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Entry 2020/04/04
Update

映画『マイ・スパイ』あらすじネタバレと感想。元プロレスラー俳優デイヴ・バウティスタと少女の凸凹バディ|未体験ゾーンの映画たち2020見破録31

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第31回

「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第31回で紹介するのは、肉体派アクション俳優と子役のタッグで送るアクション映画『マイ・スパイ』

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで、悲しい過去を持ちながら、お調子者の愛すべき筋肉バカのヒーロー、”ドラックス”を演じた元プロレスラー俳優、デイヴ・バウティスタ。

そんな彼の役柄を彷彿させるアットホームな、スパイアクション・コメディ映画がの登場です。最強凸凹コンビは、果たして世界を救えるのか?

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら

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映画『マイ・スパイ』の作品情報


(C)2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
My Spy

【監督】
ピーター・シーガル

【キャスト】
デイブ・バウティスタ、クロエ・コールマン、クリステン・シャール、ケン・チョン、パリサ・フィッツ=ヘンリー、グレッグ・ブリック

【作品概要】
ひょんなことから9歳の女の子とタッグを組んで、世界を救うことになる武闘派スパイの活躍を描く、バディ・アクション映画です。『50回目のファースト・キス』や『ゲット スマート』、『リベンジ・マッチ』などコメディや、アクション・コメディ映画の監督として定評のある、ピーター・シーガルが手掛けた作品です。

出演はデイブ・バウティスタに、その相手役はミステリードラマ「ビッグ・リトル・ライズ」に出演した子役のクロエ・コールマン。コメディエンヌ・声優としても活躍するクリステン・シャール、「ハングオーバー!」シリーズのケン・チョンなど、コメディ畑の俳優が共演します。

映画『マイ・スパイ』のあらすじとネタバレ


(C)2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED

ウクライナの廃墟となった、チェルノブィリ原子力発電所。そこでロシアのマフィアと軍人が、密かにプルトニウムとダイヤの闇取引を行っていました。

この現場に立ち合っていたのが、CIAの潜入エージェント、JJ(デイブ・バウティスタ)。彼の行動をCIA本部では、皆が映像で見守っていました。

取引する男に、プルトニウムを兵器化できる技術者は見つかったか、と訊ねるJJ。機密に関心を示す彼の態度は怪しまれ、取引現場そして見守るCIA職員たちの間に緊張が走ります。

任務はプルトニウムの動きを追い、それを悪用するテロリストを突き止めることでした。モニターで見つめるCIAのキム局長(ケン・チョン)は、シラを切り通せとつぶやきます。

そんな声が聞こえる訳もなく、JJは正体がバレたと悟るや、カッコいいセリフを決めつつ、1人で男たちに立ち向かいます。アクション映画の主人公らしく敵の攻撃をかわし、爆発の炎を背負って次々敵を倒していくJJ。

伝説の武闘派エージェント、JJのド派手な活躍にCIA本部は大いに盛り上がります。最後は逃走をはかる敵の車を吹っ飛ばし、見せ場のシーンを華麗に締めくくりました。

C本部に戻ったJJは、派手な立ち回りを目撃した皆から喝采を浴びます。ところがキム局長は大激怒。彼の行動で核取引のネットワークは見事に壊滅、おかげでプルトニウムは行方不明。それを追跡しテロリストを捕える、本来の任務は台無しです。

元特殊部隊の経歴を買われ、CIAにエージェントになったJJですが、これではスパイ失格だと怒り狂うキム局長。ともかく家に帰れと命じます。

筋骨隆々の巨漢JJですが家では独り暮らし。ペットのお魚、ブルーベリーを世話して寂しく暮らしていました。

所は変わってイリノイ州の街、ウィッカーパーク。引っ越してきた少女ソフィ(クロエ・コールマン)は、小学校の初登校の日を迎えていました。母ケイト(パリサ・フィッツ=ヘンリー)に励まされ、スクールバスに乗り込みますが、友達はできそうにありません。

CIA本部では、キム局長がJJに説明していました。フランスの元軍人のテロリスト、ビクター・マルケス(グレッグ・ブリック)こそJJが潜入した取引で、プルトニウムを手に入れようとした、張本人であると説明します。

取引に関与していた彼の弟デイビットは、マルケスによって殺害された模様です。何らかの理由で、彼が弟の遺族に接触する可能性が無いと言い切れません。

JJの暴走でマルケスの捜査が行き詰まった今、それが突破口になるかもしれません。そこで弟の遺族を技術畑の女職員、ボビー(クリステン・シャール)と共に監視しろ、と命じます。武闘派のJJに似合わぬ任務ですが、これが最後のチャンスだと言い切るキム局長。

