”と“計画”から読み解く|コリアンムービーおすすめ指南17

半地下に住む家族と高台の豪邸に住む家族 ポン・ジュノ監督と名優ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年の第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した映画『パラサイト 半地下の …

連載コラム

映画『私をくいとめて』感想評価と原作との違い。キャストにのんを起用して綿矢りさの小説を大九明子監督が描く|TIFF2020リポート4

『私をくいとめて』は、東京国際映画祭2020のTOKYOプレミア2020にてワールド・プレミア上映! 東京国際映画祭2020で大九明子監督の、のんを主演に迎えた最新作『私をくいとめて』が披露されました …

連載コラム

食人映画『ザ・カニバル・クラブ』ネタバレ感想。悪趣味を抑えた風刺作品としてブラジルの格差社会を描く|未体験ゾーンの映画たち2019見破録34

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第34回 今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。今回は実にきわどいタイトルの映画が登場しま …

連載コラム

映画『ミッドウェイ 運命の海』ネタバレあらすじと感想評価。アメリカ視点で描く海戦の陣形術と歴史に埋もれた実像|未体験ゾーンの映画たち2020見破録51

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第51回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第51回で紹介するのは、歴史に名高い大海戦を描いた戦争映画『ミッドウェイ 運命の海』。 特殊効果や …

連載コラム

トルコ映画『ブラック・ウォリアーズ 』あらすじネタバレと感想。“デリラ”の意味と時代背景を解説|未体験ゾーンの映画たち2020見破録8

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第8回 様々な映画が大集合して紹介される「未体験ゾーンの映画たち2020」が、今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催。2月7日(金)からはシネ・リー …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学