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Entry 2019/03/05
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『シンプル・フェイバー』感想評価レビュー。映画の結末まで対極的な女性が繰り広げる失踪事件の真相とは|サスペンスの神様の鼓動12

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。

このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。

今回取り上げる作品は、2019年3月8日から公開となる、女性の失踪事件を軸に、さまざまな秘密や嫉妬が入り乱れるサスペンス『シンプル・フェイバー』です。

【連載コラム】『サスペンスの神様の鼓動』記事一覧はこちら

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映画『シンプル・フェイバー』のあらすじ


(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
ニューヨークに住む、純粋で天真爛漫な女性、ステファニー。

彼女は夫を事故で亡くし、残された息子のマイルズを、1人で育てるシングルマザーです。

夫の保険金で生活しているステファニーは、料理ブログを配信しており、自身のフォロワーに、親友のエミリーが行方不明である事と、そこに至るまでの経緯について話はじめます。

ステファニーとエミリーが親しくなったのは、子供がキッカケでした。

マイルズが通う小学校のイベントに参加したステファニーは、イベント終了後も、マイルズが仲良くなったエミリーの子供、ニッキーと遊びたがり離れようとしません。

困り果てたステファニー。

そこへ、エミリーがニッキーを迎えに学校へ姿を現します。

遊びたがる2人を一緒にいさせる為に、エミリーはステファニーを自宅へ招待します。

まるで、別世界で生きているような雰囲気を醸し出すエミリーに、ステファニーは萎縮しますが、自宅でお酒を飲み打ち解け始めます。

そこへ、エミリーの夫で作家のショーンが帰宅します。

ショーンは、過去にベストセラーを出版していますが、現在は作品を書いておらず、エミリーの世話になっていました。

立派な屋敷に住んでいるエミリー夫妻ですが、エミリーから生活が苦しく、実は破産寸前である事を、ステファニーは聞かされます。

ステファニーはエミリーの力になる為に、ニッキーを預かって、エミリーとショーンが仕事に集中できるように、協力する事を申し出ます。

ステファニーとエミリーの距離は縮まっていき、お互いの闇の部分をさらけ出すようになっていきます。

ステファニーはエミリーを信用し、親友と呼ぶようになっていました。

ある日、ステファニーはエミリーから連絡を受け、出張に行くエミリーの代わりに、ニッキーを預かるように頼まれます。

快く引き受けたステファニーですが、数日経過してもエミリーが帰って来る様子は無く、連絡も途切れてしまいます。

心配したステファニーは、母親の介護の為にロンドンにいたショーンへ連絡、2人でエミリーの捜索を開始します。

ステファニーは、エミリーが働いていた、ファッションブランドのオフィスを訪ねますが、誰も何も知らないどころか、興味を示そうともしません。

ステファニーは、自身の料理ブログでエミリーの情報を呼びかけます。

すると、フォロワーから「ミシガン州でエミリーを目撃した」という情報が入ります。

ステファニーは、ショーンと共に目撃情報のあった場所へ向かいますが、そこで目にしたのは…。

サスペンス構築の要素①「失踪したエミリーの秘密」


(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『シンプル・フェイバー』のストーリーの主軸は、「何故エミリーが失踪したのか?」です。

ステファニーは、エミリーの事を親友と呼んでいますが、実は何も知りません。

エミリーの事を心配するステファニーは、独自に捜査を開始し、エミリーの過去を探って行きます。

そして、一流ファッション・ブランドの広報という、華やかな職に就くエミリーからは、かけ離れた秘密を知る事になります。

作品の序盤では、エミリーが汚い言葉を連発したり、写真を撮られる事を異常に嫌がったりと、後半に繋がる伏線が張られています。

失踪した人間を探す展開が、物語の主軸となるサスペンスでは、失踪者の秘密や裏の顔が、徐々に暴かれていく点が見どころとなり、そのギャップが大きいほど、観客が受ける衝撃も大きくなります。

そして、秘密や裏の顔が暴かれるほど、観客の結末への期待も大きくなり「如何に観客を裏切りながら満足させるか?」が、制作側の腕の見せどころとなります。

『シンプル・フェイバー』には、クライマックスに向けて、ある仕掛けがされており、一筋縄ではいかない作品となっています。

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サスペンス構築の要素②「2人の対極的な女性の物語」


(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『シンプル・フェイバー』に登場するメインキャラクターは、2人の女性となります。

天真爛漫で純粋な性格から、時に街の人から失笑されるステファニーと、野心家のキャリアウーマンで、その威圧感から街の人を寄せ付けないエミリー。

専業主婦のステファニーと、キャリアウーマンのエミリーでは、2人の立ち位置も違い対極の存在と言えます。

ステファニーはエミリーの強さに憧れ、エミリーはステファニーの家庭的な面に劣等感を抱きます。

しかし、女性は「家庭的で優しい女性」か「社会で生き抜く強い女性」の2つしか無いのでしょうか?

2つの内の、どちらかを強要されているのではないでしょうか?

本作の脚本家、ジェシカ・シャーザーは、原作の小説『ささやかな頼み』から、女性の内面を強調しながら脚色しています。

女性の持つ、外には見せない複雑でややこしい、男性からすると怖いと感じる女性の内面が、本作の鍵となっています。

サスペンス構築の要素③「誰も信用できないクライマックス」


(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

本作は、物語の中心に、常にステファニーが置かれており、ステファニーの目線を通して、物語が進行します。

ですが、当初は純粋で天真爛漫な印象だったステファニーが、エミリーの過去を追いかける内に、大胆で切れ者の一面や、強い性格の一面など、さまざまな顔を見せるようになります。

次第に観客は、常に物語の中心にいたはずの、ステファニーの人物像が分からなくなり、信用できなくなっていきます。

ステファニーが交通事故で亡くなった、夫の保険金で生活しているという設定が、信用できないという要素に拍車をかけてきます。

さらに本作では、ステファニーの周囲で起きている事を、全部観客に語っている訳ではありません。

この仕掛により、クライマックスでは「誰が何を知っていて、誰と共闘関係にあるのか?」が、観客に何も語られず、誰一人として信用できない展開が繰り広げられます。

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映画『シンプル・フェイバー』まとめ


(C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

本作品『シンプル・フェイバー』は、人間の嫉妬や裏切りなどを描いている作品ですが、全体的にはカラフルな映像となっており、コメディのような印象を持つ作品となっています。

劇中で起きている事は、別世界の犯罪組織で起きた話ではなく、ごく普通の人による、日常の延長線で起きている出来事です。

だからこそ、この作品の監督ポール・フェイグは、生々しい映像にする事をあえて避け、コメディ色の強い映像にしていますが、何か悪い冗談をずっと見せられているようで、おかしさから来る恐怖を感じました。

失踪した女性を探すサスペンスと言えば、近年では2014年に公開された『ゴーン・ガール』を連想する人もいるでしょう。

ですが『ゴーン・ガール』は男の目線で、女を甘く見た男の悲劇が描かれています。

対して『シンプル・フェイバー』は、女性脚本家のジェシカ・シャーザーが脚色し、女性主演のコメディを多く手がけているポール・フェイグ監督が、女性目線で描いたサスペンスです。

同じ失踪をテーマにしたサスペンスでも、話の中心にいる人物の性別が変わると、描かれ方が変わるという事を、見比べても面白いかもしれません。

次回のサスペンスの神様の鼓動は…


(C)2018 CJ E&M CORPORATION, CREE PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED
推理オタクの青年と、伝説と呼ばれた刑事。
対象的な2人が、未解決事件に挑むシリーズ第2弾『探偵なふたり リターンズ』をご紹介します。

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