その監視対象こそケイトとソフィでした。母娘と同じアパートの部屋に、監視機材と魚のブルーベリーを持ち込むJJとボビー。ボビーは伝説のエージェントと任務が出来ると大喜びでしたが、彼女にこんな地味な仕事は任務じゃないと告げる、全く乗り気でないJJ。

ボビーはケイトの個人情報を調べます。彼女は親族も無く9歳の娘ソフィと暮らす、シングルマザーの看護婦だと判明します。母娘が部屋を空けると、JJはさっそく侵入して、室内の各所にカメラを仕掛けます。その最中にケイトが戻ってきますが、JJは身を隠し何とかやり過ごします。

こうしてJJとボビーの、退屈な監視任務が始まりました。ヒマな時間にJJに武器の使用法を教えてくれ、と頼むボビーですが、JJはぞんざいな態度で断ります。

友達にいないソフィは、母のケイトと共にスケートに行く約束をしてましたが、急に病院に呼ばれた母は、娘を残し出勤します。隣室に住むゲイのカップルの1人、トッドに頼んでも、彼も都合が悪くソフィに付き合えません。

家に1人残ったソフィは、JJが仕掛けたカメラに気付きます。それを知り慌てるボビーですが、まだ子供のソフィには、何も出来はしないと言うJJ。

しかし聡明なソフィは、カメラの機種をネットで調べ、監視用のものだと確認します。部屋を探ると他にもカメラがありました。映像信号の送り先をたどり、JJの監視部屋にたどり着きます。

その部屋でCIA職員の身分証を発見したソフィは、自分たち母娘がここで監視されていると悟ります。少女の様子に気付き慌てるJJ。この任務に失敗すれば後の無い彼は、いっそソフィの口を塞ごうかと、過激な手段を思い浮かべます。

しかし彼よりソフィが1枚上手でした。監視部屋もJJたちの姿もスマホで撮影しており、ボタン1つで配信できると脅します。任務失敗を認め、引き上げを提案するボビーですが、これは君たち母娘を守る任務と説明し、恥も外聞もなく子供に黙ってくれと頼みこむJJ。

ソフィは取引を持ち掛けます。黙っているかわりに、スケート場に出かけるのに、付き添って欲しいと頼みました。今のJJには、その要求を呑むしかありません。

多くの人々が集うスケート場に現れたJJとソフィ。無敵のエージェントもスケートは未経験、ソフィの頼みに嫌々滑り始めますが、やはり派手に転びます。しかしソフィが同じ学校の男たちにいじめられていると知ると、彼らの足を引っかけて倒します。

不器用ながら、ソフィに少し心を開いたJJ。2人でアイスを食べつつ家に戻りますが、母のケイトは見知らぬ大男が娘を連れ出したと騒ぎ一発浴びせ、トッドに警察への通報を頼みます。慌ててソフィはJJを、近所に越してきた親切な隣人と紹介し、どうにか母を納得させました。

監視部屋に戻ったJJですが、ボビーは監視対象者と接触するなど、もってのほかと怒ります。ならば母娘を眠らせ証拠を奪い、ガス爆発を装い口封じ、と過激なアイデアに手を思いつくJJ。

ところがソフィは黙っていることを条件に、今度は母が参加できない学校の授業参観に、JJに来て欲しいと頼みます。頭の良い9歳のソフィの交渉術を、テロリストよりたちの悪い策士だとJJは呼びますが、こうなっては要求を呑むしかありません。

授業参観の日ソフィと共に現れた、場違いな筋肉男の姿に皆が驚きます。授業は保護者が子供たちに、自分の職業を話聞かせる内容でした。無職を装っているJJに話す番が回ってきます。

俺は以前世界でゴミを始末していた、とJJが話し出すと、子供たちは笑い出します。しかしゴミとは世界中にいるクズのような連中で、以前は軍のレンジャー部隊で、そんな連中と戦ってきたと語ると、目の色を変えて話に聞きいる生徒と保護者たち。

その後JJは子供たちと、保護者の母親や女教師からの注目の的でした。その姿は見守るソフィも誇らしげです。互いを理解し始めたJJとソフィ。学校に馴染めずにいたソフィが明るくなったことに、母親のケイトも安心を覚えます。

一方キム局長率いるCIAの監視チームはヨーロッパで、危険なテロリスト・マルケスが接触しそうな人物を監視していました。

様々なことを話すようになったJJとソフィ。なぜ独身なのかと訊ねられ、任務で世界を飛び回っている間に、婚約者に振られたとJJは話します。仲良くなった彼と共に過ごしたいのか、自分もスパイになりたいと告げるソフィ。

