Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/12/22
Update

アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!あらすじ評価と感想解説。キモカワお化けファミリーがドライブ旅行で得た家族の絆とは?|映画という星空を知るひとよ84

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第84回

過去には映画やドラマで実写化もされたチャールズ・アダムスのコミックをアニメーション映画化した『アダムス・ファミリー』の第2弾『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』。

キモカワお化けのアダムスファミリーが劇場に帰ってきます。

思春期を迎えた娘のウエンズデーを心配した父ゴメズは家族全員を連れて、絆を深めるドライブ旅行に出かけます。旅を満喫するファミリーですが、怪しい男たちが忍び寄って来て……。

愉快なお化け一家の長女ウエンズデーの悩みが騒動を招く本作。ウエンズデーの成長と、それを見守る家族愛が描かれ、アメリカ有数の観光名所をキャンピングカーで巡る家族旅行は、バーチャル旅行が体験できるロードムービーとしても楽しめます。

大人も子どもも楽しめる映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、1月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の作品情報


(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【原題】
The Addams Family 2

【製作】
ゲイル・バーマン コンラッド・バーノン ダニエル・スターリング アリソン・オブライエン

【脚本】
ダン・ヘルナンデス ベンジー・サミット ベン・クイーン スザンナ・フォーゲル

【監督】
グレッグ・ティアナン、コンラッド・バーノン

【キャスト】
オスカー・アイザック、シャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モレッツ、ニック・クロール、ジャボン・“ワナ”・ウォルトン、ウォーレス・ショーン、スヌープ・ドッグ、ベット・ミドラー、ビル・ヘイダー

【日本語吹き替え】
杏(モーティシア)、生瀬勝久(ゴメズ)、二階堂ふみ(ウェンズデー)、堀江瞬(パグズリー)、秋山竜次(フェスターおじさん)、京田尚子(バァバ)、大塚明夫(ラーチ)、森川智之(サイラス・ストレンジ)、多田野曜平(ムステラ)、ならはしみき (オシーリア)

【作品概要】
前作『アダムスファミリー』に続く、シリーズ第2弾の『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』。

監督を務めるのは、「きかんしゃトーマス」シリーズのグレッグ・ティアナンと、『シュレック2』(2004)『マダガスカル3』(2012)などを手がけてきたコンラッド・バーノンです。

アダムス家の家長ゴメズ役のオスカー・アイザック、妻モーティシア役のシャーリーズ・セロン、長女ウェンズデー役のクロエ・グレース・モレッツら、豪華キャスト陣もそろって続投しました。

日本語吹き替えでも、ゴメズに生瀬勝久、モーティシアに杏、ウェンズデーに二階堂ふみと、熟練の俳優陣が集結。

映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』のあらすじ


(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

夏休み恒例の自由研究発表会(科学フェア)で優勝を狙う、アダムスファミリーの長女ウエンズデー。

フェスタ―おじさんにペットのタコ‟ソクラテス”の特性を移植する実験を披露します。しかし、その科学フェアは優勝なしで、順位をつけずに全員入賞という形で終わりました。

がっかりしたウエンズデーですが、その研究に興味を持った主催者のサイラス・ストレンジに共同研究の話を持ち掛けられますが、ウエンズデーは「家族の秘密ですから」と断ります。

思春期を迎え家族の食卓に顔を見せないことが増えたウエンズデーを心配し、家族の絆を深めようと考えたゴメズは、キャンピングカーでのドライブ旅行に連れ出しました。

ナイアガラの滝、マイアミビーチ、グランドキャニオン。ユニークな騒動を巻き起こしながらも、アメリカの観光名所をめぐる旅を続けるアダムスファミリー。

しかし、そんな彼らの後を、怪しい男たちが追いかけて来ました……。

映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の感想と評価


(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

お化け一家の愛情

お化け一族の家長ゴメズとその妻モーティシア、2人の子どものウエンズデーとパグズリー。

不気味な存在ながらも人間に恐ろしい危害を与えないファミリーは、丘の上に立つ屋敷で、手だけのお化けのハンドや大男の執事ラーチと幸せに暮らしていました。

暗い表情をした長女のウェンズデーは、謀が好きそうな不気味な性格ですが冷静で賢い少女で、本作では思春期を迎えた彼女が騒動の元となります。

親が娘を思う気持ちは、人間でもお化けでも、皆同じであることに気がつきます。

家族への愛情表現が、多少ずれている、或いは表現の仕方がわからず、皮肉っぽいいじけたものだとしても、その気持ちは十分に相手に伝わってくるものでした。

プロダクションに寄せるスタッフの想い


(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

観客以上に、キモカワお化けのアダムスファミリーを愛する制作スタッフたち。

愛すべきキャラたちを前作以上に活かすにはどんな物語にすればいいのか、と悩んだそうです。結局、アダムスファミリーでキャラが目立つウエンズデーを中心にして話を膨らませることになりました。

