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Entry 2019/08/28
Update

映画『BEYOND BLOOD』レビュー評価と解説。フレンチホラーを確立した4つの作品に迫る|SF恐怖映画という名の観覧車64

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile064

今年で6回目の開催となる「夏のホラー秘宝まつり」が8月24日より遂に開催されました。

新作邦画ホラーの上映から歴史に残るホラー名画のリバイバル上映など、当コラムでも外すことの出来ない映画の数々。

その中でも特に大注目の作品が、映画評論や翻訳の分野で活躍する小林真里が手掛けたドキュメンタリー映画『BEYOND BLOOD』(2019)です。

今回のコラムでは、予定していた『バード・ボックス』(2018)のご紹介を延期し、「フレンチホラー」に狙いを定めて製作された『BEYOND BLOOD』をご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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映画『BEYOND BLOOD』の作品情報


(C)2019 キングレコード

【日本公開】
2019年(日本映画)

【監督】
小林真里

【キャスト】
アレクサンドル・アジャ、アレクサンドル・バスティロ、ジュリアン・モーリー、パスカル・ロジェ、ザビエ・ジャン、山口幸彦、伊東美和

映画『BEYOND BLOOD』とは

『太陽がいっぱい』(1960)や『最強のふたり』(2012)など、人間の内面にスポットを当てた物語の語り口が世界で評価されるフランス映画の世界。

しかし、「ホラー」と言うジャンルにおいてはやや不作であることが世間からも指摘されるフレンチムービーでしたが、2003年の「ある作品」の登場以降、爆発的な「ホラー」ブームを迎えることになります。

本作『BEYOND BLOOD』はそんな「ニュー・ウェイヴ・オブ・フレンチホラー・ムーブメント」の発生理由や世界に与えた影響に着眼し、監督や評論家のインタビューから1つのジャンルとなった「フレンチホラー」の世界を紐解いていました。

今回、当コラムではそんな本作を最大限に楽しむために、「ニュー・ウェイヴ・オブ・フレンチホラー・ムーブメント」の皮切りとなった4本の作品の予習を行いたいと思います。

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映画『ハイテンション』

2003年にフランスで公開された映画『ハイテンション』(2006)は、「フレンチホラー」を世界に広げた皮切り映画として爆発的な人気を得ました。

『ワールド・ウォーZ』(2013)でも起用された世界的バンド「MUSE」を主題歌として起用した本作は、王道かつこだわりのゴア表現や、正体不明の殺人鬼との攻防が鮮烈に描写されたまさに「ハイテンション」なスプラッタ映画。

王道でありながら物語には意外性を含めるなど、意欲的であったこの作品は世界で高い評価を受け、アレクサンドル・アジャ監督は後に傑作スプラッタ『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2007)の監督に起用されます。

長く低迷の時代を迎えていた「フレンチホラー」の世界に風穴を開けた革命的作品であり、スプラッタ映画の入門編としても充分にオススメが出来る映画と言えます。

映画『屋敷女』


(C)2007 LA FABRIQUE DE FILMS – BR FILMS

『ハイテンション』より4年が経った2007年から2008年の凡そ2年の歳月は「フレンチホラー」にとって激動の時代でした。

特に「ホラー」と言うジャンルの中でも「ゴア表現」に絞り驚くべき程の悪趣味性に特化したこの時代により、世界にも類を見ない「フレンチホラー」と言うジャンルが確立したとも言えます。

そんな「フレンチホラー」と言うジャンルの幕開けとも言える作品がアレクサンドル・バスティロとジュリアン・モーリーによって製作された『屋敷女』(2008)。

自動車事故で夫を亡くした妊婦のサラの自宅に現れた1人の女が、ハサミなどの凶器と狂気を振りかざし殺意満々にサラを狙います。

妊婦に対する残虐表現、人体切断などの損壊描写の数々など『ハイテンション』より大幅にゴア表現が拡充され、日本版ではモザイク処理が施されるほどの本作。

自宅の中でじわりじわりと追い詰められ、生半可ではなく本当の意味でボロボロになっていくサラの姿に目を背けたくなる「画面を見ていたくない度ナンバーワン」の恐るべき作品です。

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映画『フロンティア』


(c)2007 CARTEL PRODUCTIONS-EUROPACORP-CHEMINVERT PRODUCTIONS-PACIFIC FILMS-BR FILMS

強盗犯の4人の男女が逃亡中の宿先で猟奇殺人鬼の一家に襲われると言う、スプラッタ映画の王道とも言える展開を描いた映画『フロンティア』(2008)。

物語や展開を言葉にすると多くのスプラッタ映画との類似を指摘されかねない作品ですが、本作は「フレンチホラー」として独特な表現法を採用することで鑑賞感は違ったものになっていました。

本作の猟奇殺人鬼一家は『悪魔のいけにえ』(1975)や『マーダー・ライド・ショー』(2004)のように「明らかに異常」と言ったパワーや見た目もなく、あくまでも人間的な「暴力」で主人公たちを恐怖に陥れます。

そのため「暴力表現」は非常にリアリティがあり、一撃で終わらないからこその痛みが長く尾を引き、鑑賞者も痛く感じてしまうほどでした。

『ホステル』(2006)や『ヒルズ・ハブ・アイズ』のように「やられっぱなしでは終わらない」映画でもある本作は、この手のジャンルが好きな人にはぜひ観て欲しい作品です。

映画『マーターズ』


(C) 2008 Eskwad – Wild Bunch- TCB film

当コラムでも2度に渡り作品を取り上げさせていただいたフランスの鬼才映画監督パスカル・ロジェによる映画『マーターズ』(2009)。

「フレンチホラー」を語る上で外すことの出来ないこの作品は「トラウマ映画」や「胸糞映画」として名高く、一度鑑賞すると心の中に永遠に残り続けることが確約されています。

カルト教団による少女への凄惨な拷問を描きながらも、美術性の高さや考察の余地が残るラストが独創的で、世界中のファンの心を掴んで離さない『マーターズ』。

気軽に勧めることの出来ない作品ですが「フレンチホラー」の確立の最後のひと押しとして、大きな功績を立てた作品です。

まとめ


(C)2019 キングレコード

「新しいこと・独創的なことをしよう」と言う土台のもとに、様々な社会問題を取り入れることでひとつのジャンルとして確立した「フレンチホラー」。

極限まで突き詰めた「暴力性」の裏にどのような意味が込められているのかをインタビューなどから紐解いていく『BEYOND BLOOD』は、裏側を知ることでより面白くなる「ホラー」と言うジャンルにぴったりなドキュメンタリー映画となっています。

今回ご紹介させていただいた4作以外にも、将来性抜群な「フレンチホラー」が大量に登場し、ホラー映画好きにぜひとも鑑賞していただきたいイチオシの作品。

そんな、映画『BEYOND BLOOD』は「夏のホラー秘宝まつり」にて、全国3劇場で公開中です。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…


Netflixオリジナル映画「バード・ボックス」
12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング

いかがでしたか。

次回のprofile065では、本日掲載予定だったNETFLIX独占配信映画『バード・ボックス』(2018)のネタバレあらすじをご紹介させていただきます。

9月4日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら


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