Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/12/14
Update

『メン・イン・ブラック2』ネタバレあらすじと感想。ラスト最後の結末も【映画の特殊効果が映える第2作目】SF恐怖映画という名の観覧車132

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile132

世界的にブームを巻き起こした大ヒット映画の続編はファンにとっても製作陣にとっても期待と不安が入り混じる難しい作品となります。

「前作ほどインパクトがない」や「前作に比べると落ちてしまう」など、自分の敵は自分と言う格言がぴったりとあてはまってしまう続編映画の数々。

今回はそんな続編映画の苦悩を大規模なスケールの特殊効果をふんだんに用いて吹き飛ばしたSF映画『メン・イン・ブラック2』(2002)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『メン・イン・ブラック2』の作品情報


© 2002 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

【原題】
Men in Black II

【配信】
2002年(アメリカ映画)

【監督】
バリー・ソネンフェルド

【キャスト】
ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、リップ・トーン、ララ・フリン・ボイル、ロザリオ・ドーソン、ジョニー・ノックスビル

【作品概要】
前作の世界的大ヒットを受け製作されたシリーズ第2作。

監督および主演は前作と同キャストが引き続き担当し、新たにドラマ「ツイン・ピークス」のララ・フリン・ボイルや『レント』(2005)に出演したロザリオ・ドーソンがメインキャストとして参加しました。

映画『メン・イン・ブラック2』のあらすじとネタバレ

1978年、保護を求めて地球に来たザルタ星人と彼らの持つ「ザルタの光」を守るためMIBは、光を狙うカイロス星人のサーリーナを足止めしザルタ星人を逃がしました。

サーリーナは「ザルタの光」を諦めず、邪魔するものは徹底的に殲滅すると言い残し地球を去っていきます。

2002年7月、地球に再び降り立ったサーリーナは宇宙人のスクラッドに接触し、「ザルタの光」の場所を聞きだそうとします。

スクラッドの案内でニューヨークでピザ屋を営むザルタ星人のベンの元を訪れた2人はベンを脅迫。

しかし、ベンは居場所を吐くことはなく、「明朝に光は地球を離れる」とだけ言うとサーリーナに殺害されてしまいます。

相棒のTと地下に住む巨大ミミズのような宇宙人ジェフの規則違反を取り締まるJは、興奮したジェフによって地下鉄を破壊されながらも、怒りを鎮め事態を鎮静化させることに成功。

しかし、Tは英雄になりたくてこの仕事を始めたと話しながらダイナーで泣き始めてしまい、仕事に向いていないと感じたJはニューラライザーでTの記憶を消します。

Jが本部に戻るとMIB内はピリピリとした雰囲気になります。

ZはJが相棒をエージェントとして不適格だと判断するとすぐに記憶を消すことを危惧しており、彼に休暇を取るようにと言いますがJは次の任務を求めていました。

元情報屋であるパグに擬態した宇宙人のフランクと共にピザ屋で起きた宇宙人の殺人事件の調査を命令されたJは、ピザ屋で事件の目撃者である店員のローラと出会います。

店主を殺害した女性が「ザルタの光」と言う言葉を発していたことを聞くと、Jはローラの記憶を消そうとしますが彼女の反応を見て記憶を消すことを躊躇い止めてしまいます。

一方、Zは公園で発見された宇宙船の形状からサーリーナが地球に降り立ったことを確信します。

Zはサーリーナはザルタの光のみを求めていることを熟知しており、25年前にザルタの光は地球外に出たにも関わらずサーリーナが再び地球に来たことに違和感を覚えました。

事件の解決のため25年前に任務を担当したエージェントの情報開示を求めるJは、Zからその担当者はかつてJをMIBに引き入れた伝説のエージェントKであると聞かされます。

Kは5年前に起きたバグによる事件の後、疲れを理由にJによってニューラライザーで記憶を消されており、今は郵便局で働いていました。

郵便局を訪れたJはKに再会しますが、宇宙人やMIBの話しをしても精神異常者だと勘違いされるばかりでまともに取り合おうとしてくれません。

JはKの働く郵便局の局員が全員宇宙人であることを実際に見せると、消された記憶と本当の自分を取り戻せると言いMIBの本部へと案内します。

伝説のエージェントKの帰還に本部はざわめきますが、その時情報を求めてKを探していたサーリーナもMIB本部におり、スクラッドと共に本部を急襲します。

緊急事態により本部は封鎖され、記憶を取り戻す装置「デニューラライザー」の部屋は脱出機構が働き、強制的にJとKは本部から脱出。

Kの記憶を取り戻すためユニバーサル質店を訪れたJは、店主の宇宙人にデニューラライザーを使わせるように頼みます。

一方、MiBの本部を完全に掌握したサーリーンは記憶を失ったKを探すべく、投獄されていた宇宙人犯罪者を全て解放しKを探させていました。

デニューラライザーを使い記憶を呼び戻したKはサーリーナの命令でやって来た宇宙犯罪者を次々と倒しますが、店主によると記憶は完全には戻っていない状態と言うことでした。