そして、アダムスファミリーの一番ユニークな「どこに行っても常に浮いている」というポイントを際立たせるために、彼らにピッタリの火葬炉付きのキャンピング・カーで、アメリカ中を旅行させることにしたそうです。

物語は、ウエンズデーの思春期特有の疎外感やバグズリーの淡い初恋心を描くなど、ハートフルな内容もあります。しかし、それだけで終わらないのが、アダムズファミリー!!

クライマックスには、格闘シーン、盛大なパーティーシーンも用意され、様々な楽しみ方ができるエンターテイメント作品となりました。

アダムスファミリーの愛すべきところも不気味なところも、余すところなく描き出され、挙句の果ては、絆を強めた家族たちが大はしゃぎするという本作は、子どもも大人も文句なしに楽しめます。

まとめ


(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

2020年公開された『アダムズファミリー』の続編です。

お化け一家のアダムスファミリーが巻き起こすドタバタ騒動は相変わらずですが、冷酷そうに見えるウエンズデーや悪戯好きな悪ガキパグズリーを取り巻く大人たちの家族愛あふれる物語でした。

声の吹き替えは、杏(モーティシア)、生瀬勝久(ゴメズ)、二階堂ふみ(ウェンズデー)、堀江瞬(パグズリー)といった魅力あふれる俳優陣。

冷静沈着なお化けたちの声を感情を抑えた一定のリズムで表現し、お化けならではの不気味さを醸し出していますが、ホラーではないので、十分ご家族で楽しめる作品です。

映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、1月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー。

次回の連載コラム『映画という星空を知るひとよ』もお楽しみに。

星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

関連記事

連載コラム

映画『マイ・スパイ』あらすじネタバレと感想。元プロレスラー俳優デイヴ・バウティスタと少女の凸凹バディ|未体験ゾーンの映画たち2020見破録31

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第31回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第31回で紹介するのは、肉体派アクション俳優と子役のタッグで送るアクション映画『マイ・スパイ』。 …

連載コラム

トリフォー監督代表作『アデルの恋の物語』実話考察。愛は私の宗教と自縄自縛、悲劇の女性の物語|偏愛洋画劇場5

連載コラム「偏愛洋画劇場」第5幕 映画には愛によって身を滅ぼしていく人々がたくさん登場しますが、今回は「愛は私の宗教」とまで言い切ったヒロインが登場する作品をご紹介します。 『大人は判ってくれない』( …

連載コラム

映画『天井棧敷の人々』ネタバレ感想と結末に導かれた階級対立と必然。映像美の裏に隠された歴史的テーマを解く|映画道シカミミ見聞録52

連載コラム「映画道シカミミ見聞録」第52回 こんにちは、森田です。 今回は、4K修復版が2020年10月23日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー公開される映画『天井 …

連載コラム

映画『阿吽(あうん)』感想と考察。楫野裕(カジノユウ)が描く“怖さ”というモノクローム映像|SF恐怖映画という名の観覧車42

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile042 映画で感じる「恐怖」のタイプには複数の種類があります。 「呪怨」シリーズのような得体のしれない「何か」に襲われる「恐怖」が、ホラーと言う …

連載コラム

韓国映画『王宮の夜鬼』あらすじと感想。ゾンビ(夜鬼)アクションものでヒョンビンとチャン・ドンゴンが激突!|コリアンムービーおすすめ指南13

陰謀渦巻く王朝に迫りくる“夜鬼”! 朝鮮王朝の存亡をかけた死闘がはじまる! ヒョンビンとチャン・ドンゴンの二大スターが激突する映画『王宮の夜鬼』が9月20日(金)より、シネマート新宿他にて全国ロードシ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学