連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第291回
音楽に情熱を捧げ、未来の希望を切り開こうとする師と愛弟子の物語『ヴィヴァルディと私』。
18世紀初頭、ヴェネツィアに実在したピエタ院でヴァイオリン教師として赴任したアントニオ・ヴィヴァルディと、1人の孤児のヴァイオリンの才能を開花させていく成長を描きます。
映画『ヴィヴァルディと私』は、2026年5月22日(金)より、シネスイッチ銀座 ユーロスペース他全国順次公開!
監督は、オペラ演出家としても活躍しているイタリアを代表する奇才、ダミアーノ・ミキエレットです。
本作の主人公の1人は、孤児の少女たちの音楽教師として活動していた実在するアントニオ・ヴィヴァルディ。
彼の代表作の『四季』やオラトリオ『勝利のユディータ』も演奏される映画『ヴィヴァルディと私』をご紹介します。
映画『ヴィヴァルディと私』の作品情報

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
【日本公開】
2026年(イタリア、フランス合作映画)
【原作】
ティツィアーノ・スカルパ :『ヴィヴァルディと私』(河出書房新社刊/中山エツコ訳)
*原作本の発行時のタイトルは『スターバト・マーテル』ですが、映画公開にあわせての重版でタイトルが『ヴィヴァルディと私』に変更されました。
【監督・脚本】
ダミアーノ・ミキエレット
【キャスト】
テクラ・インソリア、ミケーレ・リオンディーノ、アンドレア・ペンナッキ
【作品概要】
18世紀初頭、『四季』などで有名な作曲家ヴィヴァルディがベネチアのピエタ院にヴァイオリン教師として赴任した実話を題材にした物語。
監督は、オペラ演出家として活躍する、ダミアーノ・ミキエレットで、本作で長編映画監督デビューを果たしました。
主人公の孤児・チェチリアを演じるのは、イタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演女優賞と新人賞を受賞した、イタリア映画界で最も活躍が期待される女優のテクラ・インソリア。
教え子の才能に嫉妬しながらも、彼女を応援するアントニオ・ヴィヴァルディには、テレビドラマ「ヤング・モンタルバーノ」シリーズで国民的人気を博し、映画のみならず舞台でも活躍する実力派俳優、ミケーレ・リオンディーノが務めています。
本作は、2026年度の「イタリア映画祭」での上映も決定しました。
映画『ヴィヴァルディと私』のあらすじ

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
18世紀初頭、ヴェネツィアのピエタ院では、孤児たちを育てていました。
赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリア(テクラ・インソリア)は、母の姿も愛情も知らずにこの院で育っていました。
1716年、チェチリアは顔もわからない母を想って、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、宛名のない母への手紙を綴ります。
彼女たちは、ピエタ院の音楽隊としての練習と読み書きを学びながら生活し、院の中に閉じ込められた毎日を過ごしています。
この院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされて結婚するかしかありませんでした。
そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディ(ミケーレ・リオンディーノ)が新しいヴァイオリン教師として赴任。
ヴィヴァルディは、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命しました。
ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか2人は心を通わせるようになります。
そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校が、トルコとの戦争から戻りました。
チェチリアの結婚が迫ったある日、事件が起こります……。
映画『ヴィヴァルディと私』の感想と評価

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
1人の少女の音楽的才能の開花と、彼女を指導する音楽家の内なる野望を描く『ヴィヴァルディと私』。指導者の音楽家は、ヴァイオリン協奏曲『四季』の作曲者として広く知られているアントニオ・ヴィヴァルディです。
幼少期から父からヴァイオリンを学んでいたヴィヴァルディ。25歳で司祭となりますが、ソナタ集などを出版し、音楽家としても活動していました。
やがて、ヴィヴァルディはヴェネツィアのピエタ院でのヴァイオリン教師に任命され、少女たちに音楽を教え始めます。
すると彼女たちの演奏は輝きを増し、世界最高のオーケストラと賞され、ヨーロッパ各地の貴族や知識人たちを魅了していったと言われています。
本作は、そんなヴィヴァルディの実話を基に、彼の教え子となった孤独な少女・チェチリアが成長していく過程を描き出しています。
ヴェネツィアとローマの全編ロケからは、普段目にすることの少ない、室内のバロック調の豪華なインテリアや貴族たちの服飾、それに反して質素に暮らす孤児たちの生活の様子が伺われます。
また、随所で流れるヴィヴァルディの名曲も見どころの一つです。
18世紀初頭のイタリア。そこは貴族と平民の階級が顕著に表れている社会でした。自らの力では現在の境遇から抜け出せないのかと悩むチェチリアが、音楽を通して次第に強くなっていきます。
「やればできる」「自分のやりたいことをやり通す」。そんな強い信念と前向きの希望が持てる作品で、鑑賞後はとてもポジティブな気持ちになれることでしょう。

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
まとめ

(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
作曲家ヴィヴァルディが、ベネチアのピエタ院にヴァイオリン教師として赴任した実話を題材にして制作された映画『ヴィヴァルディと私』をご紹介しました。
映画『ヴィヴァルディと私』は、2026年5月22日(金)より、シネスイッチ銀座 ユーロスペース他全国順次公開。
実母の顔も知らずにピエタ院で育った孤独な少女チェチリアが、ヴィヴァルディによって開花させられたヴァイオリンの才能で、尊厳と自由を求める一人の人間として成長していきます。
ヴィヴァルディの名曲も頻繁に披露されますので、クラシックファンも必見です。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



