K自身、かなりの部分の記憶の復活は感じるものの「ザルタの光」などの大事なことを覚えておらず、2人は殺害されたベンのピザ屋へと行くことにします。

ピザ屋の店内でコインロッカーのカギを発見したKは一般人であるローラの記憶が消えていないことに気づき記憶を消そうとしますが、Jは彼女が重要であるとKに言い、彼女を保護することにします。

素行が悪いが信頼の出来る宇宙人のムシたちにローラを預けると、KとJは駅のコインロッカーのカギを開け扉をあけると、そこには小人たちの王国が築かれており、Kは以前に重要なものを小人たちに預けていたことが分かります。

腕時計とレンタルビデオショップの会員証を取り出すと、腕時計には今日の0時がアラーム設定されていました。

会員証を持っていたレンタルビデオショップに向かうと、そこには「ザルタの光」と言うドラマがあり、1978年に起きた事の顛末が描かれていました。

そのビデオを観て完全に記憶を取り戻したKは「ザルタの光」がブレスレットになっており、その腕輪はローラが腕に着けていると話します。

Jはすぐにその情報をMIB本部に隠れ潜むフランクに伝えますが、フランクは既に捕まっており情報がサーリーナに筒抜けになってしまいます。

JとKはムシの部屋へとたどり着きますが、スクラッドによってムシはバラバラにされローラは攫われていました。

ムシたちは自身の身体をくっつけて復活すると、JとKと共にMIBについていくことになりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『メン・イン・ブラック2』のネタバレ・結末の記載がございます。『メン・イン・ブラック2』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

かつての住居から武器を手に入れたJとKとムシたちはMIB本部に突入。

Kがサーリーナを引き付け、Jがローラを助けに行き、ムシたちが本部のシステムの奪還のため別行動をとります。

サーリーナに捕まったKは、かつてザルタ星人を逃がす際にザルタの王女であり愛した女性でもあるロラーナをサーリーナに殺されてしまったことを後悔していることを見抜かれます。

一方、Jは地球のオゾン層を勝手に販売した罪でJに捕まった過去を持つジャーラと対峙。

ジャーラはJを憎んでおり、Jを殺すためにサーリーナに協力し地球脱出用の船を提供していました。

熾烈な戦いの末にジャーラを倒したJはローラの拘束を解き、Kを触手で捉えているサーリーナを後ろから射殺。

ムシたちによる本部の復旧後、0時までに「ザルタの光」を所定の位置まで持っていかなければブレスレットが爆発し地球が滅亡するとKに言われ、JはKとローラを連れ自由の女神像が見えるビルへと車で急ぎます。

しかし、身体の一部が無事なら再生できるサーリーナがジャーラの製作した戦闘機に乗り追跡してきます。

赤いボタンを押すことで車が飛行モードに変更し、Jは地下鉄の中に逃げ込みサーリーナの戦闘機を地下鉄を根城にするジェフに食べさせました。

一難が去り、JとKは所定の位置にローラを連れていくと空から「ザルタの光」を迎える飛空艇が現れます。

実は「ザルタの光」はブレスレットではなく、ブレスレットはあくまでもこの位置に案内するための指針であり、ローラこそがザルタ星人の王女ロラーナの娘であり「ザルタの光」であるとKは話します。

死んだピザ屋のベンはローラを守るための護衛であり、これまでの全てが彼女を守るためであったと言うKは彼女を飛空艇に乗せようとします。

Jと惹かれ合っていたローラは飛空艇に乗ることを躊躇いますが、ジェフを殺害し追いかけてきたサーリーナからJが身を挺し守っている様子を見て飛空艇に乗り込みます。

空に浮かび宇宙に向かっていく飛空艇を追いかけていくサーリーナを地上から大型兵器で爆破したJとK。

Jはローラの母親がザルタ星の王女ロラーナであるとすると、父親はいったい誰なのかと言いながらKを見ますが、深くは追及しないことにしました。

その後、今回の騒動がニューヨーク全体を巻き込み目撃者が数多いると心配するJでしたが、Kはスイッチを押すと大型ニューラライザーであった自由の女神像が光り「勉強不足だな」と言います。

本部のベンチに座るJのもとにKとZ、そしてフランクが現れ失恋の辛さを語り始めます。

慰めに辟易としたJが自身のロッカーを開けると、そこには駅のコインロッカーに居た小人たちがいました。

別の世界を見せるために持ってきたと言うKに対しロッカーの外から出すべきだと言うJでしたが、横の扉を開けると地球と言う世界そのものが別の世界のロッカーの1つになっている様子がJの目の前に広がるのでした。

映画『メン・イン・ブラック2』の感想と評価


© 2002 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

前作『メン・イン・ブラック』の大ヒットから5年後に公開された続編映画『メン・イン・ブラック2』。

前作の多くのファンの期待を背負って製作された本作はバディムービーとしての面白さはもちろん、SF映画として技術の進歩と予算の大幅な追加を感じさせる特殊効果でファンの心を鷲掴みにする作品となっていました。

