連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第84回
過去には映画やドラマで実写化もされたチャールズ・アダムスのコミックをアニメーション映画化した『アダムス・ファミリー』の第2弾『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』。
キモカワお化けのアダムスファミリーが劇場に帰ってきます。
思春期を迎えた娘のウエンズデーを心配した父ゴメズは家族全員を連れて、絆を深めるドライブ旅行に出かけます。旅を満喫するファミリーですが、怪しい男たちが忍び寄って来て……。
愉快なお化け一家の長女ウエンズデーの悩みが騒動を招く本作。ウエンズデーの成長と、それを見守る家族愛が描かれ、アメリカ有数の観光名所をキャンピングカーで巡る家族旅行は、バーチャル旅行が体験できるロードムービーとしても楽しめます。
大人も子どもも楽しめる映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、1月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー。
CONTENTS
映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の作品情報
【日本公開】
2022年(アメリカ映画)
【原題】
The Addams Family 2
【製作】
ゲイル・バーマン コンラッド・バーノン ダニエル・スターリング アリソン・オブライエン
【脚本】
ダン・ヘルナンデス ベンジー・サミット ベン・クイーン スザンナ・フォーゲル
【監督】
グレッグ・ティアナン、コンラッド・バーノン
【キャスト】
オスカー・アイザック、シャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モレッツ、ニック・クロール、ジャボン・“ワナ”・ウォルトン、ウォーレス・ショーン、スヌープ・ドッグ、ベット・ミドラー、ビル・ヘイダー
【日本語吹き替え】
杏(モーティシア)、生瀬勝久(ゴメズ)、二階堂ふみ(ウェンズデー)、堀江瞬(パグズリー)、秋山竜次(フェスターおじさん)、京田尚子(バァバ)、大塚明夫(ラーチ)、森川智之(サイラス・ストレンジ)、多田野曜平(ムステラ)、ならはしみき (オシーリア)
【作品概要】
前作『アダムスファミリー』に続く、シリーズ第2弾の『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』。
監督を務めるのは、「きかんしゃトーマス」シリーズのグレッグ・ティアナンと、『シュレック2』(2004)『マダガスカル3』(2012)などを手がけてきたコンラッド・バーノンです。
アダムス家の家長ゴメズ役のオスカー・アイザック、妻モーティシア役のシャーリーズ・セロン、長女ウェンズデー役のクロエ・グレース・モレッツら、豪華キャスト陣もそろって続投しました。
日本語吹き替えでも、ゴメズに生瀬勝久、モーティシアに杏、ウェンズデーに二階堂ふみと、熟練の俳優陣が集結。
映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』のあらすじ
夏休み恒例の自由研究発表会(科学フェア)で優勝を狙う、アダムスファミリーの長女ウエンズデー。
フェスタ―おじさんにペットのタコ‟ソクラテス”の特性を移植する実験を披露します。しかし、その科学フェアは優勝なしで、順位をつけずに全員入賞という形で終わりました。
がっかりしたウエンズデーですが、その研究に興味を持った主催者のサイラス・ストレンジに共同研究の話を持ち掛けられますが、ウエンズデーは「家族の秘密ですから」と断ります。
思春期を迎え家族の食卓に顔を見せないことが増えたウエンズデーを心配し、家族の絆を深めようと考えたゴメズは、キャンピングカーでのドライブ旅行に連れ出しました。
ナイアガラの滝、マイアミビーチ、グランドキャニオン。ユニークな騒動を巻き起こしながらも、アメリカの観光名所をめぐる旅を続けるアダムスファミリー。
しかし、そんな彼らの後を、怪しい男たちが追いかけて来ました……。
映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』の感想と評価
お化け一家の愛情
お化け一族の家長ゴメズとその妻モーティシア、2人の子どものウエンズデーとパグズリー。
不気味な存在ながらも人間に恐ろしい危害を与えないファミリーは、丘の上に立つ屋敷で、手だけのお化けのハンドや大男の執事ラーチと幸せに暮らしていました。
暗い表情をした長女のウェンズデーは、謀が好きそうな不気味な性格ですが冷静で賢い少女で、本作では思春期を迎えた彼女が騒動の元となります。
親が娘を思う気持ちは、人間でもお化けでも、皆同じであることに気がつきます。
家族への愛情表現が、多少ずれている、或いは表現の仕方がわからず、皮肉っぽいいじけたものだとしても、その気持ちは十分に相手に伝わってくるものでした。
プロダクションに寄せるスタッフの想い
観客以上に、キモカワお化けのアダムスファミリーを愛する制作スタッフたち。
愛すべきキャラたちを前作以上に活かすにはどんな物語にすればいいのか、と悩んだそうです。結局、アダムスファミリーでキャラが目立つウエンズデーを中心にして話を膨らませることになりました。
そして、アダムスファミリーの一番ユニークな「どこに行っても常に浮いている」というポイントを際立たせるために、彼らにピッタリの火葬炉付きのキャンピング・カーで、アメリカ中を旅行させることにしたそうです。
物語は、ウエンズデーの思春期特有の疎外感やバグズリーの淡い初恋心を描くなど、ハートフルな内容もあります。しかし、それだけで終わらないのが、アダムズファミリー!!
クライマックスには、格闘シーン、盛大なパーティーシーンも用意され、様々な楽しみ方ができるエンターテイメント作品となりました。
アダムスファミリーの愛すべきところも不気味なところも、余すところなく描き出され、挙句の果ては、絆を強めた家族たちが大はしゃぎするという本作は、子どもも大人も文句なしに楽しめます。
まとめ
2020年公開された『アダムズファミリー』の続編です。
お化け一家のアダムスファミリーが巻き起こすドタバタ騒動は相変わらずですが、冷酷そうに見えるウエンズデーや悪戯好きな悪ガキパグズリーを取り巻く大人たちの家族愛あふれる物語でした。
声の吹き替えは、杏(モーティシア)、生瀬勝久(ゴメズ)、二階堂ふみ(ウェンズデー)、堀江瞬(パグズリー)といった魅力あふれる俳優陣。
冷静沈着なお化けたちの声を感情を抑えた一定のリズムで表現し、お化けならではの不気味さを醸し出していますが、ホラーではないので、十分ご家族で楽しめる作品です。
映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、1月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー。
次回の連載コラム『映画という星空を知るひとよ』もお楽しみに。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。