女の子で頭の良いソフィには、ボビーのようなハイテクを駆使した任務が似合うと告げますが、彼女はJJから手ほどきを受けたいと願っていました。協力関係を守るために、JJは彼女にスパイ技術をレクチャーし始めます。

最初は子供の遊びと考えていたJJですが、ソフィは嘘発見機を逃れる技術を簡単に身につけます。10分で他人の家に入り込め、との課題を与えられるとソフィは度胸と愛嬌で言いくるめ、簡単に他人の家に招かれます。キム局長の家にまで入り込む姿には、驚いて舌を巻くしかないJJ。

本当にそれが必要なのか、アクション・スパイ映画でお約束の、宿敵を始末した後の決めゼリフや、花火を使い立ち上る炎を背景に、カッコよく歩く方法をレクチャーするJJ。流石のソフィも、満足できる決めゼリフは思いつかない模様です。

ソフィと楽しく過ごす時間が増えたJJの分まで、1人黙々と監視にあたるボビー。自分にはスパイ技術を教えてくれなかったのに、とJJに噛みつきます。

彼らが平和に過ごしている時、テロリストのマルケスはプルトニウムを手に入れようと暗躍し、弟デイビットとつながりのあった男を殺害していました。

そんなある日、学校のソフィから緊急事態との連絡が入り、JJは慌てて駆け付けます。そこにはソフィと迎えにきたケイトがいました。ソフィに騙されたと気付いたJJ。

ソフィはJJと母親を、ぜひ引き合わせたいと願っていました。気おくれしていたJJですが、ケイトは1年前に父を亡くした娘を、親身に世話する彼を信頼していました。ソフィの思惑通り、JJはケイトとスペイン料理店でデートすることになります。

女性と接するのが苦手なJJのために、デートに備えあれこれアドバイスするソフィ。彼のぎこちない動きを見て、ダンスは禁止だと命じます。

母娘と仲良くなったJJに、我々の任務は監視であって、保護ではないと釘を刺すボビー。彼女もソフィを気に入っていましたが、母娘とは任務で関わっているに過ぎないとJJに思い出させます。

デートの日、臨家のトッドとそのパートナーの男2人組は、JJのために似合う服装をチョイスします。おせっかいな2人組も、どうやらケイトの幸せを願っているようでした。

外野の期待を背負ったデートで、ソフィとボビーがモニターで見守る中、ケイトは過去を語ります。パリで暮らしていましたが、夫デイビットが殺されると、警察は彼が犯罪に関わったとして資産を差し押さえます。やむなく娘と共にここに移り、生活を立て直していると話すケイト。

JJは彼女をダンスに誘います。ソフィの指摘通りひどい踊りでしたが、同時に「シュレック」の結婚式みたいな、実に愉快なダンスで大いに盛り上がります。

デートは上首尾に終わりました。大ウケのダンスは周囲の客にスマホで撮影され、注目を浴びて監視対象者と踊るJJの姿に、ボビーは呆れかえります。

ソフィはJJに、亡くなった父親は悪い人物だったのか、と訊ねます。ソフィにお父さんは悪い兄、彼女の叔父にあたるマルケスに関わっただけで、決して悪い人ではないと告げるJJ。

JJとソフィはケイトのために食事を用意します。ソフィが期待した以上に、JJと母との関係は親密になっていました。

その頃ベルリンでは、キム局長のチームがビクターを捕えようと動いていました。マルケスが建物に入ると特殊部隊が突入します。銃撃戦がに始まった直後、爆発が起きました。

キム局長はビクターは爆発に巻き込まれ、死んだものと判断します。しかしマルケスは、自分の死を偽装して、そこから抜け出していたのです…。

以下、『マイ・スパイ』のネタバレ・結末の記載がございます。『マイ・スパイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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テロリスト・マルケスが死んだ以上、ケイトとソフィ母娘を監視する必要ない、と判断したCIAのキム局長は、JJとボビーに監視の終了を命じます。

さらにキム局長はJJに、ネットにあがった彼とケイトのダンスの動画を示します。監視対象者と関係をもつなど言語同断、その不始末を指摘しクビを告げるキムに、規則を破ったのは自分であって、ボビーには一切責任はないと訴えたJJ。

JJと共に責任を問われ、解雇されたボビーですが、任務一筋の彼が母娘との交流を通じ、人間らしくなっていく姿を見るのは楽しかったと告げます。技術畑のエージェントの彼女を軽んじていたと、JJは深く反省して詫びました。

