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Entry 2023/10/18
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韓国映画『PHANTOMユリョンと呼ばれたスパイ』あらすじ感想と評価解説。韓流スパイアクションをイ・ヘヨン監督×ソル・ギョングらで躍動的に活写する|映画という星空を知るひとよ177

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第177回

1933年、日本統治下の京城では抗日組織「黒色団」のスパイ“ユリョン”が暗躍していました。朝鮮総督の暗殺を企てる“ユリョン”と日本警備隊長たちとの熾烈な戦いが幕をあけます。

凄まじいその戦いを描く映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』は、2023年11月17日(金)シネマート新宿ほか順次公開

1930年代は日韓における悲劇の時代でした。本作では、‟国”を愛するとはどういうことかと問いかけ、登場人物による迫力溢れるアクションシーンが展開します。

イ・ヘヨン監督のもとに集まった、ソル・ギョング、イ・ハニ、パク・ソダム、パク・ヘスといった実力派の俳優が魅せるアクション映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』の作品情報


(C)2023 CJ ENM Co., Ltd., THE LAMP.ltd ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2023年(韓国映画)

【原題】
유령

【英題】
PHANTOM

【監督・脚本】
イ・ヘヨン

【製作】
パク・ウンギョン、チョン・チャンフン

【撮影】
チュ·ソンリム

【編集】
ヤン・ジンモ

【音楽】
タルパラン

【武術指導】
ホ·ミョンヘン、ユ・ミジン

【キャスト】
ソル・ギョング、イ・ハニ、パク・ソダム、パク・ヘス、ソ・ヒョヌ、キム・ドンヒ、キム・ジュンヒ、コ・インボム

【作品概要】
本作の監督は、『毒戦 BELIEVER』(2018)のイ・ヘヨンです。

ペパーミント・キャンディー』(1999)『殺人者の記憶法』(2017)をはじめ韓国映画に数多く出演するベテラン俳優ソル・ギョングをはじめ、『エクストリーム・ジョブ』(2019)で華麗なアクションを披露したイ・ハニ、『パラサイト 半地下の家族』(2019)でトップスターの仲間入りを果たしたパク・ソダム、ドラマ『イカゲーム』(2011)のパク・ヘスといった実力派俳優たちが集結しました。

愛国心のもとに総督暗殺作戦を実行するスパイと、それを阻止しようとする総督警護とのノンストップ・スパイアクション。

映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』のあらすじ


(C)2023 CJ ENM Co., Ltd., THE LAMP.ltd ALL RIGHTS RESERVED

1933年、日本統治下の京城では抗日組織「黒色団」のスパイ“ユリョン”が暗躍していました。

新たに赴任した警護隊長の高原は総督暗殺を阻止するため、朝鮮総督府内に潜む“ユリョン”を捕まえようと罠を仕掛け、ある人里離れた崖の上のホテルに容疑者たちを集めます。

疑いをかけられたのは保安情報受信係 監督官の村山(ソル・ギョング)、暗号記録係のチャギョン(イ・ハニ)、政務総監秘書の佑璃子(パク・ソダム)、暗号解読係長ウノ(ソ・ヒョヌ)の4人。

「“ユリョン”はコイツ」と名指しで暴露するか、あるいは“ユリョン”自らが自白するか。4人に与えられた考える時間はたった1日です。

仲間たちのために暗殺作戦を必ず成功させなければならない“ユリョン”と、疑いを晴らして生き残らなくてはならない者たちの緊張感あふれる駆け引きと死闘が始まります――。

映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』の感想と評価


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毒戦 BELIEVER』(2018)のイ・ヘヨン監督が手がけた、韓国のスパイアクション映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』。

日本統治下での韓国でユリョンと呼ばれる凄腕スパイが韓国という国を守るため、日本人の韓国総督の暗殺を企てていました。

総督警護隊長の高原は、その広い情報網から朝鮮総督府内に潜む“ユリョン”の存在を得て、容疑者と思われる4人を軟禁します。

誰が‟ユリョン”なのでしょう。集められた容疑者同士も顔を見合わせ、正体のわからない犯人捜しが始まりました。

軟禁状態でお互い疑心暗鬼で接する緊張感、生き残りを懸けた白熱する諜報合戦に加え、自分の使命を全うしようとするプロのスパイ‟ユリョン”と、その存在を身近に感じつつ‟ユリョン”捜しにやっきになる総督警護側の危機迫る状況が続きます。

‟ユリョン”の正体が判明した後の総督警護側との激しい撃ちあいもピリピリする緊張感を放ち、観る者をスクリーンに釘付けにします。

ソル・ギョングを筆頭に、イ・ハニ、パク・ソダム、ソ・ヒョヌといった俳優らが容疑者4人の心理を見事に演じきり、静かな心理合戦が行われる前半に大きな緊張感を生み出しました

そして、一転して後半は激しい銃撃戦へと……。敵対する者同士の果てしない争いの結末がとても気になる作品となっています。

まとめ


(C)2023 CJ ENM Co., Ltd., THE LAMP.ltd ALL RIGHTS RESERVED

韓国映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』をご紹介しました。

敵の手中に潜入して情報を得るスパイ。本作ではそんなスパイを‟ユリョン”と呼び、怖れられていました。‟ユリョン”とは‟幽霊”の意味があり、正体不明の印象を与えます。

‟幽霊”には足がないとされていますが、本作の‟ユリョン”には2本の足があり、2本の手とその足で見事なガン裁きとアクションを披露

スパイとなった動機も明かされた‟ユリョン”の複雑な胸中も、激しいアクションの中から見出して欲しい作品です。

映画『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』は2023年11月17日(金)シネマート新宿 ほか 順次公開

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。



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