バディムービーとしての面白味

緊迫な状況でも常に軽口を絶やさないが熱い正義感を持ち合わせるエージェントJと、冷静で生真面目な性格のエージェントK。

ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの演じた2人のキャラクターは1作目『メン・イン・ブラック』で大人気となり、前作のラストで道が分かたれた2人が本作でコンビ復活を果たすことになります。

真逆の性格の2人が力を合わせて事件の解決を目指すと言う「バディムービー」としてお決まりの展開を持つ本作ですが、意外なことに2人の友情を押し付けるようなシーンは殆ど存在せず2人はあくまでもビジネス上の上司と部下であることがはっきりと描写されています。

しかし、軽快な喋りとユーモアたっぷりのジョーク織り交ぜたJと寡黙で知っている事実のすべてを話そうとはしないKのやり取りは、テンポも良く飽きることがありません。

プライベートな部分までは踏み込まないものの、お互いがお互いのことを心より信頼している「バディ」としての些細な描写も良く、2人の活躍を延々と見続けていたいと思えます。

スピルバーグ総指揮で描かれる驚愕のVFX

本作は製作総指揮を『ジュラシック・パーク』(1993)や『レディ・プレイヤー1』(2018)などを手掛けたことでも知られるSF界の巨匠スティーヴン・スピルバーグが務めており、前作よりもさらに進化した特殊効果で作品をより一層派手にしています。

劇中に登場する様々な宇宙人を始め、レーザー銃や宇宙船、改造車の飛行シーンなど2020年代に鑑賞しても一切見劣りすることのないCGにも驚愕しますが、僅かなシーンのために制作された小道具にも驚くほどの手間がかけられています。

物語の序盤、エージェントのJは巨大ミミズ型宇宙人のジェフと対峙し、ジェフは地下鉄の車両を半分食いちぎりJを襲おうとします。

このシーンで使われた半分食いちぎられた車両は、本作のために設計された大型の万力を使い車両を実際に押し潰すことで製作されており、スピルバーグ製作総指揮下での映画作りのスケールの大きさを感じさせます。

CGと実際に制作した小道具を用い、「本当に宇宙人は地球にいるのかもしれない」と言うリアリティを作り出すことに力を注いでいる作品でした。

まとめ


© 2002 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

前作『メン・イン・ブラック』のクオリティに感動し本作への出演を何度も監督に懇願したとされるスーパースターのマイケル・ジャクソン。

脚本の完成後だったために残念ながら彼の登場シーンはごく僅かなカメオ出演に留まってしまいましたが、マイケル・ジャクソンの映画出演の遺作でもあり貴重な1作でもあります。

地球崩壊の危機に2人のエージェントが再び立ち向かう、大ヒット映画の続編として大満足の続編映画『メン・イン・ブラック2』。

前作がツボにハマったと言う方には間違いなく見て頂きたい1作です。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile133では、10年ぶりの復活を果たした「メン・イン・ブラック」シリーズ第3弾『メン・イン・ブラック3』(2012)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

次回の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

『サントメール ある被告』あらすじ感想と評価解説。実話事件の裁判を映画化!リアルな法廷劇が繰り広げられる|映画という星空を知るひとよ161

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第161回 今回ご紹介する映画『サントメール ある被告』は、実話の裁判を基にした法廷劇です。2022年・第79回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人 …

連載コラム

亀山睦実映画『恋はストーク』あらすじと感想レビュー。福永朱梨が演じた“ひとすじに好き”の物語|ちば映画祭2019初期衝動ピーナッツ便り5

ちば映画祭2019エントリー・亀山睦実監督作品『恋はストーク』が3月31日に上映 「初期衝動」というテーマを掲げ、2019年も数々のインディペンデント映画を上映するちば映画祭。 そこで上映された作品の …

連載コラム

実写『ゾン100』ネタバレ結末あらすじと感想評価の考察。Netflix映画で赤楚衛二×白石麻衣が“絶望の世界”を謳歌する若者を描く|Netflix映画おすすめ137

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第137回 いくつもの大手会社が告発され、働き方改革も世に浸透してきた現代においてもなお、ブラック企業の告発は止むことがありません。 多くの …

連載コラム

『ワーニング その映画を観るな』感想評価と考察。“観たら死ぬ映画”の類似作の紹介も|SF恐怖映画という名の観覧車113

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile113 連日雨が続き、梅雨の気配が消えないまま8月に入ろうとしている異様な空気の2020年の夏。 新型コロナウイルスの騒動もあり、様々なイベント …

連載コラム

映画『1976』あらすじ感想と評価考察。独裁政権が支配する社会の恐怖を主婦の目線で描く問題作|TIFF東京国際映画祭2022-6

第35回東京国際映画祭『1976』 2022年にて35回目を迎える東京国際映画祭。コンペティション部門に1970年代、軍事政権によって支配されたチリの姿を描いた映画が登場しました。 タイトルは『197 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学