引き上げを母娘に伝えねばなりません。JJは自分たちは君たちを守っていたCIAだと説明しますが、自宅にカメラを仕掛けた上、自分に言い寄ったのも任務だったのかと、ケイトは激しく怒ります。

ソフィもJJとの突然の別れと、彼と母との関係が壊れたことを深く悲しみます。JJは自分の行為が愚かだったと思い知らされました。落ち込む余り、全く似合わないジュリア・ロバーツの映画『ノッティングヒルの恋人』を見て、1人自分を慰めるJJ。

監視部屋の撤収を進めるJJとボビー。ソフィをJJにお茶会に誘い、もう会うことが出来ないのかと訊ねます。彼は何も答えられず、彼女を部屋に送ります。

ところが自宅にいたケイトの前に、亡き夫の兄、ビクター・マルケスがいました。JJを倒しソフィを脅すマルケスに、ケイトは出ていけと叫びます。

しかしマルケスは、テロの実行に弟の残したパソコンのメモリが必要でした。それを得るためには、義妹や姪の命すら奪うつもりで現れたのです。

マルケスが現れたと気付き、技術屋のエージェント、ボビーは慌てます。監視部屋にはJJが持ち込んだ、数々の武器がありました。彼女はそれを使って反撃しようと決意します。

メモリを奪おうとするマルケス。そこに隣室のトッドとパートナーが現れます。実は2人もマルケスがケイトの元に現れれば、メモリを奪おうとゲイカップルを装い監視していたのです。彼らもスパイだと知り、怒りを通り越し呆れかえるケイト。

JJも現れ緊張が走る中、慣れない武器を持ち駆け付けようとしたボビーは、素人の悲しさでサブマシンガンを落します。サブマシンガンは暴発して周囲に弾をバラ撒き、一同は慌てて伏せるしかありません。

混乱の中、ソフィを人質に逃亡を図るマルケス。開き直ったボビーは手榴弾を投げ、トッドたちを追い払います。車で逃げたマルケスを、娘を追うケイトの車に同乗したJJ。

JJはケイトの悲鳴にも構わず、強引に車を走らせます。ボビーが送る情報を元にマルケスを追跡しますが、敵は飛行場に向かっているようです。マルケスは到着すると、ソフィと共に待機させた飛行機に乗り込みます。

JJとケイトも飛行場に到着します。ソフィを救いテロを阻止するには、飛行機を止めるしかありません。そこでJJは、燃料を満載したタンクローリーに乗り込み走らせます。

滑走路を走る飛行機の前に、タンクローリーを止め離陸を阻止するJJ。マルケスは飛行機を降りJJに向き合いますが、辺りはタンクリーリーが燃料をまき散らし、発砲すれば引火しかねない状況です。そこでナイフを抜き、襲ってくるマルケス。

武闘派のスパイ、JJに格闘戦はお手のもの。相手を存分に叩きのめします。しかしソフィが乗る飛行機は暴走し始め、フェンスを壊し滑走路の先の崖に向かいます。

慌ててソフィを救おうと動くJJ。飛行機はフェンスに引っかかり、かろうじて落下を免れています。メモリを奪いに飛行機に乗りこんだマルケスから、ソフィは必死に逃れます。

JJに励まされ、彼の手を掴み飛行機から逃れたソフィ。飛行機はマルケスを乗せたまま落下、爆発します。それを見てソフィは、クソ野郎とつぶやきます。その程度の決めセリフかとJJにツッこまれますが、考える間が無かったと言い訳するソフィ。

アクション映画として何か物足りません。幸いにも燃料を舞き散らしたタンクリーリーがあります。駆け付けたケイトが止めるのも聞かず、タンクローリーを爆破を試みるJJとソフィ。

失敗したかに見えましたが、見事に派手なオレンジ色の炎が立ち上ると、2人はそれを背負って歩きます。

こうしてJJとソフィの活躍で世界は救われました。CIAの失態を見事カバーした活躍に、キム局長はJJとボビーの解雇を撤回します。

信頼できる相棒となった、ボビーとの仕事を望みながらも、しばらく時間が欲しいと告げるJJ。彼はソフィとケイト母娘の元に向かいます。

JJと過ごした日々のお蔭で、すっかり学校に馴染み人気者になっていたソフィ。JJはまた彼女と共に、苦手なスケートに挑戦します。そこはスーパーエージェント、みっちり練習したおかげで、JJは華麗に滑る姿を見せて、ソフィとケイトを喜ばせました。

