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Entry 2022/02/17
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映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』あらすじ感想と評価解説。主演キャストのカレン・ギランが子連れとして刺激的な攻防戦を魅せる|映画という星空を知るひとよ91

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第91回

映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2017)のカレン・ギランが主演を務め、犯罪組織に立ち向かう女たちの死闘を描いたバイオレンスアクション。

監督・脚本はイスラエル出身の鬼才ナボット・パプシャドが務めました。

凄腕殺し屋のサムがひょんなことから8歳の少女を保護することになり、殺し屋集団の組織から追われるハメに。けれども、サムの殺し屋仲間の女性たちや同じ稼業の実母の協力も得て、猛反撃に出ます。

女性の殺し屋と組織との戦いとあって、小気味よい銃撃戦と格闘シーンが続きますが、8歳の少女がその中心にいることで、ほのかに甘さを感じさせます。

強烈なアクションシーンと子連れ殺し屋の子供への優しさがマッチした、ユニークなアクション映画の『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、2022年3月18日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国順次ロードショーです。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』の作品情報


(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved

【日本公開】
2022年(フランス・ドイツ・アメリカ合作映画)

【原題】
Gunpowder Milkshake

【監督・脚本】
ナヴォット・パプシャド

【キャスト】
カレン・ギラン、レナ・ヘディ、カーラ・グギーノ、クロエ・コールマン、アダム・ナガイティス、ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、ポール・ジアマッティ

【作品概要】
『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、イスラエル出身の鬼才ナボット・パプシャドが脚本・監督を務めました。

主役のサムを務めるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2017)のカレン・ギラン。

3人の図書館員をカーラ・グギーノ、アンジェラ・バセット、ミシェル・ヨーが演じ、サムの母スカーレットには、テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のレナ・ヘディ。8歳のエミリーは、新進女優のクロエ・コールマンが好演しました。

映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』のあらすじ


(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved

ネオンきらめくクライム・シティ。サム(カレン・ギラン)はこの街の暗殺組織に属する腕利きの殺し屋です。

ある夜、予想外に手間取った仕事を片付け、血まみれで自宅に戻ったサムはバニラ・シェイクを作り、シリアルを食べながらテレビを見ていました。

腕の傷を縫っていると携帯がなって、会社と呼ぶ組織の人事部長ネイサンに呼び出され、仕事の打合せ場所として、カフェ「ダイナー」にやってきました。

そこは12年前に、サムがまだ12歳のころ、同じ組織の殺し屋だった母のスカーレット(レナ・ヘディ)に置き去りにされた場所でした。

それ以来、サムは母に会うこともなく、ネイサンに保護されて母と同じ殺し屋となったのです。

遅れてやって来たネイサンは、手間取った仕事について文句を言いますが、会社の会計士が盗んだ大金の回収という新しい仕事をサムに命じます。

サムはかつて殺し屋だった3人の女たちが仕切る図書館に飛び込みます。その図書館は、銃火器と武器のレンタル交換所だったのです。

そこで新しい銃を手に入れたサムは、ターゲットである会計士のもとへ行き来ますが、その会計士は8歳の娘エミリー(クロエ・コールマン)を悪党に誘拐されて身代金を持ってくるように脅迫されていたことがわかりました。

もみ合いになって銃の爆発で大怪我を負った会計士を病院へ送り届けた後、サムは娘の命を救うために、大金のはいったスーツケースをさげて指定の場所に行きました。

そして、ターゲットの娘エミリーを助け出しますが、会社の命に背いて大金を使ってしまったことで、組織を追われ、命を狙われるハメに……。

エミリーの父も怪我がもとで死んでしまい、身寄りのないエミリーを連れて、サムは組織と全面対決する決意をします。

映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』の感想と評価


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パワフル&ハートフルな内容

タイトルとなっている、「ガンパウダー」と「ミルクシェイク」って何だろうと気になる方も多いことでしょう。

「ガンパウダー」とは、装薬や発射薬のこと。主に銃や火砲などで使用される弾丸を推進させるための火薬のことを指します。「ミルクシェイク」は、牛乳に甘味料などを加えて作る乳飲料。

「火薬と甘い乳飲料」。タイトルだけで壮絶なアクションと優しいヒューマニズムが込められた作品と想像できます。

本作は、母親に置き去りにされた過去を持つ主人公の殺し屋サムが、殺人のターゲットの死によって8歳の少女エミリーを保護したことから急展開します。

この少女、頭の回転が早い上に度胸もあります。自分のことを「8歳」と言われると「8歳9カ月よ」と言い直し、サムの弟子だと公言。

人を殺すのが仕事のサムは、自分の腕の傷を針と糸で縫って手当をするなど、血を見ることや傷だらけになることなど何とも思わないほど肝が据わっています。

けれども、そこはやはり女性! 自分を慕うエミリーを徐々に護るべき対象と思い、襲い掛かる殺し屋たちを相手に、孤軍奮闘の活躍を始めました。

サムを演じるカレン・ギランの目も覚めるようなアクションは必見です。

見どころは図書館での戦い


(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved

サムと殺し屋の戦いの場は頻繁にありますが、中でも注目したいのは、秘密の武器交換所となっている図書館での場面。

そこに勤める3人の図書館員はサムの母スカーレットの昔の仲間たちでした。・・・つまり彼女たちも殺し屋!

物静かな図書館員を装っていますが、その中身はかなりパワフルな暗殺者たちです。図書館に逃げ込んできたサムとエミリーのために、一肌脱ぎます。

巨大な書架の影に隠れての銃撃戦や目的別に別れた小部屋での格闘シーンは、図書館という特殊な場所の特徴もあらわされています。

分厚い書物の中に武器が隠されているのですが、どの書物にどんな武器が隠されているのか。書物のタイトルと中に隠された武器の名前にも注目です。

彼女たちがなぜ図書館員になっているのか。そこにも女殺し屋ならではの決意が秘められていました。

人殺しを仕事にしていた彼女たちが命をかけて闘う姿は文句なしにカッコいいのですが、自分たちのことについて、本音がちょっぴりのぞくシーンもありますのでお見逃しなく。

まとめ


(C)2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved

子連れ殺し屋が殺し屋軍団相手に大暴れ。主役のカレン・ギランの胸のすくようなアクションが魅了する本作『ガンパウダー・ミルクシェイク』。

ナヴォット・パプシャド監督が、「図書館を舞台に女性がヒーローになる作品を作りたい」という自身の願いを叶えた作品です。

激しい銃撃・格闘の合間に、ミルクシェイクやパフェなどのスイーツも登場。ピリ辛の戦いに甘さも加わったという構図がラストまで続き、視覚はおろか味覚も刺激してくれます。

サムの弟子を名乗るエミリー役のクロエ・コールマンの演技も絶妙で、一度知ったら病みつきになるような危険な味をもった作品となっています。

映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』は、2022年3月18日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国順次ロードショーです。

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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