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映画『マイ・スパイ』の感想と評価

参考映像:『妖精ファイター』予告編(2010)

アーノルド・シュワルツェネッガーの『キンダガートン・コップ』、ヴィン・ディーゼルの『キャプテン・ウルフ』など、アクションスターは新境地を目指し、子供と触れ合うコメディ映画に出演するもの。中にはドウェイン・ジョンソンの、『妖精ファイター』なんて珍作もあります。

『マイ・スパイ』もそんな楽しい映画の1本。主演のデイブ・バウティスタが自ら製作に関わり、コメデイやハートウォーミングな映画に定評のある、ピーター・シーガルを監督に起用して完成させた作品です。

マッチョなスターは子役にとても紳士的


(C)2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED

本作主演・製作のデイブ・バウティスタはこの映画で、選ばれて集まった人々が築く、誰もが共感できる家族の姿を描きたいと、強く望んでいたと語っています。

彼は家族からの影響もあって、LGBTなど様々な価値観を持つ人々に、理解ある姿勢をとっています。その思いから本作を、多様性を示す作品にしたいと考え、当初隣室のゲイカップル役に、世界一のドラァグクイーンと呼ばれる、ルポールの起用を望んでいました。

そんな彼にとって子役、クロエ・コールマンとの仕事は楽しいものでした。彼女の10歳の誕生日は本作撮影中に訪れましたが、デイブ・バウティスタは彼女にケーキだけでなく、思いがけないプレゼントを用意します。

それは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」やマーベルヒーローたち、クリス・プラットやゾーイ・サルダナ、ヴィン・ディーゼルにトム・ホランドが彼女の誕生日を祝う、ビデオメッセージでした。

ヒーローを演じた俳優から祝福される、素晴らしい誕生日を過ごしたクロエ・コールマン。バウティスタさんも、中々粋なことする人物です。

過去作のアクション映画を踏まえたユニークさ


(C)2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED

ファミリー映画王道のストーリーであり、ポリティカル・コレクトネスにも配慮していると聞くと、少々かしこまった作品、と考える方もいるかもしれません。

ご安心を。ポリコレ要素は、笑いの多様性にも反映しています。「ハングオーバー! 」シリーズのケン・チョンや、クロエ・コールマンにFワード系のセリフがあったりと、ネタの種類に対してもサービス精神旺盛です。

本作の底に流れるのは、いままでのアクション映画に対するパロディ精神。そもそもデイブ・バウティスタが演じるマーベルヒーロー”ドラックス”は、映画やアメコミに登場するマッチョなヒーローの、パロディのような存在です。

その役柄のイメージを生かした姿が、本作の主人公です。従来のアクション映画をおちょくり笑いを生み出します。決してパロディを前面に出したり、メタな構造にはしていませんが、アクション映画ファンなら間違いなく吹き出すでしょう。

まとめ


(C)2019 STX FINANCING, LLC ALL RIGHTS RESERVED

お子様も鑑賞できる映画に見えて、しっかりアクション映画ファンの心をくすぐり、笑わせにくる映画が『マイ・スパイ』です。

元プロレスラーのデイブ・バウティスタは、子供やポリコレに優しいだけの人物ではありません。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン監督が、過去の不謹慎ジョークのツイートを理由に、不適切としてディズニーから解雇される騒動がありました。

その時真っ先にジェームズ・ガンの支持を表明し、彼が解雇されるなら自分も降板すると発表したデイブ・バウティスタ。他の俳優やシリーズのファンもそれに続き、彼の復帰が決定します。

自分をスターにした監督への応援のみならず、異なる意見であればジョークですら、目くじらを立て攻撃する風潮に一石を投じました。彼の寛容な姿勢は、この件にも現れています。

そんなデイブ・バウティスタも俳優業に専念するため、所属していたプロレス団体WWEから離脱する際には、様々な確執が発生します。俳優業の合間に騒動を引き起こし、2019年5年ぶりにリングに上がるも敗戦。ついに引退を表明した彼は、2020年度のWWE殿堂入りが決定しています。

人格者のバウティスタさんですから、プロレス団体との抗争はガチではなく、WWE名物の用意されたシナリオ、つまりやらせって事でイイんでしょうか。プロレスに詳しい方、ここはぜひ詳しい解説をお願いします。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」は…


(C)2018 THE KID, LLC

次回の第32回は西部劇でお馴染み、アウトローのビリー・ザ・キッドと、保安官パット・ギャレットが登場する、異色の西部劇『スリー・ジャスティス 孤高のアウトロー』を紹介いたします